どうしたら母に
ありのままの自分を
愛してもらえるのかという
私の言葉は、
またしてもあっさりと
妹にいなされました。


「無理だと思うよ。


ママなりには、
私達のことを
大切に思ってると思うし、
感謝も一応
してるんだとは思う。


ママはあれでも
十分私達のことを
愛してるつもりなんだよ。


だけどね、
なんていうのかな‥‥。


愛を感じられる対象が
そもそも
私達とママとは違う。


違う人種の
人間なんだよ。


だから、
ママに愛されようとは
もう思わない方がいい。


ママは感謝の気持ちよりも
圧倒的に
不満の方が多いから、
毎日あれしてくれない
これしてくれないって
振り回されるだけ。


ママを満足させようなんて
思わなくていい。
ある程度やったら
何を言われても気にせずに
出来ない事は出来ないで
無視していいんだよ。


私なんて、
ママを引き取ったのに
お姉ちゃんみたいに
自慢されるどころか、
いまだに人前では
こきおろされてるからね。


いちいち気にしてたら
やってられないよ。」


「そうは言っても、
心の中ではママは○子に
すごく感謝してると思うよ。」と
私が慰めると、


「それはわかってる。

ママはあえて
人前で文句を言う事で
私にみんなの前で
違うって宣言してもらって、
いっとき安心したいだけ。


生きていく孤独とか
さみしさを自分の中で
じっと黙って
持っていられない
心の弱い人。

その証をもらえないと
すぐに取り乱して
他の何かにすがって
絶えず周囲に迷惑を
振りまく人。

厄介な人だけど、
それが私の親。」と
妹は言いました。


「私は確かに○子みたいに
ママと毎日
会っている訳じゃないから、
○子ほどしょっちゅう
嫌な事を言われている
訳じゃない。


でも、○子は
毎日会っているからこそ
ママの可愛い所とか
憎めない所にも
触れる事が出来るし、
いつの間にかなあなあで
仲直りも出来るでしょ?


私はママと時々会う時が
ママを知るすべてで、
次に会う時までは
ママと嫌でも
顔を合わせる事はない。
挽回のチャンスは
お互いないんだよ。


会う度に嫌な事があると
ますますママを嫌いになって
優しく出来なくなる。


愛されるのも
満足させるのも無理でも、
せめてママから
嫌な事を言われないように
なりたいよ。」


「それは難しいけど、
不満を言わないように
黙らせる事は出来る。


お金を渡せばいいんだよ。


ママは自分では
私はお金に汚くないって
言ってるけど、
ママくらい
お金に執着する人って
私、いないと思う。」


「そうかなぁ?
お金に執着してないから
あんなに綺麗に
全部使っちゃったんじゃないの?」


「あれは金銭感覚が
おかしいだけで、
また別の話。
お金にはものすごく
うるさいよ。


あんなに買い物中毒で
物欲が強かった人が、
お金に興味がないわけ
ないじゃない。


大学の時に
お姉ちゃんの歯を直すのに
お金がかかったとか、
いまだに私に言うよ。」


「そうなの?(• ▽ •;)
でもあれは
銀歯が取れたからで、
治療だもの。
仕方ないじゃない。」


「だって私なんて、
交通事故で
何か月も入院してた時
毎日お見舞いに行って
お金がかかって
すごく大変だったって
あんまりいつまでも
ママがうるさいから
もう頭に来て、

保険会社から
慰謝料が200万おりた時
迷惑かけましたって言って
全部ママに渡したら
それからピタッと
一切何も
言わなくなった。


私が事故にあったのは
全然私の
せいじゃないのに‥‥。

それでも、
まさかそうは言っても
母親だから、
私がお嫁入りする時には
渡してくれるつもりで
貯金してるんだとばかり
思ってたから、
結婚する時に聞いたら
『あんなの全部
使っちゃったわよ。』って
言われたの。

力が抜けたよね‥‥。


私の慰謝料は
シャネルのバッグと
カルティエの時計と
あと何かに
なってたんだ‥‥。


ママもちょっとは悪いって
思ったんだろうね。


ママを引き取る前、
引っ越しの片付けの時に
私、シャネルのバッグと
カルティエの時計を
ママからもらってたでしょう?

あれは、
そういうわけ。」


「そうだったんだ‥‥。
知らなかった‥‥。」


「ママのそういう所は
私はよ〜くわかってるから、
週に3回夜ご飯を
作ってもらってるお金も
お小遣いの足しになればと思って
いつも多めに渡してるよ。


実は●(甥)が
ママの料理を
すごく嫌がってるんだけど、
ママの生きがいは
今はあれしかなくて
ものすごく張り切ってるから
●にはいつも
我慢してくれって言って
何とかなだめてる。


お姉ちゃんも
ママにお金さえ
渡しておけば、
文句を言われる事は
ないと思うよ。

全部結局そこだから。」
と言って、
お年始の後
母が私に対して
3つの不満を漏らした事を
私に教えてくれたのでした。