きのう農政ジャーナリストの研究会で、
食料・農業・農村政策審議会企画部会長をつとめる東京大学大学院 中嶋康博教授に伺った
「食料自給力から考える日本農業」についての
レクチャーから自分なりに「食料自給力」と食料安全保障についてまとめてみました。
み~んな食べ物をたべて生きているのだから
お皿の上の料理だけではなく、日本の農業のこともうちょっと考えてもらえないかとあらためて思いました。
よかったらご笑覧になってね。

日本一かんたんな日本の農業と食料自給力解説は~じまるよ~♪
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食料自給率にはカロリーベースと生産額ベースがあります。
農水省のデータでは(平成24年度)
カロリーベースは39%、生産額ベース68%です。



食料自給率・食料自給力・食料安全保障に関し、平成27年3月31日に閣議決定された新たな食料・農業・農村基本計画におけるトピックを中心として、国民の皆様に知っていただきたい内容のパンフレット

http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/panfu1.html

このPDF、図にしてわかりやすく、内容もデータもいろいろありますので、ぜひパラ~っとでもよいのでご覧になってね。




食料自給率39%を、品目別に見るとこんな感じ~。
国内だけでまかのうとすると、お肉も魚もほぼ半分しか食べられないことになります~。
それどころか大豆がこれほど低いということは、醤油も味噌もほとんどなし!味付けも思うようにつけられません。
今まで食料自給率を50%にしょう~!と目指していたことが、今年度
45%に引き下げられ、あちこちから「安易に目標をさげるとは遺憾だ」という意見があったようです。
意見はもちろんあるにせよ、
昨日の中嶋先生のお話でなるほどと思ったのは「「いま、39%だとか40%の数値をとにかく5%アップしていこう」という相対的な考え方である。」という解説でした。 わたしはなるほどと思いました。
人口減少や高齢化で日本人全体として必要なカロリーは30年前よりどんどん低くなっています。
「食料自給率」というのは、
人が1日に必要なカロリーを分母としています。
平成元年は2642kcalでしたが、平成25年は2424kcal
この24年間で218kcal以上減っています!
分子は、国内で生産している農産物=食料なわけですから、
分子=「農業(食糧生産)の力」が同じであれば、食料自給率はあがってもよかった。という考え方があります。

だけど、やはり同時に、農業力も落ちて来たという現状もあり、アップにはつながりませんでした。(残念~)
とまあ、いずれにせよ「率」というのは分子ありきの数値なので、

それとは別の「生産力」を考えようとして生まれたのが、「食料自給」です。
ですから今後もひとつの目安として「食料自給率」はあり続けるし、同時に「食料自給力」という概念も生まれたということです。

また、
農業をいくらがんばっても小松菜農家ではカロリーアップに貢献できないですし、花き栽培も立派な農業ですが、カロリーとは関係ないですし、
日本の農業を考える上で、食料自給率(カロリーベース)以外の指標があってもよいではないかというわけです。

カロリーベースに異議を唱える人は昔からいて(わたしの知り合いにもいるのですが)まぁ立場が変わると主張は異なるものなので、今回ここでは触れないでおくことにします。 しかし将来、なにか不測の事態で、外国からの輸入がストップした場合、金額は意味を持ちません。 そしてそういう事態はすでに始まっているのです。
NHKドキュメンタリー「世界牛肉争奪戦」。

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NHKスペシャル「世界“牛肉”争奪戦」
[総合]3月14日(土) 午後9:00~9:50

いま世界で食料の争奪戦が起きている。去年、自給を原則としてきた中国が輸入にかじを切り、ばく大な需要が世界市場になだれ込んだ。
私たちの生活に欠かせない大豆や牛肉を調達する商社は、かつてない事態に追い込まれている。
さらに需給のひっ迫により市場価格が乱高下。その裏には金融商品の販売によって、膨大なマネーが市場に流れ込む仕組みがあった。
激変する食料の現場を米国・ブラジル・オーストラリアなど世界各地で追った

http://nhk.jp/special

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中国の成長により、世界規模で牛肉のおそろしい奪い合いが起き、日本に牛肉が入らなくなっています。
オーストラリアの牛肉を取引していた日本の商社は、中国に「買い負け」している様子がとりあげられていました。
すでに日本の商社の人達は知っています。
牛丼やレストランでの輸入肉がどんどん日本に入りづらくなっていることを。
ブラジルの大規模な大豆農家は、よい価格を提示した国に売るだけだと断言していました。
もっとみんなこの番組を見てほしいと思いました。
だけどもしかしたらパニックになるかもしれないほど衝撃的でした。

とにかくまあ、ご意見はみなさん立場によっていろいろあると思いますが、
きょうのお話で改めて 国の「食料安全保障」について考えました。

「食料安全保障」を司る世界的機関は、FAO。
FAOとは、「国連 食糧農業機関」フードアグリカルチャーオーガニゼーションです。

このFAOの世界基準として採用されているのが「
穀物ベースの食料自給率」なんだそうです。
世界各国の農業(食料生産力)を測る上で重要な指標、基準値になるそうです。

FAO
の目的
人々が健全で活発な生活をおくるために十分な量・質の食料への定期的アクセスを確保し、すべての人々の食料安全保障を達成する。

「食料安全保障」 Food Security とは
 
全ての人が、常に活動的・健康的生活を営むために必要となる、必要十分で安全で栄養価に富み且つ食物の嗜好を満たす食料を得るための物理的、社会的、及び経済的アクセスが出来ることである。

FAOの使命
・世界の人々の栄養と生活水準の向上
・農業生産性の向上
・農村に生活する人々の生活条件の改善
・世界経済成長への寄与




というわけで、
「食料安全保障」って聞くとなにか重々しく、
条約とか国家間の取り決めとか、わたしたちの日々の暮らしとはかけ離れた話のように思えますが、
戦中戦後のサツマイモばかり食べてきた時代を知る世代と、
飽食の時代の私たちとでは、食べ物に対するありがたみが明らかに違います。
あの頃に戻れといわれてもそういうわけにはいきません。

毎日の生活の中で、
わたしたちひとり一人にできることがあるはずです。
輸入肉は安くて手軽で牛丼はおいしいけれど、いろんな問題が今後ますます浮上してきます。
いまのうちから国産の農畜産物を水産物を守るには、
まず積極的に国産を選ぶ、それだけで、生産力は高まるのです。
それがフードアクションニッポン!

そういえばこのあいだ、「エシカル」(倫理的、社会貢献)についてのイベントに参加してきましたが、
国産を選ぶという消費行動もエシカルなライフスタイルっていうんですよ~♪


ベジアナ