お~いお茶のペットボトルに拙作の新俳句が載ったことを知らせたい人がいました。
実は入選の知らせが来たのは2年前。
その2012年の7月に
当時連載していた学研のクロスワードという雑誌のエッセイにその話しを書いたのだった。
そしてイラストレーターの安西水丸さんが
句にイラストレーションを付けてくれた。


走っているわたしの姿をまるで見たことがあるような、雰囲気のある絵を描いてくれた。


1000分の1の幸運
コンテストで入賞する方法

 お~いお茶新俳句大賞という伊藤園の主催する俳句コンテストに応募した。二次審査に通過した知らせにちょっと喜んで、その後最終審査の結果を待っていると、前回ここで書いた。
 というわけでご報告申し上げます。入賞いたしましたー♪わーい。おかげさまで佳作特別賞を頂きました~。つまりそれは、お~いお茶のペットボトルパッケージに拙句と名前が載ることを意味する。入賞作品はパッケージに印刷され、今年秋からコンビニなど全国の店頭に出回るのだ。やったー。今まで味わったことのない経験でーす!
 佳作特別賞というのは、応募総数1737千句あまりの上位2000句である。思わず電卓をたたくと、0.001の確率であった。1000分の1の中に選ばれたのかと思うと改めてびっくり。喜びじわじわ~。入賞句はこちら。 

ああそこにずっといたのか梅の紅

 梅の紅と書いてウメのアカ。早春の公園でジョギング途中に見かけた景色である。まだ冬枯れ色の森で目に飛び込んできた一本の紅梅。数日前は気づかなかったのに、ああ梅はほころぶ季節を心得ているのだなあという自然に対する畏敬と発見がわずか一七文字に凝縮されている。な~んて架空の選評を書いて浮かれている。だって入賞!嬉しい嬉しい。ツイてるな~と思った。
 くじ運はいい方である。宝くじはほとんど買わないけれど、アイスクリームの当たり棒とか、年賀状のお年玉とかちょっとしたラッキーは結構多い。人生でいちばん幸運に恵まれたのはやはりこの仕事に就いたことだろうか。わたしの職業人生の出発点は石川テレビという金沢にあるテレビ局のアナウンサーだが、地方局とはいえ曲がりなりにも人気職業。並み居る才色兼備の女子大生を蹴り倒し?今もこうして生き残っているのは運が強いとつくづく思う。
 有名な話だけれど、松下幸之助さんは、社員を面接するときに必ずこの質問をしたという。
「あなたの人生はツイてますか?」
(読者の皆さんはいかがですか。ツイてますか?ツイてませんか?)
 松下さんはこの時、「ツイてます」と答えた学生を採用し、「ツイてません」と答えた学生はどんなに成績がよくても採用しなかったそうだ。もちろんこの質問は、不運な人を排除したという話ではなくて、とっさの問いにツイてますと胸を張れる明るさと前向きな性格が企業人にふさわしいと判断したのだろう。
 さて、今更わかったのだが、この賞は大変名誉なことらしかった。友達に話すと誰もがラベルに俳句が載っていることを知っていた。何しろ発売からこの20年間の(09年まで)累計販売量は500mlペットボトル換算で150億本!1億人が150回は飲んだ計算になるシェアトップの超有名飲料なのだ。

にも関わらず私は、応募した時から入賞する気満々だった。参加している句会仲間に受賞経験者が7人もいたからだ。あまりにも身近にフツウにいるものだから、詠んで送れば入選すると当たり前のように思い込める環境にいられたことが、入賞の秘訣かもしれないですね~♪成功本とか、夢を叶える本によくそういうこと書いてあるもの。信じて疑わないことが成功の鍵!仲間にも恵まれてわたしってツイてる~!ありがとう~。
 皆さま、もしも店頭で見かけたら手に取ってみてね~♪イエーイ!(2012年9月号)

 
ちょうどその年に俳句を習い始めたこともあり、前号も同じテーマの話を書いていました。
わたしの俳号は「香魚」だが、水丸さんに伝えていなかったので、あゆみでいいのかなと(?)を入れたのだろう。


俳句はじめました

鯉を観察してサバを読む 
 このところ鯉のぼりのことばかり考えていた。俳句を習い始めた。大学の社会人向け講座で、事前に与えられた季語で俳句を作って提出する。その課題が「鯉のぼり」であった。講師で俳誌「さいかち」を主宰される高岡すみ子先生はおっしゃった。「芭蕉の教えに『俳諧は三尺の童にさせよ』というのがあるんですね。子供のように純粋に対象物をとらえなさいと。頭で考えるよりよく観察することが大事なんです。」

 観察か~。とにかく探さなくちゃ。しかし求めるとなかなかないもので、駅までの道のり、仕事先、ジョギング中、これまでこんなに鯉のぼりを探したことはなかった。自転車で通り過ぎてから気づき、わざわざ引き返したこともある。
 おかげで選評では、先生や受講者の何人かが私の句を選んで下さった。嬉しかった。
ズボン干すそばに小さき鯉のぼり
古民家に折り目正しき鯉のぼり 
 そもそも俳句を習いたいと思ったのは去年、句会に誘われたのがきっかけである。俳号・五七さんが主宰する五七句会というもので、編集者やコピーライターなど友人知人が集まっている。
 句会には、事前に題が与えられる兼題と、当日即興で作る席題があり、詠んで、発表し、選句するというなかなか忙しく緊張感漂う大人の遊びで、作るのも楽しい、評価されたらもっと嬉しい。それを肴にお酒を飲むのもまた一興で、すっかりはまりこんでしまった。

 そこで教わったのが「おーいお茶新俳句大賞」(伊藤園主催)である。去年の応募数は実に171万句を超える人気と実績を備えた賞で、佳作特別賞の上位2000人に入ると、お茶のペットボトルに受賞作と名前が載るのだ。しかも五七句会には過去7人の入賞経験者がいる。もしかしたら私も~♪
 さっそく応募した。それこそ目に入るものすべて何か題材にならないか観察し、締め切り当日に規定の6句を投句した。そしてつい先日、なんと!二次審査に通過しましたという電話がかかってきたので~す♪審査は四次まであるので入選ではないが、とにかく嬉しい~。

 電話口の女性は、句に間違いがないかゆっくりと読み上げた。(未発表が条件なので今は紹介できなくてごめんなさい~。)さらに住所、名前を確認され、最後に年齢を言われてハッとした。ペットボトルには歳まで記載されてしまうのだ!う~ん、これは困る~。とても困る~。隠しても仕方ないけれどわざわざ広めたくはない~。

「あのう、年齢は載せないといけないのでしょうか?」
「はい。お名前とお歳は掲載することが条件で次の審査へ進むことになりますので。」
「なるほど、次の審査には進みたいのですが~、年齢はやはり本当の年齢じゃないといけないですよねえ?つまりそのサバを読めないかということなんですけれども~。」
わたしはものすごく真剣な声でどうしようもないことを言っていた。電話の向こうでクククと上品に笑いがこぼれているのがわかった。
「はい、先ほどお答え頂いたご年齢が正しいと承りましたので。」
審査は厳正なのだ。これ以上駄々をこねて心証を悪くしてはいけない。お礼を言って電話を切った。結果は7月7日、七夕の日!もはや現実を受け入れて入賞を祈るしかありません~。
 「俳句は小さな子供にさせよ」。芭蕉さんはお見通しだったのですね。大人ってすぐごまかそうとするからね~♪(2012年7月号)

そんなわけで、
拙作に安西水丸さんがイラストレーションを付けてくれたことで、
作品の格調がぐっと高くなった気が致します。
水丸さんは「水夢」という俳号をお持ちで、句会にも参加されていました。
水丸さんからときどき、俳句は続けていますか。きみの俳句はいいからぜひ続けなさいとメールや言葉をもらったのを励みにしていた。
だから入賞の話はもちろんご存知だったのだけれど、改めてこのペットボトル、お見せして笑ってもらいたかったなあと思った。
水丸さんの葬儀で、句会を主宰されていたY内さんが、弔辞の代わりに句を紹介してくださったので、わたしは席の後ろの方で思わずペンを取り出して案内状の封筒の裏に書き留めた。覚えておきたかった。
わたしの好きな水夢さんの句。

いいやつが不良ぶってる葱坊主
夏やなぎ影あかさたなはまやらわ
春寒や少し辛めのカレー食う

香魚選

ベジアナ@あゆ