「中山間地域フォーラム」が4年ぶりに東京大学の弥生講堂で開催され、聴講してきました。
テーマは「ポストコロナ期の集落の未来~ローカルコモンズの役割は何か」。
 
開会の挨拶に立たれたのは、副会長の野中和雄さん(元農水省)

 

シンポジウムのねらいと流れを説明したのは、法政大学 図司 直也先生。

 

特別講演は、中山間地域フォーラム会長の生源寺 眞一先生。
「中山間地域の現代的価値を考える~ローカルな知恵に学びながら」
 
 

 

 

 

 

 

 

研究報告 「地域づくり~集落自治の枠組みを問い直す」
徳島大学 田口 太郎 先生

 

茅ヶ崎ご出身ですが、徳島の集落の古民家で家族と共に暮らしを楽しんでおられます。
関係人口という言葉が国の政策でも使われるようになりましたが、
関係人口のルーツは、「信託市民」「信託住民」なのだそう。
信じて託せる人。
「関係人口」と一口に言っても、
「関わりの階段」(明治大学・小田切徳美先生)といわれるように、
ちょっと買い支えるような浅い関係から、どっぷり深い関係、移住定住人口になるまでグラデーションがある。
地域が信託できる仲間との協働を考えていく必要があるというお話。
 

 

NPOテダスの田畑さんは、もと新聞記者だそうで、移住者を助ける「集落の教科書」をこのほど出版された。
「集落の教科書づくり」: NPO法人テダス(京都府南丹市)田畑 昇悟 氏
>「集落の教科書」づくり、ローカルコモンズの棚卸しの実践と現場の動き等について
 
今では20数か所に広まり、それぞれの集落で教科書といういわゆる移住ルールブックが作られている。
感動したのは、ルールブックを制作するには、集落の人たちが集まって話し合いをする必要があること。
どの慣習を明文化するか、しないか。

もちまわりの町内会長の嫁がお茶を出すって、不文律があったけれど、さすがに書き込むのはいまどきじゃないよね~と住民が感じたのか反発が起きたのか、ルールブック制作を機に、これ撤廃しよう!となった例もあるそう。

文章化しようと、話し合うことで、ブラッシュアップされるんですかねー。

そういう力が働くことに感銘を受けました。

 

松川町の取り組み: 長野県松川町産業観光課 宮島 公香 氏
>遊休農地を活用した一人一坪農園、有機農業の展開、学校給食への供給等について

 

高知県における「小さな集落活性化事業」: 高知県中山間地域対策課長 安藤 優 氏
>RMO設立と小規模集落対策を目指す高知県の取組等について

 

 

パネルディスカッション:
ポストコロナ期における集落の未来を語る
〔進行は東京大学 西原 是良 氏〕

 

 

 

 

 

 

中山間地域フォーラム
ポストコロナ期の集落の未来~#ローカルコモンズの役割は何か
閉会の挨拶は、副会長の小田切徳美先生でした。
 
生源寺会長、野中副会長、小田切副会長の3人の方の発言に共通していたのは、
いま見直しを進めている食料・農業・農村政策基本法についての「違和感」でした。
農業(産業)と農村は「車の両輪」だとずっと言われてきたけれど、
ここへ来て、食料安全保障が大前提になり、
農村振興は、その一部か、ずっと後へ追いやられている位置づけへの違和感と疑問である。
コロナ禍を経て、あたらしい時代の「食料・農業・農村」の基本法の中で、農村の意義が狭められていることへの疑問と危機感。
コロナ禍で、農村という(密でなく、病気にかかりにくい)地域のポテンシャルや役割を多くの人が実感したはずなのに、話を聞きながらわたしも驚いた。
 
農村とは何か?
暮らしと営みの重なる場であり、多様な価値を有する国土・インフラという観点からも重要な、
「農村」の「権利」が脅かされているというふうにもとれる。
いま、基本法は検証部会という形で、外部の有識者が入って検証しているにも関わらずこれを良しとするのは、
検証部会メンバーにも疑問が残る、基本法はこのままでは心配ーという厳しい論調でした。
自分ももっとしっかりウォッチしていかなくては。
 
ほかにも個々のお話は、集落の未来について、学びがたくさんありました❗️
 
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以下、パンフレットより抜粋
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中山間地域政策の核となる中山間地域等直接支払制度は、開始から20年を超えて、制度に取り組んできた集落住民の高齢化と減少が進み、農地の担い手への集積にも限界が見えつつある。
日本の農村は、集落レベルで維持管理するための知恵や仕組みを、ローカルコモンズとして作り上げてきたが、
その持続性を改めて見つめ直す必要が生じている。
他方、この間のコロナ禍での経験により、人口密度の高い都市生活を客観視できるようになり、
リモートワークの導入など働き方を見直す機会にも繋がり、田園回帰の潮流はさらなる広がりを見せている。
今回のシンポジウムでは、ポストコロナの時代に向けて、
中山間地域の集落の今を捉えながら、その継承のあり方について、これからの集落像や政策へのアプローチを視野に入れて議論したい。
 
13:00 開会挨拶 
13:05 解 題 シンポジウムのねらいと流れ 法政大学 図司 直也 氏
13:15 特別講演 「中山間地域の現代的価値を考える~ローカルな知恵に学びながら」
中山間地域フォーラム会長 生源寺 眞一 氏
13:45 研究報告 「地域づくり~集落自治の枠組みを問い直す」
徳島大学 田口 太郎 氏
 
14:15 現場報告(20分×3)
1.「集落の教科書づくり」: NPO法人テダス(京都府南丹市)田畑 昇悟 氏
>「集落の教科書」づくり、ローカルコモンズの棚卸しの実践と現場の動き等について
2.松川町の取り組み: 長野県松川町産業観光課 宮島 公香 氏
>遊休農地を活用した一人一坪農園、有機農業の展開、学校給食への供給等について
3.高知県における「小さな集落活性化事業」: 高知県中山間地域対策課長 安藤 優 氏
>RMO設立と小規模集落対策を目指す高知県の取組等について
 
15:20 パネルディスカッション:ポストコロナ期における集落の未来を語る
〔進行・東京大学 西原 是良 氏〕
16:30 閉会挨拶   小田切徳美 氏
 
 
勉強になりました。
ベジアナ あゆみ