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昨日はマムちゃん寄席でした。

毒蝮三太夫さんが席亭を務め、

TBSラジオの豪華なメンバーがこれでもかと惜しみなく登場する人気の寄席。

今回が8回目。


まむしさんとは、

「ハートネットTV 介護百人一首」NHK Eテレの司会をご一緒させて頂いているので

観に行ったのは今回が3回目ですが、

どの方もすばらしい芸の持ち主。


紙切りの林家二楽さんの音楽に乗せた物語にはセリフがない。

言葉がないだけにどこか切なくてけなげで涙が出ました。

毎回恒例になっている松元ヒロさんの漫談は、まさに寄席向きのネタ。

ヒロさんは立川談志さんが生前かわいがっていたことで知られますが、

ニュースや天気予報をパントマイムで表現するのは最高傑作。

身体の動きのキレがダンサーのように軽やかで自在でした。


事前の番組表にはなかったのだけど、歌手の上条恒彦さん登場。

永さん作詞の「生きているということは」という歌。


作詞:永六辅
作曲:中村八大

生きているということは誰かに借りをつくること
生きていくということはその借りを返していくこと
誰かに借りたら誰かに返そう
誰かにそうしてもらったように
誰かにそうしてあげよう


http://www.tkma.co.jp/jpop_release_detail/kamijo.html?rid=3676

以前NHK「歌謡コンサート」で歌って反響を呼んだそうですが、
わたしは初めて聴きました。
最初の2行で泣いた。
びっくりした。
隣の友達イワトウさんもハンカチを出していた。
逆隣の知らないおじさんもバッグからティッシュをだした。
たくさんの昭和の名曲を生み出してきた永六輔さんですが、この作詞もほんとうにすごい才能なんだなと思いました。


三遊亭金馬さんはなんと84歳。

噺家になって72年だそう。

話芸少しの淀みもなくシャープでかっこいい。

禁酒ができない親子の話。


ナポレオンズのマジックは、手品なんだけどほぼ話芸。悪気のない笑いってあるねと思った。


永六輔さんも、車椅子で登場。

まむしさんが開口一番、

「永さんの見納めだと思ってみんな来たんだろ。」

会場が笑った。


永さんは、今さらながら放送作家とあって話の構成がうまい。

黒柳徹子さんと回る寿司へ行った話など、大笑いしながら感心しきり。

まむしさんが話につっこんで追加の質問すると、

「時間あるの?」とすかさず聞き返すあたりタイムキープを心得たプロの話芸でした。


トリの落語は6代目桂文枝さん。
三枝さんから襲名して1年8か月。
古希!70歳。
創作落語を披露されました。
寝たきりでカラオケ好きのおじいちゃんと介護する嫁の掛け合いから、
本物のカラオケマイクも登場。文枝さん歌がうまい。
「カラオケ葬」で「焼香曲」を次々披露。泣きながら大笑いしました。


覚え書き以上。

ここから感想。


マムちゃん寄席とは、人の生き死にを笑い飛ばす寄席であった。

老いも病も障害も、死をも笑い飛ばす寄席でした。

文枝さんが枕で「順番のない順番がやって来る」てな川柳がありますが~
なんて話をされましたが、
老いること、病気になること、死ぬこと、生きること、

間違いなく絶対に、全員に、やってくることなのだから、逃げたり忌み嫌ったりしないで、

ぜんぶ笑う。

誰が何と言おうと不謹慎なんかじゃない。
つまりそれが受容なのではないか。
あらがわず、肯定するということ。
そもそも「寄席」とはいろんな演芸の寄せ集め。社会の縮図みたいなもの。
老いも病気も障害も個性・キャラの一つとして認め、受け入れ、笑っていく。
ひねくれたり腐ったりしないで、自分に与えられた能力という芸をやれる範囲で磨いていく。
人生の達人であり介護の達人でもある毒蝮三太夫さん席亭ならではのマムちゃん寄席。
五反田ゆうぽうとホール満席の1800人はみな大笑いしながらすこし泣いて
生きることに前向きになれたんじゃないかと思いました。
ありがとうございました。