ミュージカル ブラックメリーポピンズ | アクエリアス

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ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』。

12年前に起きた「ブラックメリーポピンズ事件」の真相追求のため、記憶の修復を図ろうとする4人の兄弟を描く話。

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映画『メリーポピンズ』の如く、子供達の前に現れた女性メリー。
一路真輝さんの最初の歌声を耳にした時、妙な鳥肌を感じた。
先に観た『天才執事ジーヴス』とは違う、本物の歌、本当のミュージカルの味だ。
心理スリラーミュージカルと陳腐な冠が付いてるが、これぞ極上のクライム・サスペンスだろう。

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暗く重苦しい内容ではあったが、フシギと笑いさえ出てくる面白さも含む。
過去と現在が巧みに絡み合うスピーディーな運びと、分かり易い人物描写に感情移入させながら、ぐいぐいと引き込んでいく。
『スリル・ミー』を思わせる場面や演出は心憎いが、全体の造形は『シャーロックホームズ』の謎解きに似ている。
サウンドシアター『タナトス』に模すなら、喪った記憶は嘘をつく、という話だろう。

実力派のキャスト陣は芝居も歌も素晴らしく、子供と大人を演じ分け、様々な引き出しで新たな魅力を放つ。息の合ったチームワークも心強い。
思ったよりもアクションが多く、細かい動きや所作も見逃せない。
中央の盆とソファが時を司り、四方の盆が彼等の心を操る、繊細で知的な演出だ。舞台上の揺れるシャンデリアが、観客を不気味な世界観に誘う。

主役の音月桂さんは物語のキーマン。姉御肌な物言いで男の子達を牛耳る少女時代が愉快だった。
上山竜司くんは予想以上に歌っており、誠実で伸びやかな歌声が野性味を穏やかに包む。
小西遼生くんのスーツ姿は実に美しく、理性派の長兄として充分。ハイトーンボイスも綺麗だ。
良知真次くんはソロはないが、メロディラインで牽引し話を転換させる重要な役割。『ヴォイツェク』とはまた違う、障害を持った役所も難しそう。

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アンナ、ヘルマン、ヨナス、ハンスで「起承転結」な役回り。
メリーは彼等を護る悪魔で、解放する天使だったのかもしれない。

刑事二人の声だけの冒頭場面は、まんま『スリル・ミー』と重なる。山路和弘さんと山西惇さんの声で、鈴木裕美さん演出の『宝塚BOYS』を思い出した。

前方の観やすい席だったが、ソファが回る場面は奥でグルグルしてるヨナスが見えなかったのが残念。
来週の二回目は後方席なので、全体が観えるだろうと思う。