映画感想「ゴッドファーザー」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

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お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『ゴッドファーザー』(1972)


第二次世界大戦が終結して間もない夏
娘を傷つけられた友人の相談に乗っているビトー・コルレオーネ
今日は愛おしい娘コニーの結婚式だというのに、招待客の多くが祝いの言葉もそこそこに彼に泣き言をこぼし始めます

政財界が一目を置き、FBIは目を光らせるシチリア系の大物マフィアである彼の、それが務めでした
貧富を問わず彼は悩み事に耳を傾け、解決に手を差し伸べてきたのです
その長年の蓄積は彼を(ドン)と敬意を込めて呼ばせるようになり、彼が必要とした時には皆恩返しに馳せ参じるという強い絆がコルレオーネの財産でもあったのです

ある日、麻薬の密売を持ちかけてきたソロッツォという男にビトーはきな臭さを感じてその申し出を断ります
しかし、新興のタッタリアファミリーを後ろ盾に得たソロッツォは強引な手に打ってでます

ある寒い日
傘下の店から出てきたドンが街の人達と談笑しながら買い物を楽しんでいる時
背後から明らかに場違いな殺気を漂わせた男たちが近づいてきて……
重傷を負って病院に担ぎ込まれたビトー

直情型で血の気の多い長男ソニーはタッタリアとの全面戦争を叫びますが
末弟のマイケルは警護を頼んでも無視を決め込んだ上に、殴打してきた警察本部のマクラスキーがソロッツォと組んでいる事を知り静かに殺意を膨らませ始めていました

ニーノ・ロータのメロディが強烈な印象で

見てないけどこの曲だけは知ってる、という人も今では多いでしょう


ただ、この曲はシチリア島に行ったマイケルの姿を描く際に主として流れています
このくだりは作中もっとも静かでもっとも美しくて、もっとも悲しい
マイケルの精神的成長と変化に多大な影響を与える名場面でした

貧しい移民の青年が、やがて周囲の信頼と友情を得て力を蓄え
肉親だけではない絆という血よりも濃い共感で家族を大きくしてきた、その晩年の興亡を画出する
バイオレンスとサスペンス
そして家族愛に彩られた名作です
初見はテレビ。その後、高校生になって中野武蔵野館・池袋文芸坐・飯田橋佳作座といった名画座で、ボロボロのフィルムで映画館鑑賞をしました
中野武蔵野館では「第三の男」と二本立てという贅沢さでした