４月２３日の時点で、女川総合体育館の避難所にいた被災者は７５０人。
被災から４０日以上たったいまだに食事は１日２回だと、現地へ向かうバスの中で聞いた。
どうしてなんだろう。
女川総合体育館。
物資・食材が届いても、それを裁いて調理する体制が整わないため、
という話であったが、それだけではよくわからない。
「心のケアプロジェクト」主催「危機管理協会」イケダさんから行く前に
「避難所の皆さんは取材疲れしている。むやみに質問しないように」
と、レクチャーを受けていた。
被災した方々の気持ちを尊重するのは当然だが、
インタビューを生業とするアナウンサーとして、知りたいことが
聞けないのはもどかしい。とても、もどかしい。
ただ、後に結果的にわかったことは、
多くの情報が把握・整理されないまま、
多くの指示系統が円滑と言えないまま、
つまり、誰も答えを知らないまま、
そこに７５０人が（つい数日前まで２３００人いた）身を置くことを
余儀なくされているという現実であった。
「読み聞かせ」の経験が、私にはない。
自分が行って果たして役に立つのか自信がなかった。
こども向けの読み聞かせは他の人達にお任せして、
高齢者を対象に「傾聴」と「群読」ができないかと考えた。
「福祉ネットワーク 介護百人一首」（教育）の司会をして８年になる。
介護する人・される人が、人に言えずに一人で抱え込んでいる胸の内を
短歌に詠んで吐き出そう、それが少しでも自身の心の癒しになるのでは、
という考えから、介護にまつわる短歌を募集し、
その詠み手（介護家族）を取材・紹介している。
介護の短歌とはいえ、前向きな歌や明るい歌、時には笑える歌もある。
出発の前夜、そんな歌を３０首選んでレジュメを作り、
「介護百人一首」の冊子（が毎年作成し無料配布している）を３０冊持参した。
今回私たちがお邪魔することを、避難所が承諾してくれたとはいえ、
わざわざステージを用意したり、人を集めたりしてくれるものではない。
自ら、人の輪の中に入っていかなければいけない。
（私は子ども以外を対象にした時点で単独行動になった。）
「黒皮のセカンドバッグ（水浸し）が見つかった」男性の妻はまだ見つかっていなかった。
その人のスペースは畳1畳分ほど、そこに毛布をカーペットのように広げている。
たとえば3人家族のスペースは畳3畳ほどと、それぞれ段ボールを立て
ささやかに仕切られていた。
「お父さんは流された」
「さっき夫が見つかった、水の中で」
会話の中にその話題が当たり前のように行き交う。
そのような人の輪の中に、入っていく。
与えられたのは２時間。
（朝６時東京駅出発し、帰着２３時間半、17時間半の日帰りバス移動。東北道は通行できたが、他に立ち寄るところや道路事情により現地滞在は時間になった。）
わたしは圧倒され、打ちのめされ、動揺し、とまどいたいのにとまどう時間がない。
ものすごいコミュニケーションスキルが試されている、と思った。
いや、問われているのは“人間力”だと思った。
自分自身が今、ここの人達に受けいれてもらえるかどうか、
その前に、入っていく意味があるのかどうか…。
中略
結果的に２組１０人の方とお話しができた。
一緒に「介護百人一首」を声に出して読んでもらえた。
すこし笑ってももらえた。（ウケた～。）
受け入れてくれた人たちに心から御礼を言いたい。
よそから突然やってきた他者の話を聞いてやろうと耳を傾け、話を合わせ、
のってくれたのは、明らかに避難所にいる方達のほうであった。
ありがとうございました。
皆さまのあらゆる探しものが早く見つかることをお祈りしています。
同行した３３人（でしたっけ）の仲間へ、ありがとう。
「心のケアプロジェクト」の継続と成功と、皆さまの笑顔を祈ります。
女川総合体育館へ行く道すがらみてきたもの。
途中の道路や、現地で見かけるは自衛隊の車だらけ。
ここは被災地。
災害救助のプロ、やはり頭がさがりました。
わかりにくいが、白く巨大なタンンク状のものが転がっているすぐ向こうは海、港。
ちょっとずつ書きながらあたまんなか、整理して報告していきたいと思います。