松竹大歌舞伎、地方巡業東コース、新潟公演を観ました。
歌舞伎を見るのは初めてです。
新潟県民会館、昼の部、13:30分開演。
公演と同時解説してくれるイヤホンガイドの貸し出しの広告を撮影。
台詞を言ってない時に、台詞を現代語で通訳してくれるそうです。
歌舞伎初観劇で演目も見たことないので、借りようかな?と思いましたが、台詞の他にもお囃子の演奏やバックコーラスみたいな浪曲も歌うだろうから、音が沢山ありそうだな〜。
初めての割に欲張りですが、間、静けさも感じたいから、イヤホンガイドは借りず。
しかし豪華なイヤホンガイドだな〜。
松本幸四郎さんがご当地あるある(新潟あるある)に挑戦するKoshiro's Challengeがイヤホンガイドの特典みたいになってて。幕間の休憩時間には襲名披露インタビューを放送する。
大御所の松本幸四郎さんのチャレンジ精神には感心するなぁ〜と、私はここで勘違い滝汗
松本白鸚さんがイヤホンガイドの声を担当していると勘違いしてました。
襲名披露したのは知っているのに、松本幸四郎=お父様(現、松本白鸚)って感覚が未だあって。
70代半ばでKoshiro's Challenge.って、カッコ良すぎ。
実際は、イヤホンガイドは市川染五郎改め松本幸四郎さんが解説担当をされてるんです。
襲名披露公演を見に行ってポスターにも…改め、って書いてあるのに、ボケボケな勘違いガーン
1人で見に行ったので誰と話すでも無く、会場で勘違いがバレる事は無かったです。
ブログで自爆してますがアセアセ失礼しました。

県民会館内受付前、写真撮影OKギリギリな場所
お席では写真撮影はNGなので、ここまで📱

お客さんは当然の事ながらお着物率が高め。
夏日だったのですが、夏のお着物をお召しになってるお姉様方だけではなく、若い女性もお着物。
外国の人もお着物。洋装ですが外国の人がお子さんを連れて観劇に来られてました。
お客さん見てるだけで華やかワールドワイドキラキラ
TPOに合わせて好きな服を着るって素敵。
私は自宅から電車とバス移動なので、洋装です。
(着物は持ってない)ドレスでもないです。
上下共に夏のちょっとしたお出かけ服。髪だけは自分で自宅で纏めてアップにして、キラキラのバレッタ、二個使い。
育児中の母の生活サイクルだと、好きな服を着る、好きな髪型でいる事が普段は難しいです。
子供が学校に行ってる間の個人の観劇、華やかな歌舞伎初観劇なので好きな服好きな髪型でいる。
これだけでも、私には非日常で凄く楽しいです。
会場のお客さんの華やかさと上品さ(話、所作)には目を見張るものがありました。
新潟県民会館で(地方で)お客さんがこんな感じだと、銀座の歌舞伎座では正装していかなくては位の雰囲気なんだろうか。
歌舞伎初めて席で良かった。

歌舞伎を見るのが初めてなので、歌舞伎初めて席を選びました。なんと千円!二階、後方席ですが
早めのお席予約で真ん真ん中(どセンター席)のお席、舞台全体が良く見えるお得な良席でした。
オペラグラス使っていいのか?も分からない歌舞伎初心者、オペラグラスは念のため持参。
周りの方が緞帳でオペラグラスのピント合わせをしていたので、私もオペラグラスを用意。

公演内容。
一、二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 襲名披露
口上

二、双蝶々曲輪日記 引窓

三、色彩間刈豆 かさね

全、三幕でした。


一、口上
幹部俳優出演って、フライヤー(公演チラシ)に書いてあるのですが、どの方が幹部か判らないので、失礼が無いよう、分かった方のみ書きます。
幹部俳優さんの口上の後に、
左の端に居た市川猿之助さんの口上。

市川染五郎改め松本幸四郎さんの口上。
声を聞くと、23〜24年前に新橋演舞場で初めて幸四郎、染五郎親子共演を見た記憶が蘇りました。この時染五郎さんは女型のお役だったので女型の声でした。今回の幸四郎さんの口上は、声に張りがあって(口上独特の言い方なのかもしれませんがお約束が分からない)、カッコ良い一言では収まらない…
艶がある、言葉で表現するならば。
23〜24年前の自分の環境(学生時代)、おそるおそる新橋演舞場に行った時、あまりにも明るくて舞台装置や役者さん達が眩しくて華やかな、舞台という世界に驚愕した事も思い出しました。
長い年月が経ったんだなぁ…
松本幸四郎さん、お父様(松本白鸚さん)にお顔が年々似てきたと思ってましたが、役者さんとしての風格は口上の声だけ聞いても伝わってきて、感激の涙えーん

最後の口上、松本幸四郎改め松本白鸚さん。
「高麗屋!!」って言う場面で言ってくれる人が一階席にいらしたんだと思います。
「高麗屋!!」と、この口上で1番の拍手👏!
流石の貫禄です。話し方といい声がもう凄すぎる。文字で表現できません(ブログなのに)

松本幸四郎さん時代、2015ラ・マンチャの男、帝国劇場で72歳の幸四郎さんの公演の記憶もあります。ドン・キホーテを題材、洋物のお芝居なので、歌舞伎や口上の声とは違いました。
舞台やテレビドラマにも出演されて多彩な役の声を聞いてどれも秀逸だと思ってました。
やはり本業の歌舞伎俳優のお声が一番素敵です。
圧倒されました。
劇場の空気が松本白鸚さんで一杯になる、松本白鸚さん色になる、そんな空気感を感じました。

23〜24年前に新橋演舞場で見た松本幸四郎さんは40代後半位で、観劇時19才で上京したて小娘の私が(カッコいい…)と思う素敵な俳優さん。
その後直ぐ歌舞伎や舞台にハマりこむ事は無かったのですが、この時の(カッコいい…)幸四郎さんの姿に、現幸四郎さんが年々似てくるので、
お二人の襲名披露は私には特別な時間でした。

新橋演舞場に誘ってくれた演劇好きのお友達(大学の寮生。女子大です、お友達は同級生)に感謝します。
この観劇経験があったから、2019年松竹大歌舞伎に1人で足を運ぶ事になったので。
若い頃の経験が長い年月を経て、活きてくる、ご縁があって襲名披露公演を見にくる事になる。
23〜24年前には予想もつかなかったです。
予想がつかないのが、人生なのかもですね。

二幕、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)引窓(ひきまど)

白鸚さんと幸四郎さんの親子共演です。

相撲取り濡れ髪長五郎(白鸚)
家主、代官に出世した与兵衛(幸四郎)
2人が義理の兄弟という設定でした。

月明かりが差し込む引窓を要所で使いながら、お互いがお互いを気遣う登場人物の苦悩や親子の情愛のお話でした。

長五郎の実の母お幸、お幸の養子与兵衛。
母のお幸が、2人の息子を想って、悩み策を練り。
花道代わりの舞台袖や、舞台中央での「見得を切る」初めて見ました。
見得を切ると見せ場というのがよく分かります。
見得を切るのが分かったのは「高麗屋!」が見得を切る毎に聞こえたから、です。
場面場面で、ビシッと見得を切って決まる。
もっと沢山の決まり事お約束があるんでしょうけれど、初めて見るので全部は分かりません。

話の展開も面白く、道具の使い方も上手くできていて、物語としてどんどん引き込まれます。
独特の言葉遣いや浪曲風の言い回しで、全部理解はできませんでしたが、流れは分かりました。

長五郎がある覚悟を決め、母お幸とやり取り、与兵衛が家の外の引窓からそっと見ている。
与兵衛が引窓をバタンと閉じると、長五郎に奇跡みたいな事が起こる。
この辺の与兵衛(幸四郎さん)素敵でしたラブ
特に、引窓から中の様子をそっと見ている佇まい、横顔の表情(オペラグラスで見ました👁)

与兵衛は町民から父の代官の地位を仰せつかったばかり。高圧的なお代官様ではなく、言い回しや表情で観客が自然に笑うような、親しみのある人柄でした。ポッと自然と笑いを誘うって、中々難しい事なんじゃないかと思います。シリアスな場面の中、自然の笑いがあると物語が温かくなりますね。
幸四郎さんは二枚目俳優さんだとイメージしてましたが、ユーモアもありながら決める場面はビシッと決める。
そのギャップに魅力を感じました。

もちろん、長五郎役の白鴎さんの見栄を見るのも迫力がありました。貫禄です。一瞬でしたビシッと空気が変わる。
相撲取り役で訳あって人を殺めてしまい、途方にくれ最後にお母さんの顔が見たくて訪ねてきたと語る所で、白鸚さんの実年齢とか無関係に、親子の間の愛情を感じて涙しましたぐすん

心温まる、引窓、でした。

三幕、色彩間苅豆。かさね。
怪談です。怪談舞踏とフライヤーに書いてある。
浪人与右衛門(幸四郎)、腰元かさね(市川猿之助さん)の心中劇から、かさね殺し場、かさねが怨念になって、与右衛門を舞台に呼び戻す話。

幸四郎さん、三幕全部登場です。
与右衛門が重ねた罪で、かさねの顔が〜ポーン
怖ろしい形相に!
かさねの顔が怖いというより、心情の変化が恐ろしいゲッソリ
与右衛門に裏切られ鎌で刺され、亡くなる時のかさねの腰反り具合イナバウワーみたいな角度。
宝塚の娘役が男役さんと踊る時、腰を信じられないくらいの角度でグニャッと反るのと同じ位。
お着物を着てるかさね(猿之助さん)が、あんなに腰が反るのには驚きました。
お稽古の賜物なんでしょうね。
当たり前の事なんでしょうか?
この場面から、拍手が鳴り止まない👏

かさねが死ぬ時の手の表現はおそろしく美しい。

与兵衛の心変わりと、与兵衛の犯した罪を知り、裏切られ、鎌で殺されたかさね。
日本の怪談ならどうなるでしょうか…

恨みや未練を残し亡くなったかさね。
舞台は暗転。
舞台袖には、逃げようとする与兵衛。
何かの力で引っ張られ、抗い逃げようとするが、舞台に引き戻されてゆく。
この様子を与兵衛1人で表現する所でも拍手👏
与兵衛を引っ張っているのは目に見えない怨念。
目には見えないのに、与兵衛の動きでかさねの怨念を感じました。

遂に逃げられずに舞台中央まで戻された与兵衛。
舞台は暗転から照明がスポット的に当たってる。与兵衛、かさねに。
右側の橋の上には亡くなったはずのかさね、が立っている。
こわい〜女の怨念〜かさね1人じゃなく与兵衛の全ての罪の怨念が、かさねに乗り移ったようガーン

かさね(怨念)に気づき、与兵衛はかさねと対峙する所で幕が降りました。

夏の怪談を早くも舞台、初歌舞伎観劇で見るとはびっくり
女の怨念や執念の目の当たりにし怖かったです。
与兵衛の罪を考えたら、さもありなんですかね。

女の怨念や、与兵衛の度重なる罪、しょーもない男だなぁショボーンと心の中で思い話の筋書きが分かったのは、今の自分の年齢だからかなと思います

若い頃見たら…感想、怖い滝汗のみだったかも?
もっと年齢を重ねてから見る時があれば、又違う感想、感情が生まれてくるのかもしれませんし。

先の事は、これからもっと人生経験を積まないと分からない所です。


三幕の演目、初歌舞伎観劇だった事もあり、エネルギーを使いました。
要所要所の俳優さんの表情や台詞、場面は脳裏に刻まれました。
三幕全部に出演された松本幸四郎さん、今後のご活躍を応援します。
お父様の松本白鸚さん、また舞台で輝く姿を拝見させてください。新劇、舞台、歌舞伎と異なる舞台で見ましたが、どれも何時も素敵です。

歌舞伎初観劇。想像以上に素晴らしい体験でした。

襲名披露の夏巡業はまだこれからも続くようですので、お身体をご自愛ください。

帰りの新潟駅前、万代口。
八月の新潟まつりの提灯が飾られてました。
すっかり夏ですね。