大好きな映画がいくつかある。

何度も見返した、細かい部分も記憶している映画。

私にとってのバイブルだ。

 

フランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生!」

黒澤明の「酔いどれ天使」

ジェームス・キャグニー主演の「汚れた顔の天使」も何度も観た。

 

その中でも、数えきれない程に見た映画が「ロッキー」だ。

後にシリーズ化されて、全作観ている。

ソフトも所有している。

リブートのクリードも見ている。

だが、ロッキーだけは私の人生で最も多く見て、人生にも影響を受けた作品として別格だ。

 

不器用で真面目な好人物、ロッキー・バルボア。

派手で真面目な好人物、アポロ・クリード。

この陰陽とも思える2人の男の物語。

人生ドラマとして、最も美しいストーリーだと思う。

ロッキーはチャンピオンになりたいとは思っていない。

雲を掴む様なチャンスを前に、アポロという偉大な王者に恐れを抱く青年に過ぎない。

ただ、上手くいかない自分の人生に対して、自分自身に自分の価値を確信させたい。

そして、愛するエイドリアンに胸を張って生きたい。

アポロはその前に君臨している巨大な壁。

 

アポロ・クリードは偉大な王者であり、気まぐれでロッキーにチャンスを与える。

アポロを演じたカール・ウェザースの存在感は素晴らしい。

彼以外が演じたとしたら、ロッキーはこれ程の作品群を生み出していただろうか。

カールの演技自体は、別に上手いわけでは無い。

だが、彼の持つ太陽の様な明るさがアポロのキャラクターに反映されて、今も愛される敵役が生まれたのだろう。

そのカールが亡くなった。

 

つい先日、義兄ポーリーを演じたバート・ヤングが亡くなったばかり。

本当に寂しく思う。

ロッキーは私の人生の一部。