音楽朗読劇 ヘブンズ・レコード 青空篇 | アクエリアス

アクエリアス

舞台、イベント、映画、展示会など、色々語っています(^^)

音楽朗読劇『ヘブンズ・レコード ~青空篇~』


2000年、夏。
阪神・淡路大震災から5年後の神戸。
事実を元にしたフィクションを、音楽と朗読劇で紡ぐ物語。
作・演出は岡本貴也。









出演者はWキャストで回替わり。渡辺裕之さんのみ固定。












物理的に復興していく神戸の街の片隅で、ワゴン車で移動して中古レコード屋を営む店長(渡辺裕之)と、バイトのタケル(Wキャスト:荒牧慶彦)。カーラジオからは花(Wキャスト:貴城けい)のラジオ番組が流れる。
そんな店を訪れる客たちの事情と過去と心の傷を描く。

全3話のオムニバスで、其々に震災にあった人たちの哀しみや嘆きや絶望や諦めを伝えてくる。
第1話は武田航平演じる岡崎の家族の話。第2話は半田健人演じる楠と妻との銭湯の話。第3話は上田堪大演じる島崎とタケルとの元同級生の思い出話と絆の話。

ただ、これは映像でも演劇でもなく、声だけで伝える朗読劇だということを、キャストには認識しておいて貰いたい。
朗読劇にあまり慣れていない出演者は、表情たっぷりに迫真で演じるが、あまり感情的過ぎると、発する言葉やセリフが観客まで伝わってこない。ボツボツのモノローグ、大声で叫ぶ声もくぐもったりで、何を喋ってるのか分からない。結果的にイライラさせたり、内容に興味が持てなくなったりと、演者の言葉いかんで集中力が途切れてしまう。

後方席で、演者の顔もよく見えないこともあり、第1話も第2話もたまにウトウトしてしまった。
ところが第3話の上田くんは、大きくはっきりした明朗な声で終始喋ってくれて、荒牧くんのタケルとも抜群のコンビネーションで、この話はとても聴き取り易かった。上田くんと荒牧くんは9月に観た『あんステフェス』からの流れだが、実にいい明暗ぶり。特に上田くんはこんなに朗読劇が上手かったのかと感心、今回観たキャストの中では最高の出来だった。

貴城けいは、ラジオパーソナリティとしての出番は少し、たまに其々の話に別役で関わってくるが、声の判別もできないので、たまに誰が喋っていたのか分からず仕舞い。
ホントは紫吹淳の花を観たかったが、今作は紫吹さんは神戸公演のみで残念。でもこれだけの出番だったし、神戸まで飛ぶ必要はないか。

音楽に詳しすぎる謎の人物としての店長は渡辺裕之で、実直で誠実な雰囲気はいいが、朗読劇となるとたまに声がしっかり伝わってこないのが惜しい。
特に其々の話で、キイとなる音楽のタイトルを呟くが、これが全然聴こえてこない。もっと明確に音楽タイトルを話して頂きたい。そして、音楽のタイトルだけでもバックに映してくれるなど、もっと演出にも工夫がほしい。
なんだかすべてが歯がゆくて、のめり込めない朗読劇であった。

神戸新聞で取り上げていただいたそうで、本拠地は神戸新聞 松方ホール。
「青空篇」とあるので、続篇も作られるようだが、出演者や演出に一考を望みたい。