「宮脇昭先生」-8(ガレキは地球の資源) 
 
ここから先は復興会議で宮脇先生が提案している『津波から命を守る森プロジェクト』に話を。
これは何が特徴かというとガレキが使えるということなんです。ガレキを使って森づくりをやる。
 
「これが大事なんです。これまでガレキを邪魔者だと思っている。
  人類文明において本物は邪魔者はないはずなんです。毒は排除しなければなりませんが、
  後はすべて地球資源です。というのは植物の根は息をしています。
  養分を吸うのは地中30センチくらいです。水に70時間以上浸かると酸欠で根は腐ります。
  都会で1本5万円の木を支柱を立てて植えても根が弱かったら十分な水や酸素が吸えない。
  そこで木の上の方を枯らして生き延びようとします。
  5メートルの木が3年たって3メートルになってしまう。そうではなくて、1本300円の木を、
  あるいは自分でポット苗を作れば、簡単にただの苗ができます。
  この根の充満した健康な苗を、ガレキというたっぷりと酸素を含んだ廃棄物という
  地球資源を使い、土を20センチほどかぶせて植えて行けばいいのです。
  根は研究結果から6メートル入ることが分かりました。
  コンクリートのガレキも砕いてやれば、根は抱きます。」
 
コンクリートでもいいんですって。コンクリートのかけらとか、材木だとかを山のように盛り上げて
その上に表土をかぶせます。そこにシイ、タブ、カシなどの照葉樹のポット苗を密植する。
そうすると丈夫な大堤防が出来るんです。森ができるには100年くらいかかるんじゃないですか?。
 
「国内や海外で4000万本の本物のポット苗を植えてきましたが、すべて成功しています。
  よく聞かれます。うまくいかないから教えてくださいと。しかし、本物の苗は生き続けます。
  それはいかに失敗しているかです。3年間は根を伸ばし、そして後は1年に1メートルほど丈を伸ばします。
  10年たてば8メートル以上の木になります。1本ずつ植えたんじゃダメなんです。」
 
ぎっしり植えないとダメなんですね。

 

「宮脇昭先生」-7(潜在自然植生を見極める)  
  
先生、ちょっと話を戻していいですか?。その潜在自然植生ですが、それを取り戻すには、
日本では1番残っているのは、鎮守の森だと先生はおっしゃっているんだと思いますが、
日本は本来照葉樹林文化ですから、自然の森を再生するには、例えばここ赤坂を再生するには、
鎮守の森を探して、そこに生えている照葉樹が落とす、いわゆるドングリをたくさん拾い集めて、
それから芽を出させて苗を作る?。
 
「植物は根が勝負です。いくら植木屋さんが支柱を立てても、根が丈夫でなければだめです。
  皆さんで植えていただくポット苗で、次にやってくる氷河期までの9000年間持つような
  本物の森を作りたい。」
 
例えば釜石で本物の森を作ろうと思ったら、釜石で鎮守の森を探して、
むかしからそこで生えていたであろう潜在自然植生の…。
 
「タブやヤブツバキなどがありますから…。」
 
そのドングリや種を集めてポット苗を作って、宮脇方式の混植、多種を混ぜて、
1平米当たり3~5本密植して森を作ればいいんだろうということで…。

 

「宮脇昭先生」-6(命は科学技術では不十分)
 
「鎮守の森や屋敷林などで、山にはないんです。
  私がドイツから帰りまして日本を歩いて回ったんですが、
  潜在植生とは忍術ではないかと思ったくらいです。現在でもわからない学者がいますが…。
  というのは上っ面だけで見ますと、銀座を歩いている女性と同じで素敵なんですが
  中身がよくわかりません。学生に教える時、潜在植生とは、
  厚化粧されている中で、それには触れずに現場を見ること。現場は必ず見えない情報を発している。
  自然が発しているかすかな情報から見えない情報をどのように読み取るか。
  それが人間の英知であって計算できるものではない。
  コンピュータで計算できるその裏側にあるものを使わなければ命も環境も理解するのは不十分です。
  進化し続けた科学技術で月にも行けますが、命や命を支える環境に対しては残念ながら不十分です。
  もしそれが本当であれば、一人くらいは200年も300年も生きていいはずです。
  今の科学では死んだ1本の草や人間を生き返らすことができない。
  我々は今の医学や科学技術で素晴らしい生活を享受していますが、
  しかし、残念ながら命に対しては、不十分としか言えない。
  だから限られた要因と時間だけで、ここまでは大丈夫だと判断する今回の不幸な福島原発の問題もそうで、
  どんなに科学技術が発達しても、地球上に生かされている限りは、
  物とエネルギーとお金だけではだめなんです。
  生きること、それは奇跡です。皆さんが未来に残すものは、
  40億年前から引き継がれた遺伝子やDNAであって、それに授かって我々は100年足らずを生きる。
  そのかけがえのない命。
  森に目をやれば芝生の30倍もの緑の表面積がある土地本来の本物の森。
  この森が0.06%しか残っていない。」