劇団ヘロQ 舞台版 無限の住人 完結編 根本版 | アクエリアス

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劇団ヘロヘロQカムパニー 第36回公演『舞台版・無限の住人 ~完結編~ 』




沙村広明の漫画を原作とした演劇作品の後半・完結編。
月曜日に続いての観劇で、Wキャストのもう一方。

今回はクラウドファンディング分の優先チケット。
特典として、ポスカや生サイン入り写真5種、ビジュアルチケットもあり。

開演前のロビー、缶バッチ売場には稲田徹さん! ご挨拶して下さったので、フラッと1個購入して握手を。
徹さんが選んでくれたのは天津。天津は2種あり、これは浪川大輔の天津。浪川さんの天津も好きだったので大切にしよう。でも凶戴斗もほしかった。

お花スタンド










今回観る天津影久は根本正勝バージョン。
浪川さんの天津は2年前の前編の続投だから問題ないが、後編からの根本さんは全くの新参者。根本さんの天津をすんなり受け入れられるかどうかと思ってたが、それは杞憂だった。
圧倒的な順応性と、立ち昇るカリスマ性。天津の底知れない強さと危うい弱さを堅実に体現し、逸刀流の面々を凛々しく束ねていく力量。凶戴斗と背中をくっつけ共闘する表情は、悪戯っ子のように楽しそうだ。そして長沢美樹の槇絵との場面ではしっとり感がたまらない。長沢さんとの絡みは、浪川さんより根本さんのほうがすっと入り込めた。  そして殺陣のキレやアクションは、やはり浪川さんより少し上回る。
天津影久ら逸刀流はいわば"狼"。孤高の狼というと、壬生狼が浮かぶが、天津の魂の一部はもしや土方歳三の中に入ったのだろうか。どちらも根本さんの当たり役に違いない。
何より、座長・関智一さんと根本さんが舞台上で一緒の姿を目にするのは、数年前の武道館の遙か祭以来だろうか。武道館は遠目だったが、この『無限の住人で』でこんなにも間近で拝見できようとは感慨深い。

天津ら"狼"の逸刀流を狩りに行くのは、"猟犬"と化した吐鉤群が率いる六鬼団。
不死実験を繰り返す冷酷非情な恐ろしい面と、妻や愛息愛娘に細やかな情をかける普通の父親の面と、天津を生涯の敵と執拗に追いかける狂気の面を併せ持つ吐鉤群。これほど人間臭い大悪人がかつていただろうか。
既に60代半ばの中尾隆聖が、長台詞に難解台詞を流暢にまくし立て、重厚な芝居で舞台を真底支える。それにもまして、重みとキレのある殺陣を次々繰り出し、天津たちとも緊迫感ある立ち回りを見せ、何から何まで圧倒的存在感を刻みつけた。
おそらく中尾さんの吐がいなければ、この舞台の後編もあり得なかったかもしれない。

2回目だとお気に入りシーンも見つかり、漫画のようにフレーム仕立てで記憶に収まっていく。
尸良を見た凶があまりに吃驚し言葉を失う場面での沖野晃司の表情がリアル感いっぱいで好きだ。「殺したヤツに殺されるのか」ってセリフも俗っぽくてイイ。
Wキャストの小西克幸の馬絽は出番は少ないが、天津らとの絡みが凝縮。
稲田徹の獅子が後ろから頭をぶち割られる場面も薄めの残酷さがあって面白い。
瞳阿が真っ二つになった夷作の胴体だけを抱き締め号泣する場面は、『HUNTER×HUNTER』のアント編を思い出した。中山ヤスカと木村昴のコンビが痛快。

今回は3列目の通路側で、ドキドキするよなイイ目を味わった。中尾さんの吐が何度も横を通ったり、舞台で慈愛と狂気を出していた島崎信長の綾目歩蘭人が目の前を通ったり、根本さんの天津が槇絵を抱き締める場面も目の当たりにしたり。
間近で見れば観るほど、役者の真実味が伝わり、思い入れが増すものだ。

刀の時代への哀愁と決別を感じさせるエピローグ。
凛の想いが時空を超えて、万次へほんのり届いていく。
まさに、「遙かなる時空の中で」のタイトルを思い起こす、爽快感が満ち溢れた物語であった。

カーテンコールでは、すっかり打ち解けた感の根本さんと面々たち。
月曜日より少し時間が短縮され、終了したのは4時間10分後であった。全然眠くならず集中できたが、骨太の物語性と丁寧でダイナミックなエンタメ性のある舞台だったからだろう。
これで私が今年観た舞台の中のベスト5入りは確実。何年経っても思い出せる舞台となるだろう。