ミュージカル『レディ・ベス』
クンツェ&リーヴァイ&小池修一郎の最強クリエイターが生み出し、2014年に上演された、大ヒットミュージカルをキャストそのままで再演。
16世紀イギリス。不遇な環境下にいた、国王ヘンリー8世の娘ベスは、現国王の姉メアリーの度重なる仕打ちに晒されるが、出会った吟遊詩人ロビンとの恋が加速する。
若き日のエリザベス1世の愛と試練を描く歴史ロマン。
帝劇に掲げてあるキャスト写真。
本日マチネのキャスト。
3年前にも観たが、今回はFCで取って頂いたチケットで最前列!
キャストの表情から胸元のホクロまでつぶさに観えたが、後ろ向きになられたり、ステージでは前の人に被って観えなくなったりと、それなりに観難くはあった。
初演と大きく変わったのは、冒頭とラストシーン。
冒頭でアスカムの語り歌に合わせて、幼いメアリーとベスに扮する子役2人が出る健気なシーンは、わかり易くて情感を誘う。メアリーとベスの年齢差にも説得力。
ラスト近辺は、ベスとロビンの別れのデュエットがたっぷり、アスカムとロビンとの心の交流に役割として救われた気分になる。女王となったベスをみんなが歌で讃える中、ロビンの持つ黄色い花に「永遠の愛」を感じさせた。ただ、歌があまりに尻つぼみで終わってしまい、初見だと拍手するタイミングに戸惑いそう。
平野綾のベスはメイクが変わり、初演より大人っぽさを強調。可憐で気が強くバイタリティー溢れるベスで、伸びやかな歌声に力強さが加わり、歌唱力もアップ。ここぞという時にシャウトが決まるのはさすがの度胸。トムに扮した時に少年声は出さないよう、細かい演技にも変更点。
加藤和樹のロビンは、豊かな表現力と受け止める包容力に磨きがかかり、歌声も初演より洗練されて安定感が出てきた。長身アクションはさすがで、2幕でもロープに捕まりながら、バルコニーのベスの手にちゃんと触れているのがステキ。
綾ベスと和樹ロビンは観ていてもホントに微笑ましくて、デュエットでも互いに気を使いながらハーモニーを合わせていて、思いやりや優しさも感じられるカップルだ。
吉沢梨絵メアリーは、初演より強さと権力性が増したかな。顔立ちは綺麗なので、女心につい感情移入しそうになるし、綾ベスとの年齢の釣り合いも取れてるからイイ。
涼風真世キャットの真実の忠誠心は変わらずで美しい。
和音美桜のアンは、キャラ的には必要だし好みだが、亡霊にしては出番が多く歌もフルで唄うので、どうしてもウザく思えてしまう。ショート歌唱だったら時間的に短縮できるはずだ。
吉野圭吾シモンと石川禅ガーディナーは初演よりも絶好調。禅ガーディナーは回る回数をまだ減らしてる。
今回シングル出演となった山口祐一郎アスカムは、やはり滑舌がアレなのか歌詞がよく伝わらない部分もあり歯がゆい。でも初演よりはマシになったし、ロビンに優しくしたのでよしか。石丸幹二アスカム先生が懐かしい。
ベスの命を助けたりと活躍はするが、今回出番を減らされたのはフェリペ。古川雄大フェリペは、前より声が出ていなかったが、優雅さやエロさはそのままで乳首まで拝めた。和樹ロビンとのタンゴは萌え要素。
ロビンの仲間は、寺元健一郎はそのままに、新たに加藤潤一と石川新太が参入。トリオの空中ブランコは愉しいが、これといってアクロバット要素もなく、何か物足りない。でも新太くんの歌唱は素晴らしく、10年後にはロビンも出来そうな感じ。
リングを模った大きな輪と、ステージ上の輪と、盆との三重構造のセットは健在。照明によって様々な色に変化する演出は、最前列だと充分に味わえなかったのが残念。
ストーリー的にはツッコミ所も満載だが、キャストも曲も好きなミュージカルなので、組み合わせでリピートしたい。
次は平野綾ベス&山崎育三郎ロビンの組み合わせ。
キャストは変わりばえしないが、1階後方席からの景色を拝んでみたい。