世界農業遺産
阿蘇の草原クイズ!
Q,この竹ぼうきのようなもの、何に使うかわかりますか〜?
阿蘇の野焼き支援ボランティア研修会に行ってきました。
座学の研修の後は、道具づくりです。
阿蘇のボランティアに登録している人の数は1200人!大人数をまとめるため、
ボランティアリーダーが70人います。
教えてくれるのは、舛尾さん。
竹の先端を割って、葛のツルでいい感じに編んで作ります。
そもそも野焼きとは?
●阿蘇における「野焼き」とは、人の手による草原管理(二次的自然)
低木を除去し、初夏にはススキなどを再び繁茂させる、省エネかつ効率的な草原の管理技術のこと。
●方法、時期:2月から4月、草原を焼く。
多くの人出が必要になる共同作業であり、安全に野焼きをするために前の年の夏~秋に「防火帯」(輪地切り)の草を刈り、
刈った草をあらかじめ焼いておく(輪地焼き)作業が、一連のセットで必要となります。
●特徴は
「野焼き」では、素早く草を焼くため、土中の温度は上がらず、草の根や種には影響を与えない。
●草資源による土壌改良
阿蘇の草原は入会地。牧野組合により代々管理されて来ました。
現在、牧野組合は160ありますが、高齢化で年々減少し、野焼きをやめてしまうところも。
このままでは草原が維持できなくなる。
世界農業遺産!阿蘇の草原が危ない!
それを防ぐために阿蘇では20数年前から、市民による「野焼き支援ボランティア」の活動があります。
初春の阿蘇の山に燃え盛る野焼き
メラメラメラメラ![]()
その温度600度から800度とも!
千年続く初春の風物詩を一度間近で体験してみたい〜〜![]()
でもボランティアに参加するには研修が必要!
牧野の野焼きで大掛かりな火を管理するのは命がけの仕事だからです。
というわけで、阿蘇までまずは研修会を受けに、棚田学会の友達と行ってきましたー!
そもそも草原はどのような存在だったのか?
◎生きていくための「資源」を得る大切な場所
■ 農作業の労働力として牛馬を飼養=エサ・敷料
■ 農産物の生産のために土壌を改良=肥料 (緑肥)
■ 茅葺き屋根の家屋に居住=茅材
◎時代とともに産業構造・農業様式が変化し、少子高齢化・過疎化に。
■労働力としての牛馬→トラクター
■ 農作物の生産 →化学肥料
■建材 →瓦・スレートなど
草の資源的な価値が低下→草原を維持する目的が失われつつある
(草原学習館の資料より)
阿蘇の草原は、放牧地や採草地として利用するため、野焼きにより人が管理・維持してきた #二次的草原 です。
古くから猟場や牛馬の牧場、肥料や牛馬の飼料、事葺き屋根の材料を得る場として利用されてきました。
近年は観光地としても活用されています。かつて牛は田畑を耕し、草を運ぶ役として農家を支えていましたが、専用の機械やトラクターなどにとって代わられていきました。
草原の野焼きは、大気中の炭素の一部を地中にとじこめる。
草を燃やすとCO2やメタンが一時的には出ます。しかし、燃えてできた炭や灰が土に返ることで、土中に炭素を貯め込むことになります。さらに次に生えてきた勢いのある草の成長で、CO2をどんどん吸収します。これにより大気中に排出した以上の炭素を土中に貯め込むのが野焼きです。
プラスマイナスゼロ(カーボンニュートラル)どころか、野焼きをした方が大気中の炭素を減らしていける「カーボンネガティブ」であることが、これまでの調査でわかっています。
野焼きが繰り返し行われ続けるからこそ、土壌中に炭素が蓄積され続けるというわけです。
単に焼却炉で何かを燃やすのとは違い、土の中に炭素をためこむ循環を1年ごとに活性化させるのが野焼き。
それが千年繰り返されてきたゆえに、2.2万ヘクタールという壮大な草原は保たれてきたのです。
草原は人間がつくってきたって知ってる?
野焼き→放牧→採草
この3つの循環
が阿蘇では1000年続いてきました。
そもそも「野焼き」とは?
野焼きは、田んぼの端っこで農家が草や資材を焼く場合にも使われますが、阿蘇の「野焼き」には定義やルールが明確にあり、千年続いてきた伝統農法です。

阿蘇は火山性土壌のため、生産性が低く、火山による降灰や降雨による浸水被害を受けるなど、元来、農業生産に適した土地ではなかった
千年以上にわたり、草を餌とする牛の堆肥や草を野草堆肥として使うことで土壌改良してきた。
【Grazing 放牧】
阿蘇の伝統的な草原維持の方法の一つは、牛の放牧です。
牛に草を食べさせることで、草がまた伸び、草の成長サイクルが維持されます。
こうした維持活動がなければ、阿蘇の草原は森へと変貌しこの土地の豊かな自然は失われてしまいます。
現在、およそ5,700頭の牛が放牧されています。
牛たちは草を食みながら土地を自由に動き回るので、放牧は草原を維持するための効果的な方法です。
牛たちは急峻な谷を昇り切り人間や機械が入り込めない一帯にも踏み入ることのできる強い足を持っています。
草原の70%以上がトラクターでは近づくことができないので、牛の放牧によって草原を維持することは自然の成り行きに違いありません。
放牧をしなかったら草は伸び茂り、野焼きによって草を管理するにも危険です。
牛は阿蘇の草原やその希少な草花を保護する上で欠かせない存在なのです。
(以下、わたしの補足)
つまり、農業で草を使わなくなったから、草原が維持されなくなったわけですが、かといって今の農業で、草が必要でなくなったわけではありません。
土づくりにも、畜産(牛の飼料)にも草は重要な資源ですが、近代化、効率化の名のもとに、牛の飼料を輸入し、野草堆肥の土づくりよりも輸入した化学肥料で田畑を耕作しているのが今のメジャーな農業です。
安く輸入できていた時代はまだ経済優先で大義名分が立ちましたが、今では輸入資材は安くありません。むしろ国産よりも高くなり、さらに輸入できなくなっています。この先も安くなる材料もありません。
こうした世界的な情勢を受けて、国連では今年2026年を「国際放牧年」に定めました。
国連の「放牧地と遊牧民の国際年2026年(UN IYRP 2026)
International Year of Rangeland and Pastoralist 2026
地球の地表面積の半分以上は放牧地が占めており、かつ、急速な砂漠化に苦しんでいます。また、放牧地と遊牧民は、現在各地域で緊急の課題に直面し、SDGs達成には、持続可能な放牧地と遊牧の実現に向けた取り組みを急速に拡大する必要があることが承認されました。
気候危機や世界の飢餓に対して持続可能な土地利用のためには、草原に牛を放て、と国連にアドバイスする政府間パネルの科学者たちが言っているのです。
阿蘇の草原から、人と家畜と草地の関係を見直しませんか。
農業遺産システムとは!?
世界最大級のカルデラの上に広がる草千里、どこまでも続く草原は、「放牧~野焼き~採草」という自然と人との共生が千年以上繰り返され、育まれた風景で、牧野には約5000頭のあか牛が放牧されています。
阿蘇の農業システムは「野焼き・放牧・採草」という人の手によって維持されてきた半自然草原。
長年に渡り生物多様性、水源涵養、景観を保全。
繁殖あか牛の放牧は生産と同時に、重要な観光資源でもある。
多くは入会地として牧野組合により共同管理され、多様な農畜林業が営まれるが、近年は市民による野焼きボランティアの協力も欠かせません。
年間延べ2400人の市民がボランティアで野焼き支援をしています。
阿蘇の草原の維持と持続的農業
世界農業遺産に認定されたのが2013年。
2万haに及ぶ草地は、現在156の牧野組合が管理していますが、このうち放牧するのは104組合。
畜産農家の減少と共に、放牧する牧野も3分2に減っています。
草地維持には野焼きボランティアの仕組みがあり、市民も自然に加わっていますが、
このままでは、千年続いた阿蘇の草原が危ない!
以下は資料
農家戸数の減少とともに、管理できない草地が増えてきています。
県によると、2003年には1200戸あった畜産農家はこの20年ほどで約600戸に半減、
あかうしの放牧頭数も9000頭から4700頭に減少。
牧野組合も156に減っています。
そのうち、産山村にある「上田尻牧野組合」は、昭和51年、24戸の組合員により設立されました。
当時、171頭の肉用牛を導入し、100haの草地を造成し、地域ぐるみで「あか牛産地」を目指した。
「牛は草でつくる」を基本理念に、放牧地の確保、良質な草、設備を整えて親子の放牧をし、長期放牧することでコスト削減と健康な牛づくりをすすめた。
時代が移り変わり、現在、組合の農家は半分以下。
約300ヘクタールの牧野を11戸の農家で管理していますが、これ以上減ると作業は維持できない。
今は地元の人だけでやってるけど、隣の牧野組合はボランティアにもお願いしているという。
また、あかうしの放牧は、ストレスフリーな飼い方で、「健康な牛」というイメージがある一方で、
霜降り度合いで測る「和牛の格付け」では高い値がつかず、畜産をやめたり、黒毛和牛に切り替える農家もあります。
阿蘇の草原とあか牛は、運命共同体でもあるのです。
というわけで、10時から15時までの研修会を終えて、終了証を頂きました!
人間の本能を呼び覚ます~野焼き本番は2月から!
また報告いたしま~す。つづく
べジアナ











