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「シェフと支える放牧牛肉生産体系確立事業」

略してシェフ牛という3年間の事業の試食発表会でした。
いままで食肉としてイマイチ歓迎されなかったブラウンスイスとジャージーのオス牛のお肉を、
食学会の一流料理人が調理して、料理法を探り、価値を高めようというもので、全日本食学会が実施。
前回12月に続いて今回は
なんと!!あの脇屋シェフが中華の技術でキラキラした牛肉料理に変身させる大変な試食会です~!
 
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中華料理の歴史と心を継承する脇屋シェフいわく、基本は豚食文化の中国において牛肉は、
ごくまれに役目を終えた水牛や使役牛を利用するぐらいで、「牛肉は硬いもの」と相場が決まっていた。
だからこそ、「青椒肉絲」というあの糸切り牛肉の技が生まれた。
繊維を断ち切るように細かい糸切りにして、さらにみじん切りに~~~
 

 

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これを見守る食学会のメンバーがすごいー♪
菊乃井@村田さん、更科堀井さん、今半@高岡さん、つきじ田村さん、他にもポンテベッキオ山根さんなど有名料理人が勢ぞろい~。
みなさん真剣に見入っています。
 
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1品目は、サーロイン、リブロースの低温調理~香り揚げ
お肉はオリーブオイルを塗って真空調理してからひき肉状に。
真ん中の黄色は、アヒルの塩漬け卵(ピータン)の黄身とバター。黒い部分は刻んでソースに。
竹炭のパン粉で揚げました。
 
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2品目
まさに青椒肉絲のように糸状の細切りにして甜麺醤であえたものをチコリにのせて、
北京ダックのように白くてやわらかい蒸したパン(花巻)にはさんだもの。
甘い味噌がからまってお肉全体がやわらかくまろやかでした。
花巻がまたやわらかくてふわっとしておいしいー!
 
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つづいて、スネ肉です。
すねは腱(けん)、中国人は元気になるからと好んで食べます。
 
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めちゃくちゃおいしかったー。
すね肉の冷製スライスというのか~。香辛料と塩をまぶして漬け込んでから茹でたもの。
しょうがを添えて。スネの部分もコラーゲンぽくて硬さはなかったです。
 
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感動したのは、干し肉ー!!
きらきらして透明感がありいかにも美味しそう^^
醤油に漬け込んでから風に晒すことでなんともよい風味になり、脂も味わい深かった。
菊乃井の村田さん(全日本食学会理事長)が、
「醤油に漬けて干したらこんな風味になるの@@」と感心して質問していたのも印象的でした。
その昔、香港で食べたポーツァイファン(土鍋ごはん)の干した腸詰めを思い出しました~。
 
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そして、これまた絶品だったのが、内もも肉のスープごはん~♪
すごいスープの出汁がでてました。漬け物や豆板醤とあえてごはんの上にスープ。
 
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香りもよく脂の風味も食欲をそそりました。
中華ならではの香辛料と漬け物が合いますねー。
 
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全日本食学会理事長で菊乃井の村田さん。
ご存知、「和食」をユネスコ世界遺産に高めた京都、日本を代表する料理界の重鎮です。
オリパラで、「持続可能な食」が調達基準になる中、
持続可能な牛肉とは料理界からも食材の生産過程に思いを馳せて、
積極的に関わっていくと、この事業の意義を説明をされました。
それにしても関西人だからか、いつもお話にオチがあっておもしろい。

 

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農水省元畜産部長の原田さんが座長を務め、「全日本・食学会」が実施しています。
食肉として歓迎されなかったジャージー種などの乳牛を健康的に太らせ、調理方法や熟成など
シェフの手で付加価値を高めることで新しい生産体系を構築する事業です。

今回の試食会で提供されたオス牛は2頭。
①青森のアビタニアジャージーファームで生まれたジャージー♂オス
②浜中町の菅井牧場で生まれたブラウンスイス♂オス
いずれも2017年6月生まれで、
放牧肥育したのは、岩手のくずまき高原牧場。
ホルスタインの牛群と一緒に広大な草地で放牧された30ヶ月齢。
2019年12月にと畜して40日間のからし熟成したお肉たち。
 
 
乳業といえば、ホルスタインが99%を占めますが、
ジャージーは脂肪分が高いのでソフトクリームなどの乳製品に、
ブラウンスイスは高たんぱく質なので、チーズ加工によく使われます。
合わせてもわずか1%ではありますが、国産チーズや乳製品の人気で少しずつ増えています。
しかし、乳牛で必要なのはメス(母牛)だけなので、
オス牛には今まで🐂市場価値がほぼありませんでした。
(ホルスタインのオスはたくさん出回ること、体格も大きいので、いわゆる「国産牛」として一定の市場価値がありますが)
ジャージーやブラウンスイスは数が少なく、体格も小さいので「歩留りが悪い」(とれる肉の量の比率)と、
ほとんど買い叩かれてきました。
せっかく生まれた命が喜ばれないというのは、生産者も、牛本人も、関わるすべてにとって残念でもったいない。
 
そこで、シェフ牛の事業でめざす3本柱は、
①放牧を中心としてほぼ国産飼料で肥育。
②地域の自然の特性を活かした育て方。
③生産者からシェフへの愛情をこめて育てた命のリレー。
 
 
酪農家のところで生まれたジャージーやブラウンスイスのオスを10ヶ月まで酪農家自身が育成。
その後、広々とした放牧場で、放牧肥育し、
この意義を理解する料理人がつくることで、価値を高めようというもの。
CCSA(シェフとコミュニティーがサポートするアグリカルチャー)というコンセプトです。
 
 
脇屋シェフ、村田さん、ほかの料理人さんの話も聞きたかった~。

NHK「あさイチ」で、3シェフ夢の競演というのがありますが、あれのおもしろさは、

料理人同士の質問や会話なんですよね。

せっかく一流の料理人が集まるのだから、願わくばもうすこしプロ同士のディスカッションになれば、

議論も深まって改善やヒントが生まれたかもしれない。

 

ともあれ、

会場にはいろんな料理人や食関係者が参加して、質問も飛び出し、関心の高さが伺えました。

レストランや料理店のプロが、こうした「持続可能な食」(農畜水産物のうまれる背景)に関心を持ち、

おいしい食とは、お皿の上、口の中の感動だけではなく、いわゆるトレーサビリティ、

どんなふうに生まれて育ったのか、誰がどんな思いで育てたのか、思いを巡らせながら味わうことの豊かさ、

心で味わうような食べ方が広まれば、世界の中で日本らしい食との向き合い方、

「和」(harmony)の食文化が醸成されるでしょうねー。

 

微力ながらシェフ牛の活動を応援しています。

 

東京ガス業務用厨房ショールーム「厨BO!SHIODOME」にて

 

 

農水省フード・アクション・ニッポンFANバサダー

ベジアナ・サステイナブルアナ@あゆみ