白衣の王子 12
このお話は全てフィクションですBL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)mガチャ..とドアが開いて恐る恐る視線を上げると、開いたドアの内側に、眼鏡にスウェット姿のチョンさんが戸惑った様子で立っていた「こんばんは...すみません、いきなり来て...」「うん、まぁ、びっくりはしたけど...とりあえず入って」「...お邪魔します」玄関で靴を脱ぎながら、まさかこんなに早いタイミングでまたここに来ることになるとは思っていなかったので、少し気恥しかったあの時は昼間で外はまだ明るかったけれど、今は夜も更け、部屋の中の雰囲気はまるきり違うリビングの大きなテレビ画面には映画か何かのワンシーンが一時停止の状態になっていた「映画を観てたんですか?」「ん?そうだよ」ソファに座るよう促されて腰を下ろすと、チョンさんも隣に腰を下ろした石鹸の甘い香りがふわりと漂って来て、そういえば肌もツヤツヤしていて髪の毛もまだ濡れているようだし、どうやら僕は、気分良く寛いでいるところに突撃訪問してしまったらしいと気付いた「楽しんでる時にお邪魔してすみませんでした」「いや、いいよていうかさ、インターホンのモニターにシムさんが映っているのを見た時、幻でも見てるのかと思って、思わず声に出して"え?"って言っちゃったよこんな時間に何の前触れもなく来るなんてよっぽどのことだと思うんだけど、何かあったの?」心配そうに僕の顔を覗き込むチョンさんに、Mさんとの間に起きた出来事を洗いざらい話そうかどうか迷った話したら間違いなく気分を悪くするだろうし、裏切られたと思うかもしれないでも、こんな時間に非常識な訪問をしている以上、話さないのは逆に失礼だ思い切って、同僚の引き合わせでMさんと知り合ったこと、今回はたまたまハプニング的に二人だけで飲むことになったこと、そして、想いを告げられ無理やり迫られたことを話したチョンさんは僕が話す間、真剣な表情でじっと聞いてくれて、話し終わってもすぐには言葉を発さずしばらく黙っていたその表情からは戸惑いと怒りが感じ取れた「正直な感想を言うと、めちゃくちゃショックだよシムさんは、俺がシムさんのこと好きだって知ってるわけだし、シムさんだって俺のこと好きだって言ってたでしょ?」「...すみません」「いや、責めてるわけじゃないんだけど、一歩間違えればもっと酷いことされてたかもしれないんだし、そう思うと何とも言えない気持ちだよ」チョンさんはそう言って僕の手を取ると、両手でそっと包んだ「とりあえず無事で良かったでも、どうしてわざわざ俺のところに来たの?」「それは...」僕はMさんから逃げるのに必死で、気付いたらチョンさんのマンションの前にいたと、無意識に足が向いていたと、正直に話した「そっか...」チョンさんは優しく微笑みながら僕の顔をじっと見つめたその眼差しは堪らなく僕を居心地悪くさせるけれど、それは好きという感情の裏返しだし、こうしてチョンさんの傍にいるだけで不安な感情は消えているやっぱり僕はどうしたってチョンさんが好きで、それは抗いようのない事実なのだ「俺は...シムさんにとってそういう存在だって自惚れていいのかな無意識に来てしまうくらい、俺の存在が大きいってことだよね?」僕は黙って頷いたチョンさんの言っていることは何一つ間違っていない「だったらもう迷う必要はないよね?自分が本当に求めてるのが誰なのか、どうしたいのか、分かったはずだよ?」僕はチョンさんの艶っぽく濡れた黒い瞳を真っ直ぐに見つめ返したMさんの眼差しにはない包み込むような安心感と、優しさと、熱い想いを感じた「俺はシムさんが好きだよお互いの立場に関係なく、一人の男として見て欲しいと思ってるそれでもまだ...迷ってる?」「いえ..」観念するしかないと思ったそもそも誰に気兼ねして我慢していたのだろう?目の前にいるチョンさんが純粋に好きで、向こうも僕を好きでいてくれて、それで両想いでハッピーエンドで良かったのに、一体誰と我慢比べをしていたのだろう?もう我慢しなくていいと思ったら急に気持ちが軽くなって、押さえつけていた感情が一気に体の奥底から込み上げてくるのを感じたチョンさんの両手に包まれた自分の手を見つめて、心の底から幸せだと思った「恋人になっても...クリニックにはちゃんと行きますよ?自宅でタダで診察してもらうとか、そういう非常識なことはしませんから」「...恋人?」「え?あの...今のってそういう流れじゃないんですか?」「いや...まぁ」チョンさんは少し困ったような表情で、でも嬉しそうに微笑んだ「もう自分を恋人として認めてくれてるなら話は早いや今夜は泊まっていってくれるよね?」「え...ここに?」「勿論そうだよ何も駅前のビジネスホテルに泊まってもらおうなんて思ってない俺に会いたくて来てくれたんだから、帰すわけにはいかないよ」チョンさんの手が僕の手から腕を伝って、肩から首筋、そして頬に触れた親指が僕の唇をなぞって、チョンさんの視線も僕の唇の上にあった体の中心が徐々に熱くなってきて、これから僕の身に起きようとしていることが何となく分かって、呼吸が速くなった「恋人らしいことしてもいい?」「え?」チョンさんは眼鏡を外してローテーブルの上に置くと、僕の方を向き直ったそして、僕が反応する間もなくチョンさんの顔が斜めに傾きながら近付いて来て、唇が重なった居酒屋帰りだったことを思い出して、せめてうがいぐらいしておけば良かったと思ったけれど、もう今更だ両腕を伸ばしてチョンさんの背中に回すと、今までの必死の我慢は何だったのかと思うくらいに強くチョンさんを抱き締めた僕の体が、細胞が、この瞬間を待っていたのだと実感して、自分がどれだけ無理をしていたのかを思い知ったたっぷりとキスを堪能すると、お互い少し酸欠気味になって一旦体を離した悪戯っぽく微笑むチョンさんのアーモンドアイは、今、僕しか見ていないそして僕の目には、チョンさんしか見えていない「今夜はどこまでシムさんを求めていいのかな」「え、あの...それは...」「ハハ、そんなに動揺しないでよ無理強いはしないし、成り行きに任せるつもりだからとりあえず...シムさんもシャワー浴びてくる?」「えぇ...そうします」「着替えは俺のを貸すから、後で持って行くよ」「すみません」チョンさんをその場に残して洗面所に向かうと、鏡に映った自分を見て、逆上せてぽぉっとなっている顔に思わず赤面したこんな顔でチョンさんの前にいたのかと思うと堪らなく恥ずかしい扉を閉めて服を脱ごうとしたら、閉めたばかりの扉が突然開いて心臓が止まりそうになった何かと思ったら、チョンさんが着替えと思しきものを一式抱えて立っていたてっきり僕が浴室に入ってから持ってきてくれるものだと思っていたから、まさかこんなタイミングで来るとは思わず慌ててしまった「あの...今脱ごうとしてたんですけど」「あぁ、ごめんバスタオルとか何にも出してなかったから」チョンさんはそう言って棚からタオルを出すと、洗面台脇の洗濯機の上に着替えを置いて、その上にタオルを乗せたでも、不思議なことに、タオルが二つもあった「タオルは一つで大丈夫ですよ」「いや、これは俺の分」「俺の?」僕が理解できずにいる横で、チョンさんは着ていたスウェットの上を脱ぎ始めたたちまち逞しい上半身が現れると、僕はどこを見ていいのか分からず視線があちこちを彷徨い、次にスウェットパンツを脱ぎ始めると、いよいよその場から逃げたくなって背を向けてしまった「シムさんも脱いだら?」背後からそう言われて、どうしてこの状況で服が脱げるかと言い返してやりたかったチョンさんがどこまで脱いでいるのか、まだ辛うじて下着は身に着けているのかどうか、それが気になって仕方がないけれど、振り返る勇気はない「俺が脱がしてあげようか?」その言葉と同時にチョンさんが僕の服に手を掛けたものだから、僕は弾かれたように向きを変えてチョンさんと向かい合わせに立った辛うじて下着はまだ身に着けたままでいてくれた「どうしてチョンさんが脱ぐんですか?もうシャワー済ませてますよね?」「そうだけど、また浴びたくなった」「でも、今は僕じゃないんですか?」「一緒に入ろうよ」「いっ...一緒って...まだそういう段階じゃないですよね?」「じゃあ、そういう段階にしよう」大して恥ずかしがるでもなく、下着姿で堂々と目の前に立つチョンさんは、自分に自信があるのか分からないけれど、確かにそれだけの肉体の持ち主だった隆起した腕の筋肉、太い腕、引き締まった下半身を見ると、自分の体を晒すのが躊躇われるほどだ「泊まるんだから、もう覚悟したら?」そう言ってチョンさんは僕に歩み寄ると、シャツの裾に手を掛けたどうか下半身は反応しないでくれと祈りながら、一枚また一枚と僕は服を脱がされて行った※画像お借りしました※