高校の仲間に話しがあると電話して会い

に行った。「俺、一先ず就職しようと思

っとるんや。」「エッ!なんでや?」

「家で勉強してるのが辛いんや。」「そ

うか、俺もな1年間だけ勉強さして呉れ

って頼んだんや。それで落ちたら就職す

るからって言うてな。しかし俺もお前も

こんなあほな高校に来て不幸やったな。」

と自嘲気味に彼は言った。


「そうでもないで。勉強は出来んけどこ

の高校はみんな良い仲間や。もし此処に

来なかったらお前等みたいな良い仲間達

にも会えんかったしな。」と答えた。彼

は笑って頷いた。「そうやな。今日は名

古屋でも遊びに行くか。」

(2011年08月23日 

     えーこんちゃんと愉快な仲間達)


二人で名古屋の街中をブラブラしていた

ら自衛官募集のパンフレットを配ってい

た人に声を掛けられた。差し障りのない

話しから始まって自衛隊に入ったら働き

ながら勉強も出来るような話しとなった。


彼は関心がなかったようだが、爺さんに

は願ってもない話しだった。詳しい話し

をしたいのでと住所を聞かれた。


後日ジープに乗って自衛官が訪ねて来た。

養父母は乗り気であった。爺さんは兎に

角勉強がしたかったのでその点だけを確

認して了解した。海上自衛隊、航空自衛

隊は訓練が大変なので勉強するのは難し

いとの話しであった。


最後に叔父さんの家で食事をご馳走にな

り、愈々故郷を出る事になった。これで

心置きなく思う存分やれると思った。し

かしこれが苦難の始まりになろうとは夢

にも思わなかった。


横須賀駅に着くと迎えのジープが来てい

た。入隊をしてみて勉強なんかとても出

来るような雰囲気ではない事が分かった。


何年か自衛隊に勤めて何処かの部署に配

属され、そこから学校に行く事は出来る

かも知れないがそれでは遅過ぎる。直ぐ

に上官に脱退の意志を伝えた。


入隊して直ぐに辞める事等今迄前例がな

いと直ぐ様却下された。しかし絶対に引

き下がらなかった。とうとう根負けした

のか幹部の部屋に通され話しをする事に

なった。


幹部も直ぐの脱退は認められないとの強

い態度だったが、勉強したいとの熱意は

分かって呉れたのか渋々許可して呉れた。


入隊してご版が美味かったのは今でもは

っきり覚えている。麦ご版もあって勿論

食べ放題だ。家庭の事情で満足にご飯を

食べられなかった人達には本当に有り難

い職場であるには違いないと思った。


よし、これから東京に行こう。其処には

爺さんの義理の従兄のもっちゃんが居る。

彼の処で暫く置いて貰って身の振り方を

決めようと考えた。


もっちゃんは養母の甥に当リ、小学生の

頃はよく遊んで貰っていた。養子先には

兄弟が居なかったので兄のように思って

いたが、「もっちゃんは礼儀良くてよく

勉強するのに、ぼんとは偉い違いやな。」

とよく比較されていたので良い感じはし

てなかった。しかし今はそんな事を言っ

ている余裕はない。


故郷を出てから1週間波瀾万丈の人生が

始まろうとしていた。


明日は天気も良さそうなので東京に行っ

て思い出の公園にでも行ってみるかな。