日本農業新聞にコラム書きました。

 

農泊発祥の地大分県宇佐市安心院町

安心院(あじむ)と読みます。

訪ねたのは去年12月24日。

NHK大分の仕事帰りにレンタカーを借りて農泊の旅をしました。

 

 

司馬遼太郎が「日本一の盆地」と絶賛したぶどうとワインの産地「王さまのぶどう」宮田さんが地元の温泉へ行く前に案内してくれた。

司馬遼太郎さんが安心院を訪ねて来たとき、

「盆地の眺めとしては日本一」だと、後に友達に手紙に書いたそうです。

 

 

 

「一度泊まれば遠い親戚十回泊まれば本当の親戚」がキャッチフレーズ

王さまのぶどう 宮田静一・真佐子さん夫妻

宮田さんは観光庁の「観光カリスマ」にも認定されています。

 

 

「しあわせ農泊」というご著書を頂いたので帰って拝読しました。

 

その中の一節、

「何でこんなに涙があふれるか分からない」と泣きじゃくった女子中学生に農泊の真髄を見た。

どれほど一流の旅館やホテルで完璧なサービスを受けても号泣には至らない

”お客さん”扱いでは生まれない深い感情

”チーム”の連帯感

家族愛

農業という仕事に対する当事者意識

農泊の意義は農村の所得向上だけか

働き方が問われる今、農泊・ 農村が都市を助けることができる

心の教育や安定の場として農村の価値を売る農泊

 

 

↓↓↓ 日本農業新聞 2018.1.9

読んでね ↓↓↓

https://www.agrinews.co.jp/p38066.html/p42952.html

*と思ったら、リンクが切れていたので、以下に再掲載します。

 

農泊が都市を救う

〜また帰る場所になる〜

 

 農泊発祥の地、大分県宇佐市安心院町へ行って来ました。

NPO法人安心院町グリーンツーリズム研究会は、1996年から農泊をはじめ、現在60軒が参加しています。安心院では農泊を「農家民泊」ではなく、「農村民泊」の略だとしています。単に農家に泊まるだけでなく、農村まるごと体感する旅という考えなのでしょう。

 連なる山の麓にぶどう畑の広がる風景は郷愁を誘い、かつて訪れたことのある司馬遼太郎に「日本一の盆地」と言わしめました。

 ぶどう生産と観光農園「王さまのぶどう」を営む宮田静一さん真佐子さん夫妻のお宅に泊まらせてもらいました。真佐子さんの手料理に加え、焼き牡蠣に大分産のカボスをしぼり、自家製ワインの試飲までさせていただきました。これで1泊2食6800円ですが、農泊の売りは価格やボリュームではありません。

 出発の朝、頂いたカードには、「一度泊まれば遠い親戚、十回泊まれば本当の親戚」と書かれていました。わたしの帰る場所がひとつ増えたと思いました。

 宮田さんは、観光庁の認定する観光カリスマに選ばれ、「しあわせ農泊」という著書も出されています。その中に、印象的な場面がありました。2泊3日の体験学習でやってきた女子中学生7人が、お別れのときに一斉に泣き出し、中でも最もおとなしそうだった子が、「なんでこんなに涙が溢れるかわからない」と言って泣きじゃくったそうです。

 農泊の真髄は、ここにあると思いました。

 どれほど一流の旅館やホテルで完璧なサービスを受けても、号泣するほどの感情は生まれません。“お客さん”扱いでは生まれないのです。

 しかし彼女達は3日間、生産者と共に農作業をし、ごはんを作り、食卓を囲むうち、“チーム”のような連帯感や、農業に対する当事者意識、家族愛にも似た深い感情をほぼ初めて体験したのではないでしょうか。

 農泊の意義は、農村の所得向上だけでしょうか。

 命の大切さや働き方が問われる今、教育や人間形成、心の安定の場として、農村を考えられないか。日本人の暮らしを理解してもらう上で、訪日外国人の農泊は有意義ですが、その前に、都市の抱える闇や課題を、むしろ農村が救えるのではないか。省庁をまたいだ議論も必要でしょう。1月27日、安心院で農泊シンポジウムが開かれます。広島の中学校校長による「なぜ修学旅行を京都から大分に変えたのか」と題した話に、そのヒントがありそうです。

 

安心院の展望台からの眺め

 

 

ベジアナ@あゆみ