BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いの母親に交際の事実を告白してから暫く経って、初めてのクリスマスを過ごした

 

クリスマスと言っても所詮は高校生

お洒落なレストランでディナーという訳には行かないので、チャンミンと二人でイルミネーションを見に行ったり、クリスマスソングが流れる街をぶらぶらしたり、至って健全に過ごした

 

そして終業式を済ませ、冬休みが始まった

 

 

いつもは父さんの実家に帰省していたのだけれど、今年の我が家は自宅でのんびりお正月を迎える事にしている

チャンミンはハンさんも一緒に過ごすと話していたから、いよいよおばさんの再婚が現実的になって来たのかもしれない

 

 

ハンさんが父親になったら引っ越すのかな...

そんな漠然とした疑問がふと湧いた

 

 

以前にチャンミンが、再婚したらあのマンションがどうのと言っていたのを思い出して、でもそれが引っ越すという意味なのか、ハンさんが移り住むという意味なのかが思い出せない

もし前者だった場合、今のように気軽に会える距離じゃなくなるかもしれなくて、それどころかまた転校するのではないかと不安になった

 

そう考え始めたら居ても立ってもいられなくなって、見ていたテレビを消すと自分の部屋に移動してチャンミンにメールを送った

するとすぐに電話が掛かって来た

 

 

「...もしもし」

 

「あ、ユノ?

どうしたの?」

 

「メールが来ると思ってたから、電話が来てびっくりした」

 

「あ、そうなの?

でも掛けた方が早いと思って」

 

「そっか...

ハンさんいるんでしょ?電話してて大丈夫?」

 

「うん、今、母さんと買い物に出ちゃってる

だから僕一人で留守番なんだ

 

それより、どうしたの?」

 

「うん...

変な事訊くけど笑わないでね

 

ハンさんとチャンミンのお母さんが再婚したら、チャンミンは引っ越すの?」

 

「....え?」

 

 

やっぱり思った通りの反応だった

少しの間、沈黙が続いて、それからぷっと吹き出して笑い始めた

 

 

「え....おかしい?」

 

「だって....ふふ....随分唐突だね

ユノの声が真剣だったから一体何事かと思ったよ」

 

「俺にとっては一大事だよ

チャンミンがまた転校するんじゃないかって不安になってさ...

で、どうなの?」

 

「どうって...転校なんてしないよ

引っ越しはどうだろう、僕には分からない

でも、少なくともこのマンションを離れる予定は今のところなさそうだけど、まさかユノから母さんの再婚話が出るとは思わなかったな」

 

「ごめん

でもさ、ハンさんが冬休みの間は一緒にいるって言ってたから、もしかしたらそういう話が具体的に決まるのかなって思って

そしたらチャンミンたちはどこに住むんだろうって気になって、それで....」

 

「ユノ」

 

「ん?」

 

「僕はどこにも行かないよ

ずっとユノの傍にいるから」

 

「....うん」

 

「それに、もし引っ越す事になっても転校はしないはずだから心配しないで」

 

「分かった

ごめんね、こんな事で電話させちゃって」

 

「ううん、いいよ

声が聴きたいなって思ってたからちょうど良かった

もう少し話しててもいい?」

 

 

 

それから20分程チャンミンと冬休みについてあれこれ話して電話を切った

切った後の、胸がじんわりと温かくなる余韻が好きだ

まだ耳の奥にはチャンミンの鼻に掛かったような甘い声が残っている

 

 

大晦日は家族と過ごすけれど、年が明けたら二人で初詣に行く約束もした

少しずつ、少しずつ、恋人らしい思い出が増えて行く

勿論、男友達とだって初詣には行けるけれど、チャンミンと行く初詣はそれとは違う

 

二人でお参りをして、新しい一年が幸せであるようにと願う

何より、ずっとずっと二人の関係が続きますようにと...

想像したら待ち切れなくなって、早く年が明ければいいのにと思ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迎えた大晦日

 

大掃除も終わって部屋で雑誌を読んでいると、脇に置いていたスマホが震えて電話の着信を告げた

 

 

「...もしもし」

 

「あ、ユノ

今大丈夫?」

 

「うん

どうしたの?」

 

「これから会えないかな」

 

「え、これから?」

 

 

胸がトクンと鳴って、思わず椅子から立ち上がった

これからチャンミンに会える...?

 

 

「夕方にはハンさんが来るから家にいないといけないんだけど、それまではユノと一緒にいたいなって思って

....ダメかな?」

 

「ダメなわけないじゃん

えっと....どこで会う?」

 

「ユノの家は?」

 

「え、俺んち?

でも母さんいるけど」

 

「うん、分かってる

ただ一緒にいたいだけだから」

 

「じゃあ駅まで迎えに行くから、家を出る時にメールして」

 

 

 

チャンミンが、ただ単純に俺に会いたいと、僅かな時間だけでもいいから一緒にいたいとそう思ってくれた

とびきり愛されている気がして、家を出る時も母さんに「何をニヤニヤしてるの」と言われるし、駅に向かう間もずっとニヤけが止まらなかった

 

 

家に連れて戻ると、なぜか母さんは入れ違いに買い物に出掛けて行った

わざとらしく「ごゆっくりどうぞ」なんて言って意味深な笑顔を俺に向けるから、何だか分からないけれど動揺して視線を逸らしてしまった

 

母さんの言わんとする事は何となくは分かる

でもそれは、恋人を連れて来た息子に対して言う事なのか?

 

とりあえず、二人きりにしてくれた事に感謝

 

 

 

「ユノのお母さんに気を遣わせちゃったね

年末の忙しい時に申し訳なかったかな...」

 

「気にしなくていいよ

何か飲む?」

 

「ううん、いい」

 

「そう?

 

でもびっくりしたな

チャンミンと会えるなんて思ってなかったから」

 

「ふふ...でしょ?

僕も今日はハンさんも来るしと思ってたんだけど、母さんが、大晦日なのにユノに会わなくていいのか?って」

 

「え、そうなの?

チャンミンのお母さんがそう言ったの?」

 

「うん、そうだよ」

 

 

そう言って微笑むと、俺にギュッと抱き着いた

 

 

「チャンミンから来るなんて珍しいね」

 

「...ダメ?」

 

「ダメじゃないよ

すっごく嬉しい」

 

 

チャンミンの腰に両腕を回して大きな瞳を覗き込むようにじっと見つめた

もう既に甘い空気を帯びている

 

 

「えっと...

キスくらいならしてもいいよね?」

 

 

キスをする前から胸の鼓動は速まっていたけれど、唇が触れた瞬間に更に速まって、こめかみがジンジンしている

 

 

初めてするキスでもないのにどうしたんだろう?

 

きっと今日が大晦日だからだ

 

 

重なった唇が一度離れてまた重なって、何度が繰り返すうちにいつしか舌を絡める濃厚なキスへと変わって行った

 

 

「....ん....んんっ....」

 

 

チャンミンの鼻から漏れる吐息に下半身が一気に熱くなり、抱き締める腕に力が入る

正直、キスだけじゃもう足りない

 

 

....母さんが出掛けている今のうちなら、少しくらいいいよね?

 

 

キスをしながらチャンミンの体をベッドへ誘導すると、ゆっくりとベッドに腰を下ろした

それからシャツの下から手を入れて、迷わず胸の中心、ツンと尖った部分に触れた

 

 

「あぁっ...ん」

 

 

控え目な甘い声と共にチャンミンの体がびくんと跳ねた

でも構わずそのまま指先で摘まんで優しく転がすと、途端に体を仰け反らせた

 

 

「あっ....あんっ....はぁっ....」

 

 

吐息を漏らしながらチャンミンの手が静かに俺の下半身をまさぐり、デニムパンツのファスナーを手際良く開けると、強引に手が挿し込まれた

 

 

「あっっ....」

 

 

下着の中にまで入って来たチャンミンの手が直接俺のモノに触れて声が出た

恥ずかしいくらいに反応しているそこは、きっとチャンミンの手の中でむくむく成長しているに違いない

 

 

そうやってお互いの体に触れながら、吐息交じりのキスを交わした

 

 

いつ母さんが帰って来るか分からないから、それ以上の行為はできないしするつもりもない

でもこうしてチャンミンの甘い声を聴いていると、もっと感じさせたいと思ってしまう

そしてチャンミンの手で愛撫されている自分自身もまた、それ以上を望んでしまう

 

 

「....ユノ、凄いよ」

 

 

そう呟いたと思った次の瞬間、チャンミンがサッとベッドから降りて俺の前に跪き、股間に顔を近付けると、かぷり...とソレを咥えてしまった

 

 

「あっ、チャンミンっ!!!」

 

 

何の躊躇いもなく頬張り吸い付くチャンミンの顔を見下ろしながら、押し寄せる快感に抵抗できずにただひたすらその柔らかい髪の毛を撫で続けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆっくりできた?」

 

「はい、急にお邪魔してすみませんでした」

 

「あら、いいのよ

ユンホの可愛い恋人ですもの、いつでもいらっしゃいね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「ユンホ、駅まで送って行くんでしょ?」

 

「うん、ちょっと送って来るね」

 

「気を付けて帰ってね

良いお年を」

 

「おばさまも、良いお年をお迎えください」

 

 

 

駅まで並んで歩きながら、さり気なくチャンミンの肩に手を掛けた

これなら男同士でも違和感なく密着できる

 

 

「チャンミンごめんね、俺だけ気持ち良くなっちゃって

モヤモヤしてない?大丈夫?」

 

「もう、ストレートな言い方やめてよ

僕の事は気にしないでいいから」

 

「でも...」

 

「もうこの話はおしまいっ

 

今年はユノに会えて最高の年だったよ

僕史上、一番幸せな年だった」

 

 

駅に着いて、すぐには別れず一旦改札の脇に寄った

 

 

「俺も同じだよ

勿論、来年も再来年もずっとチャンミンと一緒にいられれば最高だけど」

 

「じゃあ毎年最高の年を更新しちゃうね」

 

「あはは、そうだね

日付が変わる時にメールするよ」

 

「うん」

 

 

本当は手を繋ぎたいし、できる事なら抱き締めたい

でもまだ明るいし、駅は大勢の人が行き交いそんな事ができる状況ではない

 

と思ったら....

 

チャンミンがふわっと俺に抱き着いた

両腕で力一杯俺を抱き締め、首元に顔を埋めている

 

 

「....チャンミン」

 

 

抱き締め返そうか一瞬迷ったけれど、思い切って俺もチャンミンを抱き締めた

どう見ても高校生くらいの男二人が駅で抱き合っているのだから、周りから見たらちょっとドキっとするような光景かもしれない

それに、もしかしたら知り合いに見られる心配もある

 

それでも構わないと思った

 

それから少しして体を離すと、恥ずかしそうに俯くチャンミンの頭を2回、ポンポンと撫でた

 

 

「よいお年を、チャンミン」

 

「ユノも、よいお年を」

 

 

改札に入って行くチャンミンの姿を、ホームに向かう後ろ姿を、見えなくなるまでずっと眺めていた

 

 

あと数時間で、今年が終わる

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

こんばんは

本日もご訪問ありがとうございます

恐らく年内の「転校生」はこれで最後です

年明けあまり間を開けずに次話を更新しようとは思います

 

ご訪問くださる皆様、今年一年ありがとうございました

来年もどうぞ宜しくお願い致します♪

 

※画像お借りしました※