こんにちは。
環境省の推進する「SATOYAMAイニシアチブ」について調べ物をしていたら、
世界農業遺産の武内和彦先生のスライドが出て来たので、自分のメモとして紹介します。
ベトナム、インドネシア、スリランカにもそれぞれホームガーデンがあって、
単なる商品、換金作物のための近代化農業と、
村の人々が自分たちの家族のために作る食べ物=自給的農業(伝統農業)の
組み合わせが大事だと言う研究の成果が載っていた。
わたしが普段から、自分でも野菜を作り、農ある暮らしの喜びを発信しているけれど、
その裏付けとなるエビデンスだと思った。
いずれまた文章を書こうと思うけれど、まずはここに忘れないように紹介しておきたい。
今からちょうど10年前、2014年の論文と研究発表です。
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伝統的知識を活かした持続可能なアジア農村社会づくり
武内 和彦
( 東京大学国際高等研究所 サステイナビリティ学連携研究機構長 )
【 1E-1101 】 アジア農村地域における伝統的生物生産方式を生かした気候・生態系変動に対するレジリエンス強化戦略の構築
概要:
本研究では、気候・生態系変動に対して脆弱なアジア農村地域を対象に、ベトナムのVACシステム、インドネシア・スリランカのホームガーデンシステム、スリランカのタンク灌漑システムなど伝統的な生物生産方式の再評価を行い、伝統知と科学知の統合を通じて、レジリエンス強化戦略を構築しました。
伝統的知識を活かした 持続可能なアジア農村社会づくり 武内和彦 東京大学国際高等研究所 サステイナビリティ学連携研究機構長
環境研究総合推進費 研究成果発表会 環境研究の最前線
伝統的な知識・技術を生かした生態系サービスの持続的利用は,気候・生態 系変動へのレジリエンス強化にどこまで貢献するか? アジアの農村の持続可能な成長戦略は?
気候・生態系変動、社会経済変動に対して、伝統的知識・技術と近代的知識・技術を組み合わせた モザイクシステムによりレジリエントな社会を実現
ホームガーデンシステム
ベトナムにおけるVACシステム
インドネシアにおけるプカランガン
スリランカのキャンディアン・ホームガーデン
【特徴】
• 少量多品種 • 多様な生態系サー ビスの活用
• 高い生物多様性
• 様々なショックやかく 乱に対して複数の選 択肢を確保
• 小規模農家中心
【課題(変動要因)】
• 気候・生態系変動
• 都市化・人口流出 • 大規模化・商業化・ モノカルチャー化
• 国際市場圧力 • 伝統知の次世代へ の継承
伝統的なシステムのレジリエンスの高 さを維持しつつ、社会経済変動へ対応 することで、レジリエンスを強化
生物多様性と調和した生物生産システムの構築
プカランガンの役割
• コミュニティで利用
• チーク、マホガニー等の 高価な財を(病気、教育、災害等などの)
出費が必要な場合に伐採して利用(貯蓄機能)
ベトナムにおけるVACシステムと稲作、
インドネシアにおけるプカランガン と産業植林、
スリランカの伝統的タンクと新貯水池にみるように、
伝統的システムと近代的システムを統合したモザイクシステムにより、
従来 の技術開発による対応とは異なる生態系サービスに依拠したレジリエン ス強化策が構築できる
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伝統的な農業と、近代農業を統合したモザイクシステムだと言う部分が大事だと思った。
世の中を見ていると、答えを一つに求めがちなのではないか。
農業も、近代化をすすめたらそれ一辺倒で、
伝統的な農業は、古い、効率が悪い、手間がかかるという理由で追いやられている。
社会というのは、様々なものから成り立つので、答えは一つではない。
日本列島が長いように、雪国もあれば、海もあれば、山もあれば、台風もあれば、
ともかく、いろいろだ。
適地適作という考え方が農業では大事だ。
それをやるためには、一色(モノカルチャー)ではむしろ脆弱なのだ。
カラフル、ダイバーシティとはそういうこと。
農家のタイプも様々あってよい。
だから小さな農業が必要だということ。
大きなものだけでは、多様とは言えないからね。
以上
きょうはここまでーー
ベジアナあゆみ