練習時間、想像よりも多いです。
ピアノを始めるとき、どんなイメージを持っていますか?
最初から「プロのピアニストになりたくて!」という方は少ないと思います。
「ピアノ弾けるって、かっこいいな。ちょっと弾けたら素敵だな。」という感じでしょうか。
ピアノは、「ちょっと弾けたら素敵。」まで弾けるようになるのに、たぶん皆さんの想像以上の練習時間が必要であると思っておいた方がいいかもしれません。
マスターするのに必要な練習時間、パソコンや車の運転は約30時間、英会話は1,000時間、ピアノは10,000時間と言われています。
素敵!になるには、どうしてもおうちでの練習は不可欠です。
練習できなくて当たり前
でも、最初から何時間も練習してくださいということではありません。
幼児~小学校低学年の子どもにとって、練習は簡単なことではありません。
なぜなら、「今は難しくて出来ないけど、たくさん練習するとできるようになるから、練習しよう。」という発想がないからです。
「難しくてできないこと=おもしろくない=やりたくないこと」です。
ですから、弾ける曲、弾けそうな曲は何回も弾くけれど、弾けない(練習が必要な)曲は練習しないという状態になるのは、当たり前の姿です。
だからと言って、自分から練習を始めるのを待っていては、いつまでたってもピアノを弾けるようにはなりません。
ということは、やはり楽しくないので、余計練習嫌いになってしまいます。
最初の段階であれば、練習を重ねなくても、すぐ弾ける曲が課題です。
その時に、「弾けるから練習しなくても大丈夫!」ではなく、毎日1回で良いので、ピアノを弾く習慣をつけることが重要です。
人間の脳は、変化を嫌いますから、最初は「やってもやらなくても、大して変わらない」程度の量の練習を続けて練習を習慣にし、自然と「もう1回弾きたいな。」と思ったら、弾きたいだけ弾くのが、うまく練習を続けるコツだと思います。
だんだん曲が難しくなってきたら、工夫して練習しないと弾けなくなってきます。
その時に初めて練習をしようと思っても、なかなかできるようになりません。
お子さんが小さいうちの方が、おうちの方の工夫で練習時間を確保できます。
ほとんどの生徒さんが、大きくなって勉強や部活などで練習時間を確保することが難しくなり、また曲が難しくなるに従って、だんだん練習をしたくなくなります。
練習する習慣がついていても、練習しない生活に慣れてしまうのは、あっという間です。
小学生のうちに、ある程度の読譜力と演奏技術、練習する習慣と効果的な練習法が身についていると、中高生になって勉強や部活で練習時間を十分にとることが難しくなっても、少しの時間で弾けるようにしてレッスンに来られます。
まずは、練習内容よりも、毎日練習することを目標にするのが、ピアノを楽しく続けられる第1歩です。
遊び弾きも練習の一環です。
小さいお子さんが楽器を鳴らす時、音が鳴るというだけで、とても楽しいことです。
しかし、楽譜を見て、音符を1つ1つを目で追いながら弾く、しかも、手の形や色んな事に気をつけなければならないとなると、おもしろくありません。
当教室では、ピアノを弾く前に、楽譜の読み方、手の形、リズムなどしっかり学んでから、ピアノを弾く段階に入ります。
ですから、課題を弾く他にピアノで遊ぶというのも立派な練習になります。
小学校低学年までは、自分の知った歌をそのまま真似する、ボンボンと勢い任せに弾くことがほとんどで、そこから少しずつ広い視野で物事を把握できるようになり、9~10歳頃の急激な精神面の発達を経て、やっと自分の感じたあらゆるものを自由にコントロールして表すことができるようになります。
(ただし、男女差、個人差によってかなりの違いはありますが。)
大雑把に言えば、自分の好きな曲を自由に演奏するのは、ある程度の年数の間十分に練習を重ねてきた中学生以上の人間が楽しめる方法であるということです。
導入期に回りの大人が一緒に楽しんでくれると、子どもも自然に興味を抱くようになります。
また、形式に沿らないやり方を工夫することが、興味を呼び起こし、次第に色々な事を試したくなる気持ちにさせます。
リズムの取り方とか、楽譜を上手に読む事に興味が移るのは、その次の段階なのです。
ですが、週に1回のレッスンでは、そこまで十分に経験を重ねることは不可能です。
まずは、楽しい気持ちで毎日ピアノに触ること、課題曲を1回弾くことを目標に、おうちの方は声掛けなどお願いします。
曲が難しくなって行き詰まるとそれでは足りなくなってきますが、その時はレッスンで指導していきます。