麻布学院の席順は模試の点数順です。
ですから一番前の列5人は学力が高い生徒。
しかし、その列に座るには果たすべき役割があります。
授業中の質問は様々な場面で飛びます。
前列が答えられない場合、2列目、3列目と質問が流れて行きますが、正当率は勿論低くなって行きます。
私はしつこい授業が持ち味なのでその部分を更に掘り下げて質問を繰り返します。
そうなると前の席の生徒は対応出来たとして後ろの生徒には知識が氾濫するぐらい膨大な解説になってしまいます。
前列の生徒の役割とは、基本的な質問は前5人のうち誰かが必ず答えられる準備をし、後方の生徒が基本的な質問に答えられるようになるまでの時間を稼いであげる事にあります。
まずは80点以上が確実にとれる基礎知識を解説し完結する事が全員合格には必要。
ですが、前列すら基礎知識がない場合に私は敢えて100点を狙う知識まで解説します。
そうする事で授業のスピードは落ちますが、前列は100点をとれるような知識を基礎と共に難なく吸収出来ます。
元の知識量が前列と後列では違いますから。
反面100点を狙う教え方は、この時期の中3生には厳しい授業になります。
本来は前列がまず基本的問題には必ず答えて後列の生徒が知識を蓄えるまでの時間を稼いでくれる事が理想です。
そうする事で、冬までに基本的な問題の解説を終えて、冬休みからは受験問題を解きながら、100点をとれる授業を生徒全員理解出来る状態まで仕上げてから教える事が可能になります。
前列すら仕上がりが悪い学年は、100点をとるための授業を最初から展開し、スピードを落として丁寧に解説をします。
知識量が最初からかなり膨大になり、後列の生徒は基礎知識と応用知識の判断が出来ず知識が定着しない事になるでしょう。
ですが、前列すら基礎知識がない場合は、後列を待つ時間がないので前列のトップ校確実な合格を想定し、早めに100%の授業を展開するしかありません。
そうならないように前列には基礎的な質問に確実性を持って答えて貰う事が必要。
出来るだけ早く基礎知識を終えるやり方が全員の成績向上に結び付きます。
基礎知識を解説している間に、前列は質問に答えて復習をし家では100点をとるための応用を学ぶ。
そうする事で、冬休み以降にの授業では前列が100点をとれるだけの質問に答えて、後列がそれを覚える時間をまた稼ぎ出す。
こうやって麻布学院は受験生のほとんどに社会80点以上、一高二高を受験する生徒には90点以上をとらせることに成功し、高い合格率を維持して来ました。
最前列の5人は、のちに自宅学習を監督するチームリーダーに育って貰う必要があります。
各教科の講師の解説をきちんと理解し再現出来るだけの知識量と理解が絶対条件になります。
チームリーダーは答え合わせで解説を担う生徒ですから。
勿論解説を私ともう1人の塾長2人でチェックし、ミスや説明に困る場面では交代して解説に入ります。
今の時期は、このチームリーダーになる5人の基礎知識をチェックする時期です。
しかしながら、5人の学習量が少ない場合は前倒しで5人の知識量を増やし合格者確保を優先しなければナンバー二桁は無理になります。
つまりはチームリーダーを育成するだけの余裕は生まれず、前から徐々に成績を上げて行く授業をするしかありません。
過去15年間、チームリーダーの育成が出来なかった年は2回。
2回とも前列の生徒の点数は限りなく100点に近く、その代わりに2列目3列目生徒は80後半~70後半。
社会で苦手教科をカバーしたり、評定をカバーするだけの点数にはならず、落としてしまった生徒が複数いました。
2回とも、前列に能力まかせで知識量が少ない生徒が陣取り、チームリーダーの育成どころではなくなった学年でした。
きちんとしたチームリーダーをまず5人育成するには、全体に80点以上の授業をしながら、前列の生徒はその間に私が指示をした内容を自分で応用まで学び、基礎知識は説明までこなせるようになって貰えれば、私が授業で全体に応用を教える事が出来ます。
基礎は自宅学習の答え合わせの時間に、毎日チームリーダーにチェックして貰えば良いからです。
今年の中3生は、まだまだ知識量が不足していますが、夏までに前列に自覚を持たせ、必ずやチームリーダーを最低4人は作り上げます。
まだまだ始まったばかり。
慌てるような時期ではありません。
ですが、努力している生徒が前列に来ないと、能力まかせで知識量がない生徒が前列に座る事になります。
そういった生徒は問題になると何となく出来てしまいますが、口頭の質問には答えられません。
まずはこういった生徒の前に努力型の生徒が座り、後列に能力型、前列に努力型の生徒を配置する事で、後列になった能力型を焦らせれば、冬には全体が志望校に届く位置まで学力が上がっているはずです。
何故なら能力型は学習量が増えるとすぐに成績に反映しますが、努力型は先に学習量を増やして差をつけないと勝負にならないので、上がる時期は早ければ早いほど良いのです。
後から追いこんで来る能力タイプの生徒と先に上がっている努力タイプの生徒の位地が受験で重なれば最良の結果となります。
過去3度、トップ校合格者だけで20人をこえた事があり、正に成功例となりました。
私の役割は、徐々に考え方を浸透させて生徒の学習量を増やし、県内1位や学年1位を多く育て上げ、チームリーダーを作る事にあります。
すでに今年の中3生には県内1位が2人いるのですが能力まかせで知識量が少ないタイプ。
チームリーダーにはむいていません。
まずは前列3人の努力型の生徒と能力型ですでに努力も始めた生徒をチームリーダーに仕上げ、上記2人のうちのいずれかを努力する能力タイプに変える事が出来れば今年の中3生は評定が高めな分、合格は増えるはずです。
まずは、前の生徒に責任感を、後ろの生徒に危機感を持たせる所から始めます。
まだまだ先は長い。
夏までに意識を変えて、秋には戦う集団を作り上げます。
上手く私が指導出来れば、今年の中3生はかなり凄い成績を残せるデータです。
徐々に考え方を浸透させて、まずはチームリーダー作りと基礎知識の導入から。
まだ時間はある。
全体を育て上げるだけの時間はあります。
前列の5人がきちんと教えた学習法をきっちりこなして、基礎知識を早く身につけてくれたら必ず成功する学年です。
前の5人は重圧でしょうが自分の合格をまず確実にするために我慢の時期。
頑張ろう。
俺も頑張る。