~東京アパート事情~




引っ越したアパートには網戸がありませんでした。

「網戸がないなんてオカシイ!オカシイ!」

初めて部屋にやって来た母が言った。


とにかく近所のホームセンターへ買いに行こうと、

出かける直前になってもまだ母がシツコく言うので、

「そんならお母さん、電話してよー!」仲介業者の名刺を差し出した。



実はその部屋は、水道の蛇口にも不備があった。


入居してすぐ修理を頼んだのだが、

それまでやたら腰の低かった担当者(中年男性)が、

「え?使えないのぉー。」と急にタメ口になるのを経験していた私は、

なるべくもう関わりたくなかったのだ。



そんな経緯を知らない母は「ええよぉ」

少しのためらいもなく業者に電話をかけ、

「網戸は生活に最低限必要なものですから!

付けてもらえませんかね?あきませんかー!?」と、

タチの悪い関西弁でまくしたてた。

(つまりいつもの調子で)。



連休で担当者がいないため、結論は持ち越されたが、

当の母は一仕事終えてさっぱりした様子であった。

別の買い物で(物干し竿)ホームセンターへ行くと網戸が売っていた。

1枚7500円であった。


数日後、件の業者から電話があり、

「網戸1枚15000円の見積もりで、2枚分なら“折半で”

 付けてもいい。但し時間がかかる」と言う。

(本来は4枚必要なのに。)

私が見つけた網戸の倍の値段だったが、

“え?近所のホームセンターでは7500円でしたよ”とは

なんとなく言わないで黙っておいて様子を見ることにした。


寝入り端にブーンブーン、イヤな蚊の音で目が覚めた。

閉め切った部屋の、蚊取り線香もんもんの煙の中で、

私は決断した。


翌日、ホームセンターに行くと、網戸はやはり半額だった。

先方の言う2枚の予算で4枚買える!

早速、電話をかけ、同じ出費で4枚買う了解を得た。

で、買っちゃいました!

これで風通しのいい(風だけ通す!)快適な部屋になったぞー!!!



ちなみに水道の件は未だ放置されている。

まさかヤツは待っているのではなかろうか。

私がどこかで半額の蛇口を探してくることを・・・。