映画感想「Winny」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います


『Winny』(2023)


2002年5月、元・東大大学院情報理工学系研究科の助手であった金子勇は、単独開発の成果としてインターネット内におけるファイル共有ソフト
Winnyを発表
しかしその画期的な成果は社会の評価よりも先にある、危険を多分に孕んだ部分に耳目が集中してしまう事態を引き起こし
金子はある日、住まいを訪れた警察から著作憲法違反幇助という罪を言い渡され拘束された

その才能を封じる様強要され、その発明を犯罪の助長に一役買ったと断じられた男は
自らの立場を守り、彼を葬ろうとする力と対峙する事になった男と


その協力者たちの物語


7年間の法廷闘争の末に無罪となった一人の研究者を見つめた実話でしたが
本作の情報を得るまでWinnyという言葉さえ知らなかった私です

それでも、自由な発想や閃きや開発を阻害する圧力に対しての怖れや憤りが映画からは伝わるので
見ていてつまらなくはありませんでした

未だに証言の捏造を行い、冤罪を平気ででっち上げる警察機構の在り方は
これまでにも多くの映画で糾弾したにも関わらず、まったく改める姿勢は無いのだな
という気持ちを感じながらの鑑賞は、長く映画を見てきた者としての虚しさを加味して切なくなります

と、ここまでは映画として真に面白く意義のある作りっぷりで頼もしいのですが
このヤル気が過度な正義感に拍車をかけて全体のバランスを不安定にしていたのが
同時期に露見した愛媛県警の裏金作り告発事件です

此方の事件はWinny事件に比べると告発者が現役警官であった事や、本人のアピールが強かった事もあり何度か全国放送のニュースやワイドショーで取り上げられていたのを微かに憶えていますが
映画の主軸たる事件とは全く別個の警察内部での事件を何で絡めたのかな?という不満が消えないままなのは、勿体無いなぁと思います


程よい緊張感

それを引きずらない緩和


とても見心地よく展開してゆくだけに
(もう一つの大事件)をくっつけたのが
欲張ってるなぁと思わせる

残念な力作です