久々新作です・・・ | ハンドメイドアクセサリーショップ Azizi

ハンドメイドアクセサリーショップ Azizi

Azizi
オリジナルハンドメイドアクセサリーショップ
彫金教室
〒939-8211
富山県富山市二口町1-5-9
TEL 076-482-6755
11:00〜20:00
定休日 毎週火曜日

オーダーも落ち着き、

クリスマスに向けて新作作りが進んでいます。

そんな中、一つご紹介したいと思います。

この新作にはエピソードがあります。

とある、有名音楽アーティストの子供の頃のお話しです。

もちろん、僕の妄想です。

それでは、お聞き下さい。

あれは暑い中二の夏、今年はやけにセミの声が五月蝿く感じる。

僕は流れる汗なんか気にせずに、ただひたすら

街に向かって自転車をこいでいた。

あふれる汗より気になるのはポケットの財布が落ちないかって事だった。

「やっと貯まった!!」

小学生からのお年玉をコツコツ、やっとここまで貯まった!!

みんなが持ってたミニ四駆も我慢したかいがあった。

「いや、オレどっちかっていうと4より3の方が好きだし・・・ミニ三駆がいいなぁ」

「お前は三丁目の夕日かよ!」

その日から僕のあだ名は三丁目になった。一丁目に住んでいたのに。

僕はグレた。悪いツレと付き合うようになり、中でもまさゆきとはマブダチになった。

アイツだけは俺を三丁目とは呼ばなかった。夕日と呼んでくれた。

早朝でもだ。

まさゆきはいつも口を動かしていた。ガムを噛んでる風に。

何でか聞いたとき、「だってワルそうだろ」あの時のアイツはまぶしかった。

そんな俺たちにはドリームがあった。バンドやろうぜ!

学校帰りに入った本屋で見つけたその雑誌を手に取り、かじり付くように2人で読んだ。

まさゆきはベース、トン平はドラム、カン太はボーカル、夕日はギター。

そんな俺たちの妄想が止まらなかった。掃除の時間はホウキがギターになった。

俺たちは無敵だった。

でも先生に怒られた。

「ヤッパ、ホウキじゃなぁ…」俺たちのテクでは、ホウキはもう音の鳴らないギターに過ぎなかった。

ホウキだからだ。

それから俺たちは音の出るホウキを買うためにマネーを貯めた…

長かった。

結局、俺のギターが最後になっちまったな。

これでみんなでスタジオ入るときに俺だけ掃除の人呼ばわりされないぜ。

まぁ、最後になった理由もあるんだけどさ。

そう、俺には憧れのギターがあった。「フェンダー」のストキャス

眩しいぜ・・・

もちろん、中学生なんかにはとても手が届くギターではなかった。

でも、俺は出会っちまった

ジャンプの裏に載ってたベースを買ったまさゆきにはナイショにしていた。

街の路地裏に入った寂れた金物屋に、中華鍋と一緒に陳列されてる、

あのギターは…まさか…

ペダルを踏み込む力がより強くなった。

にやけてる自分の顔も気にせずただひたすら、中華鍋めがけて自転車を進めた。

やった!まだ売れてない!え?ヤバい!バンドマン風の人が中華鍋を見てる!

もう自転車なんかこいでられなかった。

自転車を担いで俺は走った。待ってくれ、俺の中華鍋。今行くからな。

「こ、これ下さい!!」店の奥に居る店主らしき中国人に俺は叫んだ。

「アイヤー、コレってその自転車アルか?それうちの売り物じゃ無いアルよ。まぁ、それでもって言うならシェン円で良いアルよ」

「違います!この自転車は僕のです!この鍋下さい!」

「アイヤー、そうアルか。この中華鍋は中国四千年の…」

あれ…

「違った!このギター下さい!」

「アイヤー、そうアルか。このギターは中国四千年の…」

「いやいや、何でも四千年かい。それは良いとして、ホントにこの書いてある値段で良いんですか?」

ドキドキしながら聞いた。

「アイヤー、高いて言うアルか。バカにしたらタメタメねー、いくら子供だからってワタシ怒るよ-!!!」

良かった。この中国人には中華鍋の良さはわかってもこのギターの価値がわからないらしい…

「すみません、この値段で良いのでこれ下さい。」

「アイヤー、お客さん素直ね!気に入った!ワタシ良い人、オマケあげちゃうよ~、アイヤー、このギターケースと、ワタシの食べかけの餃子どっちが良いアルか?」

オイオイ、マヂかよ。決まってるだろ、

両方よこせよ。

イライラしながら僕は言った。「中華鍋で」

こうして、右手にギター、左手に中華鍋、背中に自転車。

思えばこの頃から俺の演奏スタイルが決まったのかもしれない。

スタジオに行くのが待ち遠しかった。早く自慢したかった。

スタジオ向かいのビルの影からメンバーが全員集まったのを確認して、

スタジオに向かった

掃除夫じゃない俺がそこにいた。

俺「うぃーす」
メンバー「うぃー…す?」

メンバーは俺の左手に持ってるアレに気付いたみたいた。

「いや~、バレちゃった?」

「どうしたんだよ夕日!ついに買ったの?」

まさゆきがテンションアゲアゲで近付いてきた。

「そうなんだよ~、もうテンション上がっちゃうだろ?「

「テンションだけじゃなく、鶏肉も揚がっちゃいそうだな、その中華鍋!」

「だろぉ!…え?あ、…うん。カラアゲ~って、アハハ…」

「冗談だよ、遂に音の出るホウキを買ったのか! 良かったなぁ!ちょうど今メンバーと話してて、お前が今日もホウキ持ってきたら、お前抜きでバンドしていこうって」

「あ、そうなんだ…俺の知らないところでなかなかロックな話ししてるねぇ…」

「まぁ、良いからどんなギターなんだよ!見せろよ!!!」

まぁ、コイツらも俺のギターを見たら俺の本気度を思い知るだろう。

「たいしたギターじゃないんだけどさぁ、、、ビビんなよ」
どや顔でまさゆきに見せつけてやった。

「おぉ!!マジか?スゲー!」
メンバーみんなのどよめきが心地良かった。

「ちょっと、夕日さ~ん、さわらせて貰えませんか?」
さっきとはうって変わったメンバーの態度。

「良いけど、君達に違いがわかるかなぁ」

幸せだ

俺は今、てっぺん取ったのかもしれない…

そんな余韻に浸っているとまさゆきが言った。

「あれ?何かおかしいなぁ」

あれ、あれ言ってるまさゆきに、俺は上から言ってやった。

「何?チューニング?ちょっと勝手に音ずらさないでね」

ドヤァぁ(*´Д`)=з鼻の穴が広がりすぎる。

「あれ、やっぱり変だ。コレちょっとおかしいよね。なぁ、トン平、変だよね?」

「あれ、ホンマやトン。変だトン」

オイオイ、 愚民どもが何か言ってやがる。嫉妬か?バーニングお餅、ヤキモチか?

「お前らさぁ、男のヒガミはカッコ悪いぜ!変だ、変だウルセーんだよ!!さっさと返せよ!練習しようぜ!」

「だってさ、ほらここ」

まさゆきの指差したところはギターのヘッド。なんだよ、チューニングか?これだからトーシローは困るぜ。

「よく見るんだトン」

っんだよ、トン平までウルセーなぁ。

しぶしぶチューニングを合わせようとすると、

「違う違う、よく見てみろって!」

まさゆきの指先をじっと眺める。

「Fender」そこにはそう書いて…

「!? Hender…へんだぁぁぁ!!!!」

何がなんだかわからなかった。ただ、俺のアタマの中はもう、大変だー。それしか考えられなかった。

「…さん?」

「…さん!どうしました?聞いてますか?」

ザザーん、ザザーんと打ち寄せる波の音と、目の前に座る男の呼びかけでふと物思いにふけっていたと気がついた。水平線には夕日が沈もうと赤く燃えていた。
「え~と、何の話しでしたっけ?」

「あのですね、今年の東京ドームでのライブが大成功お収めた訳ですが、物事を成功させるコツ、みたいなのを知りたいという質問がウチの編集部に届きまして。」

「そうですねぇ、やっぱり何事もあきらめないって事ですかね。あと、やっぱり新しい事にチャレンジし続ける事かな。」

「なるほど、確かに左手にフライパンを持ってライブパフォーマンスをする姿を初めて見た時はド肝を抜かれちゃいましたよ~。それでは、別のファンの方からの質問ですが、どうしてフェンダーのギターは使わないのですか?」

ザザーん、ザザーん。
波の音と沈む夕日が二人を優しく包み込んだ。


長くなったので、新作の紹介はまた今度にします(;´Д`)ノ