その眼差しも、唇も 19
BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m< the view from Changmin >いけないと分かっているのに抗えないダメだと分かっているのに感情を抑えられないあの艶めく真っ黒な瞳に見つめられると、僕の心は乱暴なくらいの力でギュッと掴まれて、抵抗しようにも逃れることができなかったでも、チョンさんが既婚者でいる限り、僕がどれだけ強く想ったところで決してハッピーエンドを迎えることはなく、僕たちの関係には必ず終わりがやって来るそれでもいいのかと自問するけれど、結局答えが出せないまま時間だけが過ぎていき、関係は深さを増すばかりだった苦しいけれど大好きで、触れたくて、触れて欲しくて、愛して欲しくて...いつかは終わりが来る関係なのに、僕はもう抜け出すことのできない場所にいたところが事態は急転直下、チョンさんの奥さんが浮気相手の子を妊娠し、さらには数日中に離婚するという衝撃の事実を知った離婚が成立すればチョンさんは自由の身だ僕だけを見て、僕だけを愛してくれたら...それを想像するだけで心は満たされたその日、チョンさんとのいつものミーティングを終えて自席に戻ると、蛍光グリーンの派手な付箋がデスクの上に貼られていた内容が見られないようにわざわざ二つ折りにしてあるのを開いてみると、後輩からのメモだった"今夜、時間ありますか?"社内メールで訊けばいいのにと思いながら、何の用か確認しようとメールを送ると、すぐに返事が返って来て、間もなく外回りから戻るので直接僕のところに来るとのことだった今夜は特に予定もないので時間を作ることは問題ないけれど、後輩が僕に何の用なのかが気になった普段から頻繁に飲みに行くような仲ではないし、悩み事を打ち明けるような関係でもない言ってみれば青天の霹靂だ「シム先輩」30分程が経った頃、ようやく後輩が戻って来て僕のデスクにやって来た急いで戻って来たのか汗だくだ「...大丈夫?少し休んでからでもいいよ」「いえ、時間がもったいないのでこのままで大丈夫です」「そう..で、メモにあったやつだけど、どうしたの?」「あの...今日、仕事終わりにご飯てどうですか?」「うん、いいけど、随分と久々だよね最後にご飯食べに行ったのって、あれいつだっけ?」後輩は思い出すように視線を斜め上に向けた「えっと...本社に異動になってすぐですから、半年くらい前ですか?」「そっか、もうそんなに経つんだねでも、僕とご飯食べに行くって、どんな相談なの?」「いや、相談って言うか...」後輩は歯切れの悪い返事をして、気まずそうに僕から視線を逸らした相談事でもないのに僕を食事に誘うとか、一体何だよと思った「先輩と久々に話がしたいなって思っただけで、別に相談がしたいわけじゃないんです相談事がないとダメですか?」「いや、相談事がないならそれはそれでいいよ、悩みがないってことだしでもさ、少しくらい頼りにされてるのかなって思ったから、ちょっと寂しいなって」「あ..」あからさまに後輩の顔から血の気が引いたのが分かって、僕は慌てて訂正した意地悪するつもりなんて微塵もないし、パワハラだとか言って訴えられでもしたら堪らないとりあえず仕事が終わったら連絡することにして、僕たちは自分の業務に戻った「久々の飲みにかんぱーい」ジョッキとジョッキを軽く触れ合わせて乾杯すると、僕たちは半分ほどを一気に飲んだ後輩もそこそこ飲める方で、半年前に一緒に飲んだ時は会計金額が結構な額になって焦ったのを覚えている会社の集まりで飲むことはあったけれど、こうして二人で飲むのは久し振りだ「最近どう?順調?」一皿目の料理をそれぞれの皿に取り分けながら、僕はありきたりの質問をした普段こうして後輩と飲むこと自体がないので、気の利いた会話のノウハウが分からない「まぁまぁですよ、知ってるとは思いますけどあの部長の下だと残業も思うようにさせてもらえないし、仕事が溜まるばっかです」「それでいいんじゃないの?残業ばっかりさせられてるって愚痴よりよっぽど幸せだと思うけどな」「シム先輩はそうかもしれませんけど、俺的には残業してでもある程度は終わらせちゃいたいって思うんですよ特に調子が乗って来た時に部長から"そろそろ帰れ"って言われると、何だよってマジ腹立つんですよね」「...そんなもんかなぁ?僕ならさっさと帰っちゃうけど」「それより先輩、チョンさんとの合同作業は捗ってるんですか?」「え?」後輩の口からチョンさんの名前が出てドキッとした僕がチョンさんと仕事をしているのは勿論知っているだろうけれど、話題に出るとは思ってもいなかった「うん...順調だよ、何で?」「いや...ちょっと気になってて」「どうして?」「チョンさんてどんな人ですか?いや、めちゃくちゃ仕事ができるって話は聞いてるんですけど、実際にどうなのかなって思って」「うん...まぁ、仕事は速いし、指示も的確だし、凄く仕事がしやすいよ」「へぇ...そうなんですね」自分から質問しておいて、後輩は大して興味もなさそうな返事をした「何で急にチョンさんのこと訊くの?もしかして、僕から仕事を奪おうとか思ってない?」「まさか!!そんなわけないじゃないですか!!先輩とチョンさんがどんな風に仕事してるのかが気になっただけです」後輩は視線を宙に浮かせたままジョッキのビールを飲み干して、空になったジョッキをじっと睨みつけるようにしていた「商談ブースで作業してますよね?」「ん?そうだよ、なんだ、見てるんじゃん」「何か...いつも楽しそうですよねあ、一瞬ちらっと見ただけですけど」「楽しそう?っていうか、普通だよ」「俺にはそうは見えませんでした先輩、チョンさんと話してる時、凄く楽しそうでしたよ」絶対にこちらを見ようとしない後輩の様子に、どうしてそんな話をするのか質問の意図が分からなくなった僕とチョンさんの関係を何かしら怪しんでいるのか、少なからず僕たちのことを気にしているのは明らかだ「そういえばチョンさんて結婚してましたよね奥さんがめちゃくちゃ美人だって噂ですけど、知ってますか?」「...知らないよていうかさっきから何?そんな話がしたくて僕を誘ったの?」「...すみません」久々に後輩と飲みながら仕事の愚痴でもぶちまけてもらおうかと思ったのに、まるで尋問されている気分だ「とりあえずチョンさんの話しはこの辺にしといて、次は何飲む?」僕はメニュー端末を手に後輩に笑顔を向けた※画像お借りしました※