後藤ひろひとの「ファンタジックホラー」を、岡本貴也の演出で、新たな実力派キャストを集めての再演。
売れない童話作家と、同業の友と、金を貸してくれる友と、作家の話を聞いてくれる子供達と、27歳のサム。彼らの優しくも残酷な物語。
初演は観ていない。R-10のホラー作品だし、アクセスも遠い劇場なので、昼間の観劇にしてみた。六行会ホールで観るものは、殺戮事件が多いなぁ。
後藤さんの「パコ」や「ダブリン」よりは分かり易くて良作だった。惨殺の言葉や場面は敢えて想像しないでスルーすれば、深く重い人間ドラマだろう。舞台「艶漢」な設定や、カフカの「変身」を思い出し、キャストの熱演でラストは思わず涙ぐませた。
桑野晃輔の微動だにしない眼力と壮絶な芝居に痺れた。前からスゴイ役者だとは思ってたが、これは桑野くんの転機になるかな。前に某舞台で鈴木拡樹が演ったアノ役どころとも似てた。
語り部も兼ねる片岡信和が、温和な表情と凄みのある熱量で舞台を牽引。愛原実花は柔らかさと激しさをぶつける演技力。松本慎也と青木玄徳が、童話の中の様々な役も兼ねての好演。特にマツシンの殺陣は、清水順二の指導の元でなかなかの迫力。マツシンのタラシの役どころも新鮮。玄徳が晃輔に攻撃される場面は、テニミュの跡部と宍戸の逆転劇を観てるようで、なぜか爽快だったw。
「人はみな 罪人なのです」「翼あげる 僕はいらない」観ながら、そんなセリフが脳裏に浮かんでくる。「ブラック・メリーポピンズ」があるように、これは「ブラック・トーマの心臓」のような内容かもしれない。そういう意味では、晃輔とマツシンは対照的なキャストともいえる。最初に出演者の名前が挙がった時も2人はほぼ同時だった。
久々に心に重く沈むストーリーと舞台。ただ、あまりリピートはしたくない。




