「失われたアフリカの歴史」-8(人種差別は公式観光ポスターにも)
 
「この類を見ない建造物を、バンツゥ語を話すアフリカ人が造ったのだと主張する、
  愚かな考古学者がいる。しかし、バンツゥ語を話す人間は、今もむかしも全く同じで、
  牛を飼い田畑を耕す、わずかな脳みそしか持っていない連中だ。」
 
彼女はこのような毒のあるプロパガンダを集め、特別なファイルに保存していました。
それから何年たってもシバの女王に、黒人の召使がかしづく公式の観光ポスターで、
大ジンバブエは、白人の人種的な優位性を示すシンボルとしてあつかわれてきました。
今日でも同じ図柄が新しいジンバブエ共和国を象徴しています。
 
「考古学の調査結果は、白人のアフリカ支配にケチをつけるものでした。
  アフリカ大陸は白人のものである以上に黒人のものであるといっているのです。
  この壁は白人入植者の主張をくつがえすもので、何百年も前にアフリカ人によって建てられたものです。
  白人が住むずっと前にアフリカ人が住んでいたというものいわぬ証拠です。
  でも白人の答えはこうです。証拠とは言葉で表せるものだ。
  ここはアフリカ人が建てたものではない。」
 
大ジンバブエの遺跡は、何世紀にもわたって、でっち上げの歴史に苦しめられてきました。
それにしても、このアフリカ人による強大な遺跡とは、どんなものだったのでしょうか。
 
最盛期の14世紀ころ、それは当時ロンドンと同じくらいの規模を誇り、1万8000人もの人が、
数キロの土地にひしめきあっていました。
この巨大な石の壁の内側に、アフリカ文化が花開いていました。
巷は喧騒を極めていたに違いありません。何百本も立ち上るかまどの煙が空を覆っていたことでしょう。
ここは驚くほどの範囲にわたって広がる王国の首都で、
その中に点在する小さな町ミニジンバブエがあり、各町で支配者を持っていました。
大ジンバブエは、その王の死後も長く続きました。祖先たちの霊は、強力な支配者であり、
精神的な指針を与えるものとして、この世でも力を持ち続けるある種の存在でした。

 

「失われたアフリカの歴史」-7(新遺跡を発見)
 
調査隊のリーダーであるトンプソンは、大ジンバブエの遺跡を徹底的に解き明かそうと決意しました。
 
「トンプソンは、女性考古学者として能力は群を抜いていました。
  調査隊は全員女性で、私的に女性とだけ仕事をしていたと思っています。
  彼女は最初の女性考古学者の一人です。」
 
発掘を数週間続けても遺跡の年代を特定する素材を発見することはできませんでした。
がっかりした彼女たちは、別の場所を探すことになります。
 
トンプソンたちは、発掘されていない別の場所を探す必要がありました。
是が非でも遺跡を見つけ出そうと、飛行機を貸してくれるよう友人に説得したのです。
 
アクロポリスの後方を飛行機で通り過ぎたとき、まだ地図に書き込まれていない、
頂上に続く小路に気付きます。それは生い茂る植物に隠されていましたが、新しい頂上に続く道でした。
トンプソンは、白人に発見されていない場所を発見したのです。
 
翌日から発掘作業が始まりました。チームは、彼女が必要とする資料を集めることができたのです。
結論はこうでした。大ジンバブエを建てたのは、バンツゥ語という言語を話す人々で、
建設はおよそ11世紀頃に始まりました。しかし、彼女の報告書は白人たちには受け入れられませんでした。
 
「トンプソンの仕事は、学会や科学者の間では高い評価を受けました。
  しかし、それは入植者を説得し、考えを改めさせるためには、何の役にも立たなかったのです。」
 
原住民にこんなものを建てられるわけがない。彼らは野蛮で何一つできない。
彼女の半世紀に渡る苦労も、このような入植者の考えを改めさせることはできませんでした。
人々はそれほど人種差別に凝り固まっていたのです。
しかし大ジンバブエ遺跡は、その土地から見て、異国風というところはどこにも感じられませんでした。

 

「失われたアフリカの歴史」-6(シバの女王こそ大ジンバブエの女王?)
 
マウフによれば、この地こそソロモン王が黄金と宝石を得た町オフィールだといいます。
シバの女王の物語は、旧約聖書に出てきます。
この謎に満ちた白人の女王は、香料や黄金や宝石をラクダに積んでエルサレムのソロモン王を訪ねます。
絹のローブの下に豊満な肉体を包んだ妖婦は、ソロモンに贈り物をしました。
マウフは、シバの女王は、大ジンバブエの女王であり、
この場所こそシバの女王の宮殿に他ならないと結論付けました。
マウフの人種差別的な考えは、この地人に入植する白人たちへの、格好のプロパガンダとしてとらえられました。
どのようなものであれ、聖書の時代から白人が古い土地に住んでいたということは、
いかなるものも白人によるアフリカからの搾取が正当な助けになるからです。
 
1890年の中頃、英国人実業家ローズが、彼の名前をとってローデシアという土地を発見します。
以来、1980年まで、ここは白人が統治する国になりました。
ローズは何千キロにも及ぶ土地を掘り返し、ダイヤや黄金を採取しました。
その中には大ジンバブエの遺跡も含まれていて、ここはかつてフェニキア人の宮殿だったと主張しました。
彼は遺跡から工芸品を盗み出す親分の存在になりました。
 
「大ジンバブエ遺跡の悲劇は、ここが徹底的に掘り尽くされてしまったということです。
  ここを発掘した人たちは、かつてこの地は白人王国の地であると、固く信じて発掘に臨んでいました。
  出土品は徹底的に持ち去り、壁の内側で人間の生活が行われていたという証拠を、
    破壊つくしてしまったのです。」
 
歴史的な破壊行為に、かつてこの地の監督官だったピーターは、いまだに怒りを隠し得ません。
あまりにも損害が大きいので、この地の歴史は、永遠に失われてしまったのです。
 
しかし、1929年、英国の考古学者たちは、大規模な発掘調査を行い、
シバの女王とは全く関係がないことをはっきりさせたのです。