ロシア  “ウクライナでの失敗”で進む経済的中国依存 権益でも、人でも極東で強まる中国の存在 | 碧空

ロシア  “ウクライナでの失敗”で進む経済的中国依存 権益でも、人でも極東で強まる中国の存在

(20189月11日、ウラジオストクで行われた「東方経済フォーラム」に参加しているロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が、会談後にエプロン姿となり、料理の腕前を披露し合う場面があった。【2018912 ロイター】

当時から5年半、両者の力関係は大きく変化しています。)

 

【戦術的には優勢なロシアだが、戦略的にはウクライナ侵攻は大きな失敗】

パレスチナ、イラン・イスラエル関係の影に隠れた形になっていますが、ウクライナでは物量にものを言わせたロシアの攻勢によってウクライナは苦境に立たされています。

“「ウクライナ年内敗北も」 米CIA長官、支援なければ”【419日 共同

 

ウクライナにとって死活的に重要なのがアメリカの支援。そのアメリカの支援は米国内の与野党対立によって停滞していましたが、ここにきてようやく動き始めたようです。

“米下院、ウクライナ・イスラエル支援を別個に審議へ”【416日 ロイター

 

海の向こうのウクライナより国内対策を優先すべきという共和党保守強硬派は依然としてウクライナ支援に反対していますが、共同歩調を取ってきたトランプ前大統領もここにきて変化を見せています。

“トランプ氏「我々にとってウクライナの存続は重要だ」、大統領選を見据え軌道修正か”【419日 読売

 

このままアメリカの支援が遅れて、結果ウクライナが敗北し、その責任を問われるような事態を避けたいのかも。

逆に言えば、それほどウクライナの現状は厳しいということでしょう。

 

ただ、仮にロシアが戦術的にウクライナで「勝利」したとしても、総合的・戦略的に見ると、ロシア・プーチン大統領のウクライナ侵攻は大きな失敗に終わったというべきでしょう。

 

ひとつは、ウクライナがNATO陣営に走るのを阻止すると言いつつも、実際にはスウェーデン・フィンランドのNATO加盟など、NATO陣営の拡大・強化を招いたこと。

 

もうひとつは、西側の経済制裁のもとでの戦争遂行のため、中国依存を強め、中国の「従属的なパートナー」と言われるような地位(「属国化」といった表現も)にロシアを追い込んでいることです。

 

もちろん、アフガン侵攻の15千人を遥かに超える5万人超の死者を出し、多くの人材が国外に流出するなどロシア国内の体制にとっての打撃も小さくありません。

 

また、軍事大国ロシアの軍事力に大きな疑問が持たれる結果にも。

 

上記のような多大なコストを考えると、ウクライナ東部・クリミアにおけるロシアの支配を強化できたとしても、まったく割に合わない失敗戦略でした。そもそも侵攻と同時に首都キーウを制圧する予定だったのでしょうが、ここまで戦闘が長引いていること自体が完全に目論みが外れた状況です。

 

【ロシアにとって中国は“命綱” 進むロシアの「従属的パートナー」の立場】

今回取り上げるのは、そうしたコストのひとつ、中国との関係・・・というか、強まる中国依存の状況です。

 

****「親愛なる友よ」中国への依存強めるロシア習近平政権、露との連携利用しつつ深入り避ける構え****

北京で(202310月)18日開かれたロシアのプーチン大統領と中国の 習近平シージンピン 国家主席との会談では、ウクライナ侵略を続けるプーチン政権が、エネルギー分野などで中国への依存を強めていることが浮き彫りになった。習政権は、米国主導の国際秩序に対抗するためロシアとの連携を利用しつつも、深入りを避けているとみられる。

 

「親愛なる友よ」

侵略開始以降、旧ソ連圏外で初の外遊に中国を選んだプーチン氏は、会談の冒頭、習氏にこう呼びかけた。「一帯一路」構想を「非常に発展している」と述べ、「あなたの指導の下、成功を収めている」と称賛の言葉を繰り返した。

 

会談の主眼は、経済とエネルギー分野の連携強化だ。中国当局によると、今年の中露の貿易総額は9月末時点で1700億ドル(約25兆円)を超えた。2024年までに2000億ドル(約30兆円)に上げる目標を掲げるなか、プーチン氏は「今年は間違いなく突破する」と強調した。必死のアピールは、米欧の経済制裁が続く中、ロシアにとって中国との結びつきが死活的であることを際立たせた。

 

露側の期待感は同席者にも表れた。エネルギー担当の副首相のほか、露国営の石油会社ロスネフチやガス企業ガスプロム、銀行や原子力関係の企業トップが会談に同席した。石油や天然ガスの中国への輸出拡大を見据えた動きとみられる。

 

習氏は、プーチン氏との会談が13年以降で42回に上り、「良好な関係と深い友情を築いてきた」と述べ、プーチン氏が欠かせないパートナーだと強調した。

 

米欧も中露接近を警戒する。AP通信によると、9日に習氏と会談した米上院民主党トップのチャック・シューマー院内総務はロシア支援の停止を求めた。

 

ただ、習政権もロシアへの過度な肩入れはしない構えだ。英メディアによると、習氏は3月のモスクワでの会談で、プーチン氏にウクライナで核兵器使用を控えるよう警告。それでもプーチン氏は6月、隣国ベラルーシへの戦術核配備の開始を宣言するなど威嚇を続けた。米ブルームバーグ通信によると、中国は6~7月にロシアからの原油輸入を3割近く減らしたという。

 

中国にとって対露貿易総額(22年)は、対米国(約7600億ドル)と対欧州連合(EU)(約8500億ドル)の総額を合わせれば、約8分の1にすぎない。露専門家からは「中国がロシアだけを理由に西側を含む関係を悪化させることはない」との分析も出ている。(後略)【20231019日 読売

******************

 

ロシアにとって中国との関係は頼みの綱ともなっていますが、中国にとってロシアはカードの1枚に過ぎません。

 

その後もロシアと中国の交易は拡大しています。

 

****中ロ貿易が過去最高=深まる相互依存****

2023年の中国とロシアの貿易総額は前年比26.3%増の2401億ドル(約35兆円)となった。過去最高だった前年の1903億ドルを更新し、初めて2000億ドルを突破。ともに対米関係などが冷え込む中、経済的な相互依存を深めている。

 

「協力は健全かつ順調に発展している」。中国の習近平国家主席は昨年12月、訪中したロシアのミシュスチン首相との会談で中ロ関係をこう自賛した。両国は18年に約1000億ドルだった貿易総額を24年までに倍増させることで一致していたが、1年前倒しで達成した。
 

ウクライナ侵攻を受けて日米欧などから制裁を科されたロシアにとり、中国との関係は侵攻を続ける上で「命綱」となっている。ロイター通信によると、ロシア産原油の最大の購入元は中国。一方、侵攻以前に主な輸出先だった欧州向けは激減。エネルギー業界の関係者は「中国が原油を買わなければ、戦費を十分に調達できない可能性がある」と指摘する。
 

中国も米国による半導体の輸出規制などに苦しむ中、外交的に立場が近い大国のロシアとの関係を重視。中ロ間では高官の往来が相次いでおり、習氏自身も23年の初外遊先としてロシアを訪問した。
中国は同年に自動車などの対ロ輸出を急増させ、貿易面でロシアとのつながりを深めた。

 

ただ、中国にとって対ロ貿易の比重は約4%にとどまっており、対欧州連合(EU)の13%や対米の11%、対日の5%を下回る。先の関係者は「中国はロシアの苦境をうまく利用し、経済的な利益を得ている」と指摘した。中国はロシア産原油について、サウジアラビア産などに比べて安価に調達してきたとされている。【112日 時事】 

**********************

 

【極東権益を侵食する中国 ウラジオストク港使用権を回復】

単に経済的な「ロシアの中国依存」だけでなく、そうした力関係を背景に、中国のロシア極東への進出も進んでいます。

 

****中国がロシアの港を奪還? 極東権益を侵食中****

ウラジオストク港の使用権を165年ぶりに回復

 

中国は202361日から、ロシア極東の最大都市ウラジオストクの港の使用権を165年ぶりに回復した。さらに西部国境では、中国とキルギス、ウズベクの横断鉄道計画にゴーサインを出し、ロシアの権益を次々と侵食している。

 

ウクライナ侵攻で衰退が加速するロシアの弱みを突いて「兄弟関係」を逆転しただけではない。ウクライナ危機の最大の受益者は中国かもしれない。

 

中国「祖国の懐に」と興奮

「ロシアによって165年間使用された後、港はついに祖国の懐に戻った」

中国東北部の吉林省と黒竜江省が、省産品を浙江省など沿海地域に出荷する際、ウラジオストク港を使用する特例措置が61日から認められたニュースを伝える報道だ。

 

かつて中国領だったウラジオストクが、帝政ロシアとの不平等条約によって奪われた「屈辱の歴史」をそそいだかのような興奮ぶりだ。ロシアはもちろん太平洋艦隊の基地がある極東最大の軍事拠点の同港を中国に「返還」するわけではない。順序を追って説明しよう。

 

中国税関総署は202354日、中国東北部の老朽化した工業基地を活性化するため、同年61日から国内貿易品を国境越えの通過港としてウラジオストク港を使用できるようになると公告した。

 

ロシア政府がこれを認めたのは、習近平が20233月の全国人民代表大会(全人代=国会)で3期目の国家主席入りを果たした後、32022日に初の外遊先としてロシア訪問した時だ。プーチン大統領との10時間以上におよぶ首脳会談での、最大のテーマはウクライナ問題だった。

 

首脳会談後に2人は、「2030年までの経済協力の大枠に関する共同声明」に署名した。この中で、「両国の鉄道、道路、河川、海運など輸送迅速化を含む物流面での協力」をうたい、ウラジオストク港使用でプーチンの「ダー(イエス)」を勝ち取ったのだった。

 

沿海州は清朝時代には「外満州」(Outer Manchuria)と呼ばれる中国領だった。しかしアヘン戦争で清朝が弱体化、帝政ロシアは1858年のアイグン(璦琿)条約と、1860年の北京条約でアムール川左岸を獲得、ウスリー川以東の外満洲を両国の共同管理地として「割譲」した。

 

中国側は帝政ロシアに奪われた国土の総面積を外満州にモンゴルと西域を合わせ約500万平方キロメートルと、現在の中国領土の半分強に相当すると主張、中国にとって屈辱的割譲だった。

 

ウラジオストク港使用権の付与に合意した背景は何か。まず経済面。中国が吉林省や黒竜江省から貨物を輸送する場合、今は大連港まで運んで、江蘇省、浙江省向けの貨物船に積み替えている。大連までの距離は短くても300キロメートル、長ければ600キロメートルである。

 

ウラジオストク港開放によって最短100キロメートル、最長でも300キロメートルと輸送距離は半減され、コストパフォーマンスもいい。吉林、黒竜江省から中国南部への輸送は「国内貿易」扱いだから関税の問題も発生しない。

 

一方、ロシアのメリットは何か。これまでロシアはウラジオストク港を、原油、天然ガス、海産物、木材などを日本、韓国、アメリカ、台湾に輸出する窓口にしてきた。しかしウクライナ侵攻に伴う経済制裁で、西側諸国への輸出量は激減。ウラジオストク港には「閑古鳥が鳴く」状況だ。

 

プーチン政権を支え、要求をのませた中国

中国が対西側貿易減少の穴を埋めてくれれば、ロシアも「ニエット(ノー)」とは言えない。それがウラジオ使用権を求める中国の要求を受け入れた経済的理由だ。双方にとり「ウィンウィン」のケースだ。

 

では、政治的にはどうか。西側は中国がロシアのウクライナ侵攻を非難せず、ロシア軍の即時撤退を求めていないとして、「ロシア寄り姿勢」を批判。広島サミットの首脳声明でも中国にロシア軍撤退を要求するよう求めている。

 

20233月の中ロ首脳会談の共同声明は、「(中ロ)双方は、国際連合憲章の目的と原則が尊重されなければならず、国際法が尊重されなければならないと信じる」とした。ウクライナ侵攻が国連憲章に違反していること念頭にした、事実上のロシア批判だ。中国は決してロシア寄りの立場をとっているわけではない。2014年のクリミア併合を中国が認めていないのもその証左だ。

 

共同声明はさらに、ウクライナ危機の解決に積極的な中国の意思を歓迎し、「『ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場』(2月の声明)に示された建設的な命題を歓迎する」と、中国の仲介工作を支持した。

 

共同声明を読む限り、ロシアは中国の主張をそのまま受け入れたことがわかる。ウクライナ侵攻後、中ロ2国間貿易は前年比30%増となった。大半が経済制裁で西側に輸出できなくなった原油、天然ガスを中国が輸入しているからだ。ロシア経済を支えるうえで、原油を大量に輸入してくれる中国とインドの存在は死活的に重要だ。

 

中国は経済的利益を与えてプーチン政権を支えているだけに、ロシアは中国の要求をむげに断れない。米中対立の激化で、中ロは安全保障協力を強化することに「共通利益」を見出している。中国からすればロシアにさまざまな要求をのませる絶好のチャンスでもある。こうしてみると、中国こそウクライナ危機最大の受益者ではないか。

 

中国とロシア(旧ソ連)は19895月、当時のゴルバチョフ共産党書記長の訪中で関係を正常化。最大の懸案だった国境問題は2004年、東部のウスリー川など3河川の係争地を2分割することで合意し国境線を最終画定した。

しかし、不平等条約によって奪われたウラジオストクの存在は、中国にとっては屈辱の歴史の象徴でもあった。

 

一方、ロシアにとっては極東最大の軍事的意味という重要性がある。にもかかわらずウラジオを開放したのは、中国との協力によって、加速する衰退と孤立を回避したいからだ。

 

中国が獲得したのはウラジオストク港使用権だけではない。習近平は51819日、シルクロードの古都西安で中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン5カ国首脳との首脳会議を開いた。(中略

 

中国・キルギス・ウズベク鉄道が前進

日本の全国メディアは報じていないが、宣言は中国・新疆ウイグル自治区からキルギスタンとウズベキスタンに延びる「新鉄道建設」(総延長523キロ)の着工加速も盛り込んだ。鉄道が完成すると、中国貨物を鉄道で中央アジアから中東各国に輸送できるだけではない。中国から欧州への鉄道の最短ルートにもなるのだ。

 

計画は1997年に浮上したが、山岳地帯を貫く工法や環境問題、軌道幅など技術問題に加え、ロシアと中国のどちらが出資するかなど政治的理由もあり一向に進展しなかった。

 

変化は2022516日、モスクワで開かれたロシアと旧ソ連構成6カ国の集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会合で起きた。プーチンがキルギス大統領の進言を受け、計画を中国資金で建設することに「反対しない」と初表明した。これにより着工への展望が一気に開け、王毅外相(当時)は翌6月に「2023年着工」を発表した。

 

中国のロシア権益侵食について、ロシアはどう受け止めているのか。フランスのマクロン大統領は2023514日付のフランス紙とのインタビューで、ロシアは国際的に孤立し、「中国の属国に成り下がった」と酷評した。

 

これに対しクレムリンのペスコフ報道官は「両国は戦略的パートナーであり、従属かどうかの問題などない」と反論した。プーチン自身も616日、サンクトペテルブルク「国際経済フォーラム」で、欧米制裁にもかかわらず、「世界経済のリーダーの地位を維持する」と強気の姿勢をみせた。

 

しかしプーチンの強気に説得力はない。中国共産党は1921年の創設以来「共産主義の祖国」ソ連から、革命理論をはじめ党組織論を学んできた。新国家建設もソ連をモデルにし、ソ連を「兄」、中国が「弟」の兄弟関係にあった。

 

その関係がいまは完全に逆転したのは、差が開く一方の経済力にある。ウクライナ戦争発動の遠因は、1991年のソ連崩壊。長期にわたり世界の半分を支配した「帝国の喪失感」はプーチンだけでなくロシア国民に広く共有されている。

 

しかし戦時経済の長期化でロシア経済は深刻な打撃を受け、中国の協力抜きの生存は危うい。ウラジオストク港の使用権回復と中央アジア権益拡大は、中国がロシアの弱さを突いて獲得したものだ。同時に権益侵食が過剰になれば「傷ついた熊」の誇りを傷つけかねない。

 

それが高じれば、中ロ関係にひびが生じ西側の利益になることを中国は自己の歴史経験から知っている。今後中国がどこまでロシア権益に手を出すか、アクセルとブレーキを交互に踏みながら微妙なハンドリングを迫られる。【2023620日 岡田充氏 東洋経済オンライン

*****************

 

【極東ロシアに流入する中国農民が地元住民を圧倒】

「権益」だけでなく「人」の動きも。

 

****中国、「無限の協力関係」の中でロシア極東の一部を静かに乗っ取り?米誌****

ロシアがウクライナ侵攻後、中国との関係をより深める中、米誌「ニューズウィーク」は「無限の協力関係をけん伝する中国が、ロシア極東の一部を静かに乗っ取ろうとしている」と報じた。さらに「中国と国境を接する極東ロシアに流入する中国農民が地元住民を圧倒し、人民元依存で経済のかじ取りができない」とも伝えた。

 

ニューズウィークは日本メディアの記事を引用して「極東の沿海州(プリモルスキー州)の国境地帯では中国人農民が急増しており、その経済的影響力は地元住民を圧倒している」と紹介。「1860年に清朝がロシアに割譲したこの地域は中国の政策立案者やナショナリストの関心の的となっている。昨年、中国は国内の地図に沿海地方の行政の中心地であるウラジオストクの中国語名である海参崴のほか、七つのロシア極東部の中国語名を記載するよう定めた」と続けた。

 

さらに「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナは常にロシア国家市の一部だったと主張するのと同じように、中国の習近平国家主席は失われた領土の回復を『中華民族の偉大な復興』の最優先課題に挙げている」と指摘。「ロシア国境と接する中国東北部黒竜江省の鶴崗市はかつて石炭の産地として栄えたが、経済の先行きは暗い。そんな中で、これからも多くの中国人農民がロシアに向かうかもしれない」と予測した。

 

米シンクンタンク、スティムソン・センターの中国プログラム責任者ユン・スン氏は「ロシア極東地域における『黄禍論』的な不安は今に始まったことではない。何世紀とは言わないまでも、それが何十年も存在してきたのは国境の両側の人口バランスが大きく崩れているためだ」と説明。「中国人の流入はロシアの支配を脅かしかねない。まだ主権の問題が交渉のテーブルに上る段階ではないと思うが、現地の中国人農民をどう管理するかは厄介な問題になるだろう」とした。

 

学術雑誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・エコノミクス・アンド・ソシオロジー」に掲載された2021年の研究では、中国人農家の存在や中国人所有企業との取引がロシアの地元農家の所得を押し上げるケースもあることが分かったという。

 

ウクライナ侵攻で西側から経済制裁を受け、銀行の国際決済網SWIFT(スイフト)から排除されているロシア経済を戦時需要とともに支えているのは中国との貿易だ。

 

ロシア経済省によると、2023年上半期、ロシアは中国との貿易高の4分の3、その他の国との取引の4分の1を人民元で決済した。米ブルームバーグ通信によると、ロシアの中央銀行は329日に発表した年次報告書の中で「外貨準備に関して人民元に代わる良い選択肢がない」と言及。

 

ニューズウィークは「中露間に外交的緊張や貿易摩擦が生じた場合、『従属的なパートナー』であるプーチンは窮地に立たされ、中国が直面する経済的課題の悪影響を受けることになる」との見方を示した。【420日 レコードチャイナ

**********************

 

記事にもあるように“ロシア極東地域における『黄禍論』的な不安は今に始まったことではない”ですが、ただでさえ人口希薄・経済不活性なロシア極東への中国の人的移動がウクライナ問題を背景として一段と加速しているようです。