この間TBS「金スマ」でザ・ベストテンの裏側をやっていて

相当おもしろかったです。というどころか、カンドーを隠せなかった。


司会の黒柳徹子さんの話で、これは心の留めておかなければと思った。


1980年。

当時人気のシャネルズがランナウェイで番組に登場したときのこと。


生中継先から一般の方(少年)がシャネルズに質問をした。

「シャネルズは黒人のクセにどうして香水の名前を付けてるんですか」

リーダーは「シャネルズは香水とは関係ありません。」と答えたのだが

その時、隣にいた徹子さんの様子が急変した。

歌が終わってCMあけ、徹子さんは早口でこうおっしゃった。


さっき質問した方が「黒人のクセに」とおっしゃったんですが

何々のクセにとか、顔の色とか国籍で人を区別した言い方をすると、

ワタシは涙が出るほどとっても悲しく思いますので

ぜひ皆さん国籍が違うとかそういうことでもって人を見下ろすような、

偶然だったと思うんですよ、あの方は、

だけどそういうふうには言わないで下さい。お願いします。


25秒であった。


そしてこの話をウケた時の久米宏さんがまたスゴかった。

徹子さんがそういう話をするコトは

CM中の打ち合わせにはなかったようだ。

はじめ、しゃべり出した徹子さんを、半ば驚きの表情で見ていた久米さんが

次第に深くうなずき、最後にこうウケた。

黒柳さんが涙を浮かべて怒るのは当たり前の話でございます。

ぜひみなさんもお考え頂きたければね。

わずか5秒のコトバであった。


生放送などで時々、

「番組中に不適切な発言があったことをお詫び致します」

というのがある。

あれは大抵、サブ(副調整室)にいるプロデューサーとかディレクター

(番組の責任者)が間違い(問題)に気づき、

スタジオにいる司会者に訂正発言を促すというのが一般的だと思う。


誰に指示されなくても、徹子さんはご自分の持つベクトルの中で、

この発言に関してひとこと伝えなければ、と思ったのだろう。


普段どう考え、何を大切にして生きているか、

テレビは人間の中身まで映し出すと言うけれど、そういう瞬間だった。


もしかしたら人権擁護問題に敏感な方もその発言をテレビで聞いたとき

抗議の電話をかけようとしていたかもしれない。

抗議が相次いだ後にお詫びを入れるのも大事だけれど

その発言の直後に徹子さんが放送中すぐその話に触れたことで、

クレームを付けようと思った人の溜飲も少しは下がるというもの、

じゃないかな。(ザ・ベストテンは生放送だった)


徹子さんはザ・ベストテンの司会を引き受けるとき、一つだけ

条件を出したそうである。


「ランキングにウソはつかないでくださいね」


これは番組を立ち上げようとした山田プロデューサーという方も

同じ思いだったそうで、必ず約束は守ると同意したそうである。


思い出した話がある。


「料理の鉄人」のコメンテーターで有名になった

料理研究家の岸朝子さんが、やはり出演を承諾する条件として、

「番組で使った食材は一切捨てないこと」とおっしゃった

という話を聞いたことがある。

余った食材は若いADの晩ご飯になったり岸さんが持ち帰ったりしたそうだ。


番組の姿勢、司会者の姿勢をまことに考えさせられた。

ベスト10ランキングにウソはつかない。

番組方針を貫いた山田プロデューサー、この方にまつわる

立ち上げ当初の情熱と苦労の逸話もすごかった。


上司に視聴率のため大人気の山口百恵さんを出演させろと言われても

ランキングを誠実に守り、

記念すべき番組第1回目の放送に

ランク外(11位)だった百恵さんが出演できなかったそうだ。

結果。

百恵さんの出演を望む膨大なリクエストハガキが番組に寄せられ

わずか1週間後、百恵さんはベストテン入りした。


番組(方針)は成功であった。


番組に関わる者の、あるべき姿を、見習いたいものです。


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