後日談:妹の独り言
家に帰ると、美咲がキッチンでなにやらお菓子を作っていた。俺が挨拶すると、ちらっと振り返り、にやりと笑う。
「これはちょっと、独り言だけどね。」
「え、うん…?」
美咲は、流れるように手を動かしながら、俺に小声で教えてくれた。
「朔斗さんはね…女の人に恋愛感情はないけど、恋愛ごっこをしてるのよ。感情っていうのはね、嫉妬とか愛情とかで揺れるじゃない?
色々な事情で女の人に気があるように話してるの。香奈はその女の人の1人でしかない。」
俺は目を丸くする。
「あ、ああ…だからあの独特な雰囲気だったんだ…」
「うん。もちろん、全員合意済みの大人だし、普通の恋愛じゃないの。ただ、目的の為にはそういうやり方もある。…これはあくまで独り言だからね。」
美咲はそう言って笑いながら、また手元のお菓子に集中する。
俺はその言葉を反芻しながら、頭の中でさっきの朔斗の微笑みを思い浮かべた。
なるほど、あの時のあの雰囲気は…。と、少しだけ納得がいったような気がした。
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