ミュージカル『アメリ』
大ヒットしたフランス映画『アメリ』が昨年ミュージカル化され、早くも日本でミュージカル上演。
昨年末AKBを卒業した渡辺麻友が、ヒロイン・アメリで初主演。
お花スタンド
モンマルトルを舞台に、想像力豊かで不器用な22歳のアメリの恋模様を、周囲の人々との交流を通して描く。
映画は未見だが、現代モノだし単純ストーリーなのかと思ってたら、細かい部分や筋立てがさっぱり伝わってこなくて、わけか分からないまま、つまらない時間を過ごした。
白基調の舞台セットを様々に配し、プロジェクション・マッピングを贅沢に使い込んで、アメリの妄想世界をカラフルに愉しく表現する演出。盆を使ったセットで次々と展開していくサマは、絵本を開くような活気もある。
ただ、現実面を表現するところがあまりに雑で、初見者にはやさしくない。
アメリが働くカフェは暇そうなのに従業員が三人もおり、やたらお喋りと歌とダンス、エプロンを着けるアメリがまともに働いてる様子もない。
アメリがニノと出会うきっかけの本も、当初は写真なのか何なのかも分からず。ニノも学生なのか趣味も何なのかも曖昧。そもそも秘書だと思ってた女がアメリの母さんで、てっきり死んだのかと思ってた父さんは生きていた。
母が死んだ時も涙ひとつ溢さなかったアメリ。ニノが落とした写真集を返してほしいと言ったのに、あれこれ条件を付けて誘拐紛いのゲームで試して、なかな返さないアメリがうざったくてイヤ。カフェの仲間の死んだ夫の手紙を文書偽造したりと、バレたらどうするんだレベルの犯罪行為を平気で犯す。
すべては、自分が楽しければ、相手も幸せになってるはずという、強烈な自己満足の思い込み。周りに対する敬意も責任も持たない小娘の言動が、ただの自己中に思えた。
渡辺麻友は赤いフレアスカートがよく似合ってキュート。伸びやかな歌声で、アメリの心情を大らかに歌いきり、ミュージカル女優としては合格点だ。ただ、あまりに強気なキツさがあるので、ともすれば天然で片付けられるアメリの本性が、嫌みで増幅されてしまう。
お目当ての太田基裕は前半は兼ね役で市井の住人。中盤から登場のニノは、過去も現在も曖昧模糊としたキャラで、アメリへの想いも掴みにくく、同調できないキャラに映った。歌唱力はあるのでソロでも凛々しく歌い上げるが、感情を揺り動かされるものではなく残念。
他のキャラは個性的でセクシーな魅力もありそうだが、名前も把握できず、やたらテンションが高いので、ウザったく思えてしまう。
植本純米のミュージカル出演は珍しいが、歌やダンスはそこそこ、幾多もの兼ね役をこなすムードメーカーに留まる。石井一彰の歌に期待してたが、こちらも兼ね役でさっぱり目立たない。
アメリ父の藤木孝は唐突にカフェの女店長とデキちゃうし、ボリューム感いっぱいの勝矢はトイレでの激しいセックスシーンがこびり付く。
ファミリーミュージカルの様相なのに、実像はPG12を意識させる内容だった。
アメリの少女時代を演じ、渡辺麻友アメリとも度々交わるのがWキャストの藤巻杏慈。双眼鏡で遠くを見るポーズがとにかくカワイイ。芝居も安定して堅実。よく響く伸びやかで澄んだ歌声が気持ちよく、今後の活躍を期待させた。
この少女アメリが出てる時だけは、眼がぱっちりし眠気が吹っ飛んだ。それ以外は、眠くて眠くて時計ばかり観ていた。たった2時間がとてつもなく長く感じた。
観る人をも幸せにするミュージカルのふれこみだが、私には眠気が起こる作品でしかなかった。
続編も考えられてるようだが、いやもう勘弁してほしい。
1階中程席で観やすかったが、隣も周りも空席が目立っていた。あまり当たってないようだ。







