今日であの日から四十九日が経ったよ。
あんじ。
お疲れ様。
有難う。
今もまだ、彼の重さも柔らかい毛も柔軟な肉球も硬い髭も鈴の音のような鳴き声も足音も食事を食べる音も耳の中の触り心地も舐めてくれる舌のざらつきもすぐに思い出せるのに。
どうして姿が見えないのかしら。
あの小豆色の肉球が真っ白になってしまった日は、まだ数分前の事のように気持ちを揺さぶり続けている。
最近顔つきが変わってきたと周囲に言われ始めたのは、彼の顔に少しでも近づきたいと願っているからか。
自身の中で彼が生き続けてくれるのならば、いっそ自分の顔も何もかもすべて彼に委ねたい。
そう過ごしてきたここまでの四十九日だった。
離れないように。
離さないように。
彼にとって誇れる主人であり続けるために。
愛想をつかして別の世界に行かないように。
彼の愛の呪いは一生自分を捉えているだろう。
そして、自分の愛の呪いが一生彼を捉えていられるように。
全てを彼に委ねて生きていきたい。
真っ直ぐで、優しくて、寂しがり屋で、我儘で、愛おしい、凛としたあの美しい彼に。
