作曲家、一柳慧の最初のピアノ先生は、ポーランド生まれでモスクワ音楽院に学んだピアニスト、ポール・ヴィノグラドフでした。

1937年に再来日し演奏会をして以来、日本に留まって多くの音楽家を育てています。

一柳は、ヴィノグラドフからショパンのエチュードを教わった時に、新しい世界へと開かれた感覚になった。作曲家を志望していることを知ると、基本となる名曲を次々教えてくれたと語っています。宅孝ニもヴィノグラドフ門下生。

ヴィノグラドフは作曲家でもあり、1969年に共同音楽出版社から2巻からなる「ピアノ名曲集」を出版しています。レトロな表紙が素敵✨
今では入手困難な楽譜となっています。


ロシア音楽のスタイルで書かれた小品集に加え、日本の影響を受けて書かれた、左手のためによる「荒城の月」「中国地方の子守唄」「六段変奏曲」は興味深い作品です。第2巻に収録されたショパンの「小犬のワルツ」と「ワルツ第7番Op.64-2」は中間部以降が重音による編曲となっていて、モシュコフスキー、ローゼンタール、ゴドフスキー らロマン派時代の編曲の伝統にならった難曲となっています。

出版当時、どれほどの人が演奏したのか気になるところですが、ヴィノグラドフの作品、編曲も演奏して紹介していきたいです🎶