2007年12月1日までの記事は「孤帆の遠影碧空に尽き」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze
)にアップしています。
ボリビア・モラレス大統領、辞任・亡命に 割れる評価 揺れるチリ、注目されるブラジル・ルラ氏釈放

(亡命のため乗り込んだメキシコ空軍機内でメキシコ国旗を持つボリビアのモラレス氏=11日【11月12日 毎日】)
【ボリビア クーデターか民意の反映か】
南米ボリビア大統領選挙では、事実上、憲法の再選規定を破って4選を目指して出馬を強行した左派モラレス大統領と野党候補の争いとなり、開票率約83%段階の選管当局の集計速報によると、得票率はモラレス氏が約45%、メサ氏が約38%と、その差が10ポイント未満で決選投票が行われると見られていました。
しかし、その後その後集計速報が止まり、21日夜に再開するとモラレス氏がリードを10ポイント超に広げており、決戦投票なしでモラレス氏が当選した・・・との結果発表が。
さすがにこれでは野党候補側が納得するはずもなく、国際社会も集計発表が中断した24時間に何が起きたのか説明を求めていました。
その後は、国内外の批判に加え、軍・警察からも辞任を迫られる形で、結局、モラレス氏は辞任を発表、更に「生命の危機にさらされている」としてメキシコに亡命することに。
****メキシコ亡命申請 ボリビア大統領、出国か****
南米・ボリビアで退陣を求める声に押されて辞任を発表したモラレス大統領が11日、メキシコに亡命を申請し、すでに出国したとみられる。
モラレス大統領は先住民出身の左派で、先月の大統領選で4選を果たしたが、ロイター通信などによると、得票に不正操作があったとの疑惑が浮上し、激しい抗議デモが続いていた。
さらに、軍や警察からも辞任を迫られたことなどから、10日、辞任を発表した。
11日には同じ左派の大統領が政権を握るメキシコに亡命を申請。メキシコは「生命の危機にさらされている」などとして、亡命を受け入れる方針を示していた。
メキシコの外相は、「モラレス氏を乗せた軍用機は出発した」とツイッターに投稿していて、すでにボリビアを出国したとみられる。【11月12日 日テレNEWS24】
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今回の一連の動きに関しては、野党勢力・軍によるクーデターとするモラレス氏側・左派政権諸国・ロシアと、民意の反映とする野党勢力・右派政権諸国・アメリカで評価が分かれています。
****クーデターか、民意の表れか ボリビア大統領のメキシコ亡命が生む新たな混乱****
大統領選の開票作業で不正があったと指摘されたことなどを受け辞任表明した南米ボリビアの左派、モラレス大統領は11日、亡命先のメキシコに向け空路出発したとツイッターで明かした。
国内では与野党双方の支持者間で衝突が相次ぎ、暫定大統領の選任手続きは進んでいない。モラレス氏の辞任は民意によるものか、あるいはクーデターと見るべきか、国内外の見方は割れ、混乱が拡大する懸念が出ている。
モラレス氏はツイッターで「政治的な理由で国を離れるのはつらい。より多くのエネルギーを備えすぐに戻ってくる」と復帰を誓った。
これに先立ち、同じ左派政権のメキシコはモラレス氏が亡命申請をし、これを受け入れたと発表していた。モラレス氏は、野党が操る軍に迫られ辞任に追い込まれた「クーデター」だと主張。メキシコやベネズエラ、ニカラグアなど中南米の左派諸国やロシアも同調した。
一方、野党側は「国民の抗議活動は、不正に対する民主的行動」だったとし、ブラジルやアルゼンチンなど周辺の右派諸国もこれを支持する。米国のトランプ大統領も「自由を求めるボリビア国民と憲法を守るボリビア軍を称賛する」とモラレス氏の辞任を歓迎。
さらに「民主主義は常に勝つという強力なメッセージだ」と述べ、独裁色を強めたことを理由に米国が制裁を科すベネズエラとニカラグアに警告した。
11日にモラレス氏の辞表を受け取った国会は12日、辞任の承認や暫定大統領の選任手続きを進める予定だ。だが、大統領不在の場合に代理を務める副大統領や上院議長らも一斉に辞任。
野党のアネス上院第2副議長は、自身が暫定大統領を務め、やり直し大統領選を管理すると主張するが、混乱は避けられそうにない。
国会がある事実上の首都ラパス周辺では、辞任を認めないモラレス氏支持者が幹線道路を封鎖し、議員の登庁を妨害する構えだ。対抗する野党支持者は国会周辺に陣取っており、双方の衝突は各地で相次いでいる。略奪や放火も続発し、ほとんどの学校や店舗は閉まり、公共交通機関はストップした。
2006年にボリビア初の先住民出身の大統領となったモラレス氏は、貧困層を中心に人気が根強い一方、今回の大統領選には事実上、憲法の多選に関する規定を破って出馬し「独裁的」と批判を受けた。選挙結果についても米州機構(北米・中南米の全35カ国加盟、OAS)が不正と指摘していた。【11月12日 毎日】
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おかしな小細工をせずに決選投票を行っていれば、第1回投票で45%あまりを獲得していたモラレス氏ですから、十分に勝機はあったようにも思うのですが・・・・
これまでの3回の大統領選挙では1回目決めており、決選投票はしたくないという長期政権の「驕り」でしょうか。
あるいは、決選投票にもつれ込んだ際の結果に対する「不安」でしょうか。
周辺国の評価が割れているため、10日段階では亡命機が出国できていない・・・といった報道もありました。
“別の報道によると、モラレス氏を乗せた大統領機は10日午後3時40分ごろ、アルゼンチンに向け離陸したが、国境を接するアルゼンチン、チリ、ペルー、ブラジルに領空の飛行を拒否された。専用機はその後、モラレス氏の政治的な地盤であるボリビア中部コチャバンバ県の空港に着陸した。”【11月12日 朝日】
亡命を受け入れたメキシコは左派のロペスオブラドール氏が昨年12月、大統領に就任した左派政権で、「メキシコ政府がモラレス氏を迎えに行く」とも報じられていました。
モラレス氏の亡命、後任大統領が決まらないという権力の空白が生じており、一部では暴動も起きているようです。
****ボリビア、モラレス氏辞任で権力の空白 暴動も****
南米ボリビアでは、先月の大統領選での不正疑惑をめぐり数週間にわたり続いた抗議デモの末にエボ・モラレス大統領が電撃辞任したことで、権力の空白状態が生まれている。モラレス氏は11日、自身の地位を奪った反対派勢力に対し「国の平和を回復する」よう求めた。
同国の政府所在地ラパスの一部と近郊のエルアルトでは10日夜、略奪行為が起き、店舗やオフィスが破壊された。ラパスのルイス・レビジャ市長は「ラパスは恐怖の夜を過ごした」と述べ、暴動によりバス64台が破壊されたと明らかにした。
アンントニオ・グテレス国連事務総長は、指導者不在の様相が強まる同国での治安状況に懸念を表明。米州機構も「平和と法の秩序の尊重」を呼び掛けた。
同国ではモラレス氏の辞任表明後、大統領権限の継承者である副大統領や上下両院の議長らが次々と辞任したため、誰が最高指導者の地位にいるのかについての疑問が生じている。
大統領権限を継承する次の人物として憲法で定められているヘアニネ・アニェス上院副議長は、新たな選挙の迅速な実施を宣言した。議会は12日、暫定大統領の選出手続きを開始する予定。
10日の辞任表明後、コカノキ栽培で知られる同国中部チャパレ地方に逃れたモラレス氏は、ツイッターで、反対派勢力に対し同日起きた暴動の「責任を取る」よう要求。
同国初の先住民出身大統領だったモラレス氏は、大統領選を争った野党のカルロス・メサ元大統領と反モラレス派指導者ルイス・フェルナンド・カマチョ氏について、「人種差別主義者でクーデターを企てた人物として歴史に残るだろう」とも述べた。 【11月12日 AFP】
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【チリ 反政府デモの要求に屈する形で新憲法策定に着手】
以前から取り上げているように、南米ではボリビア以外でも、左派政権のバラマキ政策で財政が悪化、右派政権に代わったものの、「痛みを伴う改革」に国民が反発・・・といった形で政治混乱が起きていますが、そのひとつがチリ。
チリでは先月20日のデモ開始時からこれまでに20人が死亡したとのこと。
デモの影響で、ピニェラ大統領は年内に予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と国連の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の開催中止に追い込まれていました。
****反政府デモ続くチリ、改憲へ デモ隊の主要要求****
反政府デモが3週間にわたって続いているチリのゴンサロ・ブルメル内相は10日、新憲法の草案作成が始められると発表した。
新憲法の草案は憲法制定会議で作成され、その後国民投票によって承認されるという。アウグスト・ピノチェト独裁政権(1973〜90年)下で制定された現憲法の改正はデモ隊の主要な要求の一つだった。
発表に先立ちブルメル内相は、これまで改憲に最も消極的だった中道右派と右派による政党連合と協議した。
チリではここ3週間、低い賃金、高い教育費や医療費、一握りのエリート層による政治と経済の独占、格差の拡大などに不満を爆発させた市民らが、時に暴徒化しながらデモを繰り返している。
発端は、地下鉄料金の値上げに反対して10月18日に始まった抗議行動だったが、デモの規模は拡大し、物を燃やしたり略奪したりする行為や、デモ隊と警察の衝突が頻繁に起きた。
デモ隊が掲げる要求の一つが改憲だが、世論調査会社カデムが3日に発表した調査結果によると、国民の87%が憲法改正に賛成しているという。 【11月11日 AFP】
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新憲法策定に着手するということで、ここ数週間にわたる反政府デモの要求に屈した格好ともなっています。
【ブラジル 人気が高いルラ元大統領釈放で左派が息を吹き返すか?】
一方、「ブラジルのトランプ」ことボルソナロ大統領のブラジルでは、国民的人気の高いルラ元大統領が釈放されたことで、今後の動きが注目されています。
****ブラジル、ルラ元大統領釈放 経済改革への影響に懸念も****
収賄罪などで有罪判決を受け、昨年から服役していたブラジル元大統領のルラ被告が8日、裁判所の判決によって南部クリチバの収監先から釈放された。金融市場には動揺が走り、政界では右派、左派ともにデモを呼び掛けるなど反響が広がった。
ルラ被告は、昨年の大統領選で勝利した極右のボルソナロ大統領について、自身が所属する左派・労働党が2002─16年に担った政権を「略奪」したと批判。
ただ、市場では、ルラ被告が政界に復帰し、野党を一致結束させて市場寄りの政策を推進するボルソナロ政権に対抗するとの懸念が広がり、通貨レアル<BRBY>と主要株価指数のボベスパ<.BVSP>は同日、ともに1.8%下落した。
最高裁は7日、二審で有罪になれば刑の確定を待たずに収監されるとする判例は違憲との判断を下した。これを受けて連邦裁判所は8日、ルラ被告の釈放を認めた。ルラ被告は昨年、収賄罪で禁錮8年10月の有罪判決が言い渡されていた。被告は無罪を主張している。
コンサルティング会社アルコのルーカス・デアラゴン氏は、ルラ被告の釈放は「労働党を強めるだけでなく、アンチ・ルラ、ひいてはボルソナロ派の強化につながるとみられる」と指摘。
議会における労働党の勢力は弱いため、ルラ被告の釈放がボルソナロ政権の掲げる経済改革にすぐに影響を与えるとは言い切れないものの、来年の地方選挙を前に左派が息を吹き返す可能性はある。
デアラゴン氏は「市場にとって大きな問題は2020年の選挙にルラ氏が立候補できるかどうかで、その可能性は低い」とした。
人を引き付ける演説力でカリスマ的な人気を誇ってきたルラ被告だが、2025年まで選挙に立候補すことが禁じられている。今回の釈放は三審で刑が確定するまでの措置で、裁判が長期化する可能性もある。【11月11日 ロイター】
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ウズベキスタン 前独裁政権と決別し、「改革」を進める現政権

(ティムールの故郷にたつ銅像)
ここ数年のウズベキスタンの政治・社会を表すキーワードは「改革」でしょう。
その「改革」の出発点となったのが、独裁者カリモフ大統領の死亡でした。
****<ウズベキスタン>内政の不安定化懸念 カリモフ大統領死去****
ウズベキスタンで2日死去が発表されたイスラム・カリモフ大統領(78)の葬儀が3日、故郷の中部サマルカンドで営まれた。独裁体制を敷いた初代大統領の死去が内政の不安定化につながらないか懸念される。
国外の専門家らは、葬儀委員長に選ばれたミルジヨエフ首相(59)が最有力の後継者候補との見方を示している。(中略)
ロシアの中央アジア専門家、グロジン氏は「ウズベキスタンのエリートたちは体制維持を望んでおり、後継者問題を円満に解決できるだろう」とタス通信に語った。
カリモフ氏は技師出身で旧ソ連共産党員として出世し、ソ連ウズベク共和国党第1書記を経て1990年に共和国大統領になった。91年の直接選挙で独立後の初代大統領に選ばれ、昨年3月の選挙まで連続4選を重ねた。【2016年9月3日 毎日】
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“同国がソ連から独立した1991年をまたいで政権を握り続けたカリモフ氏の支配は拷問と強制労働に支えられていたと人権団体は主張している。カリモフ氏は国外から、一切の批判を容赦なく弾圧する「最も残酷な独裁者の一人」と呼ばれていた。”【2016年9月4日 AFP】
2016年12月4日に実施された大統領選で、首相のシャフカト・ミルジヨエフ大統領代行(59)が得票率88・61%で圧勝し、次期大統領に。
「ウズベキスタンのエリートたちは体制維持を望んでおり・・・」とのことですが、ミルジヨエフ大統領は政治・経済・社会の改革を急速に展開しています。
****シルク大国の夢再び 「インスタ映え」ウズベキスタン、ビザ免除で開放路線走る****
中央アジアに一体化の機運
グローバル化が進み、大陸内奥で山々に囲まれた中央アジア諸国もつながり、開いていく。ウズベキスタンでは養蚕・絹産業が復活、さらに地域大国として改革が進むことが期待され、中央アジアとしての一体感が出始めている。
■「新しいシルク時代の到来」
繭をゆでる生臭い湯気と、糸を紡ぐ機械音のなかで、女性たちは慣れた手つきで仕事をしていた。かつてシルクロードの要衝として栄えたウズベキスタンの古都ブハラにある製糸工場。社長のバフティヨル・ジュラエフ(39)は「忙しくて休みもなくなったが、新しいシルクの時代の到来だ」と笑顔で語った。
実は、ウズベキスタンは1000年を超える養蚕の歴史を持つ。ソ連時代は周辺国に繭や生糸を輸出していた。しかしソ連が崩壊し、独立すると政府の買い上げがなくなった。経済も停滞、中国産が台頭して養蚕業は衰退した。
約90年前に創業したジュラエフの会社も、この20年間に2度の倒産を経験した。
養蚕・絹産業の復活を試みた政府は、2009年から本格的に日本の技術的支援を受け始めた。さらに、経済改革を掲げて16年に就任した大統領ミルジヨエフ(61)が絹産業の振興方針を示したことが追い風になった。(中略)
従業員女性(39)は「給料が増え、夫は出稼ぎに行かなくても済むようになった」と話した。
■新大統領が走る開放路線 観光も活性化
1991年の独立以来、大統領職にあったカリモフが2016年に78歳で死去。後継のミルジヨエフは孤立主義的な外交、経済政策の転換に着手した。
ウズベキスタン出身で中央アジアの政治に詳しい筑波大大学院准教授のティムール・ダダバエフ(43)は「ミルジヨエフは改革を進めて、ウズベキスタンを国際物流における中央アジアの中心に位置づけたい考えだ。経済が活性化すれば、ウズベキスタンの地域大国としての地位も高まる」との見方を示した。
開放で観光も活性化している。昨年2月、日本や韓国など7カ国の観光客について30日以内の滞在であればビザ不要にした。7月には101カ国に対し、5日間のビザなし滞在を認める大統領令を出した。中央アジアの中でも世界遺産をはじめ見どころが多く、「インスタ映えする」と日本からの若い観光客も急増、前年比50%近い伸びだという。(中略)
■「ロシアは警察官、中国は銀行員」
隣国カザフスタンの政治評論家、ドスム・サトパエフ(44)は「中央アジアは地域としてまとまる意識が希薄だったが、最大の人口を擁するウズベキスタンの改革で一体感が芽生え始めている」と話す。
とはいえ、旧ソ連時代から強固な関係を持つロシアの中央アジアに対する軍事的・戦略的な「既得権益」への関心は高い。一方、経済的な中国のプレゼンスは日に日に高まっている。
カザフスタン戦略研究所の元所長で現在は国営放送局理事長のエルラン・カリン(42)は両国を「中央アジアにとってロシアは警察官、中国は銀行員」と表現した。【2月5日 GLOBE+】
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特に、カリモフ前大統領との決別を明確に示したのが、同氏親族の不正を追及し、逮捕した件でした。
“(カリモフ前大統領の娘で元歌手の)カリモワ被告は2017年、ウズベキスタンで詐欺と資金洗浄の罪で禁錮5年の有罪判決を受けて自宅軟禁下にあったが、ウズベキスタン当局は今週、軟禁条件に違反したとして同被告を収監したと明らかにしていた。”【3月8日 AFP】
カリモワ被告に関しては、アメリカ検察当局は3月7日、ロシア通信大手と共謀して総額8億6500万ドル(約960億円)を超える賄賂を受け取り、約10年にわたってマネーロンダリング(資金洗浄)を行っていたとして、「海外腐敗行為防止法」違反で起訴しています。
こうしたウズベキスタンの前大統領との決別は、中央アジアの他の独裁国にも影響を与えており、隣国カザフスタンで長期政権を維持してきたナザルバエフ大統領は3月19日、辞職を表明しています。
自身の政治力があるうちに「院政」を敷く形で、長女など親族への権力移譲を可能にする道筋をつけようとする目的に沿ったものと見られています。
ウズベキスタンで進む改革に、下記のような”熱い“期待も。
***** 中央アジアの隆盛が再び*****
中央アジアは、現在先進国に遅れ地政学的にも孤立気味なので世界から忘れられそうな存在になっている。
しかし、紀元前1000〜2000年前は、東西を結ぶシルクロードの中心のオアシス都市として栄え、東西の文物が行き交った文化・文明の中心地だった。青いモスクや美しい建物にその面影をはっきりと残している。
時代はいま日本や欧米の先進諸国に元気がなく、中国や東南アジア諸国などが成長を遂げて投資を集めている。
中央アジア地域も平均年齢が20〜30代で人口が急増し(20年前のウズベキスタンの人口は2200万人だったが、現在は3200万人)、2025年には1億人に達するとの予測もある。人口増大は成長の柱であることを考えると、21世紀半ばには再びウズベキスタンを中心とする中央アジアの時代がやってきそうな予感がする。【9月20日 嶌信彦氏 JAPAN In-depth】
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ほんの数日の観光旅行でも、ホテル・レストランの対応など、多くの課題が存在していることはすぐにわかりますが・・・・
ウズベキスタン 消失したアラル海に復活の期待も 綿花栽培の労働環境は改善との報告

(塩の大地を行くラクダ。ここはかつて、アラル海の底だった=カザフスタン・ボゲン村、川村直子撮影【2018年8月12日 朝日】)

【縮小したアラル海に改善の希望?】
5日から中央アジア・ウズベキスタンを観光しています。
世界には、 陸の国境に囲まれていて、海岸線を持たない「内陸国」が48カ国あるそうですが、国境を接する全ての国が内陸国である内陸国のことを「二重内陸国」といいます。
つまり、二重内陸国では、海に出るために少なくとも2つの国境を越えなければならないことになりますが、現在世界にある二重内陸国は、リヒテンシュタイン公国(侯国)とウズベキスタンの2カ国のみです。
ただ、ウズベキスタンが「海」に縁がないかと言えば、そういう訳でもなく、かつては漁業も栄え、缶詰などの水産加工工場も多くありました。
というのは「内海」アラル海を擁していたからです。アラル海沿岸の「港町」には、遠くモスクワなどからやってきた船が多く係留されていたとか。
しかし、現在では漁村は消失し、水産加工工場は潰れ、多くの船が干上がった陸地にその残骸をさらす「船の墓場」ともなっています。
原因は、周知のアラル海の急速な縮小です。
****干上がったアラル海のいま 環境破壊、報いの現場を歩く****
中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンにまたがる塩湖「アラル海」。日本の東北地方とほぼ同じ広さの湖面積が、わずか半世紀で10分の1にまで干上がった。
漁村は荒廃し、乾いた湖底から吹き寄せられた塩混じりの砂が町村を襲う。ソ連時代の無謀な水資源計画のつけを、人々は今も払い続けている。
アラル海―20世紀最大の環境破壊
アラル海北部。カザフスタンのボゲン村。白い大地が見渡す限り続いていた。その上を家畜のラクダが村人に引かれて悠々と歩いていく。
雪の大地を行くようだが、白く見えているのは塩湖が干上がって析出した塩だ。かつてはアラル海に面した漁村だった。湖面は今やはるか10キロ先。漁業は衰退し、塩混じりの砂がたまって学校が移転する事態も起きた。
アラル海の湖面積は1960年ごろは6万8千平方キロだったが、近年は10分の1に。
干上がった原因は、ソ連が第2次大戦後に実施した大規模な灌漑(かんがい)政策だ。アラル海に注ぐ、2千キロ以上を流れるシルダリア川とアムダリア川の水を、流域の綿花と水稲の栽培拡大に使った。
国連環境計画によると、60年に約450万ヘクタールだった灌漑農業用地は、2012年には約800万ヘクタールへと増加。それと引き換えに、アラル海に注ぐ年間水量は5分の1以下になった。持続可能でない水利用は、アラル海の水量を保てる量をはるかに超えた。
ボゲン村のような光景はアラル海のいたる所で見られる。カザフスタン・クズルオルダ州政府の資料などから推測すると、漁場を求めたり砂に追われたりして移住を余儀なくされた環境移民は数万人規模に上るとみられる。「20世紀最大の環境破壊」とも言われる。
クズルオルダ州のクリムベク・クシェルバエフ知事(63)は「アラル海の危機は、自然に対する人間の無責任さの実例だ。綿花や米を栽培する必要があったしても、環境と人々の健康に回復不能な損害を与えていいことにはならない」と話す。【2018年8月12日 朝日】
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アラル海の縮小によって漁業関連が壊滅しただけでなく、“最初は強制的な灌漑により耕作できた土地も、塩害の進行とともに放棄せざるを得なくなった”【ウィキペディア】とも。
さらに健康被害も。
****健康の悪化****
砂漠化した大地からは塩分や有害物質を大量に含む砂嵐が頻発するようになり、周辺住民は悪性腫瘍や結核などの呼吸器疾患を患っている。
結核の蔓延には貧困による栄養不足などの複合的な原因があると言われている。
飲料水も問題であり、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、微細な砂を含む飲料水を長期間飲み続けている住民は腎臓疾患を発症している。【ウィキペディア】
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上記のような惨憺たる状況はよく知られているところですが、今回の旅行の現地ガイド氏の話によると、今年1月にカスピ海からの水がアラル海に噴出していることが確認されたそうです。
カスピ海とアラル海の間は地下水脈でつながっていることは以前から知られていました。
では、なぜその水脈が止まってアラル海が縮小したのか、なぜまた復活したのか。
そのあたりは定かではありませんが、ガイド氏の話によれば、ソ連時代、カスピ海とアラル海の間には「爆弾の施設」(核兵器地下実験場のことでしょうか)があったことが、水脈の停止、そして現在の復活に関係しているのでは・・・・との説があるそうです。
いずれにても、この水脈がこのまま稼働すれば、やがてアラル海が復活する・・・・との期待も出てきているとか。
【綿花栽培における労働環境は改善したとのILO報告】
一方、ソ連時代からの綿花栽培の政策的拡大は、ゆがんだ農地・灌漑の拡大だけでなく、綿花収穫時などに大量の労働力を必要とします。
ウズベキスタンは、独立後もソ連的な統治スタイルを維持する傾向が強く、10年ぐらい前でしょうか、NHKのTV番組で、独立後のウズベキスタンでソ連時代の「動員」による強制的な労働が綿花の摘み取り作業においてなされているといったことを報じていました。
しかし、そうしたウズベキスタンにおける綿花栽培の労働環境も改善されたとのILO報告があります。
****ウズベキスタンの綿花畑における、強制労働と児童労働問題の進展 ****

2019年4月、ILOは「ウズベキスタンにおける2018年の綿花収穫で、政府による組織的な児童労働や強制労働はなかった」とする報告書を公表した。
報告書によると、綿摘み労働者の賃金は上昇傾向にあることも明らかになった。
ウズベキスタンは世界第6位の綿花生産を誇り、人口の18%にあたる約250万人が綿摘み作業に従事している。同国では、かつて綿摘み期間中の強制労働や児童労働が深刻な問題となっていた。
ILOは2013年以降、ウズベキスタンの綿花収穫における児童労働の監視を行ってきた。また2015年からは、世界銀行との協定によって強制労働も監視対象としている。
今回公表された報告書は、ILOの専門家及び現地の人権活動家が、ウズベキスタン国内の綿花収穫に携わる11,000人超に、単独かつ匿名でインタビューした結果をまとめたものである。
報告書では、93%の労働者は任意で作業に従事しており、組織的な強制労働は過去の話だとしている。
また回答者のうち、前年比で労働環境が大幅に改善(Significantly better)もしくは若干改善した(Slightly better)と回答した人が63%であり、悪化したと回答した人は2%のみであった。
ウズベキスタンのタンジラ・ナルバエワ副首相は「(綿花収穫の労働問題について)教育機関や地方政府機関向けに様々な意識喚起プログラムや生産能力強化プログラムが実施され、フィードバックのメカニズムも構築されている。今後もILO、世界銀行および市民社会と連携し、この分野で持続的な成果を上げられるよう取り組みたい」と述べる。
また報告書によると、2018年の綿摘み労働者の賃金は前年比で最大85%上昇した。綿摘み作業1人当たりの就労日数は年平均21日ほどで、その収入は個人の年収の39.9%に相当する。
ILOは自発的な就労者がより集まるよう、政府が継続的に賃金を引き上げるとともに、適正な労働・生活環境の確保を提言している。
賃金の引き上げは特に地方の女性に恩恵をもたらしている。ウズベキスタンでは年間115万人が綿花栽培の雑草処理作業に従事しており、うち6割の就労者は女性、かつ85%が地方に居住している。多くの女性にとって、綿摘みや雑草処理作業は重要な収入源であり、家庭環境の改善に役立っている。
一方、報告書は、政府レベルでの取り組みは功を奏しているものの、地域レベルでは多くの課題が残っていると指摘する。
ウズベキスタンの労働省と労働組合が運営する機関が、通報を受けた2,500を超える案件を調査したところ、206人の公務員と幹部職員が強制労働をめぐる違反で罰金、降格、解雇などの処分を受けた。
また、ハインツ・コラー(Heinz Koller)ILO欧州・中央アジア総局長は「2018年は、ウズベキスタンの綿花収穫において、児童労働と強制労働をめぐる改革の進捗とその撲滅に向けた取り組みの成果を示す重要な節目となった。
一方で、綿摘み作業を強制されたと回答した労働者もなお少数(全体の6.8%)いることもわかった。これは、17万人に相当する」と述べる。
ウズベキスタンの綿花収穫における労働問題の進展に対し、歓迎する姿勢を示す人権活動家も現れた。独立系の人権活動家で、ILOによる2018年度の監視活動にも参加したアザム・ファーマノヴ(Azam Farmanov)氏は、「ウズベキスタンでは真の変化が起きており、人々は違いを実感している。いまだ問題が解決していない地域が多くあるが、児童労働と強制労働が大きく改善されたことで、他の問題についても進展が見込まれると楽観視している」と述べる。【5月8日 EGS研究所】
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ウズベキスタン 通貨スムの話 観光三日目の時点での印象 サービス体制には大きな改善余地

(夕暮れ時のサマルカンド・レギスタン広場 11月6日 ウズベキスタン最大の観光スポットですが、さすがに一見の価値がある景観です)
【不透明な為替レート】
5日から中央アジア・ウズベキスタンを旅行中で、観光3日目の今日(8日)は古都ブハラの遺跡巡りでした。
ウズベキスタンの通貨はスム、ネットで為替レートを検索すると「1円=86.5スム」といった数字が出てきますが、実際にガイド氏が両替してくれたレートは「1円=70スム」程度。
ガイド氏のレートが不当に悪いのか・・・そのあたりの事情はよくわかりません。
さらに、現在の状況はよくわかりませんが、2015年当時の記事を見ると、公式レートと市中の実勢レートには倍近い差があるといった指摘も。【2015年8月20日 島田晴雄氏 「ウズベキスタン通貨「スム」の交換レートの不透明性」より】
つまり、市中で闇両替すれば、1円が100スム以上にもなる・・・ということです。
旅行者にとっても本来なら大きな問題ですが、今回はツアー参加のため、現地で使用するおカネは飲み物代など極めて少額ですむので、あまり問題にもすることなくすませています。
【現金社会】
日本でウズベキスタンのことが記事になることは殆どありませんが、珍しく目にしましたので。
やはりおカネの話です。
****札束が飛び交う現金王国ウズベキスタン、キャッシュレス社会へ一歩****
日本をしのぐ「現金王国」がある。中央アジアのウズベキスタンだ。買い物では札束が飛び交うが、財布を持つ人は見かけない。激しいインフレで紙幣の束が分厚くなりすぎ、財布に入りきらないからだ。
首都タシケントにある市場「チョルス・バザール」に入ると、広大な敷地に店が並び、ありとあらゆるモノが売られていた。解体されたばかりの羊や牛の肉、トマトやタマネギなどの野菜、果物、香辛料、陶器、衣類……。
銀行カードで支払いができるという表示はあるが、買い物客はみな通貨「スム」の札束を渡している。ウズベキスタンでは、まだ給料を現金でもらっている人が多く、銀行口座にあまりお金が入っていないという事情もある。
「Cash is King(現金は王様)」。ウズベキスタンの財務副大臣オディルベク・イサコフ(38)はそう言って苦笑した。
2年前から米ドルに対する為替相場は半分以下に急落し、インフレ率は20%近い。「お金が余ったら不動産や牛・羊などを買うか、米ドルに両替する人が多い」。
金利がつかない預金では、価値が目減りすることになり、米ドルや資産に換えれば、逆に価値は上がるからだ。それでも買い物の前には、スムに両替しなければならない。
ウズベキスタンでは2017年に1万スム札と5万スム札、今年は10万スム札が発行された。10万スムでも、日本円では1100円ほどだ。
その前は自動車など高額なものを買うには大量のお札が必要だった。スーパーの大きいレジ袋13袋に札束を詰め込んで販売店に持参し、数えるのに5時間かかったつわものもいる。
そんなウズベキスタンでも、政府はキャッシュレス化に向けた政策を矢継ぎ早に打ち出し始めた。今年5月、ビザやマスターとカードリーダーの規格が同じ銀行カード「フモカード」がつくられ、デジタル通貨の発行まで視野に入れる。
デジタル経済の構築を進める行政組織「NAPM」ファンド部門トップのバホディール・ベコフ(37)は「ブロックチェーン技術を使った電子政府づくりや、デジタル通貨の開発をめざしている」と意気込む。
現金からキャッシュレス、そしてデジタル通貨へ。自国通貨が弱い国の挑戦が続く。【11月8日 GLOBE+】
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円を両替するととんでもない札束になるというのは別にウズベキスタンだけではありません。ベトナム、イラン、インドネシアなどでも。
ほんの数日の印象では、ウズベキスタンで銀行カードやデジタル通貨が流通するというのは、なかなか想像しがたいものがあります。
現在はクレジットカード利用も観光客相手のお店などにかなり限定されていますので。
旅行者にとっては、商品の価格が非常に大きな数字になるというのは非常に厄介なことで、最初は頭の中が混乱します。
まあ、それでも公園のお店でポッポコーンを買おうとするとき、指で「4」を示されれば、それが4万スムではなく4千スムのことだな・・・という程度にはわかるようになりました。
【観光対応については、これから改善すべき問題も多いうような感じ】
実質的な観光はまだ三日しかしていませんが、その大雑把な印象から。
まず、観光資源についてはチムール帝国関連など歴史的な遺産・遺跡が多数存在していますが、イスラム的なものが多いせいもあって、やや単調な印象も。異教徒にとってはイスラムのモスクや神学校というのは、どれもこれも似たような感じに見えてしまいます。(日本を訪れた外国人にとっても、お寺・神社はそんな印象なのかも)
歴史的な遺産・遺跡は多いのですが、自然景観で見るべきものが少ない(あるいは、まだ観光用に開発されていない)のも、印象を単調にします。
料理については、私はあまり食べ物についてあれこれ言う方ではありませんが、他のツアー客からは「なんだか毎日同じようなメニューばっかりで、ワンパターンだ」との不満が多く出ています。
まだ三日経過しただけですから評価は早すぎますが、逆に三日目で「ワンパターン」と言われるあたりには、日本人的感覚とのずれがあるのかも。
ホテル・レストランの対応・設備には、まだまだ改善の余地が大きいようにも。
初日のサマルカンドのホテルでは、シャワーのお湯がほとんど水で、大ブーイングを浴びました。
気温0℃で水シャワーというのは・・・・(私は、気合で洗髪などしましたが)
一部の部屋は暖房も効かなかったようです。
お湯については、翌日夕方に「ガス工事を周辺でやっており、地域一帯でガスが十分に使えなかった」との説明がありました。
問題はトラブルそのものよりも(どこの国でも、日本でもトラブルはあります)、そうした事情は最初から分かっていたはず(分かっているべき)で、説明がなされるまで1日を要したというところでしょう。
ホテル側はお詫びの印として各部屋にワインボトル1本ずつを提供しましたが、そんなことより状況説明を速やかに行うべきでしょう。
二日目に昼食をとったシャフリサブスのレストランでは、ポトフのようなメイン料理がでてくるまでに30分ほども間隔があき、みんな待ちくたびれましたし、予定も遅れることに。
これもガス関連で、ガス供給が十分でなく火力が弱いため、調理に時間がかかっているとか。
ツアー客が2組、合計60名ほどが利用していましたので、大変だというのは想像できますが、受け入れ能力について十分に検討すべきでしょう。
今日三日目のブハラのホテル(11階建ての大きなホテル)でも、観光を終えて3時過ぎという早い時間にホテルに戻ると、部屋のお湯が出ないというトラブルも。客室への給湯のバルブが閉まったような状態にあったようです。
このホテルのエアコン、ものすごい勢いで熱風が吹き出して部屋が暑くなりすぎるため結局使えない・・・ということも。(うまく調整できるのかもしれませんが、私を含めて多くのツアー客が使えませんでした)
まあ、いろんな問題を列挙しましたが、ウズベキスタンが観光に力を入れ始めたのは最近のことですから、これからサービス体制も改善されていくのでしょう。
ウズベキスタンと日本との懸け橋「NORIKO学級」 ウズベクで志を語る若者

(「NORIKO学級」が入る建物の前で、ナジロフ・ガニシェル校長(前列右から2人目)と生徒たち。ウズベキスタン東部リシタン 【2月20日 GLOBE+】)
【「NORIKO学級」開校のいきさつ】
5日から中央アジア・ウズベキスタンを旅行中です。
実質二日目の今日(7日)は、チムール生誕の地シャフリサブスを観光してブハラへ移動。
今回旅行は直行チャーター便利用ということで、観光的にも今後ウズベキスタンを訪問する日本人も増加するとは思いますが、全体的にはまだまだ両国関係は太い繋がりとは言い難い状況です。
そうしたなかで、日本とウズベキスタンの「架け橋」と言えるものに、「歩き方」にも掲載されており、TVでも取り上げられたことがある「NORIKO学級」があります。
*****無料の日本語学校、灯は消さない 創設者の遺志継いだ校長の決意****
首都から車で5時間。中央アジア・ウズベキスタンの小さな町に、日本語を教える無料の私塾がある。20年前の開校以来、ウズベキスタンと日本との架け橋となる人材を多く輩出してきたが、資金的には厳しい運営が続いている。この冬、校長が来日して支援を訴えた。
■ボランティア頼み、綱渡りの運営
「ウズベキスタンでは最近、韓国や中国が経済的な存在感を増していますが、私は日本を応援したいのです。ウズベキスタン人に日本のいいところをもっと知ってほしい」
そう話すのはウズベキスタン東部のリシタンにある日本語学校「NORIKO(ノリコ)学級」の校長、ナジロフ・ガニシェルさん(55)。
昨年の大みそかに来日し、2月下旬まで日本に滞在。学校運営への支援を求めるとともに、各地で出身者の活躍ぶりを見て回った。
リシタンは、首都タシケントから車で約5時間。絹や陶器が有名なフェルガナ盆地にある、人口3万人余りの地方都市だ。
この地にNORIKO学級ができたのは1999年。建設機械大手コマツのエンジニアだった大崎重勝さんが、フェルガナ盆地の他の街にできた自動車工場で重機操作を指導するため、ウズベキスタンと日本を行き来していた。その大崎さんが退職金を元手に、妻の紀子さんと開いた学校だ。学校名は、紀子さんから取った。
ガニシェルさんは工場で運転手や世話係として働いていたが、滞在していた日本人と接しながら独学で日本語を身につけ、開校時には資金も出した。
学校ではこれまで約5000人が学び、100人以上が日本に留学。商社や銀行など日本企業で活躍している卒業生もいる。
大崎さんは体調を崩して2001年に帰国。その後05年に病没した。ガニシェルさんは、大崎さんの遺志を継いで学校を続けることを決めた。
現在、講師はウズベキスタンを観光で訪れる大学生などの日本人ボランティア頼み。
観光シーズンはいいが、寒さが厳しい冬場はほぼいなくなる。講師が学校内の宿泊施設(3食付き)に泊まる際に支払う1泊30米ドルだけが収入だが、支払えない人からは無理には徴収していない。あとはガニシェルさんが材木業で稼いだ持ち出しの資金と有志からの寄付だが、経営は厳しい。
「大阪大学に留学して、将来はダイハツの工場をここに持ってきたい」
記者が昨年12月に学校を訪れると、大阪府豊中市にホームステイしたことのある17歳の男性はそう日本語で夢を語った。
学校では、約15人の生徒が記者を迎えてくれた。ただ、資金難から暖房も付いていなく、室温が10度を下回っていた。
群馬県富岡市に滞在したことがある19歳の女性は「Hey! Say! JUMPの歌を歌うのが好きです」と話した。また、生徒らに知っている日本人を訪ねると、「本田圭佑」「柔道の野村忠宏」「E-girls」などとの名前が上がった。
暖かい季節は150人近くの生徒が通うが、冬場は10分の1に減る。講師もいなくなるため上級生が下級生を教えている。
悩みの暖房だが、以前、石炭ストーブを試すと室内が真っ黒に汚れてしまった。薪は高価で手が出ない。最近まで不安定だった電気が安定供給されるようになり、ガニシェルさんは次の冬からは電気暖房を使いたいと思っている。しかし、変圧器を買う資金はない。
昨年、日本語学校に対して綿花畑などに使われていた近くの国有地の使用許可が出た。3ヘクタールの広さがある。ガニシェルさんは庭園や建築など日本文化を紹介する「日本村」を作りたいという夢があるが、資金のめどが立たない。
ガニシェルさんは今回の来日で、支援を求めて各地を歩いた。富岡市の国際交流協会などから桜と桑の苗木をそれぞれ100本寄贈されたが、企業など大口の支援者は見つかっていない。
ウズベキスタンはいま、変革期を迎えている。1991年の独立以来、カリモフ大統領のもと孤立主義的な外交を展開してきたが、カリモフ氏は16年に死去。後任のミルジョエフ大統領は善隣外交に転換し、経済開放も進めている。
ガニシェルさんは、日本企業にとっていまが進出のチャンスだと強調する。そして、「大崎さんのお陰でみんなの人生が変わりました。NORIKO学級はどうしても残さないといけません」と力を込めた。【2月20日 GLOBE+】
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上記で紹介されている大崎氏とウズベキスタンの関わりが始まった話には、前段があります。
今回のツアーガイドのドストンさん(30歳過ぎぐらいの男性)はリシタンの出身で、彼自身も「NORIKO学級」の生徒でした。その後、文部省の留学生試験にパスして、筑波大で1年学んだそうです。
そのドストンさんのおじいさんがリシタンでは有名な陶器の職人でした。
ソ連崩壊・ウズベキスタン独立時の混乱で、それまでの大きな国営の陶器工場は潰れ、ドストンさんのおじいさんが中心になって、なんとか大勢の陶工たちの生活がなりたつようにあれこれやっていたそうですが、ある展示会でリシタンの焼き物を見た日本大使が九谷焼とコラボすればいいものが生まれると思い、おじいさんと日本大使の交流が始まりました。
その関係でドストンさんのおじいさんは日本に来て九谷焼の技法を学ぶことに。
ちょうどそのときウズベキスタンで工場建設の仕事を請け負っていたコマツは、現地に派遣するエンジニアの日常の面倒をみてくれる人を探していました。
そして、近隣にウズベキスタンから陶工が来日しているのを知り、30名ほどのエンジニアの現地生活の面倒を依頼します。
ドストンさんのおじいさんはこの依頼を受けて、コマツのエンジニアのウズベクでの面倒をみることに。
ドストンさんの家でも大勢のエンジニアが暮らしていたそうです。
そうしたエンジニアの一人が上記記事の大崎氏で、上記のような「NORIKO学級」の話にその後展開したとのこと。
この「NORIKO学級」のおかげで、リシタンの人々の多くが職を得ることができるようになり、暮らしも改善したそうです。
【志ある人】
ガイドのドストンさんと日本の間には、そのような因縁浅からぬものがありますが、ウズベクで発見された150万年前の人骨から始まって、各民族の興亡、更にソ連崩壊後の独立・苦難の時代に至るまでのウズベキスタンの歴史を車中で30分ほど話したあと、「実は私にはある秘密があります」と話始めました。
「私は将来、この国の大統領になりたいと思っています」
独立当時に比べれば改善したウズベクの人々の生活ですが、政治家・上層部にはまだ“ソ連的”な考えが残っているとのこと。
日本留学の経験を経て、そうしたものを一掃して、ウズベキスタンを更に発展させるために必要なものは「教育」だとわかったそうです。
そこでまずは教育面の改革から初めて、やがては大統領になってウズベキスタン全体の改革を進めたいと考えているそうです。
(冗談半分にしても)こういうのを「志」というのでしょう。
日本の若い人たちのなかに、そのような志を持った人がどれほどいるのか・・・?
みんな今ある小さな幸せを守ることだけに気を取られて、大きなトラブルなしに生きることを望んでいるようにも見えます。「志」を語れるひとがどれほどいるでしょうか?
もちろんそれは、日本が豊かになったことによるものですが、少子化、AI技術の革新といった社会の転換点を迎え、非常に懸念されることです。
ウズベキスタン 寒さこらえて歓迎セレモニー鑑賞

(レギスタンス広場で催された歓迎セレモニー)
5日から(自宅出発は4日)から中央アジア・ウズベキスタンを旅行中です。
時間がままならない旅行中ということで、世の中の動きも把握できていませんので、簡単に旅行中のことなど。
(旅行のことは、帰国後、旅行記サイトに詳しくアップする予定です)
5日夜に、ウズベキスタン・サマルカンドに到着。
昨日6日は、終日、サマルカンド市内を観光していました。
普段は自己手配の一人旅ですが、今回はチャーター便を利用したツアーに参加しています。
そんな訳で、普段とはずいぶん勝手が違います。
観光から、食事・ホテルまで、すべてお任せですから、気楽と言えば気楽ですが、自分の都合で動くことはできません。やや煩わしいことも。
サマルカンドと言えば、中央アジアからトルコ・エジプトに至る広大な領域を支配したチムール帝国の都ということで、歴史的遺産が多く、その代表は壮麗さで世界的にも有名なレギスタンス広場でしょう。
そうした観光的な話は旅行記サイトに譲るとして、観光初日の最大の印象は「寒かった!」ということ。
気温は夜は0℃ぐらい、日中も昨日は10℃にとどくかどうか・・・・というところ。
流れ落ちる鼻水を拭きながらの観光でしたが、最大の試練は夜の歓迎プログラム。
何が「歓迎」というと、チャーター便で日本から多くのツアー客がやってきたので、その歓迎セレモニーということ。
第一部は、夕方5時からレギスタンス広場の一角(屋外)でウズベキスタンの民族舞踊・音楽を披露してくれるのですが・・・・
寒いのは予想されていたので、着られるだけ着込んで。シャツを2枚、セーターも2枚、その上に薄手のマウンテンパーカーを。荷物になるので、厚手のコートなどは持ってきていません。
まあ、0度近い気温はともかく、一番の問題は風。
丁度風の通り道にあたる場所だったようで、カメラを持つ手も凍てきます。
最初の1,2曲ぐらいはいいとしても、次第に難行苦行、寒中我慢大会の様相に。
「早く終わって!」という感じにも。
ウズベクの人はあまり商売っ気がないようで、周囲の売店にはひざ掛けや羽織るのに使えそうなものを手にした売り子さんなどがいましたが、特にこちらに売りつけにくることもありません。歓迎セレモニーということで制約されているのでしょうか。
「売りにきたら、買ってあげるのに・・・」と思いながら、ひたすら寒風に耐えます。
踊っている方は、体を動かしていますので、まだいいかも。
寒さのせいか、1時間ほどの予定が40分で終了。
ここで問題発生。
このあと1時間後に、第2部のレギスタンス広場の全体を使ったプロジェクション・マッピングがあるのですが、寒さに耐えかねたツアー客の中から「もう私見ない」という声が。
「帰国したら、面倒みなきゃいけない年寄りがいるから、風邪ひくわけにいかないのよ!」といった声も。
予定では、広場を散策したり、買い物したりで時間を潰すことになっていましたが、急きょバスを呼んで、いったんバスに避難。
なんだかんだで、26名のツアー客のうち10名近くがそのままバスに残ることに。
私を含め、その他の客は、再度寒空のもとに突入。第2部へ。
結果的には、第2部の観覧場所は風が殆どなく寒さは耐えられる範囲、ショーも素晴らしく、「観てよかった」ということに。
前夜ホテルのお湯がでなくてシャワーも浴びられなかったというトラブルもあって、寒さが体の芯までこたえた1日でした。
少子化 日本同様、あるいは日本以上に深刻な中国・韓国の事情
【中国 67歳女性の高齢出産に産児制限違反で罰金?】
現在、ウズベキスタン・サマルカンドに向かうチャーター便のフライト中。
直行便ですが、その分片道10時間のフライト。2時間半経過して、残り7時間半。長い・・・。
退屈なのでブログ更新の下書きでも。
ただし、ネットが使えないので、昨日までに把握している情報の範囲で。
1週間ほど前に、中国のこんな話題が報じられました。
*****67歳の中国人女性が出産、「自然妊娠では国内最高齢」と主張*****
山東省棗荘市の婦幼保険院はAFPに対し、田という姓の女性が25日、帝王切開で健康な女児を出産したと明かした。
中国ニュースサイトの観察者によると、田さんの夫の黄さん(68)は「この子はわれわれ2人に天から授けられた」と話しているとされ、環球時報は、赤ちゃんは「天賜」と名付けられたと報じている。
また済南時報によると、田さんはすでに2人の子どもがいるという。そのうちの一人は、一人っ子政策が導入される2年前の1977年に生まれた息子だという。
田さんの出産が報じられると、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー」には両親への批判が寄せられた。
あるユーザーは「両親はあまりに自分勝手。高齢で子育てはできないから、負担は年長のきょうだいにかかるだろう」と指摘した。
また、現在の産児制限数の2人を超えてしまったこの両親は、刑罰対象になるのだろうかと問う声も上がっている。【10月28日 AFP】
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まあ、まずはおめでたい話で。
確かに今後どのように育てるのか・・・という年齢的な問題はありますが。
最後の産児制限に関しては以下のようにも。
****67歳で出産の夫婦、産児制限違反で罰金も=ネットは賛否両論―中国****
2019年11月2日、中国メディアの鳳凰網は、67歳の高齢で女児を出産した夫婦が、産児制限に違反したとして罰金が科される可能性があると伝えた。 (中略)
中国では最近、産児制限が緩和され2人目までは自由に出産できるようになったが、今でも3人目以降については制限されている。
黄さんはすでに2人の子どもがいたため、11月1日に居民委員会から黄さんのところへ電話があり、罰金を納めるべきかどうかまだ確定していないと言われた。
関係者は「罰金を科すかどうかについて現在調査中だ。まず先に生まれた2人の子どもについての情報を確認しているところで、最終的な結果は追って公表する」としているという。
中国のネット上では、夫婦に罰金が科される可能性があることについて、賛否両論の声が上がっている。
罰金に賛成の意見には「罰金を科すのは全く問題ない。罰金を科さなければ法律に対する侮辱だ」「罰金を科さなくていいわけがない。罰金を科さなければ何人産んでもいいと国民に告げるようなもの」「法律はまだ有効なのだから問題ない」などがあった。
一方で、「これは罰金の必要はない」「子どもを産みたい人がいない中で、罰金まで科すのか」「これで罰金を科したら出生率はさらに下がるね」「2人目を産みたがらない人ばかりなのに、メンツのために罰金を科する必要などない」などの反対意見も多かった。
ほかには、「今は出産が奨励されているのに、まだ制限しているのか?」「出産は人間の基本的な人権」「産児制限自体が人権に違反している。2019年なのに、いまだにこんなものがあるのか」など、産児制限の政策そのものを批判する意見も少なくなかった。【11月5日 レコードチャイナ】
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賛否の意見はともかく、一番説得的だったのが「今は出産が奨励されているのに、まだ制限しているのか?」という意見。
【日本・中国・韓国で深刻さを競う少子化】
日本が抱える大問題が少子化に伴う社会変化にあることは今更の話ですが、長年「一人っ子政策」で人口抑制を行ってきた中国も近年は少子化が進行しています。
****日本で騒がれる少子化問題、実は中国の方が深刻かもしれない=中国メディア****
中国メディア・新浪は26日、少子化が深刻な社会問題としてクローズアップされている日本と比べ、近い将来に中国は一層深刻な少子化問題に直面することになると報じた。
記事は、日本、中国、韓国の東アジア3カ国はいずれも現在、出生率が低いという問題を抱えていると紹介。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は韓国が0.9、日本が1.4、中国が1.6となっており、3カ国のなかでは中国が最も良い数字になっていることを伝えた。
その一方で、出生率の数値が最も安定し、やや回復傾向を見せているのは中国ではなく日本だと指摘。「中国人は日本の少子化問題を誤って理解している。中国の問題とは全く質が違うのだ」とし、中国では晩婚化とともに「結婚しても子どもをつくるのが遅い」という状況だが、日本では結婚率こそ低いものの、結婚した夫婦は平均で2人、多ければ4人もの子を育てるのだと説明している。
そして、中国で晩婚化、晩産化が進む背景について、「女性の解放とともに、男性が週6日午前9時から午後9時まで働く『996勤務』に苛まれていることがある」と分析。
中国の少子化は社会構造の問題であり、そのプレッシャーは日本より大きいとし、効果的な対策を取らなければ「経済と社会に巨大な影響をもたらすことになる」と警鐘を鳴らした。
記事は、このままいけば中国の出生率は1.0を割る可能性があると指摘。育児への保障強化をはじめとする育児環境の改善が効果的に行われたとしても、1.2前後を保つのが精いっぱいだろうとした。
そして「今は、1世帯で7人、8人産むような1970年代以前の状況とは違う。スローガン一つで動くような世の中ではないのだ」と結んでいる。【10月28日 Searchina】
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上記のような事情を考えると、3人目に罰金というのはいかがなものか?という話にもなります。
数値的に見て、日本・中国以上に深刻なのが韓国。
出生率が1.0付近というレベル。
****日本以上に深刻・・・人口崩壊に向かう韓国、なぜ出生率が低下しているのか=中国*****
14億人に迫る人口を誇る中国だが、長期にわたって実施してきた一人っ子政策の弊害により、近年は少子高齢化が社会問題となりつつある。また日本も少子化と人口減少が問題となっているものの、韓国は日中よりもさらに深刻な状況となっているようだ。
中国メディアの快資訊は4日、韓国の合計特殊出生率が過去最低となったことを紹介する記事を掲載し、「韓国は人口崩壊に向かっており、日本以上に深刻だ」と伝え、韓国で一体何が起きているのかと疑問を投げかけた。
記事はまず、韓国の2018年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと予想される平均出生児数)が過去最低となる0.98人にまで低下し、「世界で初めて1を下回った国となってしまった」と紹介した。
一般的に、合計特殊出生率は2.1人の水準で現在の人口水準を維持することができると言われているため、韓国の人口問題は非常に深刻なことが分かると伝えた。
その原因について、韓国の経済発展に伴い、若者達の結婚観が変化して独身者が増加、さらに多くの人は自分の時間や金銭を子どもに注ぎたくないと考えるようになったと紹介。それに加え、1人の子どもの教育にかかる費用も上昇している結果、深刻な少子化問題につながったと分析した。
結論として記事は、人口がわずか5100万人しかいない韓国でこのまま少子化が続けば、人口が急激に減少してしまう恐れもあり、それは韓国経済に大きな影響をもたらすだろうと強調した。
中国でも経済の発展に伴い、若者の結婚観に変化が見られ、少子高齢化が問題となりつつある。それゆえ、韓国や日本で起きていることは中国にとっても対岸の火事ではなく、長期的に見れば人口問題は日中韓にとって国家の盛衰のみならず存亡までかかった深刻な問題になっていると言えるだろう。【10月10日 Searchina】
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いがみ合っている日本と韓国ですが、まあ、そのうち両国とも消失してしまう危険性を抱えており、今のいがみ合いなど、どうでもいい話かも。
韓国は、足元の数字も芳しくないようです。
*****8月の出生数が過去最少 前年比10.9%減=韓国*****
韓国統計庁が30日発表した「人口動向」によると、8月の出生数は2万4408人で前年同月比10.9%減少した。
8月の出生数としては、月別の出生統計を取り始めた1981年以降で最も少なかった。出生数は同月基準で、2016年4月から今年8月まで41カ月連続で過去最少を更新している。
1〜8月の出生数の累計は20万8195人で、前年同期比8.0%減少した。
出生数から死亡数を引いた人口の自然増加数は730人にとどまり、83年に統計を取り始めてから8月としては最も少なかった。
8月の婚姻件数は前年同月比5.2%減の1万8340件で、こちらも8月としては81年の統計開始後で最低となった。【10月30日 ソウル聯合ニュース】
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上記の婚姻件数にも反映しているように、少子化の背景には「結婚しない若者」という社会現象も。
*****少子高齢化が進む韓国で、「結婚しない」生き方を選ぶ若者が増加中=中国メディア*****
韓国では若者の間で「結婚しない」生き方を選ぶ人が増えているという。ある調査では、韓国の20ー30代の約6割が「結婚と出産は必ずしも経験する必要はない」と答えたそうだ。
日本でも未婚率が上昇しているが、韓国にはまた違った理由があるようだ。中国メディアの今日頭条は26日、韓国の若者が結婚したがらない理由を分析する記事を掲載した。
記事は、ある中国メディアの「韓国の若い女性の間で結婚しないことがブームになっている」という報道を紹介。この報道では理由として「家庭内における女性の地位の低さ」が挙げられたが、記事は「そんなに簡単な問題ではない」と主張している。
記事は、社会・家庭ともに韓国では女性の地位が低いことに加えて、「経済発展の結果としての女性の社会進出」と、「結婚すると生活コストが高くなること」にあると分析。
家庭内における女性の地位は、「韓国と日本は同様に低い」が、中国では女性の立場は非常に高いと誇らしげに伝えた。
しかし、中国に関しては、女性の地位も婚姻率も地域差が大きいのが特徴となっている。経済発展している都市部では女性の地位は高いが婚姻率は低く、地方に行けば行くほど女性の地位は低く婚姻率が高くなる傾向がある。
記事の主張する3つの理由の正確性はともかく、記事は少子高齢化がますます進むとみられる韓国の問題は、中国にとっても他人事ではないと指摘している。「こういう文化は伝染するもの」なので、韓国の動向には注意する必要があると警戒感を示した。
実際のところ、中国でも「結婚したくない若者」が増えている。記事に対するコメントを見ても、「それは日韓だけの問題ではない」、「世界共通の問題」という指摘があった。
また、一人っ子政策の影響で男女の比率が不均衡になっている中国の場合、「男性が独身を強いられる」特殊な事情もあるようだ。
非婚化はそのまま少子高齢化へとつながるため、韓国のみならず日本や中国にとっても大きな問題と言えるだろう。とはいえ、価値観が多様化し、いろいろな生き方を選択できるようになった結果とも言えるのかもしれない。【7月30日 Searchina】
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日中韓のいずれがより深刻か?という話になれば、少子化の進行速度という点では中国に懸念があるようです。
*****日本と中国と韓国が直面する「少子化」、特に深刻なのは・・・=中国メディア****
(中略)一方の中国の合計特殊出生率は1.48人と、数字だけでみれば3カ国の間では最も高い数字を示している。
しかし「出生率の右肩下がりぶりでは世界一」で、韓国どころか世界でもこれほど急激に低下している国はないという。
昨年の出生率だけを見れば韓国が最も厳しいように見えるが、一人っ子政策を緩和させたにもかかわらず少子化が加速している中国は、もしかしたら日本や韓国以上に危機的状況なのかもしれない。
この話題は中国人の強い関心を引いたようで、多くのコメントが寄せられている。例えば「出産は女性にとって代償が大きすぎる」、「子どもを産んで育てるのは費用がかかりすぎる。誰が産む勇気があるというのだ?」など、中国でも出産を望まない人が増えている様子がうかがえた。【10月2日 Seachina】
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一般的に所得水準が向上すれば、出生率は低下する傾向にあります。
少子化の背景には、女性の社会的地位、働き方、若者の価値観、教育に要する費用、国家の支援制度など様々な要素が絡み合っていますが、フランスのように改善した国もあるのは周知のところです。
多様な生き方を認めることが「産まない・結婚しない」という選択を可能にしたという面では少子化を招いた要因ともなっていますが、一方で、家族の在り方に関して「伝統的家族」観に拘泥せず、非嫡出子を社会的に容認するような多様なライフスタイル・家族観を促進することは、少子化の解消に役立つと思われます。
ということは、現在の日本政治では「解消は難しい」という結論にも。
移民・外国人労働者についても同様ですが、日本は伝統を守りながら静かに消えていく運命でしょうか?
現在、ウズベキスタン・サマルカンドに向かうチャーター便のフライト中。
直行便ですが、その分片道10時間のフライト。2時間半経過して、残り7時間半。長い・・・。
退屈なのでブログ更新の下書きでも。
ただし、ネットが使えないので、昨日までに把握している情報の範囲で。
1週間ほど前に、中国のこんな話題が報じられました。
*****67歳の中国人女性が出産、「自然妊娠では国内最高齢」と主張*****
山東省棗荘市の婦幼保険院はAFPに対し、田という姓の女性が25日、帝王切開で健康な女児を出産したと明かした。
中国ニュースサイトの観察者によると、田さんの夫の黄さん(68)は「この子はわれわれ2人に天から授けられた」と話しているとされ、環球時報は、赤ちゃんは「天賜」と名付けられたと報じている。
また済南時報によると、田さんはすでに2人の子どもがいるという。そのうちの一人は、一人っ子政策が導入される2年前の1977年に生まれた息子だという。
田さんの出産が報じられると、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー」には両親への批判が寄せられた。
あるユーザーは「両親はあまりに自分勝手。高齢で子育てはできないから、負担は年長のきょうだいにかかるだろう」と指摘した。
また、現在の産児制限数の2人を超えてしまったこの両親は、刑罰対象になるのだろうかと問う声も上がっている。【10月28日 AFP】
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まあ、まずはおめでたい話で。
確かに今後どのように育てるのか・・・という年齢的な問題はありますが。
最後の産児制限に関しては以下のようにも。
****67歳で出産の夫婦、産児制限違反で罰金も=ネットは賛否両論―中国****
2019年11月2日、中国メディアの鳳凰網は、67歳の高齢で女児を出産した夫婦が、産児制限に違反したとして罰金が科される可能性があると伝えた。 (中略)
中国では最近、産児制限が緩和され2人目までは自由に出産できるようになったが、今でも3人目以降については制限されている。
黄さんはすでに2人の子どもがいたため、11月1日に居民委員会から黄さんのところへ電話があり、罰金を納めるべきかどうかまだ確定していないと言われた。
関係者は「罰金を科すかどうかについて現在調査中だ。まず先に生まれた2人の子どもについての情報を確認しているところで、最終的な結果は追って公表する」としているという。
中国のネット上では、夫婦に罰金が科される可能性があることについて、賛否両論の声が上がっている。
罰金に賛成の意見には「罰金を科すのは全く問題ない。罰金を科さなければ法律に対する侮辱だ」「罰金を科さなくていいわけがない。罰金を科さなければ何人産んでもいいと国民に告げるようなもの」「法律はまだ有効なのだから問題ない」などがあった。
一方で、「これは罰金の必要はない」「子どもを産みたい人がいない中で、罰金まで科すのか」「これで罰金を科したら出生率はさらに下がるね」「2人目を産みたがらない人ばかりなのに、メンツのために罰金を科する必要などない」などの反対意見も多かった。
ほかには、「今は出産が奨励されているのに、まだ制限しているのか?」「出産は人間の基本的な人権」「産児制限自体が人権に違反している。2019年なのに、いまだにこんなものがあるのか」など、産児制限の政策そのものを批判する意見も少なくなかった。【11月5日 レコードチャイナ】
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賛否の意見はともかく、一番説得的だったのが「今は出産が奨励されているのに、まだ制限しているのか?」という意見。
【日本・中国・韓国で深刻さを競う少子化】
日本が抱える大問題が少子化に伴う社会変化にあることは今更の話ですが、長年「一人っ子政策」で人口抑制を行ってきた中国も近年は少子化が進行しています。
****日本で騒がれる少子化問題、実は中国の方が深刻かもしれない=中国メディア****
中国メディア・新浪は26日、少子化が深刻な社会問題としてクローズアップされている日本と比べ、近い将来に中国は一層深刻な少子化問題に直面することになると報じた。
記事は、日本、中国、韓国の東アジア3カ国はいずれも現在、出生率が低いという問題を抱えていると紹介。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は韓国が0.9、日本が1.4、中国が1.6となっており、3カ国のなかでは中国が最も良い数字になっていることを伝えた。
その一方で、出生率の数値が最も安定し、やや回復傾向を見せているのは中国ではなく日本だと指摘。「中国人は日本の少子化問題を誤って理解している。中国の問題とは全く質が違うのだ」とし、中国では晩婚化とともに「結婚しても子どもをつくるのが遅い」という状況だが、日本では結婚率こそ低いものの、結婚した夫婦は平均で2人、多ければ4人もの子を育てるのだと説明している。
そして、中国で晩婚化、晩産化が進む背景について、「女性の解放とともに、男性が週6日午前9時から午後9時まで働く『996勤務』に苛まれていることがある」と分析。
中国の少子化は社会構造の問題であり、そのプレッシャーは日本より大きいとし、効果的な対策を取らなければ「経済と社会に巨大な影響をもたらすことになる」と警鐘を鳴らした。
記事は、このままいけば中国の出生率は1.0を割る可能性があると指摘。育児への保障強化をはじめとする育児環境の改善が効果的に行われたとしても、1.2前後を保つのが精いっぱいだろうとした。
そして「今は、1世帯で7人、8人産むような1970年代以前の状況とは違う。スローガン一つで動くような世の中ではないのだ」と結んでいる。【10月28日 Searchina】
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上記のような事情を考えると、3人目に罰金というのはいかがなものか?という話にもなります。
数値的に見て、日本・中国以上に深刻なのが韓国。
出生率が1.0付近というレベル。
****日本以上に深刻・・・人口崩壊に向かう韓国、なぜ出生率が低下しているのか=中国*****
14億人に迫る人口を誇る中国だが、長期にわたって実施してきた一人っ子政策の弊害により、近年は少子高齢化が社会問題となりつつある。また日本も少子化と人口減少が問題となっているものの、韓国は日中よりもさらに深刻な状況となっているようだ。
中国メディアの快資訊は4日、韓国の合計特殊出生率が過去最低となったことを紹介する記事を掲載し、「韓国は人口崩壊に向かっており、日本以上に深刻だ」と伝え、韓国で一体何が起きているのかと疑問を投げかけた。
記事はまず、韓国の2018年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと予想される平均出生児数)が過去最低となる0.98人にまで低下し、「世界で初めて1を下回った国となってしまった」と紹介した。
一般的に、合計特殊出生率は2.1人の水準で現在の人口水準を維持することができると言われているため、韓国の人口問題は非常に深刻なことが分かると伝えた。
その原因について、韓国の経済発展に伴い、若者達の結婚観が変化して独身者が増加、さらに多くの人は自分の時間や金銭を子どもに注ぎたくないと考えるようになったと紹介。それに加え、1人の子どもの教育にかかる費用も上昇している結果、深刻な少子化問題につながったと分析した。
結論として記事は、人口がわずか5100万人しかいない韓国でこのまま少子化が続けば、人口が急激に減少してしまう恐れもあり、それは韓国経済に大きな影響をもたらすだろうと強調した。
中国でも経済の発展に伴い、若者の結婚観に変化が見られ、少子高齢化が問題となりつつある。それゆえ、韓国や日本で起きていることは中国にとっても対岸の火事ではなく、長期的に見れば人口問題は日中韓にとって国家の盛衰のみならず存亡までかかった深刻な問題になっていると言えるだろう。【10月10日 Searchina】
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いがみ合っている日本と韓国ですが、まあ、そのうち両国とも消失してしまう危険性を抱えており、今のいがみ合いなど、どうでもいい話かも。
韓国は、足元の数字も芳しくないようです。
*****8月の出生数が過去最少 前年比10.9%減=韓国*****
韓国統計庁が30日発表した「人口動向」によると、8月の出生数は2万4408人で前年同月比10.9%減少した。
8月の出生数としては、月別の出生統計を取り始めた1981年以降で最も少なかった。出生数は同月基準で、2016年4月から今年8月まで41カ月連続で過去最少を更新している。
1〜8月の出生数の累計は20万8195人で、前年同期比8.0%減少した。
出生数から死亡数を引いた人口の自然増加数は730人にとどまり、83年に統計を取り始めてから8月としては最も少なかった。
8月の婚姻件数は前年同月比5.2%減の1万8340件で、こちらも8月としては81年の統計開始後で最低となった。【10月30日 ソウル聯合ニュース】
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上記の婚姻件数にも反映しているように、少子化の背景には「結婚しない若者」という社会現象も。
*****少子高齢化が進む韓国で、「結婚しない」生き方を選ぶ若者が増加中=中国メディア*****
韓国では若者の間で「結婚しない」生き方を選ぶ人が増えているという。ある調査では、韓国の20ー30代の約6割が「結婚と出産は必ずしも経験する必要はない」と答えたそうだ。
日本でも未婚率が上昇しているが、韓国にはまた違った理由があるようだ。中国メディアの今日頭条は26日、韓国の若者が結婚したがらない理由を分析する記事を掲載した。
記事は、ある中国メディアの「韓国の若い女性の間で結婚しないことがブームになっている」という報道を紹介。この報道では理由として「家庭内における女性の地位の低さ」が挙げられたが、記事は「そんなに簡単な問題ではない」と主張している。
記事は、社会・家庭ともに韓国では女性の地位が低いことに加えて、「経済発展の結果としての女性の社会進出」と、「結婚すると生活コストが高くなること」にあると分析。
家庭内における女性の地位は、「韓国と日本は同様に低い」が、中国では女性の立場は非常に高いと誇らしげに伝えた。
しかし、中国に関しては、女性の地位も婚姻率も地域差が大きいのが特徴となっている。経済発展している都市部では女性の地位は高いが婚姻率は低く、地方に行けば行くほど女性の地位は低く婚姻率が高くなる傾向がある。
記事の主張する3つの理由の正確性はともかく、記事は少子高齢化がますます進むとみられる韓国の問題は、中国にとっても他人事ではないと指摘している。「こういう文化は伝染するもの」なので、韓国の動向には注意する必要があると警戒感を示した。
実際のところ、中国でも「結婚したくない若者」が増えている。記事に対するコメントを見ても、「それは日韓だけの問題ではない」、「世界共通の問題」という指摘があった。
また、一人っ子政策の影響で男女の比率が不均衡になっている中国の場合、「男性が独身を強いられる」特殊な事情もあるようだ。
非婚化はそのまま少子高齢化へとつながるため、韓国のみならず日本や中国にとっても大きな問題と言えるだろう。とはいえ、価値観が多様化し、いろいろな生き方を選択できるようになった結果とも言えるのかもしれない。【7月30日 Searchina】
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日中韓のいずれがより深刻か?という話になれば、少子化の進行速度という点では中国に懸念があるようです。
*****日本と中国と韓国が直面する「少子化」、特に深刻なのは・・・=中国メディア****
(中略)一方の中国の合計特殊出生率は1.48人と、数字だけでみれば3カ国の間では最も高い数字を示している。
しかし「出生率の右肩下がりぶりでは世界一」で、韓国どころか世界でもこれほど急激に低下している国はないという。
昨年の出生率だけを見れば韓国が最も厳しいように見えるが、一人っ子政策を緩和させたにもかかわらず少子化が加速している中国は、もしかしたら日本や韓国以上に危機的状況なのかもしれない。
この話題は中国人の強い関心を引いたようで、多くのコメントが寄せられている。例えば「出産は女性にとって代償が大きすぎる」、「子どもを産んで育てるのは費用がかかりすぎる。誰が産む勇気があるというのだ?」など、中国でも出産を望まない人が増えている様子がうかがえた。【10月2日 Seachina】
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一般的に所得水準が向上すれば、出生率は低下する傾向にあります。
少子化の背景には、女性の社会的地位、働き方、若者の価値観、教育に要する費用、国家の支援制度など様々な要素が絡み合っていますが、フランスのように改善した国もあるのは周知のところです。
多様な生き方を認めることが「産まない・結婚しない」という選択を可能にしたという面では少子化を招いた要因ともなっていますが、一方で、家族の在り方に関して「伝統的家族」観に拘泥せず、非嫡出子を社会的に容認するような多様なライフスタイル・家族観を促進することは、少子化の解消に役立つと思われます。
ということは、現在の日本政治では「解消は難しい」という結論にも。
移民・外国人労働者についても同様ですが、日本は伝統を守りながら静かに消えていく運命でしょうか?
決定的なキャッシュレス加速の流れ 将来を見据える「リブラ」や中国デジタル通貨

(スウェーデンは公衆トイレの券売機もキャッシュレス=ストックホルム、星野眞三雄撮影【11月3日 GLOBE+】)
【「私の18歳の娘は現金を使ったことがない」】
今日の話は通貨。主にキャッシュレスの話とリブラのようなデジタル通貨の話。
正直に言えば、私はこのような話が殆ど理解できていません。チンプンカンプンです。
普段、ポケットにお金をむき出しで突っ込んで持ち歩いており、「スマホ決裁なんてものより、現金で払った方が手っ取り早いんじゃない?」なんて考えている“化石”のような人間ですので。
しかし、世の中の“おカネ”が急速に変化しており、今後その流れは間違いなく加速すると思われますので、自分の頭の中を整理するために、あえて“よくわからない”通貨の話を取り上げてみました。
キャッシュレスの件は、よく中国が話題になります。私も中国旅行でその様子のごく一部を垣間見たこともあります。
キャッシュレスが進んでいるのは、中国だけでなく、先進国でも途上国でも同様で、日本が著しく出遅れているのかも。その日本もこれから急速にキャッシュレス化するのでしょう。
****現金が消えていく国スウェーデン 実は世界で初めて銀行券をつくった国だった****
ストックホルム市内のショッピングモール。有料の公衆トイレに入ろうとして券売機を見たら、10クローナ(約110円)を現金で払うための投入口が見あたらない。よく見ると、「カード・オンリー(カード支払いのみ)」の文字。こんな「緊急事態」でもカード払いだけで問題がないほど、スウェーデンではキャッシュレス化が進んでいる。
コーヒーショップに入っても、カードリーダーの横に「キャッシュフリー(現金お断り)」のプレート。近くのパン屋も、市場の花屋も、路面のホットドッグ屋も支払いはカードかスマホのアプリだけ。(中略)
■現金は2025年に消える?
スウェーデンのキャッシュレス化を加速させたのが、2012年にサービスが始まったスウィッシュだ。大手銀行が共同開発した。電話番号と銀行口座をリンクさせ、相手の電話番号だけで銀行口座に送金できる。手数料は無料だ。
利用者は710万人と人口の7割ほど。いまでは現金流通額がGDP(国内総生産)比で1%程度と、日本の約20%、欧米諸国の10%前後に比べて格段に低い。
使う側だけでなく、店側にもキャッシュレスの利点は大きいという。現金がなければ、レジを設置したり、現金を数えたりするコストを減らせる。現金を盗まれるリスクもない。中央銀行のリクスバンクの調査では、商店の5割が「25年には現金が使えなくなる」と回答した。
大手銀行SEBでスウィッシュを担当するローレンス・ウェスターラン(60)は「予想をはるかに超えてキャッシュレス化が進んだ。私の18歳の娘は現金を使ったことがない。現金を手にしたことがない娘に、お金の大切さを伝えるのは工夫が必要だ」と苦笑いしていた。(後略)【11月3日 GLOBE+】
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現金を手にしたことがない世代が育ちつつあるという事実は、ちょっと衝撃的です。
キャッシュレスの取引が一番威力を発揮するのは海外出稼ぎ労働者の送金、そのため途上国でも急速にキャッシュレスが進行しています。
****銀行送金さようなら 出稼ぎ労働者支える「アリペイ経済圏」が急拡大中****
香港島中心部にある中環(セントラル)駅周辺の道路は、数千人のフィリピン人で埋め尽くされていた。(中略)その中の一人で香港滞在歴4年のピラルダ・アパタス(43)とカフェで話をしていると、アパタスのスマートフォンにメッセージが届いた。eウォレットとしてダウンロードした香港の電子決済アプリ「TNG」に、50香港ドル(約700円)が振り込まれた知らせだ。「
貸したお金を友達が返してきた。仲のいい友達とは、最近はよくアプリを使って、お金の貸し借りをしている」。アパタスは、当たり前のように説明した。
こうしたアプリを、香港にいる約14万4千人(2018年政府統計)のフィリピン人労働者の多くが使い始めたのは3年ほど前、香港で最初にTNGがeウォレットとして認可されてからだ。
利用する最大の理由は、母国の家族への送金がとても楽になったこと。銀行口座を持っていない人が多いため、以前は毎月の給料日に休みをとって送金のセンターに現金を持参。長い行列に並んで手続きをしていた。
今は自宅近くのコンビニで現金をアプリに入金し、スマホで操作するだけで簡単に、しかも瞬時にフィリピンの家族に送金できるようになった。
フェイスブックが打ち出したデジタル通貨「リブラ」構想。世界をお金でつなぐという、その狙いの一部は、すでに実現しつつある。
代表例が、中国のIT大手アリババの電子決済アプリ「アリペイ」だ。買い物に使うQRコード決済の草分けで、世界の利用者は10億人以上とされる。そのアリペイが目をつけたのが、国際労働機関(ILO)の統計(17年)で、世界に約1億6400万人いるとされる出稼ぎ労働者たち。ほとんどが母国へ仕送りをしている。
その送金手段としてもアリペイは着実に影響力を強めており、韓国やインドネシア、タイ、インドなどアジアを中心に地元のスマホアプリと提携。「アリペイ経済圏」を急速に拡大している。
アパタスも最近では母国への送金にアリペイ使うことが増えた。TNGなど複数のアプリをスマホに入れているが、送金手数料が無料なのはアリペイだけ。(中略)
アリペイの提携会社の一つが、利用者が2500万人にのぼるフィリピン最大手のスマホアプリ「Gキャッシュ」だ。幹部のネイ・ビリャセニョール(32)は「アリペイのネットワークを生かし、世界中に散らばるフィリピン人労働者が母国に手数料を無料で送金できる仕組みができた」と胸を張る。Gキャッシュは同時に、世界に約230万人いるフィリピン人出稼ぎ労働者の分布データなどの情報共有を通じて、アリペイの事業拡大戦略に貢献している。(後略)【11月4日 GLOBE+】
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手数料無料で送金できる見返りとして、個人情報がどのように利用されるのか・・・気になるところではありますが。
アフリカでも・・・・
“2014年のはじめに、ケニアで爆発的に普及したMペサ(携帯電話を使ったモバイル決済・送金サービス)を見に行ったのですが、銀行も金融機関もないのに携帯ショップだけはあるんですよ。
たとえば、出稼ぎに出た息子さんがお金をチャージして、その家族が携帯ショップに行って自分の息子の携帯番号と暗証番号をショートメールで送ると現金が手に入るわけです。ここでは銀行はなくても携帯電話だけで何でもできるんだと知って、衝撃を受けました。”【9月30日 loftwork】
いろんな問題はありますが、今後キャッシュレスが加速するのは間違いないでしょう。
“今、キャッシュレスが進んでいますが、ある意味当然だし、世界共通の流れです。ミャンマーにいる人でも日本にいる人でも、それを使ったら便利かどうかというという観点は同じ。便利だと思った瞬間、人は使うようになります。”【同上】
【将来は中国デジタル通貨対「GAFA」リブラか?】
このようなキャッシュレスのお流れと相性がいいのがデジタル通貨。
*****キャッシュレス化を推進する日本政府の黒い思惑。仮想通貨リブラと銀行の全面戦争が始まる****
(中略)
支払い手段としての仮想通貨
では、仮想通貨が庶民の夢とともについえてしまったのかといえば、そうではない。
実は仮想通貨は、投機のブームが終わってこそ、その本来の機能が注目されているのだ。それは、デジタルな支払い手段としての機能である。
これは仮想通貨の相場が極端に変動した状態では成り立たない。投機のブームが終わり、相場が安定したいま、仮想通貨の支払い手段としての潜在能力が改めて注目されている。
特にそれには2つの理由がある。
ひとつは、いま日本でも進んでいる各国のキャッシュレス化の動きである。そして次は、ドルに代わる新しい国際決済通貨を求める動きである。
なぜ日本をはじめ各国政府はキャッシュレス化を推進するのか?
日本でもそうだが、いま中国を始め各国ではキャッシュレス化の動きが加速している。日本でもスマホ決済によるキャッシュレス化を政府が促進している。
しかしながら、なぜキャッシュレス化を政府が推進しているのか、その理由がきちんと説明されたことはあまりない。
もちろんそこにはさまざまな理由があるが、先進国で多い理由のひとつは、既存の銀行を守るためである。(中略)
どの先進国もそうだが、資本主義は成長の限界にきている。そのため各国の中央銀行は、成長を維持する必要から金利をとことん下げ、市場に資金を供給している。そして多くの国では、マイナス金利も当たり前の状況になってしまった。
理論上これは、借りた額よりも返済額が小さくなるということだ。もちろん、金利が利益の源泉である銀行としてはたまったものではない。マイナス金利下では、銀行経営は成り立たなくなってしまう。
すべては銀行を救うため
そこでスイスやデンマークなどのヨーロッパ諸国の銀行は、預金口座に金利を付けるのではなく、逆に「口座管理費」として預金者から手数料を徴収するようになった。そうしないと、マイナス金利下では銀行経営は難しい。
一方、預金者としてはこれはたまったものではない。口座を開設すると、手数料を支払わなければならないのだ。
その結果、口座を閉鎖して現金を引き出し、自宅で保管する預金者が増えた。(中略)
銀行にとってこれは危機的な事態である。マイナス金利と口座閉鎖で破綻する銀行も出てきてもおかしくない。
そうした銀行の救済策として政府が打ち出したのが、キャッシュレス化の方向性であった。
まず、高額紙幣の流通を禁止する。そして、モノやサービスを買うと、銀行口座の預金から自動的に引き落とされるキャッシュレスな支払い手段を強力に推進し、現金の流通を不要化する。
すると、国民は引き落としの必要性から現金を銀行口座に保管しなければならないので、口座の解約はできなくなる。これで銀行は破綻の危機から救われる。
このような状況がキャッシュレス化の背景にあるとすれば、日本のキャッシュレス化の動きも、銀行を救うために預金者から口座管理手数料を徴収する準備だと見ることもできる。注意しなければならない。
銀行がビットコインを飲み込む日
こうした状況で、ビットコインのような仮想通貨の相場が安定し、支払い手段として使用できるようになればどうなるだろうか?
独自のウォレットで管理され、銀行の口座を一切介さない分散型の仮想通貨は銀行にとれは脅威となる。
しかし、キャッシュレス化が一般化した状況なら、政府が主導して銀行口座とウォレットを強制的に合体させ、銀行が管理するウォレットを通して仮想通貨を使うシステムも検討されるようになるはずだ。
仮想通貨が投機の対象にしか過ぎなかったときにはこのようなことは考えられなかったが、仮想通貨の支払い手段としての可能性が高まると、銀行による仮想通貨吸収という方向も考えられるだろう。
ドル覇権はもう終わった
仮想通貨の投機ブームが終息し、支払い手段としての機能がクローズアップされる第2の点が、ドルに代わる新しい国際決済通貨を求める動きである。
周知のように、いまはドルが国際決済のための基軸通貨として使われている。この状況は、国際金融体制の若干の変更はあったものの、戦後75年間変わっていない。
しかし、特に、2001年の同時多発テロから始まる度重なる戦争や、リーマン・ショックのような金融危機の発生でアメリカの覇権は次第に失墜し、それとともにドルに対する信任も低下した。(中略)
さらに、ドルを国際決済通貨として好まない傾向はトランプ政権になってから加速している。通常の米政権とは異なり、アメリカの国益を最優先する一国主義を主張するトランプ政権は、選挙目的で国内景気を浮揚させるために、基本的に政府から自立していなければならないFRBに強烈な圧力をかけ、利下げを断行させている。
これにともなってドルの価値も大きく変動する。これは諸外国にとってはたまったものではない。トランプ政権の国内政治の都合で利子率が変動し、ドルの価値が影響を受けるのである。
アメリカのこうした政治的影響を受けない安定した国際決済通貨への要望が自然に高まっても不思議ではない。
国際決済手段としての仮想通貨
事実、すでに中央銀行の関係者からドルに代わる決済通貨を要望する発言が出てくるようになった。(中略)
8月23日、米連銀(FRB)と各国の中央銀行との定例年次会合「ジャクソンホール会議」が開催された。その席
「リブラ」の出現
長くなったが、これが現在の状況だ。キャッシュレス化へと向かう各国の国内状況も、新しい決済通貨を望む国際的な状況も、安定した決済手段になり得るデジタル通貨の可能性を志向している。
そこにおもむろに登場したのが、フェイスブックが計画している仮想通貨「リブラ(Libra)」なのである。(中略)
「リブラ」はこうした相場の大きな変動を防ぐため、価値を実物資産にリンクしている。それは、ドルや円、そして人民元やユーロなどの代表的な通貨とともに、金などの希少金属である。これはIMFが政府に与え、実質的に政府間のやり取りでは通貨として機能する「SDR(特別引き出し権)」に似たコンセプトである。(中略)
25億のアカウント
そして、「リブラ」を他の仮想通貨から際立たせているのは、フェイスブックのアカウントの多さである。現在で25億アカウントだ。
この状況で使い勝手のよい「リブラ」が本格的に導入されると、他の仮想通貨の送金手段や、送金サービスが駆逐される可能性が高い。仮想通貨による送金・支払い手段としては、「リブラ」がシェアを独占することは間違いない。
そのような圧倒的なシェア率を持つ「リブラ」であれば、個人のみならず企業間の決済方法としても使用できる可能性がある。つまり「リブラ」は、国際貿易の決済手段として使えるということだ。(中略)
銀行と中央銀行との戦い
(中略)しかし「リブラ」は、既存の銀行ならびに中央銀行から見ると大変な脅威である。銀行を一切介さない「リブラ」が一般的な支払い手段になるようなことでもあれば、人々は銀行を使わなくなる。銀行口座は不要になる。これは銀行にとっては死活問題である。
また、ドルに代わる安定した国際決済通貨を求める動きを見せている中央銀行にとっても、「フェイスブック」といういち民間企業が発行元になる「リブラ」は脅威であることは間違いない。
中央銀行のコントロールの及ばない国際決済通貨が使われるのだ。そうなると、おおげさな表現だが、世界経済に対する中央銀行の影響力とコントロールは大幅に縮小する。
このような状況を回避するためには、主要国の中央銀行、ないしは「IMF」のような国際機関が発行するデジタル通貨が、国際決済通貨として導入する動きも強い。フランス財務省はドイツとともに「リブラ」の導入をブロックする姿勢を明確にしている。
対照的に、中国の中央銀行である「中国人民銀行」は、独自なデジタル通貨の開発に着手していると発表した。このデジタル通貨は「フェイスブック」の「リブラ」に対抗したものになる。
「中国人民銀行」によると、「もしリブラが国際取引等の決済シーンで既存の法定通貨のように利用されることになると、これまでの金融政策や各国の財政的な安定、さらには国際的な金融システム全体に多大なる影響を与えることになる」との懸念を示し、開発中のデジタル通貨はこの懸念を払拭することが目的だとした。
まさにこれは、「リブラ」を凌駕する国際決済通貨を発行するのは中国であるという宣言である。
しかし、これで勝負が決まったわけではない。「IMF」などの国際機関や他の主要国も、国際決済通貨としての使用を目標にしたデジタル通貨を出してくる可能性が大きい。そうした状況に、「リブラ」はどのように対応するのだろうか? 戦いは始まったばかりである。行方に目が離せない。【10月1日 MONEY VOICE】
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先のG20 では、各国政府がリブラに否定的な対応で一致したことは周知のところです。
“20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日、2日間の討議を終え閉幕した。フェイスブック(FB)が計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」に規制を課すことで一致し、マネーロンダリング(資金洗浄)への悪用防止や利用者保護などに関する「深刻なリスクに適切に対処」した上で発行すべきだとする合意文書を発表した。”【10月19日 共同】
ザッカーバーグCEOは、アメリカ議会の公聴会で、規制当局から承認を得られるまで発行しないと証言し、構想の実現を事実上、先送りする考えを示しました。国際通貨ドルの“特権”を揺るがすようなデジタル通貨をアメリカは容易には認めないでしょうが。
ただ、これで流れが止まるものでもなく、リブラや、それに代わるものが今後も次々に現れるのではないでしょうか。そこに“便利さ”“使い勝手の良さ”があれば、各国政府が押しとどめるのは難しいかも。
また、中国のように独自の観点から、国家が管理するデジタル通貨導入に踏み出す動きも。
****中国、デジタル通貨導入へ 国民の消費動向の監視強化か****
米フェイスブックの暗号資産(仮想通貨)「リブラ」が物議を醸す中、中国政府は独自のデジタル通貨を導入する計画を進めている。アナリストらによると、この通貨は、政府や中央銀行が国民の消費の動きを監視できるものになるとみられている。(後略)【11月1日 AFP】
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中国のデジタル通貨は国内だけでなく、一帯一路に乗って世界に広がる可能性も。ザッカーバーグCEOもそのあたりの危険性を米議会に訴えています。
世界の覇権をめぐる争いの構図はやはり「中国対GAFA」でしょうか。
西アフリカ マリ・ブルキナファソの過激派テロ、シエラレオネの援助だけでは解消しない貧困

(シエラレオネの首都フリータウンで援助機関の食料の配給を待つ母親の女性【11月5日号 Newsweek日本語版】
もちろん、こうした“いかにもアフリカ・・・”といった面以外にも、多様なアフリカがあるとは思います)
【貧困と格差のなかで過激派テロが絶えない西アフリカ】
もう4か月以上前の話ですが、西アフリカに関して単一通貨導入の話題がありました。
****西アフリカ15か国、2020年に単一通貨「ECO」導入へ****
西アフリカの15か国が加盟する「西アフリカ諸国経済共同体」は29日、域内に新たに導入する共通通貨の名称を「ECO」とすると決定した。ナイジェリアの首都アブジャで開かれた首脳会議で、「ECOWAS単一通貨の名称として、ECOが採用された」と発表した。
1975年に設立されたECOWASの加盟国は、ベナン、ブルキナファソ、カボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴの15か国で、域内の総人口は約3億8500万人。
現在は加盟国中、セネガルやコートジボワール、マリなど8か国がユーロと連動する通貨CFAフランを用いており、ナイジェリアなど7か国が交換性のない独自通貨を使用しているが、約30年前に初めて加盟国間の越境貿易や経済発展の促進策として通貨統合の可能性が検討されていた。(後略)【6月30日 AFP】
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まあ、ASEANについても政治的・経済的統合の目標はありますし、また、すぐにどうこうなる話とは誰も思っていませんので、上記も似たような話でしょうか。
通貨に関してだけ言えば、8か国がユーロと連動する通貨CFAフランを用いているという共通土壌がありますので、とっかかりは無い訳でもない・・・ということでしょうか。仮に実現すればナイジェリア経済圏でしょうか。
ただ、現在の西アフリカ諸国の状況は、イスラム過激派のテロ活動、エボラ出血熱などの流行など厳しいものがあり、とてもそんな国家間の協調体制を云々するようなものとも思えません。まずは国内状況を安定させるのが先決でしょう。
イスラム過激派ということでは、ナイジェリアを中心に周辺国を含めて活動するボコ・ハラムがその代表ですが、そうした政治的不安定の温床となっているのが、貧困・格差の問題です。
****西アフリカで貧富の差拡大 上位1%の金持ちが富独占****
国際非政府組織(NGO)オックスファムなどは9日、経済成長が続く西アフリカ諸国で貧富の差が広がり「危機的なレベル」に達しており、さらに悪化しかねないとして早急な対応が必要だとする報告書を発表した。上位1%の富裕層の所得が、残る全員の所得を足した額を上回るとした。
西アフリカは石油などの天然資源に恵まれている。オックスファムによると、2018年にアフリカで経済が急成長した10カ国のうち、6カ国が集中している。
しかし、オックスファムは「過去に例がない経済成長の利益は、ごく少数の人の手に渡っている」と指摘した。【7月10日 共同】
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ときおり取り上げるナイジェリア以外の各国の状況について比較的最近のニュースで、見ると・・・
****ブルキナファソ北部でモスク襲撃 16人死亡、2人負傷****
西アフリカ・ブルキナファソ北部の村で11日、武装勢力がモスク(イスラム教礼拝所)を襲撃し、少なくとも16人が死亡、2人が負傷した。AP通信などが13日、地元当局者の話として報じた。
現場はマリとの国境付近。住民が礼拝中、武装勢力が押し入り、銃を乱射した。犯行声明は出ていないが、付近ではイスラム過激派が台頭し治安が悪化。4日には金鉱山が襲撃され、労働者ら約20人が殺害されている。
国連によると、ブルキナファソでは約50万人が家を追われ避難生活を送っている。【10月14日 共同】
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ブルキナファソは、マリ、ニジェール、ガーナなどに囲まれた内陸国です。
ブルキナファソでは4年前に北部で始まったイスラム過激派の暴力が、東部のトーゴ、ベナンとの国境地域へと拡大し、現在まで続いています。
8月には、「武装テロリスト集団」による軍への「大規模な襲撃」があり、兵士十数人が死亡したとの報道もありました。
先日行われたアメリカのIS指導者殺害との絡みで注目されているのがマリでのテロ事件。
****マリの襲撃でISが犯行声明 新指導者下での報復テロか****
西アフリカ・マリ北部で兵士ら少なくとも54人が死亡した武装勢力による軍拠点襲撃について、過激派組織「イスラム国」(IS)は2日にIS系メディアで犯行声明を出した。
マリ東部では2日にフランス人兵士が道路脇に仕掛けられた爆弾の爆発で死亡。ISはこの爆発でも犯行を認めた。
ISは、米軍に追い詰められた指導者バグダディ容疑者が自爆して死亡した後、10月31日にアブイブラヒム・ハシミ新指導者がカリフ(預言者ムハンマドの後継者)だとする声明を出して報復テロを警告したばかり。新指導者下での新たなテロの可能性もある。【11月3日 共同】
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****マリで軍拠点に襲撃、兵士ら54人が死亡 政府は「テロ攻撃」****
(中略)マリでは2012年、イスラム過激派の武装集団が北部から中部にかけて勢力を拡大。今も分離独立主義勢力や国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力が軍拠点を狙う攻撃が後を絶たない。9月には中部で複数の軍拠点が襲われ、38人の死者が出ていた。(後略)【11月3日 CNN】
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マリにはイスラム過激派からの北部地域の奪還に向け、2014以降、約4500人のフランス軍兵士が駐留しています。
介入当初は大きな成果もあげましたが、その後はあまりはかばかしくないようです。
アルカイダやISに忠誠を誓う勢力が国境を越えて活動範囲を拡大している状況に、マリのドゥラメ外相は5月14日、ベルギーで欧州諸国の外相らと会談した後、「我々は支援を必要としている」と国際社会の支援を求めました。
国際支援もさることながら、経済統合や共通通貨はともかく、テロ対策・対イスラム過激派掃討作戦では域内の国際協調を必要としています。
【シエラレオネ 援助は貧困を緩和しても、解決はしない】
そんな西アフリカ諸国の一つがシエラレオネ。2014年、エボラ出血熱の拡散で一時期話題にもなった国です。
****絶望の縮図シエラレオネに希望を探し求めて****
<内戦とエボラの後遺症に苦しみ、開発から取り残されたシエラレオネで、アメリカ人筆者が見た過酷過ぎる現実>
「なぜ肥だめみたいな国々からこんなに大勢やって来るんだ」。貧しい国の貧しい人々を見下した昨年のドナルド・トランプ米大統領の発言は当然猛反発を買ったが、不快な真実も含んでいる。
多くの国で、特に社会経済の底辺の人々の生活はひどい。正式な定義はないが「肥だめ」とは貧しく暴力的で褐色人種がほとんどを占める国のことだろう。グアテマラ、スーダン、イエメン、ミャンマー、ニジェール、ハイチ、バングラデシュ、パキスタン......。だが彼の定義に当てはまる国のほとんどはサハラ砂漠以南のアフリカにある。
世界全体の幸福度が向上するなか、これらの国々は後れを取る一方だ。どんな対策も効果がないように思える。過去50年、先進国は途上国の公的な開発援助に3兆ドル以上を投じ、さらに人道支援や軍事支援、民間からの支援もある。にもかかわらず、いまだに大勢の人々がアメリカ南部の国境に押し寄せている。
トランプのように国境に壁を築いて途上国が自分で何とかしろと言いたくもなるが、それはできない。森林破壊、エイズ、エボラ出血熱、テロ、麻薬、ギャング、不法移民、生態系の破壊といった途上国の問題から先進国を切り離すのは不可能だ。
同様に途上国も、気候変動、強制労働、有害廃棄物、性的搾取といった先進国の問題と無縁ではいられない。どんな壁でも2つの世界を隔てることはできない。
ではどうするか。国連の持続可能な開発目標(SDGs)への資金援助を増やすか。税制優遇措置で民間投資を促すか。欧米市場への優先的アクセスか。平和部隊の拡大か。
私はヨーロッパ、南太平洋、アフリカ、アメリカ大陸の数十カ国で働き、世界有数の大企業や世界銀行にも勤務した。何百人もの専門家やエグゼクティブや政府指導者と開発について話したが、援助を増やせば効果があると考える人間は1人もいなかった。
私は解決策を求めてアフリカへ向かった。西海岸の小国シエラレオネ、エボラと紛争ダイヤモンドで有名な国だ。世界の最貧国の1つで、国連の人間開発指数では189カ国中184位とハイチやイランを大きく下回る。何世紀もの間、シエラレオネは絶望の縮図となってきた。だが、経済復興のモデルになり得る国でもある。(中略)
50年前と変わらない現実
(中略)私の人生最悪の旅、不快で危険でうんざりするほど長い旅だった。13時間かけて車を9台乗り継ぎ、約320キロの道のりを深夜まで。だがこれが貧しい国の貧しい人々の日常だ。私が平和部隊にいた頃と大して変わってはいなかった。
「この国には大きな可能性がある」と、米政府の職員が私に言った。「その証拠に国土がもっと狭く、天然資源もないシンガポールだって目覚ましい発展を遂げたではないか」
これは安直な言い分だ。実際、1960年代にはシエラレオネとシンガポールは経済的にはほぼ同レベルだった。当時、外国人投資家が目を付けそうなのはマレーシア連邦から追い出されたばかりのシンガポールではなく、シエラレオネのほうだった。この国には民主的な選挙で成立した政府があり、鉱物資源も豊富。「緑の革命」が広がれば、飢餓と貧困も解消されそうだった。
ところが現実は違った。今やシンガポールは世界屈指の金持ち国家。一方、CIAワールドファクトブックのGDPランキングでは、シエラレオネは229カ国中158位だ。
なぜこれほどくっきりと明暗が分かれたのか。シエラレオネなどアフリカ諸国が経済的に後れを取った理由は諸説あるが、大まかに3つの説に分類できる。「アフリカ人が悪い」説、「白人が悪い」説、「誰のせいでもない」説だ。
まずアフリカ人悪玉説。トランプのようにノルウェーからの移民は大歓迎だが、アフリカ系アメリカ人は出身国に帰れ、などと公言するやからがいるが、オブラートに包んで同様の主張をする人もいる。
スウェーデン出身の政治学者ダニエル・シャッツは自国が豊かなのは「プロテスタントの職業倫理」を持つスカンディナビア人の国(つまり生粋の白人の国)だからだと論じている。
これよりはましな議論だが、アフリカ諸国は有能な指導者に恵まれず、政府が十全に機能していない、という主張も聞かれる。(中略)
鉱物資源の豊かさがあだに
とはいえ、こうした主張は「被害者たたき」にすぎず、悪いのは白人だ、という声もある。コンゴ内戦を取材していたスペイン人記者は、「アフリカで起きている悪いことは全部、おまえら白人のせいだ」と現地の武装勢力に脅されたという。
全部とは言わないまでも、奴隷制や植民地主義など、白人がもたらした弊害は多い。1884〜85年のベルリン会議で、欧州の列強はアフリカ分割のルールを決めた。結果、民族集団やその勢力範囲を無視して植民地の境界線が引かれ、独立後の国のまとまりにも負の影響が残った。
一方、誰のせいでもない説を提唱するのは、『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレッド・ダイアモンドや生物地理学者のジェフリー・サックスだ。彼らは発展を阻害する要因を地理的条件や気候に求める。
3つの説のどれが正しいと言うより、諸条件が複合的に絡まって現状を招いたとみるべきだろう。シエラレオネとほぼ同時期にイギリスから独立したシンガポールも地理的には熱帯に位置し、多様な民族集団を抱え、腐敗がはびこる地域に位置している。それなのになぜ発展したのか。
主要な交易ルートに位置し、いち早く資本主義経済を取り入れたこと。さらに20世紀の最も偉大な指導者の1人とも言われるリー・クアンユーが初代の首相だったことも大きい。
シエラレオネは鉱物資源に恵まれているが、不幸にもその鉱物リストにはダイヤモンドが含まれていた。ダイヤは盗んで運ぶには格好の財宝だ。高品質のダイヤの原石をブリーフケースに詰めて運べば1億ドルの稼ぎも夢ではないが、同価値の原油を運ぶにはタンカー1隻が必要だ。
シエラレオネではダイヤの利権を貪る政府への反発を背景に、1991年に内戦が勃発。反政府派がダイヤの鉱山を掌握し、資金源にしたため戦闘は長期化した。11年に及ぶ内戦では略奪、殺戮、レイプなどあらゆる残虐行為がまかり通った。2002年にようやく平和が訪れると、今度はエボラの猛威がこの国を襲った。
内戦に続くエボラ禍が収まって数年。今でもこの国は後遺症に苦しんでいる。経済は外国の援助でどうにか支えられている状況で、ほかのアフリカ諸国と同様、近年では中国が多額の援助を行っている。
これは多くのアフリカ諸国に共通する病理だ。アフリカ諸国の68%が1人当たりGDPで世界の下位4分の1に入っている。(中略)
私が見たシエラレオネは、半世紀近く前からほとんど何も良くなっていない。(中略)
1787年に解放奴隷の入植地として現在のフリータウンが建設されて以来、シエラレオネは援助を受け続けてきた。その経済は、今なお援助主導だ。至る所に援助機関のスタッフや活動家がいて、学校や道路を建設し、井戸を掘り、太陽光発電の設備を造っている。
ただし、援助は貧困を緩和しても、解決はしない。援助は非効率的で、腐敗を助長し、受ける側の自立を破壊すると、数多くのプロジェクトに携わってきたシエラレオネのジョン・ラハイは言う。
援助への依存を断ち切ることは、容易ではない。国際開発に詳しいオックスフォード大学のポール・コリアー教授によると、最貧国ではこの30年、援助が成長率を年間約1%底上げしてきた。単純に打ち切れば、何百万という人が飢えるだろう。
トップダウン型改革の功罪
ガーナの経済学者ジョージ・アイッティは、「農民が繁栄していた黄金時代」への回帰を提案する。(中略)アイッティや多くの援助活動家は、ボトムアップの開発モデルを支持する。基本的なインフラを提供し、マイクロファイナンス(貧困層向け小規模融資)を活用するのだ。
もっとも、現実的ではなさそうだ。マイクロファイナンスは心温まる逸話を生むが、変化を起こすには小規模過ぎると、コリアーは指摘する。
何より、人々がそれを求めているのだろうか。自給自足農業は、次の収穫まで食いつなげれば大成功という貧困生活でもある。私が現地で話をした若者は、誰一人興味を示さなかった。
もう1つの選択肢は、強力な民間セクターを育てて、近代的な都市社会を建設するシンガポール方式だ。
ルワンダのポール・カガメ大統領は、貧弱な公衆衛生や社会の腐敗など、投資家に嫌われる問題点の解決に力を入れ、インフラや技術研修に投資してきた。ルワンダは金融サービスと情報技術が発展し、世界銀行の「ビジネス環境の現状」ランキングで29位に躍進している。
シエラレオネとルワンダは同じような国土の広さと人口で、人口動態も似ている。どちらも民族の衝突を抱え、内戦から復活しつつある。
ただし、ルワンダ方式は代償を伴う。カガメは一党支配を確立し、98.9%という疑わしい得票率で再選されて、自分が77歳まで続投できるように憲法を改正した。
私がシエラレオネで話を聞いた多くの人は、民主主義を捨てて繁栄するという取引を受け入れるだろう。問題は指導者だ。リー・クアンユーは、そう簡単には見つからない。コリアーが言うように、「独裁が成功の方程式だとしたら、今頃アフリカの国々は裕福になっている」。
昨年4月に就任したシエラレオネのジュリウス・マーダ・ビオ大統領は、欧米からの投資に期待する。ただし、ビジネスには適切な環境が必要だ。ルールのない自由市場は、権力者の私物化へと堕落する。(中略)
人々の絶望はあまりに深い
私は、旧友ボックリー・サルーの親戚を介してカイラフンでジェニバと再会できた。(中略)通訳が途中で口を挟んだ。
「あなたは分かっていない。私は何カ月も給料が払われないことがある。私が住んでいる建物には50人が生活していて、トイレは1つしかない。バスルームを使いたいときは、朝4時に利用しないといけない......アメリカは天国だ。パラダイスだ。アメリカは素晴らしい。私は知っている! 仕事も見つかるだろう。床清掃の仕事だっていい」
途上国の人たちの生活はあまりに過酷で、人々が感じている絶望はあまりに深い。大学卒の学歴の持ち主ですら、他国に移住して床清掃の仕事に就きたいと訴えるくらいなのだ。
私たちに残されている時間は少ない。今のところエボラは管理下にあるが、「次のエイズ」や「次のエボラ」がいつ流行しても不思議でない。
軍や警察の上層部は、新たな内戦の勃発も心配している。ある国際セキュリティーコンサルタントから聞いた話によれば、イスラム過激派武装勢力ボコ・ハラムがシエラレオネに進出し始めている可能性もある。
貧しい途上国はどこも、深刻な不安材料を抱えている。問題を解決するために必要なのは、援助ではなく、強力な民間セクターに基盤を置いた経済を築くことだ。生活環境が改善すれば、人々を国外移住へ突き動かす力が弱まり、人口爆発や環境汚染などの問題も解決しやすくなる。
そのような経済は、援助関係者や官僚では築けない。ルワンダが成功した一因は、アメリカの財界リーダーたちの力を借りたことにあった。
シエラレオネに変化が訪れるのは遠い先になりそうだ。私が帰りの準備をしていると、ジェニバが私を部屋の隅に引っ張っていき、アメリカに連れて行ってくれと言った。
私はその求めに応じず、西洋人が過去数百年にわたりやってきたのと同じことをした。彼女の手に100ドル札を握らせたのだ。それが彼女を救うとは思えなかったが。【11月5日号 Newsweek日本語版】
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通訳の怒りと最後のエピソードが現実を物語っています。
ベトナム 英密航の悲劇 どうして密航までして・・・ ベトナム人にとって日本の労働市場は?

(英密航で亡くなったファム・ティ・チャー・ミーさんがフェイスブックで公開していた、日本での着物姿の写真【11月2日 朝日】)
【密航の悲劇「息ができない。お父さんお母さんごめんなさい」 なぜ英国を目指したのか?】
10月23日、ベルギーからフェリーでイギリスに到着したトラックの冷蔵コンテナから女性8人と男性31人の計39人の遺体が発見された事件では、遺体は当初中国人と報じられていましたが、その後の調査で全員がベトナム人であることがわかりました。
この悲劇の痛ましさを一段と増したのは、犠牲者の一人の女性が死ぬ直前、母親に送った「息ができない。お父さんお母さんごめんなさい」というメッセージでした。
このベトナム人女性は技能実習生として3年間、日本でも働いていたようです。
*****「息できない」絶えた通信 彼女はコンテナで見つかった****
英ロンドン近郊で10月23日、トラックの貨物コンテナから39人の遺体が見つかった。英国への密入国に失敗した人たちとみられ、その多くがベトナムで最も貧しいと言われる北中部2省の出身者である可能性が高まっている。密航をしてまで、なぜ英国を目指したのか。若者たちの地元を訪ねてみた。
首都ハノイから南へ330キロのハティン省カンロック。小さな家の祭壇に、行方がわからなくなっているファム・ティ・チャー・ミーさん(26)の遺影が置かれていた。
「息ができない。お父さんお母さんごめんなさい」
英国へ向かうはずだった10月21日、こんなメッセージを通信アプリで母親へ送信してきたのを最後に、チャー・ミーさんからの音信は途絶えた。移民を隠して密入国させるコンテナの中にいたとみられ、家族の毛髪や爪のDNAを使った身元確認が進んでいる。
両親によると、チャー・ミーさんは技能実習生として3年間、日本の弁当工場で働き、今年6月に帰国したばかりだった。本人のフェイスブックには富士山や桜、着物姿の写真も投稿されていた。
運転手をしている兄弟が交通事故に遭って払えなくなった車の購入費用の残金3億5千万ドン(約162万円)や、家族の生活費をまかなうため、英国でネイリストとして働こうとしたという。
当初の予定は、ベトナムから中国経由でフランスに入るというもの。その費用として仲介業者が提示したのは2万2千ドル(約239万円)で、家族が親戚の不動産を抵当に銀行から借金をして賄った。父親は「コンテナに乗ると知っていたら行かせなかった」。仲介業者には一度も会ったことはなかった。
なぜベトナムの若者たちは英国に向かったのか。信者がコンテナにいたとみられる神父は「違法な大麻栽培ビジネス」を理由として挙げました。
カンロックから北へ約80キロ離れたゲアン省ジエンチャウ出身のグエン・バン・フンさん(33)も、同じコンテナにいたと見られている。
「弟は大学の音楽科まで出た高学歴なのに、ベトナムでは月収700万ドン(約3万2千円)しか手に入らない。もっといい暮らしを望んだ。それには海外に行くしかない」
兄のハイさん(35)は、保険会社で働いていた弟が1年前に国を出た理由をそう明かした。英国入りに成功したら、3億ドン(約138万円)を家族が仲介業者に払うことになっていた。
海外に行けばなんとかなるという考えは、地域の人の間に広がっている。「出稼ぎ村」と呼ばれるゲアン省ドータインには、韓国や日本、欧州で稼いだお金で建てられたという邸宅が並ぶ。コンテナで亡くなった犠牲者のうち、25人がこの村の出身者だと報じられている。
その1人、グエン・ディン・トゥさん(26)は妻と2人の子どものために2018年に家を新築した。約500万円の借金が残り、出稼ぎを決めた。
家族によると、腕にタトゥーを入れているので日本や韓国には行けないと思い、今年3月にルーマニアの渡航許可を得た。だが、現地で得たのは、1日8時間も寒い職場で冷凍食品を扱う月収500ドル(約5万4千円)の仕事。続かなかった。
2カ月後、ベトナム人の友人に誘われドイツへ。食堂で働いたが、月1千ユーロ(約12万円)の収入は高い生活費に消えた。その後、英国を目指したようだ。
父親のサットさん(70)は、コンテナに隠れて英国への密入国に成功したという地元住民から「トレーラーに入ると、携帯電話もお金も身分証明書類も取り上げられ、到着後に返される」と聞いた。こうした方法が横行していたようだ。「息子には危険という意識がなかったのかもしれない」
6~7%台の経済成長を続けるベトナムの平均年収はおよそ2600ドル(約28万2千円)。一方、ゲアン省の平均は半分の約1240ドル(約13万5千円)だ。豊かな中流層が増える一方で、特に農業中心の北中部は都市部と比べて企業の進出や雇用の機会も少ない。
信者の1人がコンテナにいたとみられるハティン省の教会の神父、グエン・スアン・ホアさん(60)は若者が英国を目指す理由について「大きな理由は欲だ。英国でベトナム人が大金を稼げるのは、違法な大麻栽培ビジネスだと言われる。月収20万円程度の日本や韓国より楽に稼げると思い込む人もいる」と話した。農村に両親を残し、借金の利息も稼がなければと違法な仕事に向かっていく実情があるという。
「いい学校を出ても仕事はなく報われない。こうした地域への投資を増やし、政府が農村部の不公平感をなくす努力をしなければ、密入国はなくせない」【11月2日 朝日】
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“英国でベトナム人が大金を稼げるのは、違法な大麻栽培ビジネスだと言われる”ということに関しては、以下のようにも。結局、イギリスなど外国に入国しても、大麻など違法ビジネスにかかわらないと、密入国費用を取り戻すほどに稼ぐことも難しいようです。
****命がけで欧州に渡るベトナム移民、大麻の違法栽培に従事も 英****
ベトナム人のクオン・グエンさんは、英国で大麻の違法栽培に長年にわたって従事していた。クオンさんのように、英国の数十億ドル規模の違法大麻産業に従事するベトナム移民は数千人いるとされる。
しかし、より良い生活を求めて欧州を目指す不法移民は極度の危険にさらされる。(中略)
取材でクオンさんは、トラックの底に隠れて英国に潜り込み、民家やホテル、馬小屋などで大麻栽培を行っていたことを明らかにした。
大麻の違法栽培に従事したのは、すべて大きな夢のためだったとしながら、「とにかく稼ぎたかった…合法、違法にかかわらず」と当時の心境にも触れた。
専門家らによると、英国の大麻市場の背後にはベトナムの犯罪組織が存在しているとされ、その取引規模は年間26億ポンド(約3600億円)にも上るとされる。
またクオンさんは自らの意思で英国に行ったと話すが、だまされて人身売買の犠牲となり、このような犯罪組織に捕らわれてしまっている人も大勢いる。
■危険な旅
(中略)いわゆる小悪党でドラッグ常習者だったクオンさんは、29歳の時に英国に行くことを決めた。大麻取引で稼げると考えたのだ。仲介業者に1万5000ドル(約160万円)を支払い偽の旅券を手に入れ、欧州へのツアー旅行に紛れ込んだ。
フランスでツアーから抜け出し、カレーに行った。そこでベトナム人の密入国を仲介する業者が海峡を越えて英国まで行く手配をした――トラックの底に隠れるという方法だった。「落ちたらもちろん死ぬ」とクオンさんは言い、他の3人のベトナム人移民と共に1晩かけて英ドーバーに向かったと話した。
初めての国で、英語も話せなかったため、クオンさんにできることは限られていた。再び仲介業者に助けを求め、イングランド・ブリストル郊外の住宅に設けられた大麻栽培工場で働くことが決まった。
半年後、栽培工場があった地域に警察の手が伸びた。クオンさんは持てるだけの大麻草を持って急いで逃げた。
そして今度は、ブリストル近郊のホテルにあった大麻栽培工場で再び働き始めた。ここでは1万9000ドル(約200万円)近く稼いだという。これは、ベトナムでの給料と比べれば一財産だ。
ベトナム移民の大半は、貧しい中部出身だ。多くは英国を目指し、稼いだお金は国に仕送りをしている。仕送りは新しい車やオートバイ、家を建て直すために使われる。
■人身売買の被害
だが、英国までの旅費は安くない。
密入国業者は、旅行のための書類や航空券代として4万ドル(約440万円)の支払いを要求する。通常は東欧諸国まで飛行機で向かい、そこから陸路で英国を目指す。
なかには人身売買業者の犠牲となり、イギリス海峡を渡るころには負債が多額に膨れ上がり、売春宿やネイルサロン、大麻畑などで働かざるを得ない人もいる。
英全国警察本部長評議会によると、国内の大麻関連犯罪の約12%は東南アジア出身者によるもので、他の欧州域外出身者を上回っている。
また、国際反奴隷協会、NGOエクパット英国支部、パシフィック・リンクス・ファンデーションの報告書によると、2009年から18年に英国政府によって人身売買の被害者の可能性があるとされたベトナム人は大人と子ども合わせて3100人以上に上るという。
クオンさんは最終的にロンドンに行き、ドラッグを売ったり、大麻栽培で新人教育をしたりして数年間を過ごした。そして、2013年に大麻吸引の疑いで逮捕された。
刑事法院の記録によると、クオンさんは大麻栽培の罪で有罪とされ、禁錮10月を言い渡されている。クオンさんは最終的に内務省から国外追放とされた。
内務省のデータによると、2014年以降、自らの意思または強制的に帰国したベトナム人は1600人以上に上っており、うち少なくとも22人が14歳未満だった。 【10月30日 AFP】AFPBB News
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【日本で急増するベトナム人労働者 しかし、その実情は・・・】
「そんな危ない密入国や違法ビジネス就労なんかしなくても、日本などで安全に働けば・・・」とも思うのですが、日本での就労もいろんな問題を抱えていることは周知のところです。
“在留外国人は就労、留学など中長期在留者と在日韓国・朝鮮人ら特別永住者の合計で、増加は6年連続。国別では最多の中国が76万4720人と全体の3割近くを占め、韓国(44万9634人)、ベトナム(33万835人)、フィリピン(27万1289人)、ブラジル(20万1865人)と続いた。ベトナムの増加率(26.1%)は上位10カ国・地域で唯一2割を超えた。”【3月22日 時事】
近年、在留外国人の増加がいろんな形で話題になりますが、その増加をもたらしている最大の要因が、技能実習・留学生拡大の流れを背景にしたベトナム人の急増です。
結果、滞在中にいろんな原因で死亡するベトナム人も増加し、“増える在日ベトナム人の位牌 東京・日新窟に供養塔が完成”【7月1日 毎日】ということにも。
もっとも、ベトナムおいて日本が「働きたい国」として人気が上昇している・・・という訳ではなく、増加は日本側の受入れ拡大によるもので、日本の場合、現地の送り出し機関への多額の手数料などコストが高いことから、他の韓国などを希望する傾向もあるようです。
****10代ベトナム人「働きたい国」日本ではなく韓国のワケ****
ベトナム人技能実習生は、現地の送り出し機関に多額の手数料を払う形で、日本側の機関や団体の接待や裏金までも負担している。
ゆえに、他国に比べて日本で働くことは、お金がかかり過ぎるのが現状だ。そんな中、若年層のベトナム人たちは韓国への関心を高めているという。一体なぜなのか。ジャーナリスト・澤田晃宏氏がリポートする。
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ベトナムからの渡航先は、18年に日本が6万8737人でトップになった。次点の台湾とは僅差だが、
「台湾はビザの取得が簡単で、10年以上働けるが、給料が安い。台湾を目指すのは日本では採用されない30代以上の人が多い」(送り出し機関幹部)
ただ、アジア圏に限らず、ドイツやルーマニアなど欧州の国々もベトナム人労働者の採用を始めている。現状では、他国に比べ、日本で働くにはお金がかかり過ぎる。日本が「働きたい国」であり続けるためには、不透明なお金を排除する必要がある。
ハノイ市内の韓国語学校を訪ねた。学長のグエン・クアン・ドックさん(32)が誇らしげに言った。
「20代半ばより上の世代はドラゴンボールやワンピース、名探偵コナンが大好きで日本への憧れが強い。一方で今の10代はK‐POPの影響で韓国への憧れが強い。しかも日本より稼げる」
韓国は日本の技能実習制度を参考に1993年から単純労働分野の外国人の受け入れを始めたが、日本が現在抱える仲介業者のピンハネや非人権的な働かせ方が問題になり、04年からは労働者として受け入れる「雇用許可制」を導入した。国が業種ごとの受け入れ数を割り振り、国の機関同士で採用を行うため、ブローカーが入る余地がない。
韓国の雇用許可制で働く場合、失踪防止の目的で約4千ドル(約45万円)の保証金を預ける必要があるが、手数料は約630ドル(約7万円)だ。
転職が認められており、企業も待遇をよくしなければ人材を確保できない。そのため、寮などが無償提供されることも多く、実際に手にできるお金は日本の技能実習生よりも高いことが多い。
日本も単純労働分野の労働者を「労働者」として受け入れる在留資格「特定技能」を4月に新設した。本格的な受け入れはまだ始まっていないが、送り出し機関が仲介する形になる。
「候補者から手数料として3千ドル(約33万円)を徴収し、日本企業から年収の3割相当を紹介料としてとることを想定しています」と、送り出し機関幹部はそろばんをはじく。
日本に目を向けると、人材派遣会社が特定技能外国人をサポートする登録支援機関に登録し、虎視眈々と商機を窺っている。深刻な人手不足というならば、なぜ、国が率先して人材の受け入れをしないのか。オモテナシに欠けている。【7月27日 AERA dot.】
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日本の場合、仲介業者のピンハネの問題、労働の実態などについては、多くが指摘されていますので、今日は見出しの列挙だけ。
“ベトナム人実習生「日本の接待費用も負担」の裏事情 手数料は最低賃金の80倍”【7月27日 AERA dot.】
“ベトナム人実習生の心の声 夢見た日本に失望”【9月1日 朝日】
“外国人技能実習生 来日後に絶望する人が少なくないのが現実”【9月22日 NEWポスト】
今は「日本が門戸を緩めると、近隣国から日本で働きたい人がドッと押し寄せる」という発想ですが、やがて、日本が求めても「来てくれない」という日もやってくるかも。東南アジアの国々もやがては自国内の労働力が次第に不足し、外国に出る必要も薄れてくるでしょう。
そうした状況にあって、独自の取り組みを進める企業もあるようです。
****モス、ベトナム人350人採用 4年計画 「特定技能」資格者****
モスフードサービスは15日、今年4月に導入された「特定技能」の在留資格を得たベトナム人を4年間で350人採用する計画を発表した。資格取得に必要な外食の知識や技能を学ぶ教育プログラムを現地の短大と始めており、日本で就業を終えた後は、ベトナムで幹部社員に登用することを視野に入れる。
モスフードは、ベトナム国立のダナン観光短期大学と提携し、10月から「ベトナム カゾク」と名付けた教育プログラムを始めた。短大の学生の中から希望者を募り、日本の外食店で働くうえで必要な知識や技能のほか、自社で働くのに必要な専門用語などを教える。
受講後、特定技能のうち「外食」業種の試験を受けてもらい、合格者は来日して主に「モスバーガー」の国内にある直営店で働いてもらう。給与や家賃補助などの福利厚生は、日本人の正社員と同水準にするという。
モスフードは2020年中にも現地企業と合弁会社を立ち上げ、ベトナムに進出する予定だ。法律が定める上限5年の在留期間が終わって帰国した後は、現地の幹部社員として迎え、ベトナム国内での店舗運営などを担ってもらう考えだ。
15日に記者会見したモスフードサービスの桜田厚会長は「教育面でベトナムを手伝い、ベトナムが成長できればいい」。短大のレ・デュク・チュン校長は「学生が日本の知識や文化を身につけ、日本企業に対応できるようになることを期待している」と語った。
今回の教育プログラムの期間は、短大側が手掛ける日本語教育なども含めて、およそ1年間。初回の20年は50人、その後は毎年100人の採用を目指す。
ただし、計画通りに進むかは未知数だ。特定技能の外食は4月以降、3回の試験を国内で実施し、計1546人が合格した。海外では11月に初めてフィリピンで行うが、ベトナムでの試験実施は決まっていない。
政府が外食で受け入れを見込むのは5年間で最大5万3千人と、介護に次いで多い。だが、出入国在留管理局による在留資格の審査に時間がかかり、外食の業界団体によると、10月上旬までに特定技能に認められたのは23人。ある外食産業の幹部は「何度も書類を出し直し、認められるまでに5カ月かかった」と話す。
ベトナム人の働き手を積極的に採用する国内企業は少なくなく、今後、モスフードと同様の動きが広がる可能性がある。【10月16日 朝日】
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