報告が遅くなりましたが、12月18日、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会(畜産部会)が開かれました。

平成28年度「畜産物価格」
・加工原料乳生産者補給金単価及び交付対象数量、
・指定食肉の安定価格、
・肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格について諮問を受け、畜産部会・部会長代理として、森山農林水産大臣に答申しました。

本来なら武内和彦部会長の役目ですが、国連大学上級副学長の武内部会長は、先ごろ新たな国内3事例が認定されたFAO(国連食料農業機関)の世界農業遺産ほかの国際会議でお忙しくわたくしが部会長代理を務めたのでした。

国では畜産物の安定生産と供給をはかるため毎年畜産物価格を定めています。
例えば、
・ニュースになっているバター不足を含む「加工原料乳」については「飲用向けに比べて乳価の低い加工原料乳(脱脂粉乳・バター等向け及びチーズ向けの生乳)について生産者に補給金を交付することにより、加工原料乳地域(北海道)の生乳の再生産を確保し、生乳需給の安定を図る」ことが目的です。
・指定食肉(豚肉・牛肉)の価格安定制度については
(独)農畜産業振興機構の需給操作等を通じて卸売価格を安定させ、消費者への食肉の安定供給、生産者の経営安定に資する。

・肉用子牛保証基準価格は、
牛肉自由化に伴い、導入された制度(平成2年)で、
・肉用子牛の価格が低落した場合、生産者補給金を交付することにより、肉用子牛生産の安定を図る。
○ 乳用種については平成年度第2四半期から平成25年度第1四半期まで保証基準価格を下回り、生産者補給金を交付する。
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/

まあ、ちょっと国の法律と税金の話ですので文章にすると難しいですが、
食料安全保障とはそもそもなにか。
食べられないと人の命はどうなるか。
自由競争任せのままだとどうなるか。
(以下「食料安全保障」から抜粋)
国民に対して、食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務です。
食料の多くを輸入に頼っている日本では、国内外の様々な要因によって食料供給の混乱が生じる可能性があり、食料の安定供給に対する国民の不安も高まっています。
しかし、そういった予想できない事態が起こった際にも食料供給が影響を受けずに確保できるように準備しておかなくてはなりません。
「食料安全保障」とは、予想できない要因によって食料が影響を受ける場合のために、食料供給を確保する対策や、その機動的な発動のあり方を検討し、いざというときのために日ごろから準備をしておくことです。
平成11年7月に公布・施行された「食料・農業・農村基本法」においては、不測時における食料安全保障に関する規定を設け、不測時において国が必要な施策を講ずることを明らかにしています。

食料生産=農業、こればかりは、自由競争に任せているわけにもいかないと改めて思います。
しかし、農業・農村を「守る」というスタンスでは弱いから、「攻め」が最大の防御だという言う人もいます。
では「攻めの農業」「強い農業」とはなんでしょうか?
価値の高い和牛などの農産物を輸出することでしょうか?
そうして外貨を稼ぐことが日本の農業の豊かさになるのでしょうか。
もちろん輸出は重要です。否定しているわけでは全くありません。しかし同時に
経済発展だけが豊かさでしょうか。
(ちなみに、部会でこんな意見をいうのはわたしぐらいしかいませんけどね。)
つづきはまた今度にしますが、ともかく部会長代理として議事進行しながら、ちょいちょいそんな意見もはさんで審議を重ね、18日の答申に至りました。

産地を、生産者を応援したいというわたくしベジアナの考えは20年前、能登の里山をカメラ担いで歩き回っていた頃から少しも変わりませんが、
日本の農業の強さは、地方創生や、地域活性化、人口減少もあわせて考える時です。もう少し根本的な思想を掘り下げて考え、伝えることも重要なのではないかと思っています。以上蛇足~

ベジアナ小谷あゆみ