「2か月後の大会をもって、トリプルバトル部は廃部とする。これは決定事項だ。まぁ一応、存続の道がないわけでもないが…」
唐突に部室に響く顧問の声。
その声が表す意味に、僕の理解は追い付かなかった。
「そんな急に…」
「…部員ももとより少ないだろう?部の維持費も安くないんだ。部員を増やすか、大会で結果を出すかしか、存続の道はないと思え」
部長の説得もむなしく、顧問はそれだけ言い残して部室を去っていった。
「…………くそっ」
部長の小さく吐かれたそんな言葉も、やり場のない怒り故なのだろう。確かに、創部3年、創部者である先輩たちも3人。2年は僕の1人だけだし、後輩だって2人しか入っていない。総勢6人で小さな部活であることは重々承知だ。
「それにしたって…」
部員を増やすか、大会で結果を出すか…。
「…お前には、この部を作った理由を話したよな」
「……そうですね。『トリプルバトルの面白さを学園の中だけでも広めたい』、と。それに感銘を受けたからこそ、僕だって入部したわけですし」
この部活にいる全員が、そもそもがポケモン愛にあふれている人たちばかりだ。
そんな人たちを路頭に迷わせるのもいかがなものか。
「………お前は、どっちの方が確率が高いと思う?提示された2つのうち」
僕は、大会出場経歴もない。創部間もないのもあって、結果らしい結果も出せていない。かといって、2か月の間に人を集められるかと言われても微妙なところだ。
「…大会で結果を残す、という方が、一抹の可能性を掴むなら、可能性はまだ高いかと………」
「…そうか」
先輩の目には、まだ希望を捨てていない光が見えた。
まだ、諦めない。そういうことなのだろう。
「…時間が無いのが、1番の問題だ。早速で悪いが、来週の月曜日、放課後に部内戦を開く。後で部の連絡網にも通達しよう」
「一応ですけど、クラスの人たちにも声はかけてみますね」
「あぁ、頼む。レンタルロムもあるからな。ぜひ初心者にも体験できる場を作った方が良いだろう。まぁ、大本の目的は、部内での実力者上位2人を出して、その2人を大会に出すことではあるが……。部員が増えるに越したことはない。よろしく頼むよ」
「はい!」
今日は水曜日。あと2日しかない。せめて2人は欲しいか。
そして、木曜日と金曜日にクラスで掛け合った結果、その場で了承した人数0人という、何も生まない結果となってしまった。
その夜。
「…まぁ、何人からかは考えてみるとは言われたから、大丈夫か」
人のことは一旦置いておいて、部内戦の構築はどうするか。
「…無難に勝ちに行くなら、使い慣れてるメガ枠の方がいい。でも、せっかくの部内戦だし………。…いや、勝つことだけ考えよう。大会に出れるなら、もっと強い人たちとも戦えるんだ。使い慣れてる構築の方がいいに決まってる」
今最も使い慣れてるメガシンカ…。僕は対戦用のオメガルビーを眺めながら、構築を思案するのであった。