BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m
ユノの家で一夜を明かした僕らは、結局最後までは行かなかった
というより、そもそもユノにそのつもりがないようだった
それは、僕が未経験で少なからず恐怖心を抱いていると思われたからだ
確かに怖いという思いはあるけれど、強引にでもいいからユノが僕の初めてを奪ってくれたら良かったのに..とも思った
でもそんな事をしないからこそ、ユノなのだろうけれど...
「僕、朝食が済んだら帰ります」
「え、帰るの?」
「だって、昨日のままの服だし、洗濯物も溜まってるし...」
「まぁ、そういう事なら仕方ないけど...
用事が済んだらまた戻って来たら?」
「ここに?」
「他にどこに戻るんだ?」
「え、でも...戻って来てまた映画観るんですか?」
「いや、別に映画じゃなくても...他にも色々する事はあるだろ」
ユノが含みを持った言い方をしたから、あ、そういう事かと悟った
ゆうべ僕たちはお互いの体に触れて、でも最終的にはユノが僕を気遣って寸止め状態で終わった
だからきっと、今夜「開拓」するつもりなのだと思った
「分かりました
じゃあ、一通りの用事が済んだらまた来ます
泊まって行ってもいいんですよね?」
「勿論だよ」
そうと分かれば時間を無駄にはできない
手早く朝食を済ませると、一旦自宅に戻って用事を済ませ、再びユノの家へ向かった
きっとユノは、僕が家に着いたらすぐにでもベッドへ連れて行くだろう、そう思うと勝手に体は熱くなった
ユノの家に着くと、なぜかユノは出掛ける身支度をして待っていた
ポカンとしている僕に向かって、溌剌とした表情で言った
「じゃあ行こうか」
「え..行く?どこに?」
「どこにって、買い物だけど」
「買い物?」
当たり前のようにしきり直しでエッチできると思っていた僕は、ユノの余りにも健全な提案に自分が恥ずかしくなった
確かに真っ昼間からベッドインなんて気が早過ぎる
ユノと向かった先は、大型雑貨店だった
こんな場所に休日のユノと買い物に来るとは思いもしなかったけれど、デートとしてはいいかもしれない
楽し気に手を繋いで店内を歩くカップルたちの姿を見ながら、僕らもその一部なのかな..なんて勝手に思って嬉しくなった
「一体何を買うんですか?」
「チャンミンの枕とか色々」
「僕の枕?」
「これからも頻繁に泊まりに来て欲しいからさ...
当然あった方がいいだろ?」
エッチする事ばかり考えていた僕とは違って、ユノはもっと前向きに、現実的に考えていてくれた
束の間の関係ではなく、これからを見据えていてくれたと知って胸が熱くなった
ひとしきり身の回りの物を揃えると、ちょっと洒落た雰囲気のダイニングバーで夕飯を済ませてユノのマンションへと戻った
お酒の入った僕とシラフのユノは、前の晩と同じようにお互いの体に触れ合い、できる限りの優しさで相手を満たし、そして眠りについた
早く一つになりたいという願望はあるけれど、こればかりはユノの協力なくしてはできない事で、そのタイミングを待つしかなかった
翌日、僕はユノのマンションから出勤した
2日間もユノの家に泊まった上に、そこから出勤している事が嘘みたいで、当然誰にも言えないけれど、心の中では皆に言い触らしたい気分だった
ただ、会社ではなかなかユノと顔を合わせる機会がないので、ユノと特別な時間を過ごしたという実感がなく、それがちょっと寂しくもあった
デスクに着くと、同僚が待っていたとばかりにニヤニヤしながらやって来た
「おいシム、今夜暇か?」
「今夜?何で?」
「ちょっとさ、飲み会のお誘いなんだけど...
20代後半の女子、どう?」
「20代後半?ちょっと若過ぎない?
僕たちもう30中盤だけど...ていうか、僕は行かないよ」
「ダメダメ、シムが来ると女の子たちが盛り上がるから、拒否権なし!!」
「無理だってば、勝手に拒否権なしとか言うなって」
ユノが知ったらきっと口を利いてもらえないし、最悪の場合は二人の関係がおしまいだ
どうしたら断れるか必死で考えを巡らせて、ふといい事を思い付いた
「ねぇ、チョンさんを誘ってみようか?」
「...チョンさん?って、おい、あのチョンさんか?
来るわけないだろ、そもそもチョンさんには絶対彼女がいるだろ、無理だって」
「でも誘ってみないと分からないだろ?
いいよ、僕が声掛けてみるから」
「...本気か?」
「とりあえず僕とチョンさんは1セットでカウントしといて、チョンさんが行かないなら僕も行かないから、いい?」
「シムは絶対来い、そこは譲らない」
善は急げと、僕はパソコンを起動させるとすぐにユノの部屋へと向かった
既に部屋のドアが開けっぱなしになっていて、中にいるのが見えた
深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、間違ってもユノと呼ばないよう自分に言い聞かせた
ドアの横をコンコンと叩いて声を掛けると、ユノがびっくりしたようにパソコンから顔を上げた
まさか朝っぱらから僕が訪ねて来るとは思わなかったのだろう
「チャンミ...シムさん、どうかしましたか?」
「おはようございます
あの、ちょっとお時間いいですか?」
「えぇ...どうぞ、掛けてください」
「あ、すぐ終わるので立ったままで大丈夫です」
それから僕は、ドアの外に誰かいないか確認してからデスクの前に立った
「実は飲み会のお誘いがあるんですけど、チョンさんもどうですか?」
「...飲み会?ただの?」
思った通り、ユノは鋭い眼差しを僕に向けた
誤魔化してもどうせすぐに分かってしまう事だと、素直に白状した
「正確には...合コン、みたいな」
「チャン...シムさん、自分が何を言ってるか分かってる?」
ユノは素早い動きで椅子から立ち上がると、サッと出て来てドアを閉めた
そしてそのままドアに寄り掛かると、胸の前で腕組みをして僕をじっと見た
「チャンミン、本気で俺を合コンに誘ってるの?」
「...やっぱり怒ってますよね?
でもこれには事情があるんです
誘われたのは僕なんですけど、有無を言わさず出席を強要されてて...しかもあと一人足りないって言うから、だったらチョンさん誘ってみないかって僕が...」
ユノは呆れたように首を振ると、大きな溜め息をついた
「俺を巻き込まないでくれ
それに参加を強要って、例え同僚だとしてもそれは立派なパワハラだ」
「そうですけど、僕が行くと女子が盛り上がるからって懇願されて...だから、ユノが行けばもっと盛り上がるかなって...ユノは僕なんかよりずっとカッコいいから」
「俺は普通の飲み会には参加するけど合コンには参加しない
行きたいならチャンミンだけで行ってくれ」
「そんなぁ...絶対大丈夫ってもう言っちゃったんです」
「だったら無理でしたって言えばいいだろ」
「それがダメなんです...
女の子に返事しちゃったみたいなんです」
「.....は?」
この時のユノの愕然とした表情を、僕はきっと一生忘れないだろう
いつもご訪問ありがとうございます
明日は5/10(水)です
いよいよDinsney Plusで
「私たちの人生レース」が
16時から2話ずつ配信スタート!!
なので、本家ドンフンのイメージと
混ざって邪魔してしまうと大変なので
そろそろ完結に向かいます(汗)
※画像お借りしました※