極上シートではなくもちろん指定席。
太宰治さんのメジャーな作品を、上質な世界観で立体的に表現。
マルチキャスティングがウリのシリーズ。
今回は、大河元気(メロス)萩野崇(セリヌンティウス)佐藤永典(メロス妹)の組合せをチョイス。
元気くんは、熱くも激しく、冷静でクール、青年にありがちな向こう見ずで真っ正直な、イメージ通りのメロス。
見どころの一つは、濁流の中で着ていた衣服が剥ぎ取られ、ほぼ布一枚から覗く胸板や両腕の逞しい身体つき。元気くんはやっぱ動いてナンボの俳優だ。
さとちゃんが、衣装もメイクも凝って、柔らかな動きと笑みで、ホントに艶っぽく可愛らしい。結構背があるので、元気くんと並ぶ時はわざとしゃがんだりw。
後半は一転、鬘を脱ぎ着替えたさとちゃんがフィロストラトスとして登場。誠実風な装いが結構似合う。
ラスト、走りながらのメロスとフィロストラトスとの切迫したやり取りが、イメージ通りに再現されてジンときた。
今回、元気くんとさとちゃんが、雰囲気的に似てるように思った。2人とも知的で計算づくのアドリブや芝居が上手く、掴み所がないが、俳優として未知なる魅力を持っている。さすが兄妹⁈ キャスティングされた人は見抜いてたのかな。
元気くんもさとちゃんもガードが固く、みんなの前では決して真をさらけ出さない。
恒例のイジリコーナーは、メインキャストの懺悔が告白されるが、2人とも当たり障りのないことを話して盛り上がらず。だから、その油断なさを見抜いた川下大洋さんに「死刑」を言い渡されたんだなw。
萩野崇さんはもう41歳なのか。まだ若い情熱を秘めていて色気もあって、元気くんとの抱擁も良かった。
川下大洋さんとはお初だが、よく響くいい声で、存在感がある。お人柄なのか、あまり悪人には見えなかった。
声も言葉も明瞭な素晴らしいメインキャスト陣だが、作家役の天羽尚吾くんだけは違和感。見た目も女みたいな装いで、まるで太宰治が女装したような感じ。声も甘ったるくキモチ悪く、滑舌もイマイチで、メロスが「メロシュ」に聞こえる。ヒヤヒヤしてたら、肝心なところで噛んだ。
作家役として多方面に動き、メロスたちを牽引する重要な役割だっただけに、この若いキャストの起用は残念でならない。もう一人の作家役、鈴木裕斗くんはどんな出来なんだろう。
具現師の5人は、開演前からロビーや客席を練り歩くが、何をやってるのかさっぱり。舞台上ではアンサンブルを兼ねながら進行しダンスもして世界観を構築。特に赤眞秀輝さんはあまり若くないようなので、毎公演の参加は大変だと思う。
奏で師の橋本啓一さんも扮装、第9のアレンジが面白かった。
ラストは台本同士の叩き合いも見せ、台本そのものを捨てての芝居。どんどん朗読劇の枠を超えて走る極上文學。
途中で妹が花弁を投げたり、真ん中にテープが飛んだりする、舞台だった。
お花スタンド。
でも、しりあがり寿さんの描いたチラシの絵は、この舞台にはちょっと合わない。







