亡くなって2日目の

1月13日の夕方、


夜守りを交替する為に

私が母の家に行くと、


妹は開口一番

「ママの口が

開いてきちゃったの…ショボーン」と

私に言いました。



亡くなった直後の母は

下顎呼吸の影響で

口が大きく開いていました。



エンゼルケアの時

私と妹と看護師さんとで

なんとか頑張って

口を閉じたのに、


また開いてしまったのかと

驚いた私は、

急いで母の部屋に行きました。



布団に寝ている母を見ると

確かにうっすらと

口は開いていましたが

気にならないくらいだったので

ホッとして、


「このくらいなら

全然大丈夫だよ。ニコニコ」と

妹に言いました。



「大丈夫❔

それなら良かった。



閉めようとしたんだけど

固まっていて

もう全然動かないの。



だからきっともう

これ以上は

開かないよね❔



◯子(妹の友達で

介護士の人)が

『みんな少しは

開いてきちゃうんだよ』って

言ってくれたんだけど…。」と、


妹もやっと少し

ホッとしたようでした。ニコニコ



「学校に行く前

◎(甥っ子)が今日も

ママの所に来て、


『おばあちゃんって

本当に美人だよねぇ〜。』って

また言ったの。


『死んでも美人って

すごくない❔』だって。爆笑」と

妹が言ったので、



「そうなんだ。爆笑



でも本当に、

何だか若い頃のママに

戻ったよね。



癌でこんなに痩せたのに

逆に綺麗になるって

すごいよね…。」と

私は言いました。



子供の頃、

私達姉妹にとって

母は自慢のお母さんで

憧れの存在でした。



若い頃の母は

加賀まりこさんによく似た

キュートで勝ち気な美人で、


スマートでスタイルが良く

いつでもお洒落な服に

身を包んでいました。



歳を取ってからの母は

15キロも体重が増えて

かなりふっくらしたけれど、


それでもみんなから

草笛光子さんに似ていると

言われていました。



亡くなる直前の母は

顔色も悪く

痛みはないというものの

ずっと辛そうな表情で、


看ている私達は

ひたすら母の手を握りながら

泣きながら、


死にゆく母に

声をかけ続ける事しか

なす術は

ありませんでした。



亡くなった母は

顔色が白くなり

なぜかシミが消えました。



私達が眉を描き紅を引いて

ファンデーションを塗ると

驚いたことに、


私達が子供の頃

憧れて仰ぎ見ていた

華やかな美人の母が

そこには眠っていたのです。えーん



私の夫は

「これは美人さんだ。」と

私達に言いました。



妹の夫は

「神様がおばあちゃんを

元のおばあちゃんに

戻してくれたんだね。」と

言ってくれました。



「今日ね、

●子(妹の元親友で

妹の会社の従業員)が

お線香をあげに来て、


『ママ、

何だか微笑んでるみたい。』って

言ってた。」と

妹が言いました。



そう言われて

母の顔を覗きこむと

本当に何だか母は

少しだけ歯を見せて

ニコッとしているようでした。



「本当だ❗

ママ、笑ってる❗おねがい


もしかすると、

顔の布を外していたから

肌が乾燥してきて、


それでちょっとだけ

開いたのかもしれないね。」と

私が言うと、



「えっ、

そうなの!?ガーン


私、布をかけないで

一晩中ママの顔を

眺めていたから

それで開いちゃったのかな!?」と

妹は慌てて

母の顔に

布をかけました。



今夜は私と夫と

あと猫2匹とで

母を見守っています。



こんなに綺麗な顔で

みんなに美人だ美人だと言われて

まるですやすやと

良い夢を見て微笑んで

眠っているようなのに、


やっとやっと

あんなに帰りたかった家に

戻ってこれたのに、


棺に入れて燃やさないと

いけないのかぁ…。



悲しいなぁ…。悲しい



まるで赤ちゃんみたいに

可愛いあどけない顔をして

いつもの寝室で

お布団に横になって

くうくう寝ているのにね。