昭和25年、広島市
復員兵の山中正治は、村岡組組長の姪・靖子の働く食堂で事件を起こし、居合わせた大友連合の跡取り・勝利と取り巻きの愚連隊にリンチを受けてしまいますが
勝利の親父が取りなしてくれたお陰で
結果、村岡組の末弟に加えて貰えることになります
その苛立ちは、敗戦で燻る気持ちを吐き出せずにいた勝利の過激な行動に拍車をかけているのでした
勝利は村岡の兄弟分、時森をたらし込み
跡目を継いで博徒として村岡組と対抗し始めます
しかし、その性急な行動は老獪な村岡側に防がれてしまい
裏切り者の誹りを受けた時森を逃さなくてはならなくなります
呉に小さな組を開いた広能昌三のもとにかつての親分、山守から頼み事が
広島から預かったお客さんをしばらく預かってくれというのです
しかし広能は気乗りがしません
広島の騒ぎが呉にまで広がるのはよくない
山守のエエ格好しいが血の雨を降らしてしまうかもしれない
そんなある日
広能を訪ねてきた男が…
かつて刑務所で可愛がってもらった挨拶に訪れたのです
広能にある思惑が芽生えます
凄惨で痛々しく、まるで自らに弾丸を浴びせているようでもありました
愛される価値を自らかなぐり捨てて倒れてゆく青春映画としてもよく出来ていて
菅原文太の演じる広能は本作では狂言回し的な役割で
北大路欣也、梶芽衣子の悲恋がしっかりと見せ場になっている辺りに、実録モノとは一線を画した
かつての東映任侠モノの空気も漂って、面白いのです
そして、狂犬のようなヤクザ
勝利を演じた
また、そんな彼にリンチを受け銃弾の的となって死んでゆくチンピラを演じた川谷拓三など
以降の作品に影響を与える芝居、所作、台詞などが100分によくもまあ詰め込まれたものよと
感心してしまいます
国に義理の親に裏切られる哀れな男