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演劇2018/2019シーズン  舞台『誰もいない国』

劇作家ハロルド・ピンターの代表作『誰もいない国』が満を持して新国立劇場に登場。





喜志哲雄の翻訳、寺十吾の演出で、実力派俳優と共におくる。



酒ボトルがたんまりある大きな一室で、屋敷の主人ハースト(柄本明)と招かれたスプーナー(石倉三郎)とが酒を酌み交わす。やがてハーストの家の使用人ブリグズ(有薗芳記)とフォスター(平埜生成)がやってきて、スプーナーと言葉の応酬を交わす。

ハーストは何を考えているか分からず寡黙で不気味。スプーナーは慇懃無礼ながらも尊大で図々しく、ひとりでどんどん喋りまくる。
前半は二人だけの退屈でつまらないシーンばかりで、正直飽きて眠くなってしまった。会話の内容も全く覚えていない。
柄本さんは殆ど喋らず、奥に引っ込んで寝ちゃうし、ほぼ石倉さんサイド。石倉さんはお風邪をお召しになっているのか度々咳をしていて、アドリブのように挟みながら続けていたが、柄本さんが話してる途中で咳が出てしまい、柄本さんの声を遮ってしまったのは残念。早々に咳止めを飲むことをお勧めする。

眠気を覚ましてくれたのは、二人の奇妙な使用人。特に平埜生成さんの張りのある声とイケメンな顔は、モノトーンの舞台を忽ち色鮮やかな雰囲気に変えてくれた。平埜さんはいわば活性酸素だ。
当初は遊び人スタイルで威張っていたフォスターだが、翌日はスーツをピリッと着こなし、老人ハーストを甲斐甲斐しくお世話したりする。ナチャラルな芝居は嫌味がなく、主人との穏やかな時間が続いてほしいと願う。
有薗さんはどこか不敵な顔立ちで怖いが、ハーストには忠義を尽くし、やはり安心させる存在だ。

かろうじて安定な関係を保ってきた、老主人と、孫のような若い使用人と、秘書のような使用人との間に、突然割って入った卑しく不遜でお喋りな男は、完全に異質のもの。
言葉を交わしていても、言葉が繋がってこない、虚しい世界に連れてこられたスプーナーは、観客にとっても目障りで耳障りな存在に成り果てた。
ラストで狂ったように喋りまくるスプーナーを3人がじいっと見つめるシーンは不気味だが、上手で表情を崩さずに立っている平埜さんの顔立ちがホント美しかった。

ハーストの寝室と手前の居間の間に浅い池ポチャがあったり、天井から水をひとしずくふたしずく降らせてみたり、斬新な演出を試みていたが、イマイチ意図や思惑がわからない。
両脚の裾だけ濡らしたまま、カテコでお辞儀をする平埜生成さんを見れてよかった。ホント成長したなあ。