結構、船旅好きな座頭市
ヤクザを簡単にあしらう市を面白がり、また市のほうでも貴賎を問わない糺の事が気に入り始め
市が(待った)を願うと
異様な緊張が周りを包み
二の句が告げない有様に、殺気さえ感じる市でした
第1作目から数作に見られた座頭市の孤独や、致し方なしに相手と対峙する悲哀がすっかり薄れ、今度は何人、次は何人斬りましたと居合(殺陣)の凄みばかりに話題が注がれる傾向を
伊藤大輔の見事なシナリオと、三隅研次の確かな演出でマンネリを回避した
シリーズどころか、時代劇の秀作です
仇討ちの敵としての身である十文字を演じた成田三樹夫さんの存在感が圧倒的ですが
軒づけに身をやつし、ヤクザの亭主を斬った座頭市を探している女を演じた岩崎加根子さんの抱く孤独と淡い恋慕は
そして幼い少女への父性と愛情を封じ込める座頭市自身の片想い
歳を重ねて、益々シリーズの(大人たちの哀)に心打たれるようになりました
昭和40年・大映
脚本〜伊藤大輔
音楽〜伊福部昭
監督〜三隅研次
出演
勝新太郎
岩崎加根子
戸浦六宏/須賀不二男
丸井太郎/遠藤辰雄
山本學/藤岡琢也
伊達三郎/五味龍太郎
林千鶴/藤山直子(現・直美)
成田三樹夫