ただし、1980年代の英国、ある程度裕福なエリート学校での話。男子校なのか、ホモっ気もあり、猥雑な会話や小芝居まで出てくるが、シェイクスピアの国だと思えば納得か。
英国のネタや情報が満載なので、日本人には何が何やらの言葉や会話があり、イマイチ世界観に溶け込めない。
卑猥で下品な話は万国共通ネタなのか、前半は結構笑える。
ともあれ、今の日本において大学に行くには、先ず学費や諸経費の心配をしなくてはならず、お金の話が殆ど出てこない彼らの様子はとても羨ましく思う。
新鋭教師アーウィンの口から「ヘンリー八世」が度々出てくるが、『レディ・ベス』絡みで、今はもうお腹いっぱい。結局ヘンリー八世の後始末をしたのは女性だったではないか。
舞台の紅一点、鷲尾真知子さんの女性教師ドロシーに一番共鳴はできたかな。
「歴史とは?」が全編に問いかけられていたが、この舞台を観る限り、上の権力者によって下の労働者が翻弄されること、にほかならない。
安原義人さん演じる校長の存在が、浅野和之さん演じる老教師ヘクターを絶望させ、彼の運命をも狂わせてしまったのだから。
この話の最低最悪である校長が、最後まで全く咎を受けないのが、舞台のシニカルなテイストを際立たせている。
初主演の中村倫也くんは、舞台経験豊かな若手。最近は女性的な役柄が多かったが、今回のアーウィンもフシギな魔性性を持つ眼鏡青年。ソフトな語り口がしっかり届いて、幅広い芝居を見せた。
松坂桃李くんのデイキンは利発で溌剌とした魅力的な攻め役だが、桃李くんの爽やかさが先行。学校のヒーローではあるが、カリスマ性は感じられない。
橋本淳くんの生ピアノが素晴らしく、舞台を牽引する明瞭な語り口はお見事。松坂桃李くんと一緒だと、たまにマジレッド&シンケンレッドだなとニヤリ。桃李くんラインハルトと淳くんキルヒアイスでの「銀英伝」を一度は観たかった。
電王の溝口琢矢くんもモブで出ていて、カテコで並んでいた。
浅野和之さんは柔軟と硬直を使い分けた面白い役どころ。ただ、後ろ向きの会話では台詞が聴き取り難く、掴み所がない存在。フランス語を喋っていたが、達者に見せるところがスゴイ。
約3時間の上演時間。
私には結構長かった。
俳優好きや英国好きの方にはたまらないだろう。好みが分かれそうだ。
世田谷パブリックのロビーで30-DELUXの清水さんをお見かけして、帰りのエレベーターに翔央くんが乗ってきた。どちらもシアタートラムで前日観た『新・幕末純情伝』関係の方々だけど。



