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みなさん、れんこんにちは!

#6月に思うこと

6月は牛乳月間!食育について考える月間でもあります。

ミルクを出す牛と共に暮らす「酪農家」という仕事について考えてみませんか!

 

霞ヶ関から就農5年目、地域に学ぶ

田島牧場の 田島あゆみさんに伺いました。(広島・安芸高田市)

 

広島県の北部、安芸高田市高宮町で、

 

搾乳牛27頭、育成牛13頭の「田島牧場」を営む田島あゆみさん(38)。
6年前まで農林水産省の牛乳・乳製品課に勤めていました。
キャリア官僚から一転、故郷で酪農のプレイヤーになりました。

 

田島さんが酪農と出会ったのは、牛乳・乳製品科に配属になった30歳の時、

北海道中標津町にある牧場へ、研修でファームステイをしたときのこと。

家族経営の小さな牧場でしたが、牛にストレスをかけないよう大切に扱う家族の姿を見て、

ハッとしたそうです。

牛を健康に飼うことが、良い経営の秘訣だと知って、面白いなと思ったんです。

機械や設備も大事だけど、まず牛をしっかり管理して一頭一頭のパフォーマンスを上げるのが重要で、

むやみに大規模化しなくても家族経営でやっていけるんだ!って思いました。

結局その2年後に退職し、酪農家になろうと決めました」。

 

その後、ふるさと広島の牧場で1年研修しながら廃業予定の牧場を見つけ、

2019年春に開業。

すると、様子を見に来た弟の俊介さん(36)が「こんな生き方もいいかもな~」と一言。

冗談で「雇ってあげようか~」と言ったところ、

「うん、そうする。いまの勤めを辞める」との返事。

「いやいや、まだ走り出したばかりで、ちゃんとした雇用はできないよ」と、姉は念を押しましたが、

「それでもいい」と、俊介さん。

3ヵ月後には牧場の一員になりました。

 

さらに、1年後には夫(36)と出会って結婚。現在は2歳の双子と生後2ヶ月の3人の育児に勤しむ日々です。

いま、牧場は夫の守さんがメインで担っています。

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――就農5年目ということですが、人生も環境も、すごい勢いで変化したのですね。

お陰様で恵まれてまして、夫も農業やりたかったのは、運がよかったです。

ただ、まさかの労働力過剰になり、いま弟は、レタス農家とかけもちで、週1~2回働いてくれています。

 

――飼料高騰を受けて、いまの経営状況は?

エサは、広島県酪農業協同組合(ひろらく)のTMRをメインに輸入牧草を使っていますが、

去年1月の時点で月130万円だったのが、12月には200万円にはね上がりました。

開業時に借りた青年等就農資金が3400万円で、本来なら去年、

黒字転換する計画だったのですが、この情勢につき、追加で600万円借りました。

来年から返済も始まるので、実は結構厳しいです。

 

――そんなに大変なんですか。やはり輸入飼料の高騰分が、そのまま経営を圧迫すると言うことですね。

地元産に切り替える方法はありませんか?

じつは近隣の酪農家さんからWCS(発酵粗飼料)を分けてもらえることになり、

それに変えたら、輸入の半分以下の値段になりました。

すごい食べますし、病気も減りました。

地元産のWCSは耕種農家との連携になります。

地域に堆肥センターはありますが、今まで私には、連携のルートはありませんでした。

今後は地元産や自給飼料が重要になってくるので、土地や農家の情報とニーズを一元的にまとめる窓口が必要なんじゃないかと思います。

 

――生産者になった今、農政に思うことは?

自分も制度設計に関わっていたから反省点はありますが、余った時の対応策がないことが問題ですね。

国が買い上げるとか、輸出とか、どうにかして売る体制を作らないと、生産抑制は乳製品の不足を招きかねずリスクがあり過ぎます。今の酪農危機は消費者の方も関心高くて、牛を淘汰して価格を維持するなんてことにすごく抵抗感があります。もっと消費者の意見を反映させないと、不足、増産、余剰の繰り返しでは心は離れていきます。

 

――地域の酪農家さんと交流はありますか?

地元で一番うまくいっている牧場は、親子で経営していていまだに黒字だそうです。

牧草主体でWCSの構畜連携で堆肥循環して、乳量にはこだわらず、長く飼うスタイルです。

健康で病気をさせないことが、種も付きやすく、結局トータルで見ると一番余裕のある経営になるんですね。

私もそれが理想です。あと、隣町にびっくりするぐらいの裏山で放牧している人が

いると聞いて見に行ったら、山に電柵張った中で牛が平気で歩いているんですよね。

足腰も強くなるし。地元の現場は勉強になりますね。

 

――田島牧場の将来の希望を教えてください。

牛を健康に長く飼う方が作業的も精神的にもラクで、結局儲かるということに行きつきました。

うちにも裏山があるので、まずは運動場を作って育成を放したい。

将来はもう少し規模を大きくして、3人で回せる牧場にしたいです。

育児が落ち着いたらバッチリ仕事するつもりです。

苦しいと言うだけじゃなく、改善できることはして、危機を乗り越えた先は強い経営ができると思っています。

 
 
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畜産コンサルタント5月号に書きました。
小谷あゆみのようこそ!にっぽん畜産列島~♪vol.41

 

 

 
6月に思うこと

 

6月は牛乳月間!食育について考える月間でもあります。

ミルクを出す牛と共に暮らす「酪農家」という仕事について考えてみませんか!

 

 

ベジアナあゆみ