お造り
お椀は白玉貝と枝豆の真丈
もみじの生麩、しめじ、子芋に小さいサイズのオクラに気品が漂います。
ふんわりおいしい白玉貝と枝豆の真丈
冬瓜かと思ったのは「かもうりでございます」と女将の朋子さんはおっしゃった。
かもうり?今、調べると、能登野菜だそうです。中能登を中心に古くからつくられている伝統野菜。さっぱりしてお吸い物に合う。
そして器は山中塗です。
山中温泉とは、山中塗の振興とともに栄えてきた温泉街だったのです。
残念ながら今はずいぶん寂しくなったと明月楼ご主人・北村貴司さんはおっしゃった。
橋立港へ上がったのどぐろの塩焼きです。
すだちの面取りが美しい。
はじかみと、焼き茄子も添えてある。
加賀市山中温泉の強みは、同じ加賀市内に橋立港という力強い味方を持っている
ことにあるようです。
昔から橋立のカニは有名でしたし、
金沢港とは微妙に水揚げも違っているのでしょう。
ご主人は、「ここ(加賀市)は金沢より福井の方が近いんです」とおっしゃった。
後で地図を見ると、
加賀市橋立港を中心に、直線距離で40kmほど北上すると金沢港、
30km南下すると福井港である。
そんなわけで橋立の「のどぐろ」です。
のどぐろでえええ〜〜す。
やはりのどぐろは塩焼きに限りますねえ。
脂がにじみでてきます。
ご主人は「魚によって合う調理法があります」とおっしゃった。まったくその通りだと思いました。
ただこのところの「のどぐろフィーバー」について思うところはあるようだった。
「錦織くんのおかげでねえ」。。。
わたしも今回は、クライアントの指令による「のどぐろ探訪」の旅なので、
困ったものですねえと言いたい一方ですみませんという立場であった。
しかし脂ののったのどぐろは皮もまた香ばしく、すだちをきゅっと搾ってああもう何もかも感謝したい気持ちです。
やはり橋立港で上がったきすの天ぷら、梅肉大葉巻き。
あっさりしたきすに梅肉が効きますねえ。
そして加賀野菜!加賀れんこん。皮を残してあるようですね。土の香りがよかった。
後ろに五郎島金時、地物の甘長唐辛子。
加賀野菜、能登野菜、橋立港の魚が存分に味わえました。
お酒も飲んでいないのに心もお腹もあたたかく満たされて、なんかこの畳に寝っ転がりたい気分。このお部屋まるで料理旅館のような広々としています。
こういう気持ちと状態を金沢弁で「ありがた〜くなってきた」と言います。
「ああ、ありがたぁくなってきたぁ。」
自身が満たされたことにより生まれる他者(天か宇宙か)への感謝。
加賀百万石における豊かな人々の精神を表す、よい言葉ですね。