フィリピン  中国対抗の幅広い国際関係構築を目指すマルコス氏 国内ではドゥテルテ家との対立激化 | 碧空

フィリピン  中国対抗の幅広い国際関係構築を目指すマルコス氏 国内ではドゥテルテ家との対立激化

(323日 中国艦船2隻から放水砲を受けるフィリピン補給船【324日 FNNプライムオンライン】)

 

【南シナ海で衝突が続く中比両国 マルコス大統領は強気姿勢】

周知のように、南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する中国とフィリピンの間の小競り合いが続いています。

38日ブログ“中国 金門周辺海域、南シナ海で台湾・フィリピンとの緊張 習主席「海上軍事闘争の準備」指示”)

 

****南シナ海で中国船と2度衝突=比沿岸警備隊の船損傷、4人けが****

フィリピン沿岸警備隊は5日、南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁近くで、同隊などの船2隻がそれぞれ中国海警局の船舶に針路を妨害され衝突したと発表した。2隻とも船体の一部が損傷したという。

 

衝突があったのは同日朝。比沿岸警備隊艇はアユンギン礁に物資を運ぶ船を護衛していた。2度目の衝突の際、中国海警局の2隻の船舶が放水銃を使い、運搬船に乗っていた比海軍スタッフ少なくとも4人が負傷したという。

 

一方、中国海警局は同日、比側が故意に衝突させたと非難する報道官談話を発表した。【35日 時事】 

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23日にもフィリピンの補給船が中国船からの放水砲をうけて損傷、海軍兵士3人が負傷する事態に。

 

****中国放水砲「重大な損傷」 フィリピン補給船、南シナ海で****

フィリピン沿岸警備隊は23日、南シナ海のアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)の軍拠点に向かっていた補給船が同日、中国海警局の船2隻から放水砲の直撃を受け「重大な損傷」を被ったと発表した。中国船は補給船の前方を横切ったり、衝突しそうになったりするなど、危険な妨害行為も繰り返したという。

 

フィリピン軍は支援のため軍艦2隻を派遣。当初は沿岸警備隊の巡視船2隻が補給船の護衛に当たるとしていた。(後略)【323日 共同

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フィリピン・マルコス大統領は中国の圧力に対し一歩も引かない強気姿勢を見せています。

 

「領土」に関する信念の問題もあるでしょうが、現実問題として、中国に対して強気姿勢をとった方が国民世論の支持を得やすいという政治的側面もあるのでは・・・とも個人的には推測しています。

 

更に言えば、対中国政策で宥和的だったドゥテルテ前政権との違いを見せることで、ドゥテルテ家との確執が明らかになっている次期政権への何らかの思惑もあるのでは・・・といったあたりは、全くの個人的邪推です。そのあたりは余裕があれば後述。

 

****比大統領「1平方インチも譲らず」=南シナ海、対中国で豪と連携****

フィリピンのマルコス大統領は29日、訪問先のオーストラリアの国会で演説し、「南シナ海を守ることは地域と世界の平和を維持する上で死活的に重要だ」と訴えた。

 

「外国勢力がわが国の領域を奪う企ては1平方インチたりとも許さない。われわれは決して譲歩しない」と述べ、南シナ海で覇権主義的動きを強める中国を強くけん制した。

 

南シナ海では、昨年12月に中国海警局の船舶がフィリピン船と衝突したり、放水銃を使用したりするなど緊張が高まっている。マルコス氏とアルバニージー豪首相は同日の会談で、南シナ海の安定化に向け、軍事・民間両面で海洋協力を強化する覚書を交わした。【229日 時事

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****南シナ海での中国の危険行為に「沈黙せず」 マルコス比大統領****

フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は28日声明を発表し、南シナ海で中国海警局の船に放水砲を浴びて補給船が損傷したり海軍の兵士が負傷したりしたのを受け、「沈黙するつもりはない」とし、対抗措置を講じる考えを示した。

 

マルコス氏は「いかなる国とも紛争に持ち込む考えはないが、われわれは沈黙したり、屈服・服従したりするつもりはない」と述べた。(後略)【328日 AFP

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言葉だけでなく、海上保安を強化する動きも。

 

*****フィリピン、南シナ海の海上保安強化 指針策定へ、大統領令署名****

中国などとの間で南シナ海での領有権争いが激しくなる中、フィリピンのマルコス大統領が、同海の海上保安を強化する大統領令に署名した。大統領府が3月31日、発表した。地元メディアは「南シナ海で強まる脅威を象徴している」とし、緊張の高まりを伝えた。

 

大統領令でマルコス氏は「海洋域の安定と安全を推進している我々の努力にもかかわらず、私たちは領土だけでなく、国民の平穏な生活に対する深刻な挑戦と脅威に直面している」と指摘。「国家沿岸監視評議会」を「国家海事評議会」と改名・再編した上で、海上保安の強化に向けた政策と戦略、ガイドラインを策定すると説明した。(後略)【331日 毎日

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中国側も、38日ブログでも取り上げたように、習近平国家主席が中国軍の会議に出席し、「海上軍事闘争の準備」を進めるよう指示しています。

 

【ドゥテルテ前政権と中国の間で「密約」か】

中国側のフィリピンへの圧力強化の背景には、対中国宥和路線をとったドゥテルテ前政権時代にかわされた「密約」があるとも言われています。

 

****フィリピン前政権に中国への譲歩疑惑 南シナ海問題で「密約」か****

フィリピンで、前政権が南シナ海の領有権問題で中国に譲歩する「密約」を結んでいた疑いが明らかになり、国民の間で反発が広がっている。「現状維持」が目的だったとされ、政府は前政権幹部に説明を求める方針だ。

 

約束はドゥテルテ前大統領が在任中(2016〜22年)、中国の習近平国家主席と口頭で交わしたとされる。ドゥテルテ氏の報道官だったロケ氏が3月末、地元メディアのインタビューで暴露した。

 

それによると、フィリピンは軍事拠点としているアユンギン礁(英語名セカンドトーマス礁)などで、建造物の修繕や新設を行わない見返りとして、中国が食糧補給を容認する内容だった。同時にフィリピンは中国に対し、中国が軍事拠点化したミスチーフ礁に構造物を設置しないことを求めたという。

 

アユンギン礁は、1999年にフィリピンが米軍の揚陸艦「シエラマドレ号」を意図的に座礁させ、軍事拠点とした。船は老朽化による沈没の可能性があるため、フィリピンは現在、修繕や他の構造物の設置を検討。中国が反発している。

 

ロケ氏はこうした状況について「中国側が、今もこの申し合わせが有効だと考えているためかもしれない」と説明。「しかし、現政権が申し合わせを引き継ぐと中国側が推測するのは間違っている」と述べた。

 

両国間の領有権問題は、フィリピンが仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に提訴し、同裁判所は16年、南シナ海のほぼ全域に権益が及ぶとする中国の主張を退けた。

 

中国は判決を無視して進出を続けたため、ドゥテルテ氏は経済関係を重視する観点から、中国に一定の譲歩をしていた。ただ22年に就任したマルコス大統領は方針を転換し、同問題に強い姿勢で臨んで日米などとの連携を強めている。

 

ロケ氏は「『密約』ではなく、比外務省を通じて公表された」と釈明しているが、フィリピンの南シナ海国家対策本部の報道官は「中比間のいかなる『紳士協定』も知らない。あったとしても現政権は破棄する」と述べ、当時の外相に説明を求めている。

 

当時の取り決めについてハーグでの裁判で比側法律チームに加わったアントニオ・カーピオ元最高裁判事は地元メディアで「判決で認められた比側の権利を放棄し、中国を利する行為だ」と批判した。地元メディアも「中国は、南シナ海における攻撃的な行動の正当化に利用しかねず、対立を激化させる」などと問題視している。

 

アユンギン礁付近では3月5日に続いて23日にも、中国海警局の船が補給活動に向かっていた比側の船に放水銃を使用し、3人が負傷した。これを受け両国高官は25日、電話で抗議の応酬を繰り広げた。中国外務省の声明によると、陳暁東外務次官は「両国間関係は岐路にあり、フィリピン側は慎重に行動すべきだ」と強調したという。

 

さらに中国側は、23日の補給活動の取材をしていたフィリピンメディアに対し「比側を被害者のように見せるために、動画を改ざんした」と非難し、比全国ジャーナリスト組合などが異例の反発声明を出した。

 

マルコス氏は28日、自身のSNS(ネット交流サービス)で南シナ海における中国側の行動を「違法で危険な攻撃」とし、近く対応策を講じると投稿した。具体的な内容は明らかにしていないが、「いかなる国、とりわけ友人であると主張する国との対立は望まない。しかし、沈黙や降伏、服従もしない」と述べ、緊張は高まっている。【330日 毎日

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【アメリカ頼みでは「もしトラ」で不安 より幅広くネットワーク構築を目指すマルコス大統領】

現実問題としては、「一国だけでは『彼ら』に対抗できない。戦略的パートナーシップがこれまで以上に重要になる」(229日 オーストラリアを訪問中のマルコス大統領)ということで、フィリピンはアメリカを基軸に、オーストラリア、日本などとの連携を強めています。

 

上記オーストラリア訪問では、オーストラリアと安全保障協力を強める意向を示しています。

 

****日米比、南シナ海で初の合同監視=中国けん制、首脳合意へ―米報道****

米政治専門紙ポリティコは29日、日本の海上自衛隊と米国、フィリピンの海軍が、南シナ海で初の合同警戒監視活動を年内に実施する方向だと報じた。同海域で威圧的な行動を強める中国をけん制する狙いがあり、来月11日にワシントンで行われる日米比首脳会談で合意する見通しという。

 

南シナ海では、中国海警局の船舶がフィリピン船に衝突したり、放水銃でフィリピン側の乗組員にけがをさせたりと、危険行為をエスカレートさせている。合同の警戒監視活動が実現すれば、領有権を主張する中国の反発は必至だ。

 

2022年に就任したフィリピンのマルコス大統領は、中国傾斜を指摘されたドゥテルテ前政権の外交方針を修正。日米との関係強化を急いでいる。昨年6月には、日本の海上保安庁と米比の沿岸警備隊が初の合同訓練を実施し、3カ国の海洋安全保障協力を進めてきた。【330日 時事】 

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こうしたフィリピンの動きについて、中国は「アメリカに対し、フィリピンを南シナ海で事を荒立てるための駒として使わないよう求める」「フィリピンはアメリカの言いなりになるべきではない」(36日 中国外務省の毛寧報道官)と批判しています。

 

ただ、フィリピンとしても「もしトラ」を考えると、トランプ氏がどこまで後ろ盾になってくれるかは不透明。アメリカ頼みでは“はしごをはずされる”危険がありますので、より幅広く関係を広げたいところでしょう。

 

****南シナ海で挑発激化の中国 立ち向かう比マルコス大統領の戦略****

緊迫する南シナ海で23日、またもフィリピンの補給船が中国海警局の船舶から放水砲を浴びて複数の乗員が負傷し、船は航行不能になったと比政府が発表した。

 

南シナ海ほぼ全域の領有権を主張する中国が挑発行為や実力行使を激化させるなか、フィリピンのマルコス大統領は自国の権益を守るため、同盟国の米国はもとより、新たなパートナーのネットワーク構築を急いでいる。(中略)

 

そんな中、フィリピンは米国とフランスと合同で海上軍事演習を4月下旬から5月上旬にかけて実施することが分かった。香港紙アジア・タイムズ(電子版)によると、フランス海軍はフリゲート艦を派遣し、フィリピン海軍と沿岸警備隊、米海軍との公海でのいわゆる集団航行に参加する。このような合同演習がフィリピンの領海12カイリを越えて行われるのは約40年ぶりとなるという。

 

米紙ニューヨーク・タイムズは先日、中国に立ち向かうフィリピンのマルコス大統領が新たなパートナーのネットワーク構築を進めているとの記事を掲載。マルコス氏は緊迫度が増す南シナ海は地域の問題だけではなく、世界的規模の問題だと訴えた。

 

同紙は、マルコス氏が中国との領有権問題をめぐり、外交姿勢を強化しているため海上衝突がここ数か月でより頻繁になっていると説明。

 

一方でマルコス氏は、中国と領有権を争うベトナムとの沿岸警備隊の緊密な協力関係を約束。また、3月にはオーストラリアと海洋協力協定を締結。さらに3月中旬には約1週間の日程でドイツとチェコを訪問し、南シナ海のうち、西フィリピン海における海上安全保障について両国から支持を得た。

 

フィリピン大統領として10年ぶりにドイツを訪れたマルコス氏は12日、ベルリンでショルツ首相との会談後、「南シナ海は全世界の貿易の60%をつかさどっている。これはフィリピンや東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド太平洋地域だけの利益ではなく、全世界の利益でもある」と述べた。

 

チェコのパベル大統領は14日、防衛とサイバーセキュリティの分野でフィリピンに協力する用意があると述べ、南シナ海でのフィリピンの主張を「全面的に支持している」と明言した。

 

専門家らは、マルコス氏による一連の外交が中国抑止つながると指摘。その一方、中国政府が領有権の主張をさらに強化し、最終的にはフィリピンの同盟国である米国を巻き込む紛争のリスクを増大させる可能性もあるとした。

 

米政府は繰り返し中国の行動を非難し、武力紛争が発生した場合にはフィリピンを支援すると約束している。

 

20226月に就任したマルコス氏が推し進める外交戦略は、前任者のドゥテルテ氏のアプローチとはほぼ真逆だ。西側諸国を批判し、中国にすり寄ったドゥテルテ氏に対し、マルコス氏は米国や日本との伝統的な安全保障パートナーとの関係を復活させ、強化した。

 

また、スウェーデンやフランスなどと新たな関係を築き、武器取引や軍事演習を推進している。さらに、フィリピンは英国およびカナダと防衛協力を強化する協定を締結。これらはマルコス氏が昨年、大統領に就任して以来7か国と結んだ10の安全保障協定の一部だ。

 

マニラにあるデ・ラサール大学のレナト・クルス・デ・カストロ教授(国際学)はニューヨーク・タイムズ紙に、もしトランプ前大統領が来年政権に復帰した場合、フィリピンは米国だけに頼ることはできないとし、そのため新たな同盟国の必要性を指摘した。

 

「米国は今、政治制度も非常に不安定だ。ウクライナへの米国の軍事援助をめぐってもそうだ」とし、「トランプ氏が勝つとは限らないが、米国の国内政治が非常に不安定であるため、常に不確実性が存在する」と分析した。【325日 THE NEWS LRNS

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【対立が激化するマルコス大統領とドゥテルテ家】

一方、フィリピン国内に目を転じると、マルコス家のマルコス大統領とドゥテルテ前大統領、その娘のサラ副大統領などドゥテルテ家の確執が明らかになってきています。

 

上記のような対中国政策の違いもそのひとつですが、将来的にはマルコス大統領の次を誰にするのか、ドゥテルテ氏長女のサラ副大統領が引き継ぐのか、あるいは憲法改正に手をつけてマルコス氏が長期政権に向かうのか、そこまではしないものの、マルコス氏のいとこで最側近の下院議長ロムアルデス氏に引き継ぐのか・・・といった権力闘争が背景にあってのことでしょう。そのあたりは23日ブログ“フィリピン 国際刑事裁判所、ドゥテルテ時代の超法規的殺害を捜査 ドゥテルテ・マルコスの「泥仕合」”でも取り上げたところです。

 

ドゥテルテ前大統領は、マルコス氏は「麻薬常習者」であり、続投を狙い憲法を改正しようとしていると非難。一方、マルコス大統領は、ドゥテルテ氏こそ長年の薬物摂取の影響を受けていると反論する・・・といった泥仕合の様相も。【129AFP 129日共同より

 

より直接的には、国内世論には支持されたものの国際的には批判があったドゥテルテ前大統領の「超法規的殺人」を含めた強権的・過激な麻薬対策をどのように評価するのか、ドゥテルテ前大統領に対する国際刑事裁判所(ICC)の捜査にどのように対応するのかという問題もあります。

 

****ICC対応で堪忍袋の緒が切れた****

(マルコス氏とドゥテルテ前大統領・サラ副大統領の)不協和音が響くなか、国際刑事裁判所(ICC)をめぐるボンボン氏(マルコス大統領)の発言でドゥテルテ陣営の堪忍袋の緒が切れた。ICCは前政権の「麻薬撲滅戦争」が「人道に対する罪」などにあたるとの告発を受け、捜査を続けている。

 

政府発表だけでも「戦争」にからんで6000人以上が殺され、その多くは司法の手続きを経ない超法規的殺人だった。ICCは前大統領や側近だったデラロサ国家警察長官(現上院議員)らが「大量虐殺」に関与した疑いをもち、逮捕状の発布も検討しているとされる。

 

前政権は捜査に反発し、2018年にICCに脱退を通告、1年後に正式に脱退した。ところがボンボン氏は202311月、ICCへの再加入を「検討する」と発言したのだ。

 

大統領選でサラ氏が候補の座をボンボン氏(マルコス氏)に譲った裏には、ICCへの非協力が最低限の合意だったとみられ、ボンボン氏はICCの国内捜査には協力しないとの姿勢を崩してはいない。

 

それでもサラ氏の「(副大統領を辞任して)中間選挙立候補発言」の翌123日、「国内捜査は主権侵害となる」として協力しないと話したものの、捜査員の入国自体に関しては「一般人としてフィリピンを訪れることは可能だ」との見解を示した。(中略)

 

麻薬戦争に対し、現政権は明らかに姿勢を変化させている。レムリア司法相は20241月、共同通信の取材に対し、麻薬戦争について「摘発のノルマを割り当てられた警察が証拠をでっち上げ、多くの無実の人が逮捕された」と批判し、「過ち」と断じた。

 

ボンボン・ロムアルデス陣営(マルコス氏といとこの下院議長)は、ICC捜査をドゥテルテ陣営牽制のカードとしているのではないかという疑心暗鬼がドゥテルテ側で強くなっている。

 

セバスチャン氏(ドゥテルテ前大統領の次男でサラ氏の弟 ダバオ市長)の「父を牢獄に入れたがっている」という発言とあわせ、ドゥテルテ陣営がICCの捜査の行方と現政権の対応に神経をとがらせていることは間違いない。【131日 柴田直治氏 東洋経済オンライン

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****フィリピン麻薬戦争「やり過ぎ」 マルコス大統領、前政権を批判****

フィリピンのマルコス大統領は13日、訪問先のベルリンで同行記者団と会見し、ドゥテルテ前政権が行った「麻薬戦争」について「一部の人の意見では、やり過ぎがあった」と批判した。現政権は麻薬問題で「異なったアプローチ」を取っており、犠牲者の被害回復に目を向ける必要があると述べた。

 

国際刑事裁判所(ICC)はドゥテルテ前政権が「麻薬戦争」の薬物犯罪取り締まりで超法規的に行った容疑者殺害を問題視して捜査する方針だが、マルコス氏は支援しないと明言している。マルコス氏は、フィリピンでのICCの管轄権は認めないとドイツのショルツ首相に伝えたことも明らかにした。【314日 共同

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中国とフィリピンの軋轢は小競り合いはあっても(両者に理性があれば)大事には至らない可能性が高いと思われますが、国内のマルコス陣営とドゥテルテ家の対立は火を噴く可能性があります。

 

マルコス大統領、ボンボンという名前のように名門マルコス家のお坊ちゃまで、気性の激しいサラ副大統領に取って食われてしまうのではないか・・・と思っていましたが、対外的にも国内的にも“攻める”姿勢のようです。