~ハナシを聴く人が気になるもの~


過日の話し方講演で、こんな話をした。


友人が地方局でキャスターをしていた時のことです。

ニュースの放送中に、視聴者から

かつてない数の電話が殺到したそうです。

「さて、視聴者は何を指摘したのでしょう~?」

講演でそう問いかけると、数人が答えてくれた。

「放送事故?」いえいえ。

「放送禁止用語?」いえいえ。

電話の内容は、

「スタジオに飾ってある花瓶の花が枯れている!」でした。


その時、彼女(友人)はしっかりと間違えずにニュースを

伝えていた。

しかし視聴者にとっては、イヤでも目に入る“枯れた花”が

気になって仕方がない。

ニュースどころではなかったのである。


ある統計によると、人が相手から受ける印象を

「言語」と「非言語(表情、態度、洋服、雰囲気など)

分けると、

「言語」3に対して、「非言語」が7の割合で

圧倒的なインパクトになるそうだ。

つまり例えいくら「ありがとう」と言っても、

ふんぞり返っていたとしたら、その人の感謝の意は

伝わらず、

逆に一言も声に出さなくても、ニコニコ笑顔でいたならば

相手は恐らく好印象を持つ、と言うのだ。


「何をすればいいのかわからなければ、

まず笑顔を作ることよ。

賢く見えなくても好感を持たれるわ。」


映画「ニキータ」(リュック・ベッソン監督)の中で

大女優ジャンヌ・モローが若い娘(ニキータ)に言う

セリフがある。

10数年たった今でも鮮明に覚えているのは、

当時私がアナウンサーを目指す大学生だったからだ。

もちろん言語も大事だが、非言語を侮ってはイケナイ。


「ですからね、皆さん、話し方云々よりも挨拶の時に、

みなさん!ど~も~!こんにちは~!って

手を上げて元気よくですね~」と話しながら

会場を見回すと、

シ~ン・・・。


ああ~!聴講にいらしたのは全員地位も名誉もある

60過ぎのオジサマ方であった。

以上!ケーハクに見える話し方講座でした~。アハ、アハ

ハハハハ~・・・。


※この記事は8/7の北陸中日新聞夕刊に掲載された

ものを一部訂正加筆しました。



【補足】

文中前半の「放送禁止用語」で思い出したんだけど、


「ラーメン屋さん」って放送で避けたい用語なんですって。

「ラーメン店」ならOKなんですと。

「ブログ」はいわゆる「放送」ではないので堂々と書けるわけだが、

一体「ラーメン屋さん」というコトバのどこに侮蔑や差別の意味合いが込められているのだろうか~。


ワタシは正しい日本語をしゃべりたいと言う意志は大いにあるけれど、

最近それを知って、そういうのはナンセンスだと思った。

あ、ナンセンスは死語ですか?ええ~いっ。