SNSサイトの映画の論評では壮大な歴史ロマンと紹介されていたのを見たので、どんなんかな・・と思い、内容を全く知らずに『ミスター サンシャイン』を観ました。

 

 

 

評判通り、確かに飽きさせないストーリー展開。


 

主人公女性役のキム・テリさんは、他の作品で見たな・・と思ったら、最近観た映画『スペース・スゥイーパーズ』に出てました。

 

因みに映画の主人公は、Netflixで今話題のドラマ『ヴィンチェンツォ』(2021)や『トキメキ成均館(ソンギュンガン)スキャンダル』(2010)に出演のソン・ジュンギさん

 

 

 

・・・・・・・・・・

 


■朝鮮半島の近代史(wikiと小学館大辞泉を参照)

19世紀半ばから欧米列強が来訪、開国を要求、そして日本、清、ロシアが朝鮮半島の権益をめぐって対立、日本が勝利した日清戦争後に結ばれた下関条約締結によって長きにわたる清の冊封体制から離脱し、1897年に大韓帝国(朝鮮から国号を変更)として独立するも、初代韓国統監伊藤博文を独立運動家30歳の安重根(アン・ジュングン1879~1910)が暗殺し(翌年処刑)、1910年に全土が日本に併合された



このドラマは、欧米列強が朝鮮半島に開国を要求し、日本の権益が強まっていくまでの、大日本帝国に抵抗し戦い続けた名も無き義兵の人々をテーマに据えています。

 

 

人物や団体はフィクションとドラマ冒頭で添え書きしているとはいえ、ドラマ後半は、伊藤博文や要人、大将、軍人含め登場人物の日本人があまりにも酷い悪人の様(さま)に描かれていて、日本人が観るには心苦しくて耐えがたいドラマでもあります。

 

現在のミャンマーの民による、軍の弾圧への抵抗も被ってさえきます。

 

 

その時代の当事者ではなかった我々が観ても、日本人による暴挙が事実に近いものなのかどうかも分かりません。

 

わかりませんが、描かれている事実に近いものはほんの一部であったとしても、残酷で恐ろしい人間は世の中に一人もいないと言うのは詭弁ですから、そういう酷いことはあったのだろう・・と推測はできます。

 

視点を変えれば、日本人もロシアやアメリカで酷い扱いを受け、無念の死を遂げた人々も大勢います。

 

世界の歴史だけでなく、国内だけの歴史を見ても、国盗り合戦で尊い命の奪い合いをしてきており、人間はなんと愚かなのだろう・・と暗澹たる気持ちになったりもします。

 

 

ドラマに話を戻すと、ミスターサンシャインには日本人役が多く出てきますが、純粋な日本人によるキャストは全く出てこなくて、韓国人俳優陣が日本人役を演じているため、どうしても日本語の発音になまりがあり、聞いていても違和感の塊。

 

逆に、この日本人イコール悪として描かれたシナリオでは、とてもじゃないけど、日本人俳優は脚本を見た段階で出演依頼が来ても出演することに躊躇を覚えるのでは?と思えるような脚本でした。

 

唯一、義兵の長(おさ)の下で日本人が朝鮮人になりすまして手助けした若い男性も描かれてはいますが、日本人である私個人からの要望として残念なのは、日本人にも残酷で酷い人々もいれば、善良なる人々もいた・・という少しでも公平性ある描き方をもっとしてくれていれば・・との想い。

 

 

このドラマに限らず韓流ドラマの歴史ものを観ると必ずと言っていいほど、奴婢(奴隷)たちの酷い扱いと生活ぶり、不条理な階級社会は描かれてますが、日本による統治によって民主化が進み、奴婢制度の廃止も行われ、朝鮮半島は民主化への歩みを前進させた・・という視点は、極悪非道な日本人たちを描くことでかき消されてしまっています。

 

所詮フィクションを描いたドラマなのに、なにを目くじら立てて語っているの?とも言えますが、フィクションドラマだからと言っても見終えた後は、親の悪行を責められている子のような気分・・

 

日本人としては、他国に侵略され続けた朝鮮半島の悲劇を分け痛み、今なお続く一部の日本人へのヘイトの感情も日本人として受け止め、責められたときには、朝鮮半島の人々には真摯に謝意を持たなければいけないとは思いますが、それにしても日本人が観るには胸が痛いドラマでした。