碧空
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ブラジル大統領選挙 リードする親米右派のボルソナロ氏 反米感情の強い中南米で増える親米政権?

(ブラジル大統領選。現職のルラ氏(80)(左)とフラビオ・ボルソナロ上院議員(45)【10月5日 時事】 世代は明らかに違う・・・)

 

【25日の決選投票に向けリードする親米右派のボルソナロ氏】

中南米の政治は左右の間で大きく振り子のように振れる現象が見られます。2023年以降は、2020年代前半に勢力を伸ばした左派の潮流(通称「ピンクの潮流」)が一転し、右派・保守派政権がドミノ倒しのように相次いで誕生する「保守の波(ブルータイド / オレンジの波)」が急速に拡大しています。

 

変化の要因は国によっても様々ですが、大きくくくると“有権者の優先事項が「格差是正や社会福祉」から「治安の回復や経済の立て直し」へとシフトしたことが、この地殻変動の背景にある”【10/14 Gemini】とも言えます。

 

2023年末のアルゼンチンを皮切りに、多くの国々でリバタリアンや親米保守、強硬右派ポピュリズムを掲げる指導者が権力を掌握しています。パナマ、エクアドル、ボリビア、チリ、コロンビア、ペルー。

 

また、反米国家ベネズエラはマドゥロ大統領が拘束され、後継政権はトランプ大統領との関係を重視する路線に。またキューバもかなり厳しい状況が続いています。

 

そうした「保守の波」のなかで左派の牙城でもあったブラジル・ルラ大統領が大統領選挙で苦戦を強いられています。

 

ルラ大統領に対抗するのが、公民権停止処分、クーデター未遂事件などによる刑事処分を受けるジャイル・ボルソナロ前大統領の長男で右派のフラビオ・ボルソナロ上院議員(45)で、事実上の一騎打ちとなりました。ボルソナロ氏は父親同様にトランプ大統領との親密な関係をウリにしています。

 

選挙前の予想では、終盤に右派ボルソナロ氏の追い上げを受けながらも左派ルラ大統領が僅差でリードを保つ・・・というものでしたが、10月4日の投票日、実際に蓋を開けてみると・・・

 

フラビオ・ボルソナロ 約47.0% ルラ 約45.2%・・・となり、フラビオ・ボルソナロ氏が約1.9ポイント上回りました。約5,610万票対5,387万票です。両者ともに過半数には達せず、10月25日の決選投票に進むことに。

 

遅れをとったルラ氏陣営では、棄権者の掘り起こしに力点を。

 

****ブラジル・ルラ大統領が広報戦略見直し急ぐ、決選投票に向け棄権者に秋波****

ブラジルのルラ大統領は大統領選挙の決選投票に向け、第1回投票で棄権した数千万‌人の有権者にアプローチするため、広報戦略の抜本的見直しを急いでいる。陣営関係者が明らかにした。(中略)

ルラ氏陣営幹‌部らは5日、ブラジリアで広報戦略再構築のための会合を開催。ルラ氏はこの場で、ボルソナロ政権が誕生すれ‌ば国民に人気の社会保障制‌度が危険にさらされると強調する「恐怖戦略」を進める考えを示した。

陣営関係者によると、ルラ氏は若者や女‌性に十分メッセージが届かなかった原因が広報活動にあると批判している。

ルラ氏率‌いる労働者党の一部からは、広報責任者が主権や重要鉱物といった有権‌者にとって親しみにくい争点を前面に出したと指摘する声がある。⁠テレビ広告の1つは、テーマをレアアース(希土類)一点に絞ったものだった。

労働者党は、泡沫候補に投票した900万人以上の有権者に秋波を送っているが、主に狙いを定めるのは第1回投票を棄権した3300万人だ。こ‌の人数は過去最多で、同党はルラ氏への反対ではなく無関心が原因だと分析している。

労働者党の新しいSNS広告では、「遠隔地医療」、「インフレ率を上回る年金引き上げ」などの政策が書かれた紙片が手から吹き飛ばされる様子を描き、「失われたら取り戻せないものもある」と訴えている。(中略)

ルラ氏自身が障壁となる可能性もある。80歳になる同氏は​スマートフォンを携帯しておらず、「スクリーン文化」をしばしば批判している。【10月7日 ロイター】

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一方、親米右派ボルソナロ陣営では、第1回投票で敗退した右派候補を中心に着々と支持を取り付けています。

 

****ブラジル親米右派、支持拡大へ 大統領選、ボルソナロ氏先行****

ブラジルで25日に行われる大統領選決選投票に向け、親米右派フラビオ・ボルソナロ上院議員(45)が支持拡大に奔走している。4日の第1回投票で敗退した右派候補を中心に着々と支持を取り付け、世論調査では僅差で先行する。左派ルラ大統領(80)は戦略の見直しを迫られ、苦戦を強いられている。

 

第1回投票ではボルソナロ氏が得票率47.03%で首位。2位のルラ氏は45.16%で、両氏の差はわずか1.87ポイントだった。決選投票を想定した8日公表の世論調査では、ボルソナロ氏が支持率49%。ルラ氏が45%で追う展開となっている。

 

ボルソナロ氏は第1回投票後、3位以下となった各候補に接近。3位の中道派、5〜6位の右派候補らからの支持獲得に成功した。

 

ボルソナロ氏はトランプ米大統領と良好な関係を築いたジャイル・ボルソナロ前大統領の長男で、トランプ氏を慕う。 地元メディアによると、ルラ氏陣営はボルソナロ政権が誕生すれば年金受給額が減る可能性があるなどと訴え、批判を強める方針で、舌戦は激しさを増しそうだ。【10月11日 共同】

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決選投票に関する世論調査は、ボルソナロ氏の先行を示しています。

Datafolha(10月6~7日調査) フラビオ・ボルソナロ52% ルラ48%

BTG/Nexus(10月10~12日調査) フラビオ・ボルソナロ52% ルラ48%

PoderData/AYA(10月10~12日調査) フラビオ・ボルソナロ51% ルラ49%【10月14日 ChatGPT】

 

当然ながら、統計誤差がありますので、この数字で確定という訳でもありません。

 

【“右派ボルソナロ氏勝利”でもたらされる変化の可能性】

もし、ブラジルで右派ボルソナロ氏が勝利したら、「保守の波」が強まる中南米・アメリカの国際政治状況はどのようになるか?

 

****“右派ボルソナロ氏勝利”なら中南米の国際情勢はどのように変わるのか?****

この問題は、ブラジル一国の政権交代というよりも、トランプ政権が掲げる「米国の西半球での優位回復」が、ラテンアメリカの政治地図をどこまで塗り替えるかという問題として見ると、全体像がつかみやすいと思います。

 

2026年10月14日時点では、アルゼンチンのハビエル・ミレイ氏、エルサルバドルのナジブ・ブケレ氏など、トランプ政権と親和性の高い指導者が存在し、今年はチリ、ペルー、コロンビアなどでも右派への政治的転換が進んでいます。ブラジルでフラビオ・ボルソナロ氏が勝利すれば、この流れがさらに広がることになります。

 

ただし、ここで注意したいのは、右派政権が増えることと、米国の思い通りに動く国が増えることは、同じではないという点です。

 

ブラジルは人口、経済規模、外交上の影響力のいずれも大きく、アルゼンチンやエルサルバドルとは国際政治における役割が異なります。ブラジルが加わることで何が変わるのか、5つの側面から考えてみます。

 

1. ブラジルが右派陣営に加わることの意味

ブラジルがボルソナロ政権に転じた場合、トランプ政権にとっては、単に友好的な国が一つ増えるという以上の意味があります。

 

ブラジルは南米最大級の経済大国であり、G20の主要国であり、BRICSの創設メンバーでもあります。米国が主導する国際秩序とは一定の距離を保ち、中国やグローバルサウス諸国との関係も重視してきました。

 

このブラジルが米国寄りに転じれば、少なくとも次の変化が考えられます。

米州外交の変化・・・・ 米国と協調する政府が増え、地域の外交会議でワシントンの主張が通りやすくなる可能性がある。

左派政権の外交的孤立・・・・ルラ氏が再選されれば、ブラジルは右派化する周辺国の中で、左派の国際的な発言力を支える重要な拠点となる。敗北すれば、その役割が弱まる。

保守派の国際的な連携・・・・トランプ氏、ミレイ氏、ブケレ氏、ボルソナロ氏らが、治安・移民・文化政策・対中姿勢などで連携を深める可能性がある。

 

アルジャジーラは、ブラジルの選挙が南米全体の政治的方向性を左右し得ると指摘しています。

 

ただし、これは各国が一枚岩の「親米ブロック」になることを意味しません。ブラジルの国益と米国の要求が衝突すれば、右派政権同士でも対立は起こり得ます。

 

2. トランプ氏の「ドンロー主義」は強化されるか

トランプ政権は、モンロー主義を想起させる西半球での米国の優位回復を重視しています。これを「ドンロー主義」と呼ぶ報道もあります。

 

その狙いは、単に中南米の左派政権を右派政権に入れ替えることではなく、域外大国、とりわけ中国が米州で持つ経済的・戦略的影響力を抑えることにあります。

 

米国が地域秩序の主導権を取り戻す・・・・安全保障協力、通商交渉、重要鉱物の供給網などで、米国の意向に沿う協力国を増やす。ボルソナロ氏が勝利すれば、その象徴的な成果となるでしょう。

 

一方、ブラジルにとって中国は重要な輸出市場であり、投資・技術面でも大きな相手です。政権が右派に交代しても、中国との経済関係を大幅に切り離すことは容易ではありません

 

ここで興味深いのは、トランプ氏が求めるのは米国への協調である一方、ボルソナロ氏もまた、自国の利益を優先する政治家だという点です。米国がブラジルの重要鉱物を優先的に確保しようとした場合、あるいは中国企業の通信技術や投資を制限するよう求めた場合、ボルソナロ政権がどこまで応じるかは別問題です。ロイターや米国の外交政策研究機関も、この米中間の利害調整をブラジルの重要な課題として取り上げています。

 

3. 最大の争点は、実は中国ではないか

ブラジルが右派政権に転じた場合の中長期的な焦点は、米国との政治的な親密さそのものよりも、中国との経済関係をどこまで維持するかにあると考えます。

 

ロイターが10月9日に報じたところでは、米国とブラジルは関税問題などを協議する作業部会を設けており、重要鉱物やレアアースへの米国のアクセスも争点となっています。

 

ボルソナロ氏が大統領になれば、米国との安全保障協力や重要鉱物の供給網では、ワシントンに近い方向へ動く可能性があります。しかし、中国との貿易まで大幅に縮小すれば、ブラジルの農業、鉱業、製造業などに影響が及びます。

 

現実には「米中双方との関係を維持・・・政治的には米国寄りでも、経済面では独自の立場を保つ」という形になる可能性が強くあります。。ブラジルの歴代政権は、左右を問わず、対米関係だけに依存せず外交上の自主性を確保しようとしてきたからです。

 

つまり、ブラジルの政権交代は中国にとって外交的な逆風にはなり得ますが、それだけで中国の経済的影響力が消えるわけではありません。

 

4. 治安政策では、右派政権の連携が進む可能性

もう一つ見逃せないのが、麻薬組織や越境犯罪への対応です。

トランプ政権は、麻薬組織を安全保障上の脅威として扱い、軍事力を含む強硬な対応を重視しています。ボルソナロ氏も、ブラジルの主要犯罪組織を米国の外国テロ組織指定の対象とすることを支持してきました。ルラ氏は、これに対して外国による介入につながる危険性を指摘し、ブラジル主導の対応を重視しています。

 

この違いは、単なる犯罪対策の手法の違いにとどまりません。ボルソナロ政権になった場合、米国との情報共有や治安協力の拡大、犯罪組織をテロ組織として扱う政策への接近、エルサルバドルのブケレ政権など、強硬な治安政策を採る政府との連携強化などが進みます

 

そうしたことで米国が地域の安全保障協力を主導しやすくなる一方、各国の主権、司法手続き、人権保護をめぐる議論も強まる可能性があります。

 

5. アマゾンの森林保護と欧州との関係にも影響する

ブラジルの政権交代が国際的に注目されるもう一つの理由は、アマゾンの森林保護です。

 

ルラ政権は森林破壊の抑制を外交上の重要課題としてきました。これに対してボルソナロ氏の政治的基盤には、農業や資源開発を重視する勢力が含まれています。国際的な気候変動対策への姿勢が変化する可能性があると、フィナンシャル・タイムズも指摘しています。

 

仮に森林保護政策が後退すれば、影響はブラジル国内だけにとどまりません。例えば、欧州連合(EU)との関係では 森林破壊をめぐる懸念が、貿易や環境協力の障害となる可能性があります。

 

6.しかし、同じ右派政権でも、経済政策や社会政策、外交上の利害は異なる

例えば、アルゼンチンのミレイ政権は市場重視の経済改革を掲げていますが、ブラジルは産業基盤や国内市場の規模が大きく、政策選択の条件も異なります。ブラジルが米国に接近したとしても、アルゼンチンと同じ経済政策を採用するとは限りません。

 

さらに、右派政権が増えても、経済停滞や治安悪化が改善しなければ、有権者の支持が再び変化する可能性があります。トランプ氏との親密さだけで政権の安定が保証されるわけではありません。

 

7.米国との利害対立の可能性も

また、米国が同盟国に対して関税や政治的圧力を用い、自国の要求を優先させようとすれば、親米右派政権であっても自国の主権や経済的利益を守るために反発する可能性があります。

 

そう考えると、今後の中南米は、単純な「右派対左派」という構図から、米国への政治的接近、中国との経済関係、自国の主権と利益という三つの要素を各国がどう組み合わせるかという構図へ移っていくのではないでしょうか。

ブラジルの選挙は、その変化を見極めるうえで重要な試金石になります。【10月14日 ChatGPT】

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【アメリカの「傲慢さ」への反感が強い中南米で、なぜアメリカの優越的地位を主張するトランプ政権に親密な政権が増えるのか?】

上記【ChatGPT】最後に“米国が同盟国に対して関税や政治的圧力を用い、自国の要求を優先させようとすれば、親米右派政権であっても自国の主権や経済的利益を守るために反発する可能性があります。”とありますが、そもそもトランプ大統領の“ドンロー主義”は“中南米はアメリカの勢力圏だ”と公言しているもの。

 

そういう中南米におけるアメリカの優越的地位を主張するトランプ政権への反感はないのか? 公言する、しないにかかわらず、昔からアメリカにはそうした意識が強く、中南米ではそうしたアメリカの「傲慢さ」への反感が強いと認識していましたが、昨今のトランプ大統領に近い政権が増える状況をみると、アメリカへの「反感」というのは誤認だったのか?

 

****反米感情は誤認ではなく、親米右派の増加とも矛盾しない*****

1. 「米国への反感」は誤認ではない。現在の世論調査にも表れている

まず、中南米ではアメリカの「傲慢さ」への反感が強いという認識は、歴史的にも現在の世論調査から見ても、かなり根拠があります。

 

注目したいのは、米国の調査機関ピュー・リサーチ・センターが2026年7月15日に公表した調査です。アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルーの6カ国、計6132人を対象としています。

 

2026年の中南米における対米認識・・・・6カ国すべてで「米国が他国の内政に干渉している」と答えた人が多数派

さらに、この調査では、前年から米国への評価が悪化した国が6カ国中5カ国に上りました。中国への評価はおおむね横ばいで、複数の国で両国の評価が接近しています。

 

つまり、親米的な右派政権が増えていることと、一般の人々が米国の地域支配を好意的に受け止めていることは、別の現象なのです。

 

むしろ現在の状況は、政治指導者の一部がトランプ氏との連携を強める一方で、米国の行動に対する警戒感も存在する、という二重構造を示しています。

 

2. なぜ中南米では、米国の「傲慢さ」への反感が根強いのか

これは、単に反米的な宣伝が広まったからではありません。実際の歴史的経験があります。(中略)

 

3. トランプ氏の「ドンロー主義」への反感は、むしろ現在の方が明確になっている

歴史的な反米感情だけでなく、現在のトランプ政権の政策そのものが、反発を招いています。

米議会調査局(CRS)が2026年5月にまとめた報告書は、関税、制裁、一方的な軍事力行使の威嚇などが、中南米諸国の経済的利益や主権を脅かすと受け止められ、反発を生んでいると指摘しています。そうした国々の中には、米国以外のパートナーとの関係を強めようとする動きもあります。

 

4. それでも、なぜ右派政権はトランプ氏に接近するのか

反米感情が根強いのに、なぜミレイ氏やブケレ氏らはトランプ氏に接近するのか。

理由の一つは、反米感情と、米国との協力を求める現実的な利益は両立するからです。例えば、右派の指導者がトランプ政権との関係を強化する理由には、犯罪組織への対処、経済改革や財政再建、保守的な政策の推進、外交的な地位の向上などでメリットがあります。

 

ミレイ氏やブケレ氏にとっては、トランプ氏との親密さが国内政治上の強みになる場合もあります。米国の影響力を利用して、自らの政策を進めたいという計算です。

 

ただし、これは米国の優越的地位を無条件に受け入れていることを意味しません。例えば、親米的な政権が米国から不利な関税を課されたり、国内の軍事作戦について一方的に発表されたりすれば、国内世論から「自国の利益より米国の利益を優先しているのではないか」と批判される可能性があります。そうなれば、トランプ氏との親密さは、かえって政治的な弱点にもなり得ます。

 

結論:中南米の反米感情は誤認ではなく、親米右派の増加とも矛盾しない

 

第一に、米国の優越的地位への反感は、歴史的な経験に根差しており、現在の世論調査でも確認できます。

第二に、トランプ氏に接近する右派政権は、米国の地域支配という理念そのものに賛同しているというより、米国との協力によって得られる政治的・経済的利益を重視している場合があります。

第三に、トランプ政権が関税や軍事的圧力を通じて自国の要求を押し通そうとすれば、親米政権であっても主権や国益をめぐって反発する可能性があります。

 

米国が「この地域は自分たちの勢力圏だ」と強く主張すればするほど、中南米諸国は、自国の外交的な選択肢を確保するために中国やEUなどとの関係を重視する可能性があります。米国の圧力が、結果的に米国以外の国々との関係を強めるという逆説です。

 

右派政権の伸長は、アメリカへの反感が消えたことを示すのではなく、国内政治の変化によって、米国への接近を選ぶ指導者が増えている一方、米国に対する不信や主権意識は依然として根強いという、二つの動きが同時に進んでいることを示しているのだと思います。【10月14日 ChatGPT】

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インド  ゴキブリ人民党 現実の政治的対立の場に入る一方で、法的・行政的な制約が及ぶ可能性も

(インド・ニューデリーで、選挙管理委員長の辞任を求める抗議活動中に拘束される「ゴキブリ人民党(CJP)」の支持者(2026年10月10日撮影)【10月11日 AFP】)

 

【ネットで誕生した「ゴキブリ人民党」 リアルな政治運動へ展開 教育相を辞任に追い込む成果も】

インドは高い経済成長を続けていると言われますが、その実態は「雇用のない成長」です。特に大学を卒業してもまともな職に就けない若者が溢れており、公務員試験の「問題漏洩スキャンダル」による試験中止などが相次いだことで、既存の政治システムが「操作されている」という不満が限界に達していました。

 

そうした若者の不満に対し、今年5月、最高裁判所長官が失業中の若者を「社会の寄生虫」「ゴキブリ」に例えたと受け取れる発言をし、これが若者の逆鱗に触れました。

 

最高裁判所長官の“ゴキブリ発言”を逆手にとって、「私たちはどれだけ踏みつけられても、殺虫剤を撒かれても、システム(権力)の裏側で生き残る『ゴキブリ』だ。ならば、そのゴキブリたちのための政党を作ろう」とネット上で風刺政党「ゴキブリ人民党」を若者に呼びかけたのが米国ボストン大学に留学していたアビジート・ディプケ氏。

 

同氏の主張は若者の心をつかみ、またたくまに既成政党を凌駕するフォロアー数を獲得しました。

(5月23日ブログ“インド  既成政治への国民不満を表す人気俳優州首相就任と「ゴキブリ人民党」の爆発的人気”)

 

****インドの人口の65%が若者****

CJPは特に学生や失業中の若者の間で大きな支持を獲得し、インスタグラムのフォロワーはすぐに2200万人を突破した。彼らが訴えているのは失業問題や試験をめぐる不祥事、政策決定者と一般の若者の間の隔たりや司法制度の信頼低下といった問題だ。

 

「国勢調査によれば、インドの人口の実に65%が若者だ。大量失業、高いインフレ率、不安定な株式市場や外国投資の撤退といった問題は、いずれも若者とその将来に影響を及ぼしている」と、CJPの広報担当でジャーナリストのサウラブ・ダスは言う。【6月17日 Newsweek】

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ゴキブリ人民党(CJP)はインド選挙管理委員会に正式な政党としての登録を行っておらず、現時点では既存の枠組みでの選挙出馬(政治活動)を直接の目的とはしていません。しかし、これが「単なるネット上のウケ狙い(風刺活動)」にとどまるかというと、決してそうではありません。彼らの活動はすでに、ネットからリアルな政治運動へと染み出し始めています。

 

ガチな政策提言も行っています。高学歴失業への対策として、政府に「雇用権法」の制定を求める署名活動を呼びかけているほか、最高裁判事の退官後の議員転身禁止、議員のセクハラや寝返りに対する20年間の選挙出馬禁止など、きわめて具体的なマニフェストを掲げています。

 

6月には創設者も帰国して、リアル世界で、大学医学部入試の試験問題漏えいに抗議し、教育相の辞任を求める抗議行動を展開。

 

****「ゴキブリ党」、初の抗議集会 創設者帰国、教育相辞任要求―印****

インドのSNSで支持を広げている「ゴキブリ人民党(CJP)」が6日、ニューデリーで初の「リアル」な集会を開いた。創設者アビジート・ディプケ氏(30)もこの日、米国から帰国し参加。最近インドで若者の怒りを買っている大学医学部入試の試験問題漏えいに抗議し、教育相の辞任を求めた。

 

CJPは、最高裁長官が就職しない若者を「ゴキブリ」に例えたことへの風刺として5月に設立された「新党」。インスタグラムのフォロワー数は2200万人を超え、政権与党インド人民党(BJP)をしのいでいる。

 

当局はディプケ氏が反政府運動の中心になることを警戒。帰国の機に身柄を拘束するのではないかとの懸念も浮上していた。

 

広場に集まった支持者ら数百人は「大臣辞めろ」「汚職根絶」などと気勢を上げた。デリー大学で政治学を専攻するアディティさん(19)は「毎年漏えいが起きていて、私たちは不公平に苦しんでいる。これ以上我慢できない。誰かが責任を取らないといけない」と憤る。アルバイトのディーパクさん(27)は「腐敗のない公正な制度を望んでいる。CJPは今はまだ小さいが、いつか大きな運動になる」と語気を強めた。【6月6日 時事】

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ゴキブリ人民党(CJP)の運動は次第に大きなうねりとなり、治安当局との衝突も。

 

****ゴキブリ党デモ隊が警察と衝突、教育相辞任要求 印政府が検討へ****

インドの若者主導の団体「ゴキブリ人民党(CJP)」が20日、首都ニューデ‌リー中心部で議会に向けて数千人によるデモ行進を実施し、催涙ガスや警棒で排除しようとした警察と衝突した。(後略)【7月70日 ロイター】

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抗議行動は更に拡大、CJP主張に野党が同調するなど現実政治世界へ影響が及び始めます。

 

“インドで数千人が抗議、モディ首相の試験対策表明後も収まらず”【7月22日 ロイター】

“インド入試漏えい、野党が議会で抗議 政界にも混乱”【7月22日ロイター】

 

そして、ついに教育相を辞任に追い込むことに。

 

****「ゴキブリ人民党」が辞任要求していたインド教育相が辞表…大学入試不正巡り抗議運動広がる****

インドのダルメンドラ・プラダン教育相は25日、辞任を表明した。5月に発覚した大学入試の不正問題を巡り、若者らの抗議運動「ゴキブリ人民党(CJP)」が中心となり、辞任を求める集会が全国で相次いでいた。ナレンドラ・モディ政権に対する批判も高まっており、辞任要求を受け入れた格好だ。(中略)

 

首都ニューデリーでは20日、大規模な抗議デモが行われ、地元メディアによると、治安部隊との衝突などで参加者や警官ら約180人が負傷した。その後も抗議運動は続いており、ニューデリー中心部の地下鉄駅が閉鎖され、インターネット接続が一部で遮断されるなど混乱が続いていた。【7月25日 読売】

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ゴキブリ人民党は7月25日に記者会見し、政府が全ての要求の実現を約束したとして、抗議活動を収束させると明らかにしました。

 

【有権者名簿の不正疑惑で抗議行動再開 治安当局との衝突 創設者の拘束も】

いったん収束したゴキブリ人民党の抗議行動でしたが、選挙管理委員会委員長が有権者名簿を不正に更新し、政権に批判的な1億人以上の有権者の名前が削除された・・・という疑惑から、再び激しい抗議行動が。

 

****インド 有権者名簿の不正疑惑で最大野党が抗議デモ****

インドでは選挙の有権者名簿の更新をめぐる不正疑惑が報じられたことをきっかけに、最大野党のリーダーが選挙管理委員会トップの辞任を求めて抗議活動を行うなど混乱が広がっています。

 

インドでは、有権者名簿の更新をめぐり選挙管理委員会の委員長がほかの委員の承認を得ないまま1億人以上の有権者の名前を削除した可能性があると9月、地元メディアが報じ、複数の都市で抗議活動が行われています。

 

このうち首都ニューデリーでは7日、最大野党、国民会議派の実質的なリーダー、ラフル・ガンジー氏ら議員などが「選挙管理委員会は票を盗んだ」などと訴えてデモを行い、委員長の辞任を求めました。

 

インドのメディアによりますと、選挙管理委員会は去年、有権者名簿の更新を行う際、有権者資格のない人や亡くなった人の名前を削除するなど、選挙の公正さを維持するために必要な措置をとったと説明していました。

 

ただ、一部の有権者からは手続きのプロセスが不透明だとか、イスラム教徒などの少数派が不当に排除されているなどといった声が出ています。

 

インドではことし7月、大学入試問題の漏えい疑惑が政府への抗議活動に発展して教育相が辞任していて、この抗議活動を主導した団体は選挙管理委員会の委員長が辞任しなければ再びデモを行うと表明するなど混乱が広がっています。【10月8日 NHK】

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広がる選管委員長の解任を求めるゴキブリ人民党の抗議行動を脅威に感じた治安当局は、党創設者ら幹部を予防的に拘束する措置に。

 

****有権者排除疑惑でデモ相次ぐ 揺らぐ「世界最大の民主主義国」インド―ゴキブリ党創設者も拘束****

インドで有権者が不正に選挙人名簿から抹消されていた疑惑が浮上し、選挙管理委員会トップの辞任を求めるデモが各地で相次いでいる。名簿から削除された人数は1億3000万人超と報じられ、「世界最大の民主主義国」の根幹を支える選挙の信頼性が揺らいでいる。

 

首都ニューデリーでは10日、若者を中心とするネット発の政治運動「ゴキブリ人民党(CJP)」が大規模デモを呼び掛け。中心部に多数の警官が配置され、ネット規制を含む厳戒態勢が敷かれた。地元報道によると、CJP創設者のディプケ氏はニューデリーに到着した飛行機内で仲間とともに当局に身柄を拘束された。

 

野党有力者を含む多数のデモ参加者も拘束されており、CJPはX(旧ツイッター)で「独裁者は自らに不正を問い、沈黙を拒む若者に恐怖を感じている」と政府を批判した。

 

問題の中心にあるのは、選管が昨年から複数の州議会選挙に先立ち実施している「特別集中改訂(SIR)」と呼ばれる選挙人名簿の確認・更新手続きだ。 SIRの目的は、死者や重複した有権者を名簿から削除し、資格のない人の投票を防ぐためとされている。モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)は、隣国バングラデシュ出身者ら不法移民が登録されていると訴えてきた。

 

一方で、多数派であるヒンズー教徒を支持基盤とするBJPが、自らに都合のいいように少数派のイスラム教徒らの投票権を意図的に奪っているとの批判がくすぶってきた。

 

潮目が変わったのは、地元紙インディアン・エクスプレスの今年9月下旬の調査報道だ。同紙は名簿からの有権者抹消を含む重要な決定が、ギャネシュ・クマール選管委員長の一存で決まった可能性が高いと報じた。

 

決定には法律上、委員長を含む委員3人の全会一致か多数決が必要とされる。しかし、過去10カ月間に少なくとも14回の異議が他の委員2人からクマール氏に申し立てられたにもかかわらず、手続きが進められたという。選管は不正を否定している。

 

9日には最大野党・国民会議派を軸とする野党連合幹部がムルムー大統領と面会。「票が盗まれ、民主主義の基盤が破壊されている」と訴える書面を手渡し、クマール氏の辞任やSIRの中止などを要求した。【10月10日 時事】

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首都ニューデリーでは抗議集会に参加しようとした約6000人が警察に拘束されたと報じられています。(内務省の関係者によると、10日だけでデリーで2000人以上、ムンバイで約400人が逮捕されたとのこと)

 

ゴキブリ人民党創設者のディプケ氏は、翌11日は「1年間、治安を乱さないこと」という条件で釈放されています。

 

****インド「ゴキブリ党」創設者ら釈放、大規模デモ前に拘束****

インドで若者を中心に支持を集める、オンラインで立ち上げられた風刺政党「ゴキブリ人民党」の創設者アビジート・ディプケ代表と幹部2人が11日、釈放された。弁護士が明らかにした。

 

3人は10日、選挙管理委員会の委員長の辞任を求める大規模抗議デモを前に、ムンバイから首都ニューデリーに到着した航空機から降りる前に拘束された。

 

CJPの主任弁護士ラトナ・シン氏はSNSへの投稿で、釈放の条件は「1年間、治安を乱さないこと」だったと明らかにした。

 

CJPやインドメディアによると、当局は10日、首都全域で大規模な警備態勢を敷き、デリーの抗議活動のメイン会場であるジャンタル・マンタルにデモ参加者が集まるのを阻止するため、数千人を拘束した。

 

10日に予定されていた抗議デモは、インド選挙管理委員会による全国規模の有権者名簿の改訂を巡る不正疑惑を受け、反対派が数週間にわたって展開してきた抗議運動の集大成となるはずだった。(後略)【10月11日 AFP】

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【現実の政治的対立の場に入り、活動対象の幅も広がる一方で、今後の活動に法的・行政的な制約が及ぶ可能性も】

ディプケ氏ら3人が予防的に拘束され、1年間の平穏維持を条件に釈放されるという事態に至ったことは、CJPが現実の政治的対立の場に入っていることを示す一方、今後の活動に法的・行政的な制約が及ぶ可能性も示しています。

 

「ゴキブリ人民党」については、当初からオンライン上の一時的ブームで終わるのか、現実政治の変革を促す継続的運動となりえるのかが注目されていました。 「ゴキブリ人民党」の現状、今後の現実政治との関りはどのようにみたらいいか?

 

****ゴキブリ人民党の今後の展開****

今回の「ゴキブリ人民党」(Cockroach Janta Party=CJP)の動きを見るうえで、私が重要だと思うのは、ネット上の風刺が、若者の不満を束ねる政治運動へと変わったあと、どこまで現実の政治制度に食い込めるかという問題です。

 

この点では、単に「一時的なネット上のブームか、将来の政党か」という二者択一では捉えきれません。選挙で議席を獲得しなくても、既成政党や政府に政策変更を迫る運動として定着する可能性があるからです。

 

しかも、CJPはすでにオンライン上の話題にとどまらず、若者の雇用、試験問題の漏洩、選挙の公正さといった具体的な政治課題を掲げ、街頭での抗議活動に進んでいます。

 

そして10月には、選挙人名簿の修正をめぐる抗議活動を計画したディプケ氏ら3人が予防的に拘束され、1年間の平穏維持を条件に釈放されるという事態に至っています。これは、CJPが現実の政治的対立の場に入っていることを示す一方、今後の活動に法的・行政的な制約が及ぶ可能性も示しています。

 

1. CJPは、すでに「ネット上の冗談」の段階を越えている

注目したいのは、抗議のテーマが、個別の教育問題(5~6月)から、選挙制度や政治的代表のあり方(10月)へと広がっていることです。

 

教育相の辞任は、運動が具体的な政治的成果を生み得ることを示しました。一方、選挙の公正さという問題は、政府や選挙管理機関への信頼、野党の活動、民主主義の手続きそのものに関わります。CJPがこうした問題を継続的に扱えるなら、単発の抗議運動とは異なる存在になっていく余地があります。

 

2. 今回の拘束・釈放をどう見るべきか

今回の事件には、運動の成長と今後の制約という、二つの側面があります。

まず事実関係として、ディプケ氏らは10月10日、デリーでの抗議活動を前に航空機内で拘束され、翌11日に行政官のもとで手続きを経て釈放されました。釈放には、1年間、平穏を維持するための保証金・保証人に関する条件が付されました。

 

ここで注意したいのは、「1年間、平穏を維持する」という条件が、直ちに「1年間、抗議活動を禁止する」という意味ではないことです。ディプケ氏側は、抗議をしないと約束したわけではないと主張しています。実際の活動にどのような制約が及ぶかは、適用される法令や具体的な行為によって判断する必要があります。

 

政治的には、次の三点が重要です。

運動の存在感が増した・・・ 創設者らの拘束そのものが報道され、CJPは教育問題だけでなく、抗議の自由や選挙の公正さをめぐる議論にも関わることになりました。

 

指導者への依存という弱点も表面化した・・・ディプケ氏が運動の象徴として注目される一方、指導者が拘束された場合に活動を継続できる組織構造があるかが問われます。

 

行政当局との対立が、運動の性格を変える可能性がある・・・抗議のたびに拘束や法的措置が問題になれば、支持が広がる可能性もありますが、参加者が萎縮したり、活動の維持が難しくなったりする可能性もあります。

 

つまり、拘束されたから運動が弱まるとも、逆に拘束されたから必ず強くなるとも言えません。今後、CJPが合法的な抗議を継続し、組織として活動できるかが重要です。

 

3 現実政治との関係は、三つの方向に分けて考えられる

シナリオA:政策要求を実現する圧力団体になる

CJPがSNSと街頭集会を組み合わせ、教育、雇用、採用試験、選挙の公正さなどについて政府に説明や改善を求め続ける形です。

 

この場合、選挙で議席を獲得しなくても、政府や既成政党に対応を迫ることができます。教育相の辞任という先例もあり、CJPが政治的圧力を生み出す運動として定着する可能性を考える根拠になります。

 

観察点: 教育問題や選挙問題で、抗議の継続だけでなく、制度変更や検証結果などの具体的成果を生み出せるか。

 

シナリオB:既成野党と連携し、政治への影響力を強める

CJP自身は選挙に立候補せず、既成野党や学生団体、市民団体と連携しながら、政策課題を政治日程に載せる形です。インドでは、国政選挙だけでなく州議会選挙も重要です。各地域の組織と結びつけば、CJPの問題提起が地方政治や州政府の対応に反映される可能性があります。

 

一方、既成野党との連携が深まれば、運動の独立性をどう維持するかという課題も出てきます。

 

観察点: 野党との協力が、CJP独自の要求を実現するための連携なのか、それとも既存政党の選挙活動への吸収なのか。

 

シナリオC:選挙に参加する本格的な政治組織へ移行する

CJPが候補者を擁立し、選挙で有権者の支持を問う形です。実現すれば、ネット上の支持を制度政治に転換する試みになります。

 

ただし、選挙には候補者の選定、資金、地域ごとの組織、政策の具体化、選挙管理上の手続きなどが必要です。SNS上で知名度を得ることと、広い地域で選挙運動を展開することは別の課題です。

 

観察点: 継続的な地域組織を構築できるか、政策綱領を示せるか、指導者以外の人材を育てられるか。

 

これらは互いに排他的なものではありません。まず圧力団体として活動し、既成政党との連携を経て選挙に参加することもあれば、選挙に直接参加せず、運動としての独立性を保つこともあり得ます。

 

ロイター通信が10月13日に伝えた分析では、CJPは組織力を強め、要求する問題の幅も広げている一方、運動が大都市圏の外まで全国的に拡大するかは確実ではないとされています。【10月13日 ChatGPT】

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軽油価格安定を求めるトランプ氏、ロシア産軽油制裁を一時解除 ウクライナにエネルギー停戦を強要

(【10月12日 BBC】燃料価格高騰の原因はウクライナのロシア施設攻撃ではなく、トランプ大統領のイラン攻撃です)

 

【米 ロシアへのエネルギー施設攻撃やめなければウクライナ支援停止】

かねてよりロシア寄りの姿勢が目立ったトランプ大統領ですが、苦しい展開の中間選挙を乗り切るためにディーゼル燃料(軽油)価格を下げるべく、対ロシア制裁を緩和し、明らかな「脅し」であるウクライナ支援停止の可能性も見せて、ロシアエネルギー施設攻撃を止める“エネルギー停戦”をウクライナに強引に迫るという形で“ロシア寄り”を鮮明にしています。

 

****米国、ウクライナへの情報共有と兵器供与停止を警告 ロシアへのエネルギー施設攻撃やめなければ 情報筋****

トランプ政権はウクライナと欧州の同盟国に対し、ウクライナ政府がロシアのエネルギー施設への長距離攻撃を停止しなければ、米国による情報共有や、欧州諸国を通じたウクライナ向け米国製兵器供与を停止する可能性があると警告した。欧州当局者2人がCNNに明らかにした。

 

米国務省と国防総省が発したこの警告は週末、ウクライナと欧州の当局者に伝えられた。これには米軍からウクライナ軍の司令部に直接伝えられたものも含まれる。事情に詳しい別の情報筋も、米国が情報共有の停止をちらつかせたと語った。(中略)

 

トランプ大統領はかねてウクライナがロシアの製油所を攻撃していることをめぐり、ウクライナのゼレンスキー大統領に激怒していた。

 

トランプ氏は以前から、世界的なディーゼル燃料(軽油)価格の上昇はウクライナとロシアの戦争が原因だと非難し、双方にエネルギー施設への攻撃停止を要求してきた。ただし燃料価格は米国の対イラン戦争によっても高騰している。

 

今回の発表に先立ちトランプ氏は11日、「エネルギー停戦」と称する措置にロシアとウクライナが合意したと発表していた。ゼレンスキー氏に近い情報筋によると、この発表は予想外だったという。

 

欧州当局者の1人はCNNに対し、情報共有と兵器供与はウクライナにとって「極めて重要」だと指摘。今回の脅しは、ウクライナとその同盟国にとって「悲しい日」だと表現した。実際に停止措置が取られれば、ウクライナの防衛能力にただちに影響が及ぶことになる。

 

米国が提供する情報は、ミサイル発射装置の位置や攻撃の目標地点、着弾時刻に関するデータを伝えるもので、ウクライナがロシアの弾道ミサイル攻撃から身を守る助けとなっている。

 

「ウクライナ優先要求リスト(PURL)」と呼ばれる仕組みを通じて行われる兵器供与の停止は、地対空誘導弾システム「パトリオット」用の迎撃ミサイルの輸送に最も深刻な影響を及ぼすとみられる。ロシアがウクライナ全土でミサイルやドローン(無人機)の攻撃を拡大する中、ウクライナはすでに深刻な不足に直面している。

 

別の欧州当局者によれば、北大西洋条約機構(NATO)は週末の時点でPURLの運用に変更があったことは確認していない。トランプ政権は昨年3月、ホワイトハウスの大統領執務室でゼレンスキー氏とトランプ氏が口論となった会談を受け、情報共有を一時停止したことがある。その後、サウジアラビアでの協議を経て、ウクライナが米国の提案した停戦案を受け入れたことから、情報共有は再開された。

 

今回の脅しによって、トランプ氏とゼレンスキー氏の不安定な関係がさらに複雑化するのは必至だ。【10月12日 CNN】

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基本的に“ロシア寄り”のトランプ大統領のウクライナへの姿勢は、そのときどきの戦況やアメリカ国内事情で大きく変化します。

 

「ウクライナはロシアにどうせ勝てないのだから、言うことをきいて停戦しろ」というような姿勢で、記事にもあるように昨年3月にはホワイトハウスでの“公開口論”も。

 

ただ、その後、ウクライナがドローンを駆使してロシアに甚大な被害を与えるようになると、“公開口論”はなかったように、ウクライナを支援する姿勢も見せていました。

 

しかし、ウクライナがロシアの戦争遂行能力を削ぐためにロシアのエネルギー施設への長距離攻撃を激化させ、その影響もあって世界的なディーゼル燃料(軽油)価格の上昇がすると、再び手のひらを返したようにウクライナに冷淡になっています。

 

*****トランプ大統領 ウクライナにロシアの軽油関連施設への攻撃をやめるよう再三言及****

9月13日 最初の公然発言

ロシアの製油所攻撃をやめるよう要求・・・トランプ氏は記者団に、ゼレンスキー氏はロシアの軽油関連施設への攻撃をやめるべきだと発言。攻撃が軽油不足を招いていると主張しました。

 

9月20日 電話会談

ゼレンスキー氏に直接、攻撃停止を要求・・・『アイリッシュ・タイムズ』は、トランプ氏が電話会談で、世界的な軽油不足と価格上昇を理由に攻撃停止を求めたと報道。ウクライナ当局者によれば、トランプ氏の主張は「ディーゼル、ディーゼル、ディーゼル」というほど燃料問題に集中していたといいます。

 

9月27日 再度の要求

製油所攻撃を控えるよう改めて要請・・・トランプ氏は、ゼレンスキー氏に製油所攻撃を抑えるよう再び求めました。9月28日にはウクライナ側が、攻撃停止は双方が実施する必要があるとの立場を示しています。

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ウクライナがアメリカの要請に応じないなか、トランプ政権はロシアへの歩み寄り姿勢を強めていました。

 

****米国務長官、ウクライナ戦争は危険な膠着状態 見解に同意とロ報道官****

ルビオ米国務長官は8日、ロシアとウクライナの戦争が危険な膠着状態に陥っ‌ており、米国は紛争終結に向けた取り組みを継続する考えを表明した。

ポルトガル訪問中のルビオ長官は記者団に対し、ウクライナでの戦争が「恒久的かつ持続可能で、公正な形で交渉を通じて解決されることを強く望んでいる。われわれは今後もその実‌現に向けて尽力していく」と述べた。

これを受け、ロシアのペスコフ大統領報道官は同日、ルビオ長官が述べた戦争‌が膠着状態に陥っていると‌の見解にロシアは同意すると言及。(中略)


ロ‌シアとウクライナによる相互のドローン攻撃は、幅広い経済分野に広がりつつあり、エネルギー施設や製油所、石油・穀物を輸送する船舶、電子商取引(EC)倉庫、データセンターなど、幅広い標的が攻撃対象となっている。

ルビオ長官は事態の悪化について、「このエスカ‌レーションは北大西洋条約機構(NATO)加盟国の近隣地域における破壊工作に発展する可能性がある」ほか、「二国間戦争国が、より広範で危険な地域紛争へと急速に拡大する可能性もある」と警告。その上で、「この戦争は交渉による解決で終結する必要がある。早ければ早いほど良い。米国はそのための支援を行う用意がある」と強調した。

ト‌ランプ米⁠政権はここ数週間、紛争終結に向けた和平協議の再開を模索しており、ウクライナの交渉担当者が9日と10日に協議のため訪米する見通し。【10月8日 ロイター】

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ウクライナ・ゼレンスキー大統領はこのアメリカの“ウクライナ情勢は危険な膠着状態、だから早期に外交的に終結を探るべき”という認識に反発、ロシアと戦うウクライナを支援する“意思の欠如”と批判。

 

****米にウクライナ支援の意思欠如とゼレンスキー氏、2日間の攻撃で78人死亡 交渉団9日訪米****

ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、米国はロシアとウクライナの停戦仲介を模索する一方で、ロシアとの経済関係を追求して‌いると指摘し、ウクライナを支援する意思がないと非難した。

 

ロシアのミサイル攻撃能力を弱めるため、米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」へのアクセス拡大を求めた。ウクライナの交渉団が協議のため9日と10日に訪米すると明らかにした。(中略) 

同氏は、ロシアの弾道ミサイ‌ル発射台をたたくため、スターリンクへのアクセス拡大を求める自身の要請を受け入れるよう、米国に強く求めた。

「ウクライナにスターリンクを開放してもらいた‌い。イランへの対応の際には開放した。私は率直に訴えてきた。ウクライナにスターリンクを提供し、われわれが自国の‌空を守り、制空権を確保するのを支援してほしい。そうすればプーチン大統領は交渉のテーブルに着くだろ‌う」とした。

ルビオ米国務長官は8日、ロシアとウクライナの戦争は危険な膠着状態に陥っていると指摘し、米国は紛争終結に向けた取り組みを継続すると述べた。

 

一方、ロイターは、プーチン大統領の特使であるドミトリエフ氏やトランプ米大統領の娘婿クシュナー氏を含む米ロ高官が、ロシアの欧州向けガスパイプライン事業「ノルドストリーム」に米投資家を参画させる案について協議したと関係者の話を引‌用して伝えた。

ゼレンスキー氏は、「真実や誠実さはどこにあるのか。何が膠着状態なのか。意思の欠如ではないか」とし、「一方でロシアと将来の経済プロジェクトについて協議しておきながら、他方で外交的な膠着状態に陥っていると言うことはできない」と述べた。(後略)【10月9日 ロイター】

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しかし、トランプ政権は中間選挙対策としてのディーゼル燃料(軽油)価格安定のために、ウクライナの意向を無視する形で、ロシア産軽油供給合意というロシア接近を進めます。

 

****トランプ氏、ロシア産軽油供給合意で「率直にプーチン大統領に感謝したい」…ウクライナは不意をつかれた格好****

米国のトランプ大統領は9日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、露産ディーゼル燃料(軽油)の供給を受けることで合意した。11月の米中間選挙を控え、国内で高止まりする燃料価格を抑えたい考えだが、ウクライナ侵略を続けるロシアを利するもので、ウクライナは反発した。

 

トランプ氏は会談後、SNSへの投稿で「世界中の軽油価格は記録的な速さで下落するだろう」と意義を強調し、記者団に対しては「率直にプーチン大統領に感謝したい」と述べた。米財務省は9日、ウクライナ侵略を巡って露産軽油を対象に科している制裁を一時解除し、来年4月7日まで取引を認めると発表した。

 

露側も供給体制を早急に整える構えだ。ロシアは7月から、ウクライナの露製油所攻撃による国内の供給不足を防ぐため、軽油の輸出を禁止している。露副首相はこの措置を直ちに解除し、10月に30万トン、11月と12月にそれぞれ最大で50万トン、100万トンを米国はじめ国際市場に供給する方針を示した。

 

軽油供給を巡る米露ウクライナの構図 

ロシアにとって、今回の合意は制裁緩和に加え、侵略の戦費確保の増加につながる。プーチン氏は9日の声明で、「世界経済全体に良い影響を与えると確信している」と表明し、米側との協調をアピールした。

 

露大統領補佐官によると、プーチン氏は会談で、ウクライナによる露国内攻撃を一方的に非難した。ウクライナの攻撃を抑えさせるよう、米国に圧力の強化を促したものとみられる。

 

ウクライナは代表団を訪米させ、9日に和平交渉を巡って米側と協議したばかりだった。不意をつかれた格好となり、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9日、米露の合意に関してコメントを出し、「(ロシアに)戦争を続ける能力を与えるだけだ」と非難した。【10月10日 読売】

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【ゼレンスキー大統領 「わが交渉チー‌ムは単に目くらましに使われているに過ぎない」】

“ウクライナは代表団を訪米させ、9日に和平交渉を巡って米側と協議したばかりだった”というのは下記協議。

 

****米欧・ウクライナが和平案協議 米ロ軽油合意と同日****

米国、ウクライナ、欧州の交渉担当者が9日、マイアミでウクライナ戦争終結に向けた統一‌提案での合意を目指し、6時間にわたる協議を行った。協議に詳しい関係者が明らかにした。

匿名を条件に語った同関係者によると、今後数週間で案をまとめてロシアに提示し、冬を迎える前に事態の打開を図ることを目指している。

同日、トランプ米大統領は、燃料価格の引き下げに向けてロ‌シアが世界市場にディーゼル(軽油)を供給することで合意したと発表。米政権は、ロシアの戦費となる収入を断つために課‌していたロシア産燃料への制裁‌を解除した。この合意は米議員やウクライナのゼレンスキー大統領から批判を浴びた。 

ゼレンスキー氏は声明で「資金は全て、‌人々に対する、ウクライナに対する、そしてわれわれ全員に対する戦争に使われる。わが交渉チー‌ムは単に目くらましに使われているに過ぎないと考えている。それは決して‌公正ではない」と述べた。

ロシアのプーチン大統領はトランプ氏との電話会談後、ウクライナによるモスクワへのドローン攻撃を理由に、和平協議を直ちに再開する可能性は低いとの見方を示した。

マイアミでの協議には米国のウィットコフ、クシュナー両特使とウクライナ代表団のほか、欧州と北大西洋条約機‌構(NATO)の代表者が出席した。

関係者によると、交渉担当者は幅広い議題について話し合った。その中には、米国と欧州による安全保障の確約を含むウクライナ向けの戦後パッケージも含まれた。また、ウクライナ向けの戦後経済計画や、欧州連合(EU)加盟に向けた道筋についても協議された。

ただ関係者は、センシティブな問題として、領土を巡る「幾つかのアイデア」も議論さ‌れたとしたが、詳細には立ち入らなかった。

今後の平和な時代の土台となる、​欧州とロシアの安全保障体制についても議論された。関係者は詳細には触れなかった。【10月10日 ロイター】

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“わが交渉チー‌ムは単に目くらましに使われているに過ぎない”・・・アメリカ・トランプ政権の一方的なロシア歩み寄りにウクライナ・ゼレンスキー大統領は怒りを表しています。

 

【トランプ大統領 「ウクライナには新しい大統領が必要」】

トランプ大統領からすると、そういうロシアとの戦争に執着するゼレンスキー大統領は“疎ましい存在”にもなるのでしょう。ゼレンスキー氏に代わる「新しい大統領」を求める発言にまで及んでいます。

 

****トランプ氏「ウクライナには新しい大統領が必要」、ゼレンスキー氏が軽油の高騰招いていると非難****

米国のトランプ大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がディーゼル燃料(軽油)価格の高騰を招いていると主張し、「ウクライナには新しい大統領が必要だ」と批判した。

 

トランプ氏は、米国がウクライナに対し、ロシアの製油所を攻撃しないよう求めたが受け入れられなかったと説明し、ゼレンスキー氏が「世界に問題を起こそうとしている」と主張した。製油所への攻撃で「我々の農家や牧場主が燃料の問題に直面する」と語った。

 

トランプ氏は来月の中間選挙に向け、軽油価格の高騰に神経をとがらせている。9日にはウクライナを侵略するロシアのプーチン大統領と電話会談し、露産軽油の供給を受けることで合意した。

 

一方、英紙フィナンシャル・タイムズは10日、米国のスティーブン・ウィトコフ中東担当特使らが9日にウクライナの代表団と米国内で会談した際、製油所への攻撃を停止しなければ、ウクライナへの情報共有を打ち切る意向を伝えたと報じた。ウクライナ側は10日に予定された協議を取りやめ帰国するという。【10月11日 読売】

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【本来は「脅し」は必要なかった話 米のウクライナ軽視 ウクライナ政府高官「(米との)信頼関係が完全に崩れた」】

そしてトランプ大統領のエネルギー停戦合意発表 当事者のゼレンスキーは「初耳だ」と。

 

****トランプ氏 ロシアとウクライナがエネルギー施設攻撃停止 ゼレンスキー氏「初耳」****

(中略)トランプ大統領は11日、自身のSNSで、ロシアとウクライナの間でエネルギー分野での停戦が成立したと投稿し、双方がエネルギー関連施設への攻撃を停止することで合意したと主張しました。

この発表についてウクライナのゼレンスキー大統領は、ニュースサイト「アクシオス」のインタビューで「初耳だ」としたうえで「ロシア側が同意するならウクライナも同意する」と述べました。

ゼレンスキー大統領 「まずはエネルギー分野での停戦だ。彼ら(ロシア側)がエネルギーを望むなら我々は受け入れる用意がある。我々を攻撃するな。子どもたちを殺すな」(後略)【10月12日 テレ朝NEWS】

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このエネルギー停戦へのロシアの合意は、先述のロシア産軽油への制裁解除に関する米ロ合意とセットになったものでしょう。ウクライナ政府は、ロシアが条件を守るならそうした停戦を支持すると表明しています。

 

こうした経緯を経て出てきたのが、冒頭の“ウクライナへの情報共有と兵器供与停止を警告”というものです。

 

ただ、“エネルギー停戦”自体は、厳しい冬を前にしてゼレンスキー大統領も自ら提案していたことです。

“ゼレンスキー氏「エネルギー停戦」提案、米国に仲介を期待…ロシア側は事実上「拒否」の姿勢か”【9月24日 読売】

 

更に、“エネルギー停戦”とロシア産軽油への制裁解除を絡めることについても、10月9日のAxiosの報道によれば、ゼレンスキー大統領は、ロシアとウクライナ双方のエネルギー施設への攻撃停止と結びついた措置であれば、ロシアへのエネルギー制裁緩和を支持しただろうという趣旨の発言をしています。

 

だったら、どうしてウクライナへの情報共有と兵器供与停止を警告といった「脅し」のような話になるのか?

 

今の段階では、ウクライナの攻撃停止と同時にロシアもウクライナのエネルギー施設への攻撃を同時にやめるのか? もし、ロシア側がエネルギー停戦を破った場合、ロシア産軽油への制裁解除も停止されるのか?・・・といったウクライナにとって重要な点が明らかにされていません。

 

そうしたウクライナ側の懸念を反映させる形で、ウクライナを含めた交渉が行われたら「脅し」は必要なかったように思えます。 それとも、ウクライナ側の懸念に配慮できない部分が何かあるのか?

 

実際には、ゼレンスキー大統領が「初耳」というように、ウクライナの頭越しにアメリカとロシアで話が進められ、まるで「ウクライナはごちゃごちゃ言わずに、アメリカの言うことに従えばいいのだ」と言わんばかりの対応。「(米のエネルギー停戦発表は)予想外だった」「(ロシア産軽油供給米ロ合意は)不意をつかれた格好」とも

 

トランプ大統領がエネルギー停戦を実現したいのであれば、ゼレンスキー大統領の懸念を受け入れたうえで、プーチン大統領にも同じ停戦を履行させる交渉を進める道があった・・・ように思えます。その道を十分に試したのか。それとも、アメリカにとって圧力をかけやすいウクライナに「脅し」で譲歩を迫る方を選んだのか。中間選挙前の早期結着を目指すトランプ大統領側に、ウクライナはどうにでもなる・・・という発想があったようにも。

 

“米露がロシア産燃料の国外供給再開で合意したことを巡り、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は10日、ウクライナ政府高官が「(米国との)信頼関係が完全に崩れた」と話していると報じた。”【10月11日 産経】

 

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アメリカ  トランプ政権の一貫したメディアへの圧力 強権支配は批判的メディアへの圧力から始まる

(ホワイトハウスでの記者会見でメディアから質問を受けるトランプ氏=1月20日【9月19日 CNN】)

 

【米司法省、CNNのホワイトハウス取材禁止で代表取材ボイコットしたテレビ局各社を反トラスト法(独占禁止法)に違反した可能性があるとして調査】

トランプ大統領の“暴走”が止まりません。

“元米軍医の銃殺刑、異例の中継へ 12月3日執行”【10月9日 ロイター】

“トランプ政権 ICC本体を制裁対象に指定 ICCの赤根智子所長「歴史上かつてない前代未聞の措置」”【10月10日 TBS NEWS DIG】

 

見せしめという恐怖を煽る方法での国内統治、法の支配に基づく国際ルールの否定・・・民主的世界の基本的な価値観を揺さぶる行為ですが、“独裁者は反対意見を抑圧しようとし、まずは報道機関を抑え込むことから始める”【10月11日 Newsweek】ということで、「報道の自由」という民主主義の根幹への侵害も。

 

****連邦地裁「違憲の可能性が高い」ホワイトハウスへの立ち入り許可命じる トランプ氏のメディア3社排除****

アメリカのトランプ大統領がCNNなどメディア3社をホワイトハウスから排除した問題で、連邦地裁は24日、違憲の可能性が高いとして立ち入りを許可するよう命じました。 

 

この問題はトランプ大統領が18日、CNN、MSNOW、ポリティコに対し、ホワイトハウスへの立ち入り禁止を表明し、3社は21日、合衆国憲法に違反するなどとして立ち入り再開を求め提訴したものです。 

 

ワシントンの連邦地裁は24日、トランプ大統領の措置は違憲の可能性が高いとして、立ち入りを許可するよう命じました。 

 

この問題をめぐっては、NBCやFOXなど大手テレビ局5社がトランプ大統領の措置に抗議してホワイトハウスの代表取材を一切行わないとしていて、23日に行われたトランプ大統領による中国の習近平国家主席の出迎えも生放送が行われませんでした。【日テレNEWS】

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トランプ大統領の発言に基づけば、CNNなどを排除した直接の発端は特定の記事というより、トランプ大統領が長年抱いてきた「自分に批判的な報道は虚偽であり、政権を弱体化させるものだ」という不満だったようです。

 

しかし、単に報道が政権に批判的であるという理由で取材資格を取り消すのであれば、憲法修正第1条が保障する報道の自由との衝突が生じます。(そのため、政権側は訴訟においては機密情報の公開や報道の正確性という、より具体的な問題を持ち出しています。)

 

なお、9月24日の連邦地裁判断は、報道の自由をめぐる争点すべてについて違憲と確定したものではなく、判事はまず、記者に事前の通知や反論の機会を与えずに資格を取り消したことについて、適正手続き上の問題を認めました。CNNなどの起した訴訟自体は今も継続しています。

 

政権に批判的な記事も多いCNNなどのホワイトハウスからの排除が連邦地裁によって一時的に阻止された政権側は、CNNが排除されていた数日間、CNNに同調する形でトランプ政権に抗議してホワイトハウスの代表取材を一切行わないとした大手テレビ局5社に対し、反トラスト法(独占禁止法)に違反した可能性があるとして調査を進めているとのこと。

 

****米司法省、CNNのホワイトハウス取材禁止で代表取材ボイコットしたテレビ局各社を調査****

米司法省は、米国の主要テレビネットワーク5社について、反トラスト法(独占禁止法)に違反した可能性があるとして調査を進めている。トランプ政権による報道機関への圧力が新たな局面を迎えた形だ。

 

調査の対象となっているのは、長年続いてきたテレビ局による「プール」と呼ばれる代表取材制度だ。この制度は先月、トランプ大統領がCNNに対しホワイトハウス敷地内への立ち入りを禁止したことで混乱に陥った。プールは大規模な記者団を代表して少人数の記者が輪番制で大統領を取材する仕組み。

 

当時、テレビ局で構成するプールの代表者はトランプ氏が「CNNが割り当てられたプール取材を行うのを妨げている」ため、「代わりは割り当てない」と表明した。

 

その後、連邦判事がトランプ氏によるCNN、MS NOW、ポリティコへの立ち入り禁止措置を一時的に差し止めるまでの数日間、テレビ局が大統領の行事を代表取材することはなかった。この訴訟は継続しており、司法省は法廷でトランプ氏の措置を擁護している。

 

司法省は現在、テレビ局によるプールの運営方法についても調査を進めている。この極めて異例の調査については、米紙ニューヨーク・タイムズが10日に最初に報じた。

 

司法省の報道官はCNNに宛てた声明で調査の概要を認めた。

報道官は「プールに参加するテレビ局は、ホワイトハウス行事の取材をボイコットした。商業上の競合間での集団ボイコットは、(独禁法の土台となる)シャーマン法に違反する可能性がある」とし、「反トラスト局は、これらの報道機関が同法に違反したかどうかを判断するために調査しているにすぎない」と説明した。

 

数十年にわたりプールを構成してきたABC、CBS、CNN、FOXニュース、NBCの5社は10日夜の取材に対し、コメントを控えるか回答しなかった。

 

報道機関の報道の自由を支援する非営利団体RCFPのブルース・D・ブラウン会長は今回の調査について「大統領自身が導入したメディアに対する取材禁止措置が続く中、各社が日々のホワイトハウスの行事をどのように報道しているかについての記録を入手するための口実に見える」と述べた。

 

さらに「報道機関が取材について下す判断は憲法修正第1条によって保護されている。すでに特定の報道機関を締め出す報復措置を取っていることに加え、ホワイトハウスが反トラスト法に基づく権限を持ち出すことは記者を威圧しようとする、さらなる厚かましい試みだ」と指摘した。(中略)

 

テレビ5社はプール(代表取材制度)を通じて交代で大統領の動静を記録し、生中継や録画の映像を互いに共有し、より広範な記者団にも提供している。その恩恵を受けているのは世界中の視聴者だ。例えば、大統領執務室での質疑応答や大統領専用機「エアフォースワン」での移動は通常、プールが取材する。地方のテレビ局や新聞社、世界中の報道機関がこうした映像を利用している。

 

バイデン政権で司法省の反トラスト局長を務めたジョナサン・カンター氏は、反トラスト法違反を主張しても、最高裁の判例が障壁になるとの見方を示した。判例は公民権運動時代のボイコットを保護される言論だと認めている。

カンター氏はCNNに対し、「これは反トラスト法違反とは全く違う話だ」とし、「文字通り言論の自由の問題だ」と指摘した。【10月11日 CNN】

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【トランプ政権の一貫したメディアへの圧力】

“トランプは決して「思想家」と呼べるような人物ではないが、メディア攻撃は珍しく一貫した政治的思想に基づいている”【下記Newsweek】・・・トランプ大統領のメディアへの圧力は今に始まった話ではありません。

 

****中間選挙で追い詰められ、メディアを叩くトランプの怒りと焦り****

<トランプの執拗なメディア叩きは自身に対する不満の高まりと、中間選挙で共和党が敗北する可能性を示す世論調査から目をそらすのが目的だ>

 

トランプ米大統領がアメリカの有力報道機関であるMS NOW(旧MSNBC)、CNN、ポリティコをホワイトハウスから締め出したことは、報道の自由と言論の自由に対する露骨な攻撃と言える。

 

しかし、トランプはこれまでも一貫してアメリカの民主主義を支える法律や規範を攻撃してきた。その結果、トランプのこうした行為は、少しの間だけニュースをにぎわせるが、すぐに次の新しい「トランプの暴走」に話題が移ってしまう。

 

それに輪をかけて気がかりなのは、報道機関に対するトランプの敵意が長い政治的系譜に連なるものだということだ。独裁者は反対意見を抑圧しようとし、まずは報道機関を抑え込むことから始める。加えて、トランプのメディア批判は、11月の中間選挙を前に、政権が直面する政治的な問題や苦しい選挙情勢から人々の目をそらすための使い古された手法でもある。

 

トランプは決して「思想家」と呼べるような人物ではないが、メディア攻撃は珍しく一貫した政治的思想に基づいている。

 

トランプは、自分がどれだけ富と権力を手にしても、アメリカの金融、政治、社会のエリート層から「下品」と見なされていることに、常に激しい怒りを抱いてきた。メディアの批判は、自分を見下す行為であり、自らの権力を脅かす。だから抑え込まなくてはならないと考えるのだ。3月には、イラン戦争の報道に関して「フェイクニュースメディア」は「反逆罪で訴追されるべきだ」と主張している。

 

トランプは、いわゆる「ディープステート(影の政府)」に「人民」を代表して対抗できるのはリーダーである自分だけだという考え方を本能的に信奉している。これは、全ての政府機関やエリート層は「人民の敵」だとするファシズム的な妄想であり、トランプは10年前からメディアについてこの表現を使い始めた。

 

もはやトランプにできることはほとんどない

「人民の敵」という言葉には、極めて不気味な全体主義的響きがある。旧ソ連の指導者ニキータ・フルシチョフも1956年の共産党大会での有名な「秘密報告」(スターリン批判)で、「『人民の敵』という決まり文句は、党の路線への反対者を物理的に抹殺することを目的に導入されたものである」と警告を発していた。

 

一方、トランプの場合は、戦術的な動機で行動している面が大きい。毎日のように常軌を逸した言動を繰り返すことで、深刻な物価高騰、イランとの戦争の泥沼化、原油供給と世界経済の混乱、同盟国との関係冷却化といった不都合な現実から国民の目をそらそうとしているのだ。そして何より、トランプに対する不満の高まりと、中間選挙で共和党が敗北する可能性を示す世論調査からも目をそらすことができる。(後略)【10月11日 Newsweek】

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“トランプは、自分がどれだけ富と権力を手にしても、アメリカの金融、政治、社会のエリート層から「下品」と見なされていることに、常に激しい怒りを抱いてきた”・・・・この激しい怒りの矛先が向けられたのが“自分を見下す”メディアであり、国際的には“自分にノーベル平和賞を授与しない”ノーベル賞委員会・ノルウェーであり、国際ルールを基にアメリカの主権を制限しようとする国際刑事裁判所(ICC)なのでしょう。

 

自分を認めようとしないエリート層に対する曖昧な基準による「人民の敵」というレッテルは、日本の戦前社会で言えば「非国民」といったレッテルでしょうか。そうした曖昧なレッテルを貼ることで批判勢力を潰していくところからファシズム・全体主義が生まれます。

 

トランプ大統領の“珍しく一貫した”メディア攻撃・圧力を改めて整理すると・・・

 

*****トランプ政権のメディアへの圧力*****

今回のメディア対応を理解するうえで重要なのは、トランプ政権による報道機関への対応が、単なる大統領とメディアの対立にとどまらず、政府に批判的な報道機関への取材制限、行政権限を使った圧力、報道活動に対する法的措置という複数の形で現れていることです。

 

特に問題となるのは、政府が報道内容を批判すること自体ではなく、気に入らない報道をしたメディアに対して、取材機会や事業活動を不利益に扱うことです。米国憲法修正第1条は報道の自由を保障しており、政府による報道内容を理由とした差別的な扱いは、憲法上の問題になり得ます。

 

以下、トランプ政権第2期(2025年1月以降)を中心に、主な事例を整理します。

 

1. 主な事例――何が行われてきたのか

① AP通信の取材排除(2025年2月~)

トランプ大統領がメキシコ湾を「アメリカ湾」と呼ぶよう命じたのに対し、AP通信は国際的な報道基準を理由に従来の「メキシコ湾」という名称を維持。政権はAPの記者を大統領執務室などの取材から排除しました。

 

APは提訴し、連邦地裁は政府による扱いが憲法修正第1条に違反するとの判断を示しました。その後、政権は記者団の取材枠の運用も変更しました。

 

問題点:政府の命名方針に従わない報道機関への不利益な扱い。

 

② VOAなど政府資金による国際放送の縮小(2025年3月~)

トランプ大統領は3月、米国グローバル・メディア局(USAGM)などの組織縮小を指示。VOA(ボイス・オブ・アメリカ)の職員1,300人以上が休職扱いとなり、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティーやラジオ・フリー・アジアへの資金も打ち切られました。

 

問題点:政府の方針に左右されない国際的な情報発信の基盤が弱体化する懸念。政権側は官僚機構の縮小や、税金による偏向報道の是正を理由に挙げています。

 

③ 国防総省(ペンタゴン)の取材規制強化(2025年~2026年)

国防総省は記者向けの新たな規則を導入し、報道機関に取材活動に関する制約を受け入れるよう要求。AP、ニューヨーク・タイムズ、ロイターなどは、通常の取材活動まで処罰対象になり得るとして署名を拒否しました。

 

2026年にはニューヨーク・タイムズの訴訟を受け、連邦判事が取材規制を差し止める判断を示しています。

 

問題点:軍事・安全保障情報について、政府が報道内容や取材方法をどこまで制限できるか。

 

④ 放送局への訴訟・放送免許をめぐる圧力(2025年~)

トランプ氏はCBSの報道番組「60ミニッツ」の放送内容を問題視して訴訟を起こし、放送免許の取り消しを求める発言も繰り返しました。また、連邦通信委員会(FCC)はABC、CBS、NBCなどの放送局をめぐる調査・苦情対応を進めました。

 

2026年にはABCの親会社ディズニーが、報道・風刺番組をめぐるFCCの対応について、憲法修正第1条に反する報復だとして提訴しています。これは企業側の主張であり、違法性が確定したという意味ではありません。

 

問題点:放送規制や訴訟を通じて、政権に批判的な番組が萎縮する可能性。

 

⑤ 記者への攻撃的発言と「フェイクニュース」批判

トランプ氏は批判的な報道を「フェイクニュース」などと繰り返し非難し、記者個人を名指しで攻撃してきました。2025年にはAP通信をめぐる対立が起き、2026年にはCNNの記者らへの取材対応や報道内容を公然と問題視しました。

 

問題点:政府のトップが報道機関を敵視する姿勢を示すことで、記者への威圧や社会的な敵意を強める可能性。

 

⑥ CNN・MS NOW・Politicoのホワイトハウス取材排除(2026年9月)

今回の報道に直接つながる事例です。トランプ氏は、これらの報道機関が「虚偽」や「うそ」を報じていると主張し、記者の取材資格を取り消しました。3社は憲法違反だとして提訴。9月24日、連邦地裁は取材資格を回復させる暫定的な措置を命じました。10月8日にも3社側は取材排除の差し止め継続を求めており、係争は続いています。

 

問題点:報道内容を理由に取材資格を取り消せるなら、記者が政権に不都合な報道を控える誘因になり得ること。

 

2.今回の「司法省によるテレビ局調査」は何が問題なのか

10月11日付のAP通信などの報道によると、米司法省は、CNNなど5社のテレビ局がホワイトハウスの取材を一時ボイコットしたことについて、独占禁止法違反の可能性を調査しています。経緯を整理すると、次のようになります。

 

第1段階:政権による取材排除・・・CNN、MS NOW、Politicoの記者資格を取り消す。

 

第2段階:テレビ局側の共同対応・・・ABC、CBS、CNN、FOX、NBCの5社が、ホワイトハウスのテレビ取材プールによる大統領取材を一時停止する。

 

第3段階:司法省が調査開始・・・競合企業による共同ボイコットが独占禁止法に違反するかを調べる。取材は再開しているが、司法省の調査は始まった段階。

 

ここで、二つの問題を分けて考える必要があります。

政権側の問題:報道内容を理由に取材資格を取り消したことが、憲法上許されるのか。

テレビ局側の問題:複数の競合企業による共同ボイコットが、独占禁止法に抵触するのか。

 

司法省は、競合企業による共同ボイコットが法律違反になり得ることを調査の理由に挙げています。しかし、調査開始は違法行為があったことを意味しません。

 

一方、報道の自由を擁護する側からは、取材排除に抗議したテレビ局を政府が調査すること自体が、報道機関に対する新たな圧力となり、今後の抗議や連帯をためらわせるのではないか、という懸念が出ています。

 

3. 一連の動きに共通する特徴

これらの事例は、大きく三つに整理できます。

 

取材機会の制限・・・AP、CNNなどの取材排除・・・政府に批判的な報道をしにくくする

経済・制度面からの圧力・・・VOAなどの資金削減、FCCをめぐる問題・・・報道機関の活動基盤を弱める

法的措置・威圧・・・訴訟、司法省の調査、記者への攻撃・・・訴訟費用や制裁を恐れて報道が萎縮する

 

4. どう見るべきか

重要なのは、報道の自由は記者が自由に発言できるかどうかだけでなく、政府の活動を継続的に取材し、国民に情報を届けられるかどうかにも関わるという点です。

 

大統領がメディアの報道を批判することは、それ自体として報道の自由の侵害ではありません。問題は、批判の次に取材排除や制度的な不利益が続く場合です。

 

今回の一連の動きでは、取材排除に対してテレビ局が共同で抗議したところ、今度はその抗議行動自体が司法省の調査対象になりました。

 

これが法的にどのような結論に至るかは、今後の司法判断などを待つ必要があります。しかし、報道機関の側から見れば、政権を批判すれば取材機会を失うかもしれず、取材排除に抗議すれば法的調査を受けるかもしれない、という状況が生まれます。そのような懸念が広がるだけでも、記者や編集幹部が政権に不都合な報道を控える「萎縮効果」が生じる可能性があります。

 

したがって、今回の司法省の調査は、単にテレビ局の共同ボイコットが独占禁止法に違反するかという問題にとどまらず、政府が報道機関との対立において、司法・行政の権限をどのように用いるのかという、より広い問題として注目されているのです。【10月11日 ChatGPT】

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タイ 早すぎる少子化 「豊かになる前に老いる」 少子化背景に『理想の生活水準』と現実のギャップ

(【MACROMILL】)

 

【「アジアの虎」から「アジアの病人」へ 背景に少子化による人口減少・高齢化】

“タイは1980~1990年代にかけて新興国の経済成長モデルとしてもてはやされた。豊富な労働力と低コストを武器に、日本の自動車メーカーをはじめとする外資を誘致し、輸出主導型のモデルで急成長。「アジアの虎」といわれた。”【4月1日 清水 泰雅氏 日本経済研究センター】

 

そのタイは、現在では“実質国内総生産(GDP)は2025年に前年比2.4%増で、東南アジア主要6カ国で最低だった。ベトナムが同8.02%と高い成長率を記録したのと対照的だ。マレーシア、インドネシア、シンガポールも5%台を維持した。タイは過去10年の成長率をみても新型コロナウイルス禍を除くと域内最低水準の1〜4%台前半と低水準で推移する”【同上】ということで「アジアの病人」とも言われる状況に。

 

その背景には、人口減少と高齢化、つまり「少子化」があります。

 

****タイは現代の「アジアの病人」なのか? 社会の分断に苦しむ新興国のいま****

(中略)英フィナンシャルタイムズ(FT)はタイ経済を「慢性疾患に蝕まれている」と評した。

 

低成長の最大の原因は人口減少と高齢化だ。タイ内務省が3月25日に発表した人口統計によると、2025年12月31日時点の住民登録でタイの総人口は6580万9011人となり、前年末の6595万1210人と比較して14万2199人の減少を記録した。これで人口減少は6年連続となった。

 

伸び悩む経済状況に加え、独身者の増加、結婚しても子どもをつくる計画がないなど社会の価値観の変化、晩婚化やストレスによる不妊症の増加などにより、出生数が減っているという。

 

タイは東南アジアで最も高齢化が進んでいる。国際連合(UN)によると、総人口に占める65歳以上の割合は22年に14%に達し、高齢社会に入った。国連はタイが超高齢社会(人口に占める65歳以上の割合が21%を超えること)に入る時期を31年と予測するが、さらに早まるとの見方もある。

 

予想以上のスピードで進行する少子高齢化

「タイは予想より早く高齢化している。いくらいい技術があっても、すばらしい製造業があっても、高い貯蓄率があっても、人口減になって高齢化すれば衰退は免れない。タイは病気ではない。ただ年をとっただけだ」と指摘するのはタイを代表する経済アナリストの一人で、国家経済社会開発評議会(NESDC)の議長を務めるスパウッド・サイチュア氏だ。

 

NESDCはタイの国家経済・社会開発計画を担当する主要な政府機関で、スパウッド議長自身が人口予測を担当していた。スパウッド議長によると、2020年にはタイ1人の老人に対し、10人の働く人がいた。2024年には老人1人に対し、働く人が5人になった。2041年には老人1人に対し働く人3人になる。これでは負担があまりに大きい。

 

「タイは私の予想より9年も早く高齢社会が来た。世界中のどんな国もいちど高齢化が始まったら、その流れから逃れられない。タイも日本も同じだ」とスパウッド議長はいう。【同上】

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タイの少子化の現状と原因を簡単にまとめると、以下のようにも

 

****タイの少子化の現状と原因****

タイの少子高齢化はASEAN(東南アジア諸国連合)の中で最も早いペースで進行しており、合計特殊出生率は1を下回る(2025年時点で約0.87)など記録的な低水準に陥っています。中所得国のまま高齢化が加速する「豊かになる前に老いる」構造的な危機に直面しています。 

 

タイの少子化の現状

合計特殊出生率の大幅な低下・・・2025年時点の合計特殊出生率は0.87と過去最低を記録しています

 

自然減の常態化・・・2025年の出生数は約41万6,574人に対し、死亡数は約55万9,684人となり、出生数が死亡数を14万人以上下回る人口減少が5年以上続いています。

 

超高齢社会への急接近・・・・総人口に占める65歳以上の割合は急速に高まっており、2020年代後半には超高齢社会(21%以上)へ突入すると予測されています。

 

教育現場への影響・・・私立学校や小規模校の閉鎖が相次いでおり、2025年には数十〜80校近い学校が停波・廃校に追い込まれています。

 

少子化・人口危機の主な原因

「豊かになる前に老いる(Old Before Rich)」・・・先進国が十分に経済成長してから少子高齢化を迎えたのに対し、タイは一人当たりGDPが低い段階(約7,000ドル前後)で急激な少子化と高齢化が同時進行しました。

 

生活費の高騰と経済停滞・・・長期的な経済の低迷に加え、家計債務がGDP比約90%とアジアで突出して高い水準にあり、子育てや教育に十分な経済的余裕を持てない家庭が増加しています。

 

女性の高学歴化と価値観の変化・・・女性の高等教育進出や社会進出が進む一方、キャリア形成や個人のライフスタイル(自由や自己投資)を重視する傾向から、独身生活や「子供を持たない選択」が広がっています。

 

脆弱な社会保障制度: 公的年金(社会保険)の支給額が月数千バーツ程度と低く、高齢期の生活保障が不十分であるため、子供に頼るのではなく「自分の老後や人生のために資金を残す」という意識が強まっています。 【10月10日 Gemini】

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【「豊かになる前に老いる」 それなりの施策は行ってはいるが・・・】

“タイの出生率の急激な低下は、生活費の高騰や女性の高学歴化が原因という、よくある少子化パターンを示すが、途上国にしては早めに人口危機が到来した。”【10月8日 Newsweek】 その結果、「豊かになる前に老いる」という危機が迫っています。

 

タイ政府も事態を傍観している訳でもなく、“それなりの”施策は行っています。ただ、子育ての経済的負担軽減や有給産休制度などは、少子化に悩むシンガポールや韓国でも行っていますが、目立って状況を改善させてはいません。(韓国は水準はまだ低いながらも、やや改善の動きが見られますが、その件はまた別機会に)

 

行政の効率性、政治的安定、汚職対策、政府の説明責任など統治水準でシンガポール・韓国に劣るタイが、それ以上の結果を出すのは難しいようにも。

 

****「豊かになる前に老いる」タイの人口危機…出生数が死亡数を14万人下回り、60年後には人口半減の恐れ****

少子化が加速するタイでは、経済的に豊かになる前に人口減少と高齢化が進むという深刻な問題が浮上している。政府は出産・育児支援の拡充を進めるが、生活費の高騰や女性の高学歴化、若者の価値観の変化を背景に、出生率回復への道筋は見えていない

 

タイの出生率は東南アジアの中でも最低水準 AP/AFLOタイの保健省は今年2月、「全ての誕生が大切……静かなカウントダウンが始まる時」という、不吉な響きを持つタイトルの共同記者会見を開いた。

当局によると、昨年は国内の死亡数が出生数を14万人も上回り、このままではタイの人口は今後約60年で半減する恐れがある。人口減少は国家経済、税収基盤、ひいては政府の安定性にも影響を及ぼしかねない。

 

タイの公的年金制度の一端を担う国民貯蓄基金(NSF)も7月、出生数の減少を「警告の兆し」と呼んだ。

労働力の先細りは社会保障を圧迫し、あらゆる人の老後に影響する。国民はこれまで以上に、子供ではなく自分自身に頼らざるを得なくなる。その一方で、生産年齢人口(15~64歳)が高齢者を支える負担は強化され、定年年齢の引き上げにつながる可能性もあるだろう。

 

タイの出生率の急激な低下は、生活費の高騰や女性の高学歴化が原因という、よくある少子化パターンを示すが、途上国にしては早めに人口危機が到来した。

 

タイの合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数)は1.2で、イタリア、シンガポール、スペイン、韓国に近い。だがこれらの国の1人当たりGDPは、上位中所得国であるタイの4~11倍だ。

 

韓国を見ると、合計特殊出生率が、人口を維持するために必要な「人口置換水準」である2.1を初めて下回ったのは1984年。韓国経済が急成長していた時期のことだ。しかしタイでは長期的な経済停滞が続いている。(中略)

 

男女の格差が少ない

2024年に東南アジア諸国と比較した研究によると、(ASEANにあってタイとともに出生率が低い)テクノクラート(技術官僚)主導の国家シンガポールは、出生率低下のペースを鈍化させた。ただ、政府の効率性が域内で最も高いこの国でも過去の水準には回復していない。

 

シンガポールでは税負担の軽減、保育や就学前教育への補助、公営住宅での既婚者優先、産休・育休の拡充などを実現してきた。この研究によると、政治的安定、汚職対策、政府の説明責任に関して、タイの統治水準は域内でも低い。従って同様の政策で結果を出せるかは疑問だ。

 

タイの保健省は少子化対策として、子育ての経済的負担を軽減する方針を打ち出した。一定の所得水準を下回る人への育児支援のほか、全ての公立病院で不妊治療を提供し、子宮内人工授精や体外受精を提供するクリニックも全国的に増やすという。

 

タイが同程度の所得水準の国々より早く少子化問題に直面しているのは、男女平等が進み、国民の間で避妊に対する抵抗感が少ないためかもしれない。22年には、妊娠20週までの人工妊娠中絶が合法化された。また政府は昔から適切な避妊を奨励してきた。

 

「政府による家族計画政策と医療拡充の下、タイの出生率は大幅に低下してきた」と、タマサート大学経済学部のサシウィモン・ワルンシリ・パウィーナワット准教授は指摘する。「50年くらい昔なら、タイの女性は平均6人の子供を産んでいた」

 

タイは他の途上国に比べて男女平等が進んでいる。特に就学率や労働力参加率では男女の格差が少ない。

 

女性に最大120日間の産休

「タイの女性の教育は周辺国よりかなり進んでいる」とパウィーナワットは言う。「現在、多くのタイ人女性が高収入の仕事に就いており、出産でキャリアを中断したくないとの思いが強い」。さらに、「学士号以上の学位を持つ女性は結婚が遅く、子供の数も少ない。平均で1人当たり約0.5人だ」と付け加えた。

 

生活費が最も高いのは、タイ人口の約25%が暮らす首都バンコクとその周辺地域だ。都市部に住む人口は90年時点で総人口の19%だったが、現在は60%を超えている。

 

タイのマヒドン大学人口社会研究所のジョンジット・リッティロン副所長によれば、子育てには「多額の費用がかかるため、それを賄えるだけの収入が得られるまで先延ばしにする夫婦が多い」。だがその頃には「手遅れ」になっている可能性もあるという。

 

タイでは、女性に最大120日間の産休が認められ、うち最大60日間は雇用主から賃金の全額が支給される。配偶者に15日間の休暇が導入されたのは昨年12月からだ。

 

シンガポールと韓国も同様の有給産休制度を設けており、それぞれ最大16週間と、90日間だ。だが出産休暇制度が充実している豊かな国でも、出生率の低下を食い止める効果はあまり上がっていない。

 

タイ政府は出産に伴う医療費として約450ドルを支給するほか、低所得世帯には、条件によっては子供が6歳になるまで子供1人につき月額最大48ドルの支援金を支給している。一方、国連人口基金の委託による17年の分析では、タイで子供1人を育てる費用は年間約3150ドル。政府の最大給付額の5倍以上だ。【10月8日 Newsweek】

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【相対所得仮説 「SNS等を通じて生活水準の期待値が跳ね上がってしまう」】

出産・子育てに影響するのは、実際の所得・物価水準だけではありません。「期待する生活水準との比較」が影響するというのが「相対所得仮説」です。

 

****相対所得仮説*****

9月、タイの研究者らは、出産を躊躇する理由は単なる生活費の高騰ではなく、期待する生活水準に左右され、そこにSNSが影響を与える可能性があるとの見方を示した。

 

そこで研究者らが挙げるのは「相対所得仮説」だ。「若者の出産の決断は、絶対的な所得ではなく、現在の生活水準と期待する生活水準との比較に基づく」という考え方だ。

 

昨年結婚したチェンマイ在住の45歳の女性サリラ・チャッタクルチャイは、タイの教育制度や政治情勢を理由に、子供を持つまい、と考えていると語った。「タイの公立学校制度は時代遅れで、今日の世界的な基準に合致していないと思う」。オーストラリアでの留学経験が、その考えを形作ったという。

 

少子化はまだ、タイの政治における深刻な問題とはなっていない。多くの国民は生活費の高騰など、より差し迫った経済問題に関心を向けている。人口危機を取り上げる政党の多くは、主に現金給付を公約として掲げている。これは数十年来、経済ポピュリズムに支配されてきたタイ政治ならではの発想だ。

 

こうした金銭的インセンティブを、パウィーナワットは「経済的支援として十分なのか。女性がより多くの子供を持つよう促す上で、本当に効果的なのか」と疑問視する。

同様に、現政権の対応も、2月の記者会見で示されたような決まり文句に終始しているように見える。スローガンは豊富だが、資金も政治的意思も不足しているのだ。【同上】

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「相対所得仮説」は家計の消費(または幸福度)は、単に「今の所得の額」だけでなく、「過去の自分の最高所得」や「周囲の人の所得水準」との比較(相対的関係)によって決まるとする経済学の理論ですが、ここでは以下のような意味で使用されています。

 

****タイの少子化に関する「相対所得仮説」****

ここでの「相対所得仮説」とは、本来の経済学の定義(周囲の他人の所得や過去の所得との比較)を少子化や子育ての心理に応用したもので、「SNS等を通じて『標準』とされる生活水準(期待値)が跳ね上がってしまった結果、自分の今の実質的な経済力ではその水準に届かないと感じ、出産を諦めてしまう心理」を指しています。

 

1. 「絶対所得」と「期待する生活水準」のギャップ

絶対所得(実際の稼ぎ)・・・ご飯を食べ、普通に暮らしていくための必要最低限の生活費は足りている状態です。

期待する生活水準(理想のハードル)・・・子供を育てるなら、これくらいの綺麗な家に住み、これくらいお洒落な服を着せ、このような習い事をさせなければならない」という、自分が子供に与えたい(あるいは自分が維持したい)理想の生活水準です。

 

若者は「子供を育てるお金がない」と言いつつ、それは餓死するような絶対的な貧困ではなく、「自分が理想(期待)とする高い生活水準を維持したまま、子供を育てるだけの余裕はない」という意味でのギャップ(相対的な不足感)を指しています。

 

2. なぜ「SNS」が影響を与えるのか?(空間的相対所得の歪み)

本来、相対所得仮説における比較対象は「近所の人」や「同僚」といったリアルの身の回りの人々でした。しかし、SNS(InstagramやTikTokなど)の普及によって、比較対象が「画面の向こうの華やかなインフルエンサーや富裕層」にまで拡大しました。

 

SNS上で「豊かな暮らし」「贅沢な子育て」「おしゃれな家族旅行」といったキラキラした理想的な生活ばかりが日常的に視界に入る。それにより、若者の中で「普通の子育て」や「期待される生活水準」のハードルが実態以上に高く設定されてしまう。

 

結果として、自分の現実の給料(現在の生活水準)と比較したときに、「今の自分ではあの『標準(実際は理想)』に届かない。だから子供を産むのは無理だ」という相対的な貧困感・不十分さを強く感じてしまうことになります。

 

まとめ

タイの研究者らが指摘する「相対所得仮説」とは、若者が子供を持たないのは単に「物価が高いから(絶対的な理由)」ではなく、「SNSによって肥大化した『理想の生活水準(期待値)』に自分の収入が追いついていないと感じるため、子育てへのハードルを自ら高く見積もってしまう心理的な罠」を意味しています。【10月10日 Gemini】

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「SNS等を通じて生活水準の期待値が跳ね上がってしまう」・・・タイだけでなく日本を含めて世界共通の、少子化に限らずいろんな社会現象に共通の現代社会が抱える問題ですが、それだけに対応策ということになると・・・難しいのが実情でしょう。

 

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アメリカ  元米軍医の銃殺刑を異例のライブ配信 米社会変容の一つの過程 その先にあるのは・・・

(ドラマ「侍女の物語」 公開処刑の様子)

 

【‌ヘグセス米国防長‌官「人々が確実に見られるよう、公開する。こうした行為には重大な結果が伴うことを、人々が理解する必要‌があるからだ」】

トランプ大統領、トランプ政権の常識を超えた言動には相当に慣れてしまい(「慣れてしまい、あまり問題視しなくなる」ことがもたらす問題は重要ですが)、多少のことでは「またか・・・」という反応。 でも今回は「本気か?」と驚きました。

 

****元米軍医の銃殺刑、異例の中継へ 12月3日執行****

米国防総省の当局者は、2009年に南部テキサス州のフォート‌フッド陸軍基地で銃を乱射し13人を殺害した元陸軍精神科医のニダル・ハサン死刑囚について、12月3日に予定されている軍による銃殺刑の執行をライブ配信すると明らかにした。死刑執行の中継は前‌例のない措置となる。

銃殺刑は1945年以来初めてとなる。トランプ大統領が指示した。

これに先立ち、‌ヘグセス米国防長‌官はポッドキャスト番組「ヒューマン・イベンツ・デイリー」で、ハサン死刑囚の死‌刑執行を公開する方針を示した。8日にソーシャルメディアに投稿‌された発言の動画で明らかになった。

ヘグセス氏によると、銃‌殺刑は、犯行が行われた場所、自国、曜日に合わせてフォートフッドで木曜日の午後1時に執行する予定。

「人々が確実に見られるよう、公開する。こうした行為には重大な結果が伴うことを、人々が理解する必要‌があるからだ」と語った。

ハサン死刑囚が最後の要望を出したかとの質問には「どうでもいい。12月3日に会うことになる」と答えた。

米軍法では、銃殺刑の執行には大統領の承認が必要となる。国防総省は5日、トランプ米大統領がヘグセス氏の勧告を受けて承認した‌と発表した。

ヘグセス氏は「(銃殺刑は)第2次世界大戦​以来行われていない。第2次大戦の頃のような考え方だ」と述べた。【10月9日 ロイター】

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ハサン死刑囚はアラブ系イスラム教徒で元軍医、事件後、イスラム世界で米国が起こしている戦争への報復であると述べており、軍事法廷で死刑判決を受けていました。

 

アメリカの死刑執行と言えば電気椅子がイメージされますが、アメリカでは州ごとに様々な死刑方法が定められており、最近では薬物注入による死刑を執行したところ、死に至らず死刑囚は重体となって病院で治療を受けているという事案が注目を集めました。一部では銃殺刑も認められており、2025年はサウスカロライナ州で3件実施されています。

 

ハサン死刑囚は軍事法廷で死刑判決を受けていますが、65年ぶりの死刑執行、81年ぶりの銃殺刑となります。記事によれば、ヘグセス国防長官の勧告を受けてトランプ米大統領が承認した‌とのこと。

 

最後の軍人の死刑執行は、強姦と11歳の少女に対する殺人未遂で有罪となったジョン・ベネット陸軍二等兵の絞首刑です。

 

米軍による最後の銃殺刑は、第二次世界大戦中の1945年11月9日、エディ・スロヴィク二等兵に対するものでした。脱走罪で有罪となり、フランスで銃殺刑に処されています。

 

何より異例なのは、銃殺刑の様子をライブ配信する公開処刑という方法。

 

公開処刑に関してはイランやアフガニスタンで実施されており、北朝鮮でも今現在行われているかは確認できませんが、見せしめ的に公開銃殺が行われ、市民が強制的にその様子を見させられたという報道も。

 

更にライブ配信となると初めてのことではないでしょうか。

ハサン死刑囚の上訴手続きはまだ終わっておらず、実際の手続きを考えると、12月に死刑が執行されることはないとの弁護士からの指摘もあります。

 

アメリカでは、死刑の執行に一般市民の立ち合いを義務付けている州もあって、「死刑執行の公開」という点で、日本の常識とは異なる部分もあります。

 

それにしてもネットでライブ配信というのは異様。実際にどのように行われるのは未定です。

 

****米国防総省、米軍基地で銃乱射した元軍医の銃殺刑執行をライブ配信の方針****

2009年に米軍基地で銃を乱射して13人を殺害し、殺人罪などで死刑判決を受けた元軍医の銃殺刑について、ピート・ヘグセス米国防長官は8日、刑の執行を一般市民が視聴できるように中継すると述べた。(中略)

 

死刑囚の弁護を担当するジョン・ミルズ弁護士は、公開処刑の前例は現代にはないと批判。「グロテスクな見せ物になるよう、仕組まれているように思える」と述べた。「現代において前例のない決定で、それだけに法的な根拠も不確かだ」と付け加えた。

 

米軍の統一軍事法典は、軍人の処刑にはアメリカ大統領の承認が必要と定めている。さらに、軍法会議が下した死刑判決を執行するには、軍法上訴裁判所が判決を審査し、刑の合法性について最終判断を下す必要がある。

 

ミルズ弁護士によると、ハサン死刑囚の上訴手続きはまだ終わっていない。さらに、有罪判決と量刑について、連邦裁判所で再審を請求する方針だという。再審が認められれば、死刑執行は停止される可能性がある。

弁護士はこのため、実際に12月に死刑が執行されるとは思っていないと話した。

 

「銃殺刑をライブ配信しようとするのは、トランプ政権がただ単に注目を集めようとしているだけだ。実現する可能性は低く、ましてや正義の実現など到底あり得ない」と弁護士は述べた。

 

アメリカでは、死刑の執行に一般市民の立ち合いを義務付けている州もある。多くの州ではジャーナリストの立ち会いが義務付けられているほか、死刑囚自身が立会人を招待することもできる。また、一般市民が証人として志願することを認めている州もある。

 

しかし、「これまで死刑執行がライブ配信されたことは一度もない」と、アメリカの死刑執行方法を研究している米フォーダム大学のデボラ・デノ法学教授は話す。教授は、死刑執行のライブ配信は「この国ではおそらくこれまで見たことのないレベルの、透明性を強いることになる」と指摘。

 

「死刑制度を支持する国民は減りつつあるが、それでも半数以上が死刑制度の維持を支持している。それだけに、『死刑制度が欲しいなら、この国で死刑がどうやって執行されるかを見せてあげよう』という、言い分も成り立つかもしれない。そして、実際には何がどう行われているのか、多くの人が無視している実態を、国民はありのままに認識せざるを得なくなる」

 

銃殺刑をライブ配信する場合、視聴に年齢制限が設けられるのか、視聴を可能にするオンラインプラットフォームのポリシーに違反するかどうかなど、重要な考慮事項があると、デノ教授は指摘する。

 

死刑執行のライブ配信がどこで視聴できるようになるかは、わかっていない。ほとんどの主要ソーシャルメディアプラットフォームは規約で、露骨なコンテンツのライブ配信を禁止または制限している。

 

昨年は世界の17カ国で2700件以上の死刑執行があったが、公開したのは2カ国だけだった。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、2025年にイランで11件の公開処刑が行われ、アフガニスタンでも6件の公開処刑が行われたことが確認されている。

 

同団体のデータによると、昨年最も多く死刑を執行した国は、中国、イラン、サウジアラビア、イエメン、アメリカの順だった。

 

トランプ氏はこれまで公の場で公開処刑を主張したことはないが、死刑制度そのものは長年支持してきた。例えば1989年には米紙ニューヨーク・タイムズに、「セントラルパーク5人組」(レイプと暴行の罪で有罪判決を受けたが、後に無罪となった)の処刑を求める大きな広告を掲載した。

 

他方、トランプ氏はかつてイランの公開処刑を非難していた。今年2月末のイラン攻撃開始に先立ち、イラン政府が抗議デモ参加者を殺そうとしているとして、それを軍事介入の正当化理由の一つとして挙げていた。

 

アメリカの連邦政府は、2020年まで17年間、死刑を執行していなかったが、トランプ第1次政権の終盤、2020年7月から2021年1月の半年間で、連邦当局の管轄下の死刑囚13人に刑を執行した。

 

2021年1月に発足したジョー・バイデン政権は連邦政府による死刑執行を一時停止したが、トランプ氏は昨年1月に再び大統領になると、「公共の安全を守る」ため死刑制度を「復活」させるという大統領令に直ちに署名した。(後略)【10月9日 BBC】

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【国家が人を殺す場面を、政府が国民に見せるべきものとして扱い始めた】

処刑の様子をライブ配信する・・・「常軌を逸した」異様さを感じます。

 

****国家が人を殺す場面を、政府が国民に見せるべきものとして扱い始めた*****

今回の問題は、単に「トランプ大統領が死刑に賛成している」ということではないと思います。私が特に重大だと考えるのは、国家が人間の命を奪う刑罰を、国民に見せるための政治的な見せ物に変えようとしていることです。

 

1.人種・宗教への敵意が前面に出ているのか

この疑念を抱かせる背景はあります。 ハサン死刑囚はパレスチナ系の家庭に生まれた米国人で、イスラム教徒でした。事件では「アッラーフ・アクバル」と叫び、本人は米国のイスラム圏での軍事作戦への報復という趣旨の動機を説明していました。もちろん、こうした事情は13人を殺害した犯罪の重大性を軽減するものではありません。

 

注目すべきなのは、トランプ氏が今回の執行を発表する過程で、ハサン氏のイスラム教徒としての属性を強調していることです。

 

したがって、今回の措置を単なる司法上の判断として片付けることはできません。イスラム教徒への敵意を刺激する政治的言説と、死刑執行を公開する方針が重なっているからです。

 

ただし、ハサン氏がアラブ系・イスラム教徒だから銃殺刑や中継が選ばれた、と断定できる証拠は、現時点の報道からは確認できません。 銃殺刑の選択には、ヘグセス氏が掲げる厳罰主義や、政権が死刑執行の方法を拡大しているという別の背景もあります。

 

2. なぜ、わざわざ死刑を中継するのか

ここが、私には今回の措置の最も危険な部分に思えます。

ヘグセス国防長官は、犯行現場で、事件当時に近い曜日・時刻に執行することについて、犯罪には重大な結果が伴うと国民に理解させるためだと説明しています。また、死刑囚の最後の要望について尋ねられた際には、「どうでもいい」という趣旨の発言をしています。

 

この発想には、少なくとも三つの問題があります。

刑罰の見せ物化:刑罰の目的が、司法判断の執行だけでなく、国民に恐怖を与える公開演出へと拡張されます。

復讐の政治利用:犠牲者と遺族への正義の実現という名目が、政権の強硬姿勢を誇示する手段になりかねません。

国家権力への歯止めの弱体化:死刑囚の尊厳や手続き上の権利を軽視する態度が、国家による暴力を当然視する風潮につながるおそれがあります。

 

死刑を支持する立場に立ったとしても、死刑の執行を国民に見せつける必要があるのか、という問題は別です。公開することで犯罪が抑止されるという主張についても、それを当然の事実として扱うべきではありません。

 

3.今回の措置をどう評価するか

ご指摘の「常軌を逸した行為」という評価は、少なくとも死刑執行を政治的な見せ物にするという点では、十分に理解できます。

 

ただ、今回の問題を人種差別だけに還元すると、さらに重要な問題を見落とす可能性があります。それは、政権が「悪を罰する」という正当性を利用して、国家による殺害を意図的に演出し、国民に見せるという方向へ踏み出していることです。

 

しかも、対象となるのはすでに軍事法廷で死刑判決を受けた人物です。新たに犯罪を防ぐための緊急措置ではありません。執行の日時や場所を犯行に合わせ、さらに中継するという判断には、刑罰の執行を超えた象徴的・政治的な意図が感じられます。

 

私が最も警戒するのは、こうした演出が支持者に「強い指導者が悪人を容赦なく処罰する姿」として受け入れられ、国家権力の行使に対する倫理的な抵抗感を弱めていくことです。

 

問題の核心は、ハサン氏が死刑に値するかどうかだけではありません。国家が人を殺す場面を、政府が国民に見せるべきものとして扱い始めたことにあります。

 

そして、その対象がイスラム教徒であることを政治的に強調する言説が重なっている以上、人種・宗教への偏見がこの演出を増幅させていないか、厳しく検証する必要があると思います。【10月9日 ChatGPT】

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国家が人を殺す場面を、政府が国民に見せるべきものとして扱い始めた・・・・根拠も論理性もない飛躍であることは百も承知のことですが、ヘグセス国防長官の発想や、それを認めるトランプ大統領の言動を見るにつけ、自分たちの信じる国家観を実現するため「力」の行使をためらわず「内乱」も辞さない・・・最終的には「侍女の物語」的な世界の実現・・・・といった恐怖を感じます。

 

(注)『侍女の物語』(原題: The Handmaid's Tale)は、1985年に発表されたカナダの作家マーガレット・アトウッドによるディストピア小説の名作です。環境汚染や少子化が進み、狂信的な全体主義国家「ギレアデ共和国」へと変貌した近未来のアメリカを舞台に、女性の性と生殖の権利が完全に剥奪された恐怖社会を描いています。

 

****『侍女の物語』のような社会は、ある日突然、完成した形で出現するわけではない****

その恐怖感は、単に映画のディストピアを現実に重ね合わせたものとして片付ける必要はないと思います。

もちろん、今回の死刑執行の生中継という一件から、アメリカが『侍女の物語』のような社会へ向かうと結論づけることはできません。

 

しかし、個々の政策の是非とは別に、国家がどのような価値観を掲げ、どのような手段で国民を従わせようとしているのかという観点から、政権の一連の行動をつなげて考えることには意味があります。

 

実際、ヒューマン・ライツ・ウォッチは2026年2月、トランプ政権下での権力集中、移民への強硬措置、批判者への圧力、独立機関の弱体化などを取り上げ、米国の権威主義化への懸念を表明しています。これは政権批判の一つの立場からの評価ですが、懸念が今回の死刑執行だけに限られたものではないことを示しています。

 

1. 『侍女の物語』との共通点は、宗教そのものより「国家観」にある

侍女の物語 が描く社会

宗教的な教義を国家の絶対的な規範とし、「侍女」という階級の女性の生殖能力を国家目的に従属させ、異論を唱える人々を排除する社会です。支配者は、自分たちの行動を単なる権力欲ではなく、社会の秩序や道徳を回復するための使命として正当化します。

 

トランプ政権と作中のギレアデ共和国を、そのまま同一視することはできませんが、比較する意味があるのは、個別の政策が一致するかどうかよりも、次のような政治の論理です。

 

自分たちが信じる道徳や国家像を、社会全体に適用すべきだと考える。

その理想に反する人々を、単なる意見の異なる市民ではなく、国家や社会を脅かす敵として扱う。

その敵に対する強制力の行使を、秩序回復や正義の実現として正当化する。

 

この論理が強まると、民主主義の前提である「異なる価値観を持つ人々が、同じ社会の構成員として共存する」という考え方が揺らぎます。

 

2. 本当に警戒すべきなのは、個々の政策が連動すること

今回の死刑執行の中継だけでなく、報道機関への圧力、移民政策、政治的な批判者への対応、女性の生殖に関する権利などを、別々の政策としてではなく、相互に関連する動きとして見る必要があります。

 

例えば、アムネスティ・インターナショナル米国支部は2026年1月の報告書で、報道の自由、抗議活動、政治的な批判者、司法の独立、移民の権利、国内での軍の利用など、12の領域を権威主義化への警告として挙げました。これは人権団体による評価ですが、今回の懸念と重なる論点が多くあります。

 

特に重要なのは、こうした変化が一度に起こる必要はない、ということです。

まず、特定の集団を社会の問題の原因として位置づける→次に、その集団への強硬な措置を例外的な対応として導入する→それを支持する政治勢力が、司法や行政の監督機能を弱める→強制的な措置に異議を唱える人々を、秩序を妨げる存在として扱う→例外的だった措置が、通常の政治手段になっていく。

 

これは、必ずこの順番で進むという予測ではありません。しかし、権力の集中が進む社会を分析する際に、監視すべき連鎖です。

 

3. 私が考える、いちばん重要な分岐点

『侍女の物語』のような社会は、ある日突然、完成した形で出現するわけではありません。むしろ、社会の一部が「この程度なら仕方がない」「相手は悪人なのだから権利を制限してもよい」と考えることが積み重なり、以前なら許容されなかった措置が受け入れられていく、という過程が重要です。

 

今回の死刑執行の中継についても、問うべきなのは、犯罪者への厳罰を支持するかどうかだけではありません。政府が刑罰を政治的な演出に利用するとき、それを批判する自由や、国家権力の行使に一定の節度を求める考え方まで、弱められていないかという問題です。

 

そして、もう一つ大切なのは、米国社会が一枚岩ではないことです。政権の方針に反対する市民、州政府、裁判所、報道機関、人権団体なども存在します。今後の展開は、政権の意図だけでなく、そうした制度や社会がどこまで機能するかにも左右されます。

 

ご懸念を、将来を予言するものではなく、現在の政治の変化を見落とさないための警戒心として捉えるなら、十分に検討する価値があります。

 

『侍女の物語』との比較で最も重要なのは、社会が最終的にどんな姿になるかを当てることよりも、そこへ向かう過程で、何が少しずつ許容され、どのような歯止めが失われていくのかを見極めることだと思います。【10月9日 ChatGPT】

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『侍女の物語』ギレアデ共和国では、国家への反逆者、不倫や同性愛などの罪を犯した者が民衆の前で絞首刑が公開処刑として行われます。侍女や他の階級の女性たちが出席を義務づけられ、見せしめとして機能します。

 

また、罪人(レイプ魔や反逆者など)を、侍女たちが素手で集団で殴り殺す・引き裂くという凄惨な私刑(リンチ)の儀式も。これは、自由を奪われた侍女たちの日常的な怒りやストレスの矛先を罪人に向けさせ、体制への暴動を防ぐためのガス抜きとして国に利用されています。

 

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ドイツ  極右AfD台頭の中、ベルリンでは急進左派勝利 中道政党が対応できない不満層を左右が争奪

(住宅の社会化を掲げて選挙戦を戦った左派党のエラルプ【10月8日 Newsweek】)

 

【ドイツ東部ザクセンアンハルト州 選挙で大勝した極右AfDが政権に一歩近づくも、なお「防火壁」は存在】

ドイツ東部ザクセンアンハルト州で9月6日の州議会選挙で極右政党が「AfD(ドイツのための選択肢)」が大勝し、初の州首相も視野に入る状況になったことは、9月11日ブログ“ドイツ  極右政党AfDの圧勝を選んだ独国民 「別にナチズムに傾倒している訳ではない」と言いつつ”で取り上げました。

 

ただ、過半数には至っていないため、極右政党との連立を拒む他政党の「防火壁」を越えられるかは今後の連立交渉次第といったところでしたが、先ず州議会の議長ポスト獲得には成功し、AfD政権樹立に一歩近づいたようです。

 

****独東部 戦後初の極右の州議長誕生 議席以上の得票 AfDの州首相誕生の公算高まる****

先月、ドイツの州議会選挙で躍進した極右政党の「AfD(ドイツのための選択肢)」が戦後、初めて州の議長ポストを担うことになりました。AfDは州の首相にも強い意欲を示しています。

ドイツ東部のザクセンアンハルト州では6日、先月の選挙後、初めて議会が開催され、極右政党の「AfD」に所属する議員が議長に選ばれました。

ドイツで極右政党出身の議員が州レベルの議長に就任するのは戦後初めてです。

 議長を選ぶ投票でAfDの議員が過半数の42を上回る48票を得ました。

AfDの39議席とAfDとの協力を否定していない「BSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)」の5議席を合わせた数以上の得票で、他の政党の議員からも票を獲得したことになります。

12月には州首相の選出が予定されていて、AfDは州の代表であるジークムント氏を立候補させる意向です。 ドイツメディアは議長選出の結果を踏まえ、AfDの州首相が誕生する可能性が高まったと報じています。【10月7日 テレ朝ニュース】

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“AfDの州首相が誕生する可能性が高まった”とは言いつつも、今後の展開はまだ不透明でもあります。

 

****独東部州議会の初会合、第1党に躍進のAfDによる政権樹立なお見通せず****

ドイツ東部ザクセンアンハルト州で9月6日の州議会選挙に勝利した極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は6日、同州議会の初会合に臨んだ。ただ歴史的な選‌挙勝利から1カ月が経過した現在も、AfDが州レベルで初となる政権を樹立する明確な道筋は見えていない。

AfDは選挙で第1党となったものの、州首相候補のウルリヒ・ジークムント氏が目標に掲げた過半数には3議席届かなかった。

ジークムント氏は初会合に先立ち、12月に予定される州首相選出投票の第1回投票で議会の支持を獲得したい考えを示した。支持拡大に向けた時間を確保する狙いだが、具体策には言及しなかった。

AfDはこれまでに連立相手となり得る政党から十分な支持を得られて‌おらず、他党議員の離党・転向も表面化していない。このため政権樹立に向けた動きは行き詰まりの様相を呈している。

こうしたこう着状態は、AfDが長年直面してきた課題を浮き彫りにしている。選挙で支持を拡大‌しても、主流政党が協力を拒む「防火壁(フ‌ァイアウォール)」政策の下で行政権力の獲得につなげられないためだ。

現在AfDは旧​東ドイツ地域を中心に有力政治勢力となったが、主要政党がAfDと協力することに反対する有権者は依然として多い。州都マク‌デブルクの州議会前では6日、約400人の抗議参加者が平和的な集会を開き、ドイツ基本法(憲法)を朗読した。参加者の多くは「極右との協力反対」と記し‌た長い赤い横断幕を掲げた。

州憲法に基づき選挙​後30日以内に開かれた今回の初会合では、ジークムント氏に近い35歳の不動産実業家トビ‌アス・ラウシュ氏が、左派ポピュリスト政党「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)」の支持を受けて州議会議長に選出された。AfD所属議⁠員がドイツの州議会で最高職の一つに就くのは初めて。

ラウシュ氏は就任演説で議員間の協力を呼びかけて「政治的な防火壁の時代は過去のものとなるべきだ」と訴えた。

AfDが9月にザクセンアンハルト州を含む3州選挙で躍進したことは、実際に保守陣営内で防火壁政策の有効性を巡る議論を呼んでいる。6日に行われた州議会議長選の秘密投票でも、ラウシュ氏が48票を獲得。AfDとBSWの計44票‌を上回っており、少なくとも4人の他党議員が同氏を支持したとみられる。

 

もっともAfDはここ数週間、前回州選挙から議席を半減させたメルツ首相の政党所属議員の取り込みを図っているが、これまでに離党や転向の発表はない。

今回の議長選は、AfDがBSWの安定した協力を得られるかを見極める機会としても注目された。BSWは連立参加こそ否定しているものの、他党と異なりAfDとの協力を全面的には否定していない。

BSWは、大規模移民に反対しロシアとのエネルギー関係修復を主張する点でAfDと立場が近く、州首相選出投票では棄権する方針を示している。その場合、隣接するテューリンゲン州と同様に、BSWの黙認を受けたAfD少数政権が‌成立することも想定される。ただ、ジークムント氏はこれまで、その形態では小政党への依存が大きくなるとして消極的な姿勢を示していた。

またジークムント氏は、初回投票で必要な多数を確保できなければ、州議会の再選挙を実施する可能性にも言及している。【10月7日 ロイター】

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必ずしも「BSWの協力があれば大丈夫」という訳でもないようです。

 

【首都ベルリン特別市の議会選挙では急進左派「左派党」が第1党に 企業が所有する住宅の「社会化」を公約】

一方、AfDが勝利した東部ザクセン・アンハルト州の州議会選挙の後、9月20日に行われた首都ベルリン特別市(州と同格)の議会選挙では、対照的な動きも。企業が所有する住宅の「社会化」を公約とする急進左派「左派党」が極右AfDをおさえて第1党になっています。

 

****ドイツが「社会主義」に進んでいる?「急進左派」政党が、首都で極右を抑え込む大勝を果たした意味****

ドイツの首都ベルリンの議会選挙で急進左派政党が第1党に。公約に掲げた「企業からの住宅収用」が注目を集めている

 

9月上旬にドイツ東部ザクセン・アンハルト州で行われた州議会選挙では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進したが、同月20日に行われた首都ベルリン特別市(州と同格)の議会選挙は、その流れを覆すとともに、ドイツの政治体制に新たな課題を突き付けた。

 

AfDは過去最高の得票率16.3%を得たが、第1党になったのは、同じく過去最高の25.7%を獲得した左派党だ。同党の市長候補でトルコ系の弁護士エリフ・エラルプ(45)は今や、社会民主党(SPD)と緑の党との3党連立に向けた協議を主導する立場にある。

 

だが、エラルプに対する国内メディアの質問は1点に集中した。選挙戦で掲げた看板公約、企業が所有する住宅の「社会化」を本当に実現するつもりかという点だ。

 

これに対してエラルプは、「常々言ってきたとおり、左派党が政権入りすれば社会化も実現する」と明言。企業の住宅収用は「法的に問題はなく、資金調達も可能で、手頃な住宅価格を保つには最良の手段の1つだ」と続けた。

 

英ガーディアン紙によれば、エラルプは今回の選挙戦に際し、米ニューヨーク市長選で勝利したゾーラン・マムダニの側近から戦略の助言を受けていた。党としても、米上院議員バーニー・サンダース(民主党系無所属)の選挙戦を手本にしていたとされる。だが、左派党のポピュリズム的な公約は、民主社会主義者を自任するマムダニの公約よりもさらに上を行く。

 

ベルリンの人口は増え続け、住宅不足は深刻だ。これまでの市政による対策では、家賃を抑えた住宅を一定数建設することなどにとどまっていたのに対し、社会化は、既存の物件を市が買い上げ、共同所有に移すことを意味する。

 

「ドイツ史上最大級の経済実験に」

左派党が民意と主張する背景には、2021年にベルリンで実施された住民投票がある。大手不動産会社の物件をベルリンが買い上げて公営住宅にする措置の是非について、59%が賛成票を投じた。法的根拠となるドイツ基本法(憲法)第15条は、補償と引き換えに土地や天然資源、生産手段の社会化を認めている(過去に適用された例はない)。

 

「ドイツ史上最大級の経済実験になるかもしれない」と、左派系新聞ターゲスツァイトゥングの共同編集長ウルリケ・ウィンケルマンはフォーリン・ポリシー誌に指摘。国内の大都市で住宅市場が逼迫している状況に言及し、「都市政策の実務に関わる政策で、とてつもない爆発力を秘めている」と述べた。

 

左派党が唱える住宅政策は、さらに大きな意味を持つ。生活必需品の商品化、ひいては弱肉強食の資本主義そのものへの拒絶だ。ベルリン社会化計画は、公共性の高いサービスを共有財に転換し、民主的に運営するモデルになり得る。同時に、規制の小手先の修正だけでは機能不全に陥った制度は立て直せないという問題も浮き彫りにしている。

 

この政策について国内の進歩派は、社会の仕組みを変えるだけではなく、不満や閉塞感から一部の有権者が極右に流れる現状を打開する役割も期待している。

 

その構想は、具体的には大手不動産会社が所有する住宅を「社会化」するところから始まる。エラルプが対象として視野に入れているのは、ベルリンの家賃上昇を招いた一因と見なされる大手営利不動産会社の住宅だ。適正な補償と引き換えに公的所有へ移し、まずはベルリン市が所有する。

 

「ドイツの自由主義国家としての評価を損ねる」の声

ただし左派党が想定するのは政府による長期的な直接管理ではない。公益目的の住宅会社や協同組合、自治体企業など共同所有型の仕組みに移していくことだ。

 

対象は、ベルリン市内で3000戸を超える住宅を所有する営利目的の家主に限定する。約22万戸、市内の賃貸住宅全体のおよそ6分の1だ。なかでも主な対象となるのが、ドイツ最大の住宅不動産会社ボノビア。大手法人家主8社が所有する対象住宅のうち、半数以上を同社が保有する。

 

住宅運動の活動家によれば、社会化は公有化された住宅だけでなく、市全体の家賃を引き下げる効果も期待できる。安い住宅が十分な規模で増えれば、その地区の公的な「家賃指数」が低下し、民間家主が請求できる家賃の上限も抑えられるためだ。

 

左派党は納税者に費用を負担させることはないとしている。市が債券を発行して資金を調達し、家賃収入を返済に充てる計画だ。ただし返済が行き詰まれば、最終的に債務を保証するのは納税者になる。

 

法的なハードルもある。ほとんど使われてこなかった基本法第15条を適用すれば、収用される不動産会社側から法的な異議申し立てが起きる可能性が高い。

 

反対派はこの政策について、基本的な財産権を侵害しドイツの自由主義国家としての評価を損ね、海外のパートナー国にも不安を与えかねないと主張する。だが賛成派にとっては既存の政治理念そのものに挑戦することがこの政策の魅力でもある。

 

主流派による「反対」が皮肉に映る理由

左派党が「収用」ではなく「社会化」という言葉を好むのもそのためだ。「収用」には旧ソ連による資産接収や戦後の東ドイツの土地改革という負の記憶が付きまとう。左派党は、対象住宅の価値を独立機関が算定し、その評価額に基づく補償を市が全額払うと強調している。

 

実現可能性を認める専門家もいる。中道左派系シンクタンクIMKは新たな報告書で、社会化によって家賃規制の対象となる住宅が恒久的に増え、低・中所得層がベルリンで暮らし続けられる環境づくりに寄与すると結論付けた。

 

左派党以外の左派もベルリンの試みがほかの都市や分野へ広がることを期待している。国政レベルのSPDの一部にも電力・ガス供給の再国有化を支持する声があり、交通や医療への応用を唱える団体もある。だが、構想が頓挫する可能性は残る。SPDベルリン支部のシュテフェン・クラッハ共同代表などSPDの主流派が抵抗しているからだ。

 

皮肉なのは、基本法に収用条項を盛り込むよう強く求めたのが戦後初期のSPDだったことだ。将来の社会化に道を残すことが目的だった。だがその後、SPDは旧来型の社会主義から次第に距離を置くようになった。

 

その忘れられていた条項を左派党と、志を同じくする社会運動がよみがえらせようとしている。戦後SPDがかつて思い描き、現状に不満を抱く多くのドイツ国民が今なお夢見る社会主義を実現するために。【10月7日 Newsweek】

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大手不動産会社が所有する住宅を「社会化」するにあたっては、市が債券を発行して資金を調達し、家賃収入を返済に充てることで納税者に費用を負担させることはない・・・・「そんなにうまくいくかね・・・」という不安も正直感じます。

 

また、こうした施策が民間の住宅供給にどのような影響を与えるのかという問題も。

 

【中道政党が、有権者の異なる種類の不満を十分に吸収できなくなり、その不満層を左右の異なる勢力が奪い合っている】

上記のような急進左派「左派党」の勝利は、米ニューヨーク市長選での民主社会主義者を自任するゾーラン・マムダニ氏の勝利、そうした左派勢力が拡大する民主党の党内事情などにも共通する流れです。一方で極右勢力が台頭する欧米の政治状況で、対極に位置する急進左派の躍進をどのように評価すべきか?

 

****中道政治が弱まり、その空白を左右のポピュリズムが奪い合う時代に入っている*****

ご指摘の「一見すると矛盾した現象」は、現在の欧米政治を理解するうえでかなり重要だと思います。

結論から言えば、私はこれを「右極と左極が同時に強くなっている」というより、「中道の既存政党に対する不満が、左右それぞれの急進勢力へ流れている」現象と見るのが適切だと思います。

 

1.ベルリンはまさにその典型

9月20日のベルリン州議会選では、左派党(Die Linke)が25.3%で第1党、前回から得票をほぼ倍増させています。

 

ただし、ここで重要なのは、「ベルリン市民が社会主義化した」と単純に考えないことです。つまり、「資本主義そのものへの反発」というより、「普通に働いているのに、ベルリンに住み続けることが難しい」という生活コストへの怒りを企業が所有する住宅の「社会化」を掲げる左派党が吸収した面が大きいわけです。

 

2.ところが、同じ日にAfDも躍進している

ここが非常に興味深いところです。ベルリンでは左派党が勝った一方、同じ9月20日に行われたメクレンブルク=フォアポンメルン州ではAfDが第1党になりました。さらに9月6日のザクセン=アンハルト州選挙でもAfDが第1党になっています。

 

つまりドイツでは、「左派が伸びたから右派が弱くなった」という関係ではありません。そうではなく、「既成政党への不満 → 右へ行く有権者と左へ行く有権者に分かれている」と考えた方がよい。

 

3.マムダニ氏の現象もかなり似ている

ニューヨークのゾーラン・マムダニ氏の場合も、民主社会主義という理念そのものより、家賃・住宅費・物価・公共交通・格差・若年層の生活困難といった都市生活者の具体的な経済問題が大きな背景にあります。

 

そして2026年6月のニューヨーク民主党予備選では、マムダニ氏が支援した候補が複数の既成民主党候補を破りました。

 

ただし、ここでも注意が必要です。「マムダニ氏の成功=アメリカ全体が左傾化した」とは言えません。実際、現在の米民主党では逆方向の動きもかなり強くなっています。9月30日のReuters報道では、中間選挙を前に、激戦区の民主党候補が「自分は資本主義者だ」と明確に表明する動きが広がっています。共和党側から「民主党=社会主義」という攻撃を受けることを警戒しているためです。

 

つまり米民主党内部では、」マムダニ型の左派化」と「中道・市場経済重視への回帰」が同時進行しています。

 

4.では、なぜ「左右両極」が同時に伸びるのか

ここに現在の欧米政治の共通構造があります。従来は、「保守 ← 中道右派 ← 中道 ← 中道左派 ← 左派」という比較的連続した政治空間でした。

 

ところが現在は、「既存政治では生活が改善しない」という不満が強くなっている。その不満の原因として、住宅価格・家賃、物価、所得格差、移民、治安、産業空洞化、グローバル化、既成政党への不信、政府への不信などが重なっています。

 

しかし、何を最大の問題と見るかによって行き先が違う。

左へ向かう場合 「問題は資本・企業・富裕層にある」→住宅規制、社会保障、富裕層への課税、公有化などを要求→左派・社会民主主義・民主社会主義へ。

 

右へ向かう場合 「問題は移民・国境管理・既存エリート・国家主権にある」→移民制限、国境強化、ナショナルアイデンティティーなどを要求→右派ポピュリズム・AfDなどへ。

 

つまり、出発点には共通する不満があるが、「原因は何か」という認識が違うのです。

 

5.したがって「極右と極左は対極だから正反対」とだけ考えると見誤る

むしろ興味深いのは、両者に共通する政治的特徴があることです。

 

共通する特徴・・・・既成政党への不満、エリート批判・「普通の人」を重視、現状への急激な変更、既存の政治秩序への不信

 

つまり「右と左が同時に強くなった」というより、「中道を経由せず、問題を直接解決すると訴える政治勢力が強くなっている」と見ると、ベルリン、ニューヨーク、そして欧州各国の動きがかなり一本につながります。

 

ですから、「社会が極端に分裂して、左と右が同じ勢いで伸びている」というより、「中道政党が、有権者の異なる種類の不満を十分に吸収できなくなり、その空白を左右の異なる勢力が奪い合っている」と見る方が、現在の状況をよく説明できます。

 

そして、今後もっと重要なのは「急進左派が政権を取った後」です。ベルリンの場合、左派党は第1党になったものの、単独で政権を作れるわけではありません。SPDや緑の党との連立が必要になります。ここで、「公有化・家賃規制・再分配をどこまで実際に実行できるのか」が問われます。

 

マムダニ氏についても同じです。もし、「急進左派の政策でも、住宅・物価・交通などを実際に改善できる」と有権者が評価すれば、これは単なる一時的な反既成政党現象ではなく、欧米左派の新しい政治モデルになる可能性があります。

 

逆に、財政負担や行政能力、企業・投資との摩擦などで成果が出なければ、「結局、過激な公約を掲げただけだった」

という反動が起きる可能性もあります。【10月8日 ChatGPT】

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バルト三国  NATO・ロシア対立最前線 戦略的に重要な「スヴァウキ回廊」 3国には異なる事情も

(カリーニングラードとスバウキ回廊【10月1日 毎日】) ロシアがNATOに対し、同国の飛び地カリーニングラードをロシア本土から孤立させようと試みれば、核兵器を含む全ての戦力を使用する用意があると書簡で警告したと報じられています)

 

たびたび取り上げているように、欧州とロシアの緊張が高まっており、欧州側では、ロシアが破壊工作や情報操作などの非軍事的な手段を組み合わせた「ハイブリッド攻撃」を激化させているとみて警戒が強まっています。

“デンマーク情報機関、露による「数カ月以内」の西側への破壊工作と軍事攻撃のリスクを警告”【9月25日 産経】

“ロシアとの武力衝突リスクに直面、ドイツ連邦情報局長官が警告”(10月5日 ロイター)

 

一方、ロシアも欧州側の動きを警戒しており、もし欧州・NATOがバルト海に面するロシアの飛び地カリーニングラードを切り離そうとした場合、核兵器の‌使用も辞さないと警告しています。

“ロシア、NATOに核使用辞さずと警告 バルト海巡り緊張”(10月1日 ロイター)

 

こうしたロシア・プーチン大統領の言動については、10月2日ブログ“プーチン大統領のNATOへの不安・警戒が生む強硬姿勢→不安を現実にする「安全保障のジレンマ」”でも取り上げました。

 

そして、この欧州・NATOとロシアの緊張の最前線に位置するのがリトアニア・ラトビア・エストニアのバルト三国。

 

最前線という重要な位置にあるため、最近、メディアでも三国に関する記事を目にする機会が増えています。ともに旧ソ連時代に抑圧を経験し、ロシアに対する強い反感・警戒心を抱く小国・・・という点では共通しますが、当然ながら異なる事情もあります。

 

【リトアニア NATOの「アキレスけん」スバウキ回廊】

地理的条件で言えば、エストニアがロシア本土、ラトビアがロシア本土とベラルーシに接するのに対し、リトアニアはロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシに挟まれる形。

 

****リトアニア上空でNATO戦闘機がドローン撃墜、ロシアから飛来の可能性****

バルト3国の一つ、リトアニアは、北大西洋​条約機構(NATO)のイタリア軍戦闘機が現地時間【9月)15日午前0時過ぎにリト‌アニア上空で無人機(ドローン)を撃墜したと発表した。イタリアのクロセット国防相は、このドローンは「ほぼ間違いなく」ロシアから飛来した​ものとの見方を示した。

 

リトアニア国家危機管理センターによる​と、ドローンはロシアの同盟国ベラルーシからリトアニア領空に侵入した後、リトアニア第2の都市カウナスに近い南部プラトクナイ付近で撃墜された。

 

イタリアのクロセット国防相は、NATOのバルト防空任務の一環としてイタリア軍戦闘機が駐留するシャウレイ空軍基地で記者団に対し、「イタリアの戦闘機が出動し、ほぼ間違いなくロシアから来た脅威を撃墜した」と述べた。

 

リトアニアのカウナス国防相は記者団に対し、撃墜されたドローンには爆発物が搭載されていなかった可能性が高いと‌述べた。その上で、ロシアによる挑発行為だったのか、それとも別の国のドローンだったのか明確に判断するために、撃墜されたドローンの残骸を調査する考えを示した。ロシアはこの件について今のところ​コメントしていない。(中略)

 

ラトビア、リトアニア、エストニアのバルト3国は2004年にNATOに同盟。以降、NATOのバルト防空任務に従事する戦闘機が3国の上空を警戒飛行している。ロシア周辺国では軍用無人機が領空に迷い込む事案が相次いでおり、ロシ​によるウクライナ侵攻がNATOの境界地域に波及する懸念が高まっている。【9月15日 ロイター】

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ドローン侵入のように、ロシアのリトアニアへの関心が高いのは、リトアニアとポーランドの間にある約100kmの「スヴァウキ回廊」が、バルト3国とポーランド・ドイツなどNATO中核地域を結ぶ陸上の重要ルートであるという戦略上の背景があります。

 

ロシア側から見れば、「スヴァウキ回廊」を抱えるリトアニアはロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシを結ぶ戦略上の重要地域です。

 

****NATOの「アキレスけん」スバウキ回廊とは****

実際にロシアが軍事行動に踏み切った際に最も懸念されているのが、リトアニアとポーランドの国境地帯「スバウキ回廊」(全長約100キロ)が制圧されることだ。

 

ロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシを結ぶ戦略的な要衝で、ここがロシアによって遮断されれば、バルト3国は他のNATO加盟国と分断される。NATOの「アキレスけん」とも呼ばれる理由だ。【10月6日 “NATOの「アキレスけん」抱えるリトアニア 対露で募る危機感” 毎日】

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ロシアの飛び地カリーニングラードの問題は、“ロシア、NATOに核使用辞さずと警告 バルト海巡り緊張”(10月1日 ロイター)という核兵器使用の懸念にも繋がってきます。

 

そのため、リトアニアのロシアへの警戒感は極めて強く、国内でも安全保障対策を強化する動きとして、核兵器を含む大量破壊兵器の国内配備を禁止する憲法の条文の削除が議論されています。

 

****リトアニア、核兵器禁止条項撤廃へ 議会で第1回採決通過****

リトアニア議会は6日、核兵‌器を禁じる憲法の条項撤廃⁠提案について、1回目の投票で可決した。議員141のうち106人が賛成票を投じ、可決に必要な3分の2以上の賛成を確保した。条項撤廃‌には2回目の投票でも3分の2以上の賛成が必要となり、来年1月12日に採決‌が予定されて‌いる。

禁止条項はリトアニアが旧ソ連から独立して以降、30年以上維‌持されてきた。ロシアによるウクライナ‌への全面侵攻などを経て、バルト3国などの‌安全保障上の前提が変化していることが示された形となった。

リトアニアのナウセーダ大統領は、国内に核兵器を配備する計画は当面ない‌ものの、条項撤廃により安全保障環境が変化した場合には対応できるようになると説明。各党が禁止条項の撤廃案で合意したと述べていた。

 

ナウセーダ氏は7月、リトア‌ニアが引き続き核拡散防止条約(NPT)の締約国にとどまることも表明している。【10月7日 ロイター】

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【ラトビア――「ロシアとの対立を国内にも抱えている」】

バルト三国の人口構成の違いはかなり大きく、2025年時点の推計では、民族的ロシア人はリトアニア約5%に対して、ラトビア約23%、エストニア約21%。ラトビアでは家庭内でロシア語を使う人も約38%に達します。

 

“10月3日には人口180万人の欧州の小国ラトビアが総選挙を行う。規模だけを見れば(この同時期に選挙が行われる)イスラエル・ブラジルとは比較にならない。しかし「バルト3国(エストニア・ラトビア・リトアニア)」の一員として占める地政学的な意味は小さくない。

 

ロシアと国境を接する欧州連合(EU)・NATO加盟国だからだ。 現政権はウクライナ支援、国防費拡大、ロシアの影響力遮断などを政策課題として掲げている。簡単に言えば親EU・親NATO路線だ。

 

最近、ドローン(無人航空機)がラトビア領空を侵犯すると、「ロシアをどこまで警戒するのか」をめぐり世論が割れた。ドイツはラトビア領空を守るためユーロファイター戦闘機を追加配備することにした。もし現政権が政権維持に失敗すれば、NATOの最前線が揺らぐ可能性がある。”【9月29日 中央日報】

 

ロシア人比率が高いラトビアでは、ロシアとどのように向き合うかという外交・安全保障の問題は、国内問題に波及します。

 

現在のラトビア政治では、ウクライナ支援や対露強硬策を支持する勢力と、ロシア語話者の支持を集めるポピュリスト・親露系勢力との対立が見られます。10月の選挙でも、この問題が一つの争点になりました。

 

そのラトビアで10月3日に行われた選挙では、ウクライナへの支援に積極的な与党が第1党となっています。

 

****ラトビア与党の中道右派「統一リスト」が第1党の勢い 親ウクライナ、連立焦点****

バルト3国の一つ、ラトビアで3日、一院制議会(100議席)の総選挙が実施された。地元メディアの出口調査によると、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援に積極的なクルベルグス首相の中道右派「統一リスト」が得票率35.6%で、2位以下に大差をつけ第1党となる勢い。単独過半数には届かない見通しで、連立交渉が焦点となる。

 

ラトビアではロシア系住民が23%を占め、親ロ派の政党の台頭も見込まれる。ロシアとのつながりが強いポピュリスト政党「ラトビア・ファースト」が第2党、ウクライナ支援に批判的な「主権」を中心とした政党連合が第4党になる見通し。

 

ロイター通信によると、クルベルグス氏は「驚くほどいい結果だ」と語り、首相の座にとどまる考えを表明した。ラトビア・ファーストとは連立しない考えも示した。

 

ラトビアでは今年5月、ウクライナがロシアに向け発射したとみられる無人機が石油貯蔵施設に落下し爆発。シリニャ前政権が無人機対応を巡る対立で崩壊し、クルベルグス政権が発足した。ラトビアは人口約185万人で、北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の加盟国。ロシアと国境を接する。【10月4日 産経】

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ラトビアは3国の中で、ロシアとの関係を考える際に国内のロシア語話者問題が最も重要です。ソ連時代の人口移動の結果、独立回復時点でロシア人などロシア語圏の住民が非常に多く、現在でもラトビア社会に大きなロシア語圏があります。

 

したがって、対ロシア安全保障を強化する→ロシア語圏住民との関係が国内政治問題になるという構図が生じやすい特徴があります。

 

【エストニア――「ロシア本土と直接向き合う国」】

エストニアは地理的には非常に分かりやすく、ロシア本土と直接国境を接しています。特に有名なのがナルヴァです。

 

エストニア東部のナルヴァ周辺にはロシア語話者が多く、「ロシアとの国境」+「ロシア語住民」という二つの問題を同時に抱えています。

 

一方、エストニアにはフィンランドとの歴史・言語・経済的な結びつきが強いという特徴もあります。

 

安全保障面では現在かなり積極的です。エストニア政府は2026年の国家安全保障概念で、ロシアを「最大の存立上の安全保障脅威」と位置づけています。また現在のエストニア軍は、ロシアとの国境近くへ主要部隊を移す「前方防衛」を強化しています。【10月7日 ChatGPT】

 

【3国とも、NATOの増援が到着するまで持ちこたえられるかが重要】

3国とも「小国なので、ロシアと単独で戦うことを想定していない」・・・その点でリトアニア・ポーランド国境の「スヴァウキ回廊」がバルト三国とNATOを結ぶ生命線となります。

 

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3国に共通している最大の弱点が、「小国なので、ロシアと単独で戦うことを想定していない」ことです。そのため、NATOの増援が到着するまで持ちこたえられるかが重要になります。NATO自身も東部戦線について、ロシアの脅威を受けて増援能力・防空・航空戦力などを大幅に強化しています。

 

そして、ここが今回の「リトアニア NATOのアキレスけん」の意味につながります

リトアニアだけが特別に「ロシアに弱い」というより、「バルト3国全体が地理的にNATOの本体から突出している」ことが問題なのです。

 

その中でもリトアニアは、カリーニングラード+ ベラルーシ+ スヴァウキ回廊という三つの要素が集中しているため、現在のロシア・NATO対立を考えるうえで非常に重要な位置になっています。

 

したがって、最近リトアニアのニュースが急に増えたように見えるのは偶然ではなく、ウクライナ戦争の「バルト海・NATO東部戦線」への波及を考えると、リトアニアが非常に重要な場所だからです。

 

なお、ロシア側もカリーニングラードをめぐるNATOとの対立を強く意識しており、9月末にはロシアが、NATOによってカリーニングラードが孤立させられる場合の核使用を示唆する警告を出しています。NATO側は現時点でロシアによるNATO領土への差し迫った攻撃はないとの認識を示しています。

 

つまり「バルト三国」は一つの安全保障圏ですが、ロシアとの関係を詳しく見ると、3国はかなり違う――特に「リトアニアは地理的、ラトビアは社会・政治的、エストニアは地理+民族問題」という違いがある、という整理が一番分かりやすいと思います。【10月7日 ChatGPT】

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スペイン  家賃高騰・住宅不足で抗議の声が広がる サンチェス首相は解散・総選挙の「賭け」に

(マリカルメン・アバスカルさんは23日、ストレッチャーに乗せられて自宅のアパートから立ち退きさせられた(マドリード)【9月30日 BBC】)

 

【家賃値上げで87歳の女性が退去を迫られた件が火をつけた家賃高騰・住宅不足問題】

右派が優勢となる欧州にあって、「左派の牙城」を守るスペイン・サンチェス政権は住宅問題をめぐる社会混乱の中で解散・総選挙という“賭け”に出る状況となっています。

 

騒動の発端となったのは3倍以上への家賃値上げに対応できず立ち退きを迫られた87歳女性でした。

 

****87歳女性、70年以上住んだ部屋から強制退去 スペインで波紋****

観光客の短期滞在向けアパート需要の高まりで住宅難が深刻化しているスペインで、家賃を巡る交渉が成立せずに70年以上住んだ部屋から87歳の女性が退去を迫られた問題が波紋を呼んでいる。各地で抗議運動が起き、与野党も反応して社会・政治問題化している。

 

退去を迫られたのはマドリード中心部のアパートに住んでいたマリカルメンさん。スペインメディアなどによると、父が1956年に当時の大家と結んだ契約を引き継ぎ、月約500ユーロ(約9万円)の家賃を払っていた。

しかし、新たに部屋を買い取った不動産投資会社が2018年、家賃を2650ユーロへと引き上げると告げた。その後の交渉で1650ユーロに下げたが、それでも毎月の年金支給額を上回る水準だった。

 

法廷で争った結果、26年3月に不動産会社側に有利な判決が確定。そして9月23日、新しい家賃を拒否していたマリカルメンさんは担架に乗せられ、警察が周囲を封鎖する中で強制的に退去させられた。

 

スペインでは、観光客が大量に押し寄せて住民らの生活に影響をきたすオーバーツーリズムが社会問題となっている。家賃も高騰しており、不動産大手によると、マドリードの家賃は15年からの10年間でほぼ2倍に上昇した。住宅難の象徴としてマリカルメンさんの陥った事態は耳目を集めた形だ。26日にもマドリード中心部でデモが計画されている。

 

穏健左派の社会労働党を率いるサンチェス首相は23日、「容認できない社会的な悲劇だ」と述べ、借り主の権利強化を含めた法整備を急ぐ考えを示した。一方で中道右派の最大野党・国民党は、住宅問題に対処できていない政権の責任を追及する構えだ。

 

スペイン国営放送RTVEによると、マリカルメンさんは入院したものの容体は安定している。「私の家は私の人生そのものだった。離れても、闘いはやめない」と語った。【9月26日 毎日】

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経緯の詳細は把握していませんが、社会問題化したこともあってかマリカルメンさんは結局元の住宅に戻れることになったようです。

 

【オーバーツーリズムだけでなく、根底には住宅不足という構造要因】

マリカルメンさんの悲劇を生んだスペイン・マドリードの家賃高騰について、上記記事は“観光客の短期滞在向けアパート需要の高まりで住宅難が深刻化”としていますが、問題はそこだけにとどまりません。根底には住宅不足という構造要因があります。

 

****スペインの家賃高騰の原因****

資料を突き合わせると、「オーバーツーリズムが最大の原因」とまでは言えず、「住宅不足という構造問題を、観光客の急増が特定地域でさらに悪化させている」と見るのが適切です。

特に重要なのは、スペイン全体と、観光地・大都市圏を分けることです。

 

1. スペイン全体では「住宅供給不足」が根本原因

OECDによると、2022~24年のスペインでは新規住宅建設許可が約34.5万戸だったのに対し、新たに形成された世帯は約60.4万世帯。つまり約26万戸の供給不足がこの3年間だけでも生じています。住宅不足は2022~25年で約60万戸と推計されています。

 

背景には、金融危機後の住宅建設の低迷、建設労働者不足、建設用地不足、建築許認可の遅さ、建設コスト上昇、移民増加・世帯数増加、社会住宅の極端な少なさなどがあります。

 

欧州委員会も、スペインでは都市・大都市圏・観光地で住宅不足が特に深刻で、土地・許認可など供給側の制約が大きいとしています。

 

したがって、観光客が突然いなくなっても、住宅危機そのものは残ります。

 

2. しかし「観光」が非常に大きな増幅要因なのも事実

ここは毎日の記事の指摘が重要です。バルセロナ、マドリード、マヨルカ、カナリア諸島、地中海沿岸などでは、「普通の住民が住む住宅→観光客向け短期賃貸」への転換が起きています。

 

欧州委員会も、都市・観光地域では短期賃貸などが住宅ストックのかなりの部分を占める地域があり、供給が需要増に追いつかないことで地元住民向け住宅が減少し、住宅価格・家賃を押し上げていると明記しています。

 

つまり、「住宅不足 × 観光客需要」の掛け算になっているわけです。

 

3. さらに「観光客そのもの」だけではない

スペインの住宅危機では、観光客だけでなく、「外国人労働者・移民の増加+国内人口移動+若者の世帯形成」も住宅需要を押し上げています。

 

OECDは、スペインの約60万戸の住宅不足について、移民と都市・観光地域での世帯形成による需要増を主要な要因として挙げています。

 

つまり、「外国人観光客が住宅を奪っている」だけでは説明できません。

「人口・雇用が集中する場所に人が集まる→そこでは住宅建設が追いつかない→さらに観光客向け短期賃貸が住宅を吸収する→地元住民向け賃貸がさらに減る→家賃が急騰」という構造です。

 

結局、スペインの住宅問題は、供給不足を解消しながら、観光による住宅の商業利用と、現在住んでいる弱者の保護をどう調整するかという、かなり難しい政策問題になっています。【10月6日 ChatGPT】

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【急騰する家賃と住宅不足の中で、低所得者・脆弱な世帯を守るための政令 野党の反対理由】

マリカルメンさんの悲劇が住民の不満に火をつける形で、抗議行動が広がりました。

 

****住宅危機、数万人が抗議デモ=家賃高騰に怒り―スペイン****

スペイン各地で3日、危機的な住宅不足と家賃高騰に直面した大勢の市民が街頭に繰り出し、抗議デモを行った。地元メディアによると、首都マドリードには主催者発表で50万人(当局推計7万人)が参集。東部バレンシアではデモ隊の一部が警官隊と衝突し、拘束された。

下院は2日、政府が社会的弱者を住宅危機から守るため制定した政令の承認を野党などの反対多数で否決。デモ隊はこれに反発する一方、「(危機の)責任は政府にある」とも訴え、前倒し総選挙を検討するサンチェス首相に圧力をかけた。(後略)【10月4日 時事】

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サンチェス政権の政令案内容と野党の反対理由は以下のとおり。

 

****政府が社会的弱者を住宅危機から守るため制定した政令案の内容と野党の反対理由****

今回否決されたのは、正確には住宅対策の政令が2本です。政府の狙いは、急騰する家賃と住宅不足の中で、低所得者・脆弱な世帯を守りながら、手頃な住宅の供給を増やすことでした。

 

1.政令案の主な内容

脆弱な世帯の立ち退き(強制退去)を原則として停止・・・・住む場所を失う代替住宅がない場合、一定の条件で立ち退きを2030年末まで停止。 特に投資ファンドや大規模所有者による立ち退きを強く制限。

 

既存の賃貸契約を延長・・・契約終了時に家主が一方的に退去を求めることを難しくし、一定期間の契約延長を認める。

 

家賃の値上げを抑制・・・既存契約について、急激な家賃上昇を抑える仕組みを導入。

 

「短期賃貸」「民泊・部屋貸し」への規制強化・・・本来は住宅用なのに、短期賃貸として運用することで家賃が高騰することを防ぐ。 部屋貸しについても、各部屋の家賃合計が住宅全体の適正家賃を上回らないようにする仕組みなどを盛り込んだ。

 

家主への税制上の優遇・・・家賃を引き下げたり、基準以下の家賃で長期的に貸したりする家主には、所得税の優遇措置を与える。

 

投資ファンドなどによる住宅取得を一部制限・・・住宅を投機目的で大量取得する動きを抑える措置も含まれていました。

 

2.なぜ野党は反対したのか

最大野党の国民党(PP)、右派のVox、そしてカタルーニャ独立派のJuntsなどは、「住宅を保護するどころか、逆に住宅供給を減らして家賃をさらに上げる」と批判しました。

 

特にJuntsの主張は分かりやすく、家主にとって賃貸住宅を提供するメリットを政府が次々と削れば、「家主が住宅を賃貸市場から引き上げる → 賃貸住宅が減る → 家賃がさらに上がる」という論理です。

 

つまり、政府と野党では住宅危機の原因について認識が正反対なのです。

政府側

野党側

家賃高騰の原因 → 家主・投資ファンド側の強い市場支配

家賃高騰の原因 → 住宅そのものの供給不足

だから家賃規制・立ち退き規制が必要

規制を強めると家主が貸さなくなる

弱者を保護すればよい

まず住宅を大量に供給すべき

投資ファンドなどを規制

投資・賃貸供給を萎縮させるべきではない

 

そして今回、かなり重要なのがJuntsが政府側から離反したことです。最初はサンチェス政権を支える側だったJuntsの7議席が反対に回ったことで、政府は172対178で敗北しました。

 

要するに、今回の否決は単なる「弱者保護策への反対」ではなく、「家賃規制などで既存の賃借人を守るべきか、それとも規制を緩めて住宅供給を増やすべきか」という、住宅政策の基本理念そのものをめぐる対立です。【10月6日 ChatGPT】

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【サンチェス首相 解散・総選挙の「賭け」に】

この政令案否決を受けてサンチェス首相はその後、11月29日の前倒し総選挙を発表しています。住宅問題がスペイン政局を直接動かすところまで来ています。

 

****EU「左派の牙城」スペイン総選挙へ サンチェス首相「家賃高騰への怒り」に続投賭ける****

スペインのサンチェス首相は5日、国会を解散し、11月29日に総選挙を行うと発表した。家賃高騰への抗議デモが広がる中、住宅危機への対応を掲げて続投の賭けに出た。欧州連合(EU)政治で右派が優勢になる中、サンチェス政権が「左派の牙城」を守れるかどうかに注目が集まる。(後略)【10月6日 産経】

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【今回の与野党対立は「住宅危機のコストを誰が負担するのか」という問題】

今回の事態を住宅政策の視点から見ると、野党側・Juntsの「家主にとって賃貸住宅を提供するメリットを政府が次々と削れば、家主が住宅を賃貸市場から引き上げる → 賃貸住宅が減る → 家賃がさらに上がる」という主張は「正論」ですが、それだけでは騒動の発端になった87歳の女性が退去を迫られた問題のような弱者の犠牲を伴う・・・バランスが重要です。

 

*****「住宅危機のコストを誰が負担するのか」という問題****

まさにそこが、スペインの住宅問題の難しいところです。

Juntsの主張には経済学的にはかなり筋があります。賃貸住宅の供給を増やさなければ、需要が強い地域では家賃を持続的に下げることは難しい。逆に、家主に厳しい規制をかけすぎると、「規制強化 → 賃貸の採算性低下 → 売却・自宅利用・短期賃貸への転換 → 長期賃貸住宅の減少 → 家賃上昇」という逆効果が起こり得ます。

 

一方で、これは長期的な市場全体の話です。

目の前にいる「87歳の女性に、家賃を払えないから出て行ってください」と言われている人にとっては、住宅供給が5年後に増えるかどうかは関係ありません。代替住宅が見つからなければ、退去によって生活そのものが破壊される可能性があります。

 

そこで本来は、両者を同じ政策で解決しようとせず、

① 供給を増やす政策・・・・公営・社会住宅を大量に増やす、民間住宅の建設を促進する、空き家を賃貸市場に戻す、建築規制・土地利用規制を見直す

② 現在の弱者を守る政策・・・・一定の所得以下・高齢者・障害者などについて退去猶予、代替住宅を行政が確保するまで強制退去させない、家賃補助を行う、家主には一定の補償をする

という二層構造にするのが政策的には自然です。

 

特に重要なのは、「家主を保護すること」と「弱者を保護すること」を対立させないことだと思います。

例えば87歳の女性が家賃を払えないとして、単純に「家主は退去させてはいけない」とすると、その損失を家主が負担することになります。小規模な個人家主なら、それによって自分の生活が苦しくなる可能性もある。

 

逆に、「高齢者を退去させてよい。ただし行政が代替住宅を用意する。それまで家主には家賃相当額を補償する」という仕組みなら、「高齢者 → 住居を失わない 家主 → 一方的に損失を負わない 社会 → 長期的には住宅供給を維持する」という三者の利害をある程度両立できます。

 

ですから今回の対立は、単純に「弱者保護派 vs 弱者切り捨て派」と見ると本質を外します。

むしろ、「住宅危機のコストを誰が負担するのか」という問題なのだと思います。

 

政府案はそのコストの一部を家主・大規模所有者側に負担させる方向、Juntsはそれでは供給が減るので、より大きな負担を政府・社会全体が引き受けて住宅供給を増やす方向、と見ると両者の対立がかなり明瞭になります。

 

そしてスペインの場合、住宅不足が非常に深刻になっているため、「家賃規制だけ」でも「市場に任せるだけ」でも解決しにくいというのが、おそらく一番重要な点でしょう。【10月6日 ChatGPT】

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【カタルーニャ独立派のJuntsの離反で、「今の不安定な少数政権をあと1年近く続けるより、住宅危機への国民の怒りが最も強い今、選挙をして議席構成を変える」という賭けに出る】

政治の側面で見ると、サンチェス首相にとってカタルーニャ独立派のJuntsの反対が重要です。

 

2023年7月の総選挙では、サンチェス氏率いるPSOEが単独過半数を取れず、政権継続にはカタルーニャ独立派のJuntsの7議席が必要になりました。そこで11月、サンチェスとJunts党首カルレス・プッチダモンの間で合意が成立。カタルーニャ独立派への一定の見返りを条件にJuntsはサンチェス氏を支持し、サンチェス氏は過半数をクリアしました。

 

ただ、Juntsは「政権を成立させるために協力するが、政策ごとに取引する外部協力者」であり「サンチェス政権を支持する党」ではありません。

 

政府案に対しJuntsが反対したり、直前に政府側と条件交渉をしたりすることが繰り返されました。2025~26年にはカタルーニャ問題でも対立が深まり関係がさらに悪化、2026年になると、住宅政策でも決裂。

 

Juntsが住宅政令に反対したことで、サンチェス政権は重要法案を通せないことが明確になり、最終的に11月29日の総選挙という展開につながっています。

 

****解散・総選挙という「賭け」に出たサンチェス首相の狙いは?*****

現時点(10月6日)で見ると、サンチェス首相の「賭け」はかなりリスクの高いものです。世論調査だけを見れば、再び政権を取れる状況にはまだありません。現在の政党別予想獲得議席数だけならサンチェス氏はかなり不利です。

 

それでも、なぜ今「賭け」に出たのか・・・ここがサンチェス氏の狙いでしょう。

今回の住宅危機には、実はかなり有利な材料があります。

 

10月初めの世論調査では、「家賃・住宅価格の規制に賛成:67.5% 脆弱な人の立ち退き延期:70~75%程度が賛成 社会住宅の供給拡大:82.4% 手頃な家賃で貸す小規模家主への税制優遇:79.7%」となっています。

しかも興味深いのは、最大野党PP支持者の56.5%、右派野党Vox支持者の55.2%も家賃規制を支持していることです。

 

つまり、「住宅危機を何とかしてほしい」という社会的要求そのものは、左派だけのものではない。・・・サンチェス氏はここに目を付け、「私たちは住宅危機に対処しようとした。しかしPP、Vox、Juntsがそれを阻止した」という構図で選挙を戦おうとしているわけです。Reutersも、住宅問題を事実上の「国民投票」にする狙いがあると分析しています。

 

ただし、大きな問題がある

サンチェス氏にとって最大の問題は、住宅問題だけで選挙が決まるわけではないことです。現在は、移民問題、政府・PSOE周辺の汚職疑惑、妻や兄弟をめぐる疑惑、カタルーニャ独立派への恩赦、左派陣営の分裂・・・など、サンチェス政権にとって不利な争点もあります。

 

特に左派側ではSumarの弱体化が深刻です。2023年には31議席だったSumarが、現在の平均では10議席程度。さらにPodemosも別行動を取っており、左派票が分散しています。

 

したがって、「住宅問題ではサンチェス側に追い風がある」≠「PSOEが選挙で勝てる」という状況です。

 

では、サンチェス氏は何を狙っているのか

私は「単純に選挙に勝てると判断した」というより、現状維持の方が危険だと判断した可能性が高いと見るのが適切だと思います。

 

今の議会では、「PSOE+Sumarだけでは過半数なし→Juntsなどに毎回譲歩する必要→重要法案が成立しない→政権が「何も決められない」状態になる」という問題があります。

 

そこでサンチェス氏は、「今の不安定な少数政権をあと1年近く続けるより、住宅危機への国民の怒りが最も強い今、選挙をして議席構成を変える」という賭けに出た、と考えられます。

 

ただ、現時点の世論調査を見る限り、「サンチェスが勝つための賭け」というより、「現在の劣勢をひっくり返せる可能性に賭けた選挙」という表現の方が近いでしょう。

 

そしてもう一つ非常に重要なのは、仮に最大野党の中道右派PPが第一党になっても、実際の政権成立には選挙後の各党の対応も関係します。

 

したがって11月29日の選挙は、単に「サンチェスが勝つか負けるか」だけでなく、「PP+Voxという右派政権が成立するのか、それとも再び複数の地域政党を巻き込む議会交渉になるのか」が大きな焦点になりそうです。【10月6日 ChatGPT】

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アメリカ連邦最高裁判事  最高裁が“左右双方の政治闘争の直接の標的になっている現状”に警告

(アメリカ連邦最高裁判事9人【2024年5月26日 日経】)

 

【トランプ大統領、自らの政策を支持しない保守派最高裁判事の指名を後悔】

アメリカでは国を分断するような政治的な対立が訴訟に持ち込まれて司法の場で結着することが多く、そのため政権にとって政策実行のためには最高裁判事の構成(政権寄りの判断を下すような判事の人選)が極めて重要となります。

 

1期・2期を通してトランプ大統領の最大の政治実績は間違いなく次々に保守派判事を送り込んだことで、ざっくり言って、現在の連邦最高裁判事9人のうち、保守派は6人です(残りの3人はリベラル派)。もちろん“保守派”“リベラル派”と言っても大まかな区分で、各判事の判断はケースバイケースなのは言うまでもありません。

 

政権はあと2年で終わりますが、最高裁判事は終身制なので、その後も十年、場合によっては二十年とその影響が残ります。

 

大統領令を乱発するようなトランプ大統領の強引な政権運営もあって、下級審判断を含めると、政策に関する司法判断のニュースが頻繁に報じられていますが、中間選挙絡みで重要な司法判断のひとつが郵便投票を制限するトランプ大統領の試みに関する最高裁判断でした。

 

****米最高裁、郵便投票を制限するトランプ氏の計画認めず 中間選挙控え政権に打撃****

米連邦最高裁は14日、全米の有権者への郵便投票用紙の送付方法を変更するというトランプ大統領の物議を醸す計画について、認めない判断を示した。選挙当局者からは、中間選挙で実施されれば壊滅的な結果になると警鐘を鳴らす声が上がっていたが、最高裁は政権の申し立てを退けた。

 

近年の最高裁が扱った緊急案件の中でも、とりわけ重要性が高い今回の訴訟で、過半数の判事が変更を差し止める判断を示した。変更が実施されれば、数百万通の郵便投票用紙の送付を保留する前例のない権限が米郵政公社(USPS)に与えられていたとみられる。共和党の一部の選挙当局者も、混乱や大規模な投票権の剥奪(はくだつ)につながる可能性があると警鐘を鳴らしていた。

 

最高裁は、政権側が「本案訴訟で勝訴する可能性は低い」と述べたものの、3文からなる署名なしの命令では説明をほぼ加えていない。保守派のサミュエル・アリート判事とクラレンス・トーマス判事は反対意見を表明した。

 

最高裁の判断は、不正が横行しているとの虚偽の主張を唱えて郵便投票に長年反対してきたトランプ氏にとって、大きな敗北となる。ただ、トランプ氏自身は郵便投票を利用している。

 

政権側は今回の申し立てを、不正防止を目的とした郵便規則の「控えめな」変更と位置づけていた。しかし、トランプ氏に批判的な人々は、憲法違反の権力掌握行為だと形容。実施する準備はUSPSの側でさえ十分整っていないと反発していた。CNNはホワイトハウスにコメントを求めている。

 

保守派のブレット・カバノー判事は同意意見を執筆し、政権の申し立てはUSPSの権限の範囲内に相当する可能性があるものの、「州や地方の選挙当局者には選挙前にこの規則を合理的に実施する十分な時間がない」との見解を示した。【9月15日 CNN】

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保守派判事6人のうち、アリート氏とトーマス氏だけがトランプ政権側に立ち、カバノー氏、ゴーサッチ氏、バレット氏、ロバーツ氏はトランプ政権の変更を認めない多数派に加わったという構図です。

 

この最高裁判断に、“自らの政策を実行させるために保守派判事に送り込んだ”と考えているトランプ大統領はかなり怒っています。

 

****トランプ氏、最高裁判事3人の指名を後悔 自身に「反対票多すぎ」****

トランプ米大統領は、連邦最高裁による最近の判決を巡り、‌ゴーサッチ、バレット、カバノーの3氏を最⁠高裁判事に指名したことを後悔していると述べた。

トランプ大統領は9月30日に行われた 米誌タイムとのインタビューで、自身が最近批判を強めている3判事を指名したことを後悔してい‌るかとの質問に対し、「している」と回答。「私は彼らに一生に一度の地位を与えたのに、彼‌らはあまりにも頻繁に私に‌反対票を投じている」と不満を示した。

トランプ大統領は1期目に3人を指名。これにより、最高裁は‌保守派が6対3で多数派を形成し、2020年以降、保守色が強まった。

トランプ大統領は「私は‌忠誠心を好む」と発言。最高裁判事にもそれを求めるのか‌との質問に対しては、「忠誠心はいらない。良い判断が欲しい」と応じた。

最高裁は9月、米郵政公社(USPS)が郵便投票を対象とする規則を執行することを認めない判断を示した。11月の中間選挙を控え、郵便投票の制限を目指してきたトランプ大統‌領にとっては打撃となった。

トランプ大統領は判決直後、自身が指名した保守派判事らについて「もはや私が最高裁判事として面接した人物ではない。抜け殻に過ぎない」と批判していた。 

また、最高裁が2月に、トランプ大⁠統領が非常事態権限に基づいて発動した広範な関税措置を違法とす‌る判断を下した際も、トランプ大統領は「深く失望した」とし、一部判事について「心から恥じている」と述べていた。【10月1日 ロイター】

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【保守派アリート判事 「最高裁や判事たちを威圧する組織的な動きが存在する」との危機感】

こうした状況で、米連邦最高裁判所の保守派判事の一人であり、冒頭の郵便投票制限の案件でも政権側を支持したサミュエル・アリート判事が「最高裁や判事たちを威圧する組織的な動きが存在する」との危機感を明らかにしています。

 

サミュエル・アリート判事については、“2022年、アメリカで中絶の権利を約半世紀にわたり保障していた「ロー対ウェイド」判例を覆した最高裁判決をめぐり、その判決を批判したイギリスのボリス・ジョンソン首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相、英王室のハリー王子らの名前を挙げて、彼らの最高裁判決への批判を逆に批判し返す言動を行い、米最高裁判事が公の場でこのような発言をするのは極めて異例であったため、大きく報道された”【ウィキペディア】ということもありました。

 

****米最高裁の未来を懸念 判事「威圧する組織的な動きある」****

米連邦最高裁判所のサミュエル・アリート判事は4日、判決に対する厳しい世論や政治的圧力により、最高裁の未来を懸念していると危機感を募らせた。

 

最高裁は近年、数十年にわたり認められていた連邦レベルでの人工妊娠中絶の権利を撤廃したほか、退任後に4回起訴されたドナルド・トランプ大統領に対し、在任中の公的な行為に関する広範な免責権を認めるなど、米社会の根幹を揺るがす判決を下してきた。

 

最高裁は伝統的に米国の政治的混乱や対立を超越した存在とみなされてきたが、最近の世論調査では不人気や不信感が高まっていることが示されている。

 

また世論や政治的な圧力も強まっており、とりわけトランプ氏自身が、関税から出生地主義による国籍取得に至るまで、最高裁がどのように判断すべきかについて大声で主張する異例のキャンペーンを展開している。

自身が指名した裁判官が不利な判決を下した際、トランプ氏は名前を挙げて「忠誠心がない」と激しく批判してきた。

 

自著の出版に伴う貴重なインタビューに応じたアリート判事は、米フォックス・ニュースに対し、保守派が多数を占める最高裁の9人の裁判官は公人の発言を無視するよう努めていると語った。

 

「裁判所に影響を与えて判決を左右させようと、最高裁や判事たちを威圧する組織的な動きが存在する」と同氏は述べ、「私は最高裁の未来を懸念している」と続けた。

 

トランプ氏にさまざまな問題で広範な裁量を認めた一連の判決への不満に加え、クラレンス・トーマス判事ら複数の判事が長年にわたり富裕層から高額な贈り物や豪華なもてなしを受けていたことが発覚するなど、最高裁の倫理的な問題をめぐり、多くの国民が怒りを募らせている。

 

先週発表されたギャラップの世論調査によると、最高裁に対する国民の評価は、1972年に同機関が調査を開始して以来最も低い水準となっている。ギャラップによると、最高裁の仕事を評価すると答えた米国の成人はわずか34%で、過去最低を記録した7月の33%とほぼ変わらなかった。 【10月5日 AFP】AFPBB News

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【揺らぐ最高裁への信頼】

上記記事にあるトーマス判事らに関する“疑惑”については以下のようにも。

 

****最高裁判事の倫理的な問題*****

米調査報道機関「プロパブリカ(ProPublica)」などの報道や上院司法委員会の調査により、主に以下のような事実が明らかになっています。 

 

主な疑惑と判事たちの内容

クラレンス・トーマス判事
共和党の大口献金者で不動産王のハーラン・クロウ氏をはじめとする複数の資産家から、20年以上にわたり、プライベートジェットでの移動、豪華ヨットでのクルーズ、高級リゾート地(アディロンダック山地など)での滞在、スポーツイベントのVIP席チケットなど、数百万ドル(数億円)相当の接待や贈り物を受けていたとされています。また、親族の不動産取引や子どもの学費支援なども含まれていました。

 

サミュエル・アリート判事
富豪のポール・シンガー氏らから、アラスカでの豪華な釣り旅行やプライベートジェットでの移動といった接待を未開示のまま受けていたことが指摘されています。

 

アントニン・スカリア元判事(故人)
上院の報告書によると、過去に富裕層からの未開示の旅行接待を200回以上受けており、これが最高裁内での慣行の先駆けになっていたとも指摘されています。【10月5日 Gemini】

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【アリート氏の発言の真意 「最高裁が左右双方の政治闘争の直接の標的になっている状態」そのものを危険視】

でもって、保守派判事のサミュエル・アリート氏の発言に戻ると、彼は何に対して危機感を募らせているのか?

もう少し具体的に・・・

 

****サミュエル・アリート判事発言の真意*****

今回のアリート判事の発言は、単に「最高裁を批判する人が多くて不愉快だ」という話ではありません。発言全体を見ると、かなり明確に「最高裁の判決を政治的圧力によって変えさせようとする動きが強まっており、それが司法の独立そのものを脅かしている」という警告です。

 

特に重要なのは、アリート氏が「concerted effort to intimidate the court(最高裁を威圧する組織的な努力)」というかなり強い表現を使ったことです。

 

具体的に何を指しているのか・・・今回の発言には、大きく4つの対象が重なっています。

 

① トランプ大統領による最高裁判事への直接的な圧力

これは現在かなり目立っています。

トランプ氏は、自分の政策に反対する判決を出した判事を名指しで批判し、ときには「裏切った」という趣旨の発言までしています。

 

しかも問題なのは、トランプ氏が単に「判決は間違っている」と言うだけではなく、「最高裁はこの問題についてこう判断すべきだ」という形で、係属中の案件についても公然と注文をつけていることです。

 

アリート氏は今回、トランプ氏だけを批判しているわけではないものの、こうした大統領による最高裁への圧力を明らかに問題視しています。

 

② 民主党側からの「最高裁改革」要求

こちらは少し分かりにくいところです。

現在の最高裁は保守派6、リベラル派3という構成です。そのため民主党側からは、判事の任期制導入・倫理規則の強化・最高裁の定員拡大などの改革論が出ています。

 

特に最高裁の定員を増やす案は政治的に非常に敏感です。例えば民主党政権が判事を4人追加すれば、現在の保守派優位を一気に崩せます。

 

アリート氏から見ると、これは単なる制度改革ではなく、「現在の判決傾向が気に入らないから、判事の構成そのものを変えてしまおう」という政治的圧力にも見えるわけです。実際、今回の発言は最高裁改革論を念頭に置いたものだと報じられています。

 

③ 最高裁に対する抗議・批判の激化

ここはアリート氏自身にかなり直接関係します。2022年のDobbs判決で、アリート氏は多数派意見を書き、約50年間続いた人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた歴史的判決「Roe v. Wade」の判例を覆しました。

 

その結果、アリート氏への激しい抗議、自宅周辺での抗議活動、脅迫、身辺警護の強化、旧友との関係悪化などが起きました。今回もアリート氏は、Dobbs判決によって友人を失ったことに触れています。

 

そして、政治的に論争のある判決を出せば、どちらか一方から強く嫌われるのは仕事の一部とした一方で、身体的脅迫や嫌がらせは「新しい現象」であり、非常に危険だと述べています。ここには彼自身の経験がかなり反映されていると思われます。

 

④ そして意外に重要なのが「最高裁内部の負担増」

今回のインタビューで私がむしろ注目するのはこちらです。

アリート氏は、トランプ政権2期目になって、最高裁に持ち込まれる緊急申立て(emergency applications)が急増したと述べています。

 

トランプ政権が大統領令を大量に出す→下級裁判所が差し止める→政権が控訴→最高裁に緊急判断を求める・・・・という流れが非常に増えています。

 

アリート氏は、これは単なる最高裁の忙しさの問題ではなく、「憲法が想定していた政治制度がうまく機能していない」ことの結果だ、と説明しています。

 

つまり、議会で法律を成立させる代わりに、大統領が大統領令で政策を進め、それを司法が次々と判断する。結果として、政治 → 司法への負担が異常に大きくなっている、という認識です。

 

では、アリート氏が本当に心配しているのは何か

ここを整理すると、今回の発言の意味がかなり分かりやすくなります。

アリート氏は、「最高裁への批判をやめろ」と言っているわけではありません。実際、最高裁は常に正しいことをしてきたわけではないと自分から認めています。

 

問題は、批判 → 脅迫 → 政治的圧力 → 判事の構成変更という方向へ進むことです。

彼が恐れているのは、「この判決が気に入らない」→「だから判事を変えろ」→「判事が従わないなら名指しで攻撃する」→「それでもダメなら最高裁そのものを改造する」という政治の論理が司法に入り込むことです。

それを彼は「intimidate the court」と表現しているわけです。

 

ただし、非常に興味深いのは「アリート氏がトランプ側にも距離を置いている」こと

ここは今回の記事を読むうえで重要です。アリート氏は保守派で、トランプ政権の政策と結果的に一致する判決も多い。しかし今回のCBSインタビューでは、「トランプ大統領による最高裁批判も、バイデン大統領・政権による批判も、ともに有害だった」という趣旨を明確に述べています。

 

つまり、「自分たち保守派の判決を批判するな」というだけではない。むしろ、「大統領が自分の望む判決を出すよう最高裁に圧力をかけること自体が危険だ」という司法制度そのものの問題として話しています。

 

これはアリート氏にしてはかなり重要な発言です。そして、ここに「Dobbs後の最高裁」の苦しさがあります

 

2022年のDobbs判決は、アリート氏ら保守派判事にとっては憲法解釈上の重要な判断でした。しかし社会的には非常に大きな反発を招き、最高裁への信頼も低下しました。

 

その一方で現在は、トランプ氏からも「自分の政策を支持しない判事」への攻撃が行われています。

 

つまり最高裁から見ると、左派からは「保守政治の道具だ」と批判され、右派・トランプ側からは「なぜ自分たちの政策をもっと支持しないのか」と圧力を受ける。

 

アリート氏は、この「最高裁が左右双方の政治闘争の直接の標的になっている状態」そのものを危険視している、と読むのが最も分かりやすいと思います。

 

要するに今回の発言の核心は、「私たちの判決を批判するな」ではなく、「判決が気に入らないからといって、政治権力や政治運動が最高裁を脅し、判事の判断を変えさせようとするようになれば、最高裁が独立した司法機関として機能できなくなる」という警告だと考えるとよいでしょう。【10月5日 ChatGPT】

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しかし、アリート氏の苦悩は続きそうです。

 

中間選挙の苦戦が予想される状況で、トランプ大統領は中間選挙前後に「反乱鎮圧法(Insurrection Act)」を発動し、投票を軍が監視・管理することについて訊かれ、「これまで一度も発動したことはないが発動することはできる。発動すべきだと考える人も大勢いる。」と否定はしませんでした。

“トランプ大統領は中間選挙に軍を出すのか 「反乱鎮圧法」発動を排除せず”【10月5日 FNNプライムオンライン】

 

もし、実際に発動されれば、司法に判断が委ねられる大問題になるでしょう。

 

また、もし中間選挙で敗北して上院多数を失うような事態になれば、新体制が発効する“1月3日の正午”以前に旧体制で駆け込み的に物事を進めてしまおうという動きがでるかも。その中には最高裁判事に関するものも予想されています。

 

“特に上院で過半数を持っているうちに、(中略)新議会になる前に9人の最高裁判事のうち健康不安の出ている保守系判事2人を引退させて保守系の新人にスイッチしておけば、最高裁の保守優勢を今後もキープできる、そんなことも考えるかもしれません。”【9月30日 冷泉彰彦氏 Newsweek】

 

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