BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、チャンミン」

 

「あ、ユノ、おはよう」

 

 

いつものように、キッチンで朝食の支度をしているとユノが起きて来た

調理をしている僕を後ろから優しく抱くと、首筋にキスをして去って行く

そしてユノが去った後、僕は幸せを噛み締めながら一人ニヤニヤする

 

いつもの僕たちに戻れた

 

ユノの元に手紙が届いてから色々あって、僕たちの絆は一層深くなった

一時はユノが僕の元から去ってしまうのではないかと本気で心配したけれど、それも杞憂に終わり、最初からそんな心配はいらなかった

僕の傍にずっといるつもりだからこそ、僕に心配をかけまいとしてくれていた

 

それが分かった今、もう何も恐れるものはない

 

 

「あ、そうだ、今日は久しぶりに町で夕飯食べない?」

 

 

朝食を食べていると、ユノが突然そう言い出した

 

 

「外で食べるんですか?」

 

「たまにはチャンミンとレストランで食事したいなって...」

 

 

珍しく照れ臭そうにしているユノに、思わず胸がときめいた

こんな事でときめいてしまうなんて、ユノは朝から僕をどうしようとしているのか...

 

 

「ユノがそんな事を言うなんて珍しいですね

今回の事で僕を心配させたから、罪滅ぼしですか?」

 

「そんな意地悪言わなくってもいいだろ?

単純に、チャンミンをエスコートしてあげたいって思っただけだよ

 

行きたくないならいいよ、無理にとは言わないから」

 

「行きます!!」

 

「...なんだよ、即答して」

 

「行くに決まってるじゃないですか

その代わり、美味しいもの食べさせてくださいね」

 

「勿論だよ

じゃあ、俺が仕事終わるくらいに店の前で待ってて」

 

「分かりました

残業しないでくださいね」

 

 

ユノは親指を立てて僕に見せた

色んな事が解決してスッキリしたのか、ユノの表情は晴れ晴れとしている

出会った頃に感じたどこか影のある感じも今は消え、まさに太陽のような空気を纏っていた

家族を残して来た事がずっと心のどこかに引っ掛かっていたのだろう

 

 

ユノを見送ると、早速僕は牛の世話と家の用事を済ませ、ユノにエスコートしてもらうための洋服選びに取り掛かった

 

 

「...どうしよう、よそ行きの服がない」

 

 

それもそのはず、僕はずっと独り暮らしで社交の場に出る事がなかったから、ここぞという時に着るような服を持っていなかった

町に行くときは少しいい服を着てはいたけれど、ディナーにお呼ばれして着ていくほど立派なものではなかった

 

悩みに悩んだ挙句、いつかドレスを借りたお隣さんに相談する事にした

そしてご主人が若い頃に着ていた上等な服を貸してくれた

保管状態が良かったのか、昔のものとは思えない程にしっかりしていた

 

 

 

ユノの仕事が終わる頃を目掛けて行くと、せっかくだからと店に入ってみた

ユノがいる時にこうして店に入るのは初めてだったのでひどく緊張した

 

ユノは僕に気付くと、シュッと姿勢を正して真顔になった

ユノが真顔になる時は笑うのを堪えている時だから、きっと頬が緩むのを必死に堪えているに違いないと思って嬉しくなった

 

さり気なくユノのいるカウンターに近付くと、ユノの反応を窺った

 

 

「...チャンミン」

 

 

他の人に聞こえないような小さな声でユノが僕を呼んだ

僕以外にお客さんは2人しかいないのだから、別に普通に話し掛ければいいのにと思ったけれど、黙っておいた

 

 

「...チャンミン」

 

「はい」

 

「その服」

 

「あぁ、これですか?

お隣さんに借りました

僕、こういうよそ行きの服を持ってなかったんです」

 

「へぇ...

 

あ、俺も持ってないけど、これじゃマズイ?」

 

 

ユノはいつも通りの服装で、あきらかに僕とはミスマッチ

この状態でレストランに行ったら目立ってしまいそうだ

 

 

「ユノの事まで考えてませんでした...スミマセン

どうしたらいいですか?どこかで買いますか?」

 

「そんなもったいない事できないよ

俺はこのままでも気にならないけど、チャンミンは嫌だろ?」

 

「僕は...」

 

 

正直、ユノのこの服装は見慣れているから僕個人としては好きだ

でもレストランでエスコートしてもらうにはラフ過ぎる

そもそも、どんな店に行くのかを聞いていない事に気付いた

 

 

「ちなみに、今日行く店はどんなところですか?」

 

「ん?あぁ、普通にステーキとかがあるカジュアルな店だよ

格式ばったフランス料理じゃないから安心して」

 

「そうですか...だったらむしろ僕の方が浮いてるかも

着替えて来た方がいいですか?」

 

「いや、そのままがいい

今日のチャンミン、凄くカッコイイよ」

 

 

そう言ってまた照れ臭さそうにするユノに、僕は再び胸がキュンとした

いつも可愛い可愛いと連呼しているから、カッコイイだなんて言われて僕も案外恥ずかしい

 

 

「じゃあ、このままでいます

仕事しにくいでしょうから、僕は外にいますね」

 

「あぁ、気を遣わせてごめん

すぐ終わらせるから」

 

 

ユノを待つ間、なぜだか僕はドキドキして仕方がなかった

一緒に暮らしていて毎日顔を合わせているのに、こんな風に待ち合わせた事は一度もなかったから凄く新鮮だった

 

 

暫くして足音が近付いて来て顔をあげると、僕はそこで言葉を失った

 

 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんばんは

いつもご訪問ありがとうございます

このお話は次で完結いたします

 

※画像お借りしました※